2013/12/23

VX-8D 12V電源ケーブルの製作

旧バーテックススタンダード(現:八重洲無線)VX-8Dトランシーバーのシガーライター接続電源アダプターを製作しました。

製作の発端はVX-8Dをある機器とつなぎたいということと、偶然秋葉原のaitendo店先でVX-8Dに使えるかもしれないジャンク品のDCプラグを入手したことに始まります。

電子工作自体は簡単なものですから、精密ドライバーやドリル、ラジオペンチ、テスター、はんだごてなどがあれば小学生でもできると思います。あくまでも参考としていただければと思います。




早速シガーライターソケット接続電源アダプター製作にとりかかりましょう。

必要な部品は左からシガーソケットUSB充電アダプターとDCプラグと、写真にはありませんが手持ちの電源コードを使いました。電源コードを除くと合計136円と、大変リーズナブルです。

まず入手したシガーソケットUSB充電アダプターを精密ドライバーで分解します。

VX-8Dへ接続するDCプラグのコード用の穴をシガーソケットアダプターに開けます。穴を開けるポイントがズレないよう、シガーアダプターのガワはセロハンテープできつく仮止めしました。

手持ちの電源ケーブルを加工したシガーアダプターのガワに仮組みします。

シガーアダプター基板の12Vが入る部分に電源ケーブルをハンダ付けします。

電源ケーブルをハンダ付けしたシガーアダプターを組み上げ、シガーライターソケットに入ることを確かめます。

製作した充電ケーブルをテスターで導通確認します。プラスとマイナスがショートしている様子はないので大丈夫そうです。



今回の製作ではシガーアダプター内側のUSBコネクターや基板そのものを外すとシガーソケットアダプターとして機能しないことに加え、狭いガワ内部にケーブルを押し込まなければならなかったことに苦労しました。次に同じ工作をする時はもう少し大きめのシガーソケットアダプターを選ぶと製作が楽になるかもしれないというのが反省点です。

ともかくこれでVX-8Dがある機器とつながる“はず”です。

その"ある機器"とは.....次回へ続きます。


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2013/12/01

FTH-107/108とFTH-307(L)/308(L)の違い

先日八重洲無線から単3電池1本で使える小型特定小電力トランシーバーFTH-307(L)、FTH-308(L)が発売されたのはご存知のとおりです(詳細は下の関連記事参照)。

しかし問題点が1つ。大きさは異なりますが同じ形に見えるFTH-107やFTH-108との違いがよく分かりません。

そこで白黒はっきりさせるためFTH-107、FTH-108、FTH-307、FTH-308のカタログと説明書を読み解き比較表を作りました(ロングアンテナバージョンのFTH-307L、FTH-308LについてはショートアンテナのFTH-307、FTH-308とアンテナ長以外の違いはありません)。


この表を見ますとFTH-307、FTH-308はFTH-107、FTH-108から機能や使い勝手が大幅に拡充されていることが分かります。

FTH-307(L)/308(L)のような、音量ツマミに電源機能を持つトランシーバーは電源を入れる度に音量が変わってしまい使いづらい印象を何となく受けますが、使える状態になるまでの時間を考えますと電源長押しよりもカチッと音量ツマミを回して電源を入れるほうがスマートではないか・・・とも思ってしまいます。この辺りは好みの問題です。

通話品質の確かさを求めるならばロングアンテナとコンパンダー機能を持つFTH-307L、FTH-308Lが有力候補となるでしょう。


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2013/11/23

DJ-P22とDJ-P221L/Mの違い

アルインコの公式サイトに先月発売開始されました、単3電池1本で動作する特定小電力トランシーバーDJ-P221のページがひっそり?と公開されていたようです。

47ch 中継対応 防浸型 特定小電力トランシーバー DJ-P221(L_M) - アルインコ株式会社



電子事業部のトピックスには掲載されていなかったので見過ごしました。

DJ-P22を知る誰もがおそらく「DJ-P22とDJ-P221は見た目以外に何が違うのか」という疑問にぶち当たることでしょう。よしおもそのうちの一人です。

各販売店の広告にはロングアンテナモデル追加など、見た目の他に新機能としてイヤホン断線感知、緊急警報音、減電池警告音、チャンネル番号非表示の4機能を目にしますが、それ以外に何かDJ-P22からDJ-P221に変わった内容はあるのか.....。

疑問を払拭するべく両製品のカタログをベースに機能とスペックを比較しました。

表の黄色部分がDJ-P22とDJ-P221で異なる部分です。

充電池を使った場合の通信時間はDJ-P221がDJ-P22よりも2時間ほど伸びていますが、DJ-P221では測定時に使用されたであろう充電池の容量がアップしていますので厳密な比較にはならず、あえて黄色をつけませんでした。

DJ-P22からDJ-P221L/Mへのアップデートは店舗や現場での声に応えた結果と思います。

どちらを選ぶかですが、ロングアンテナを持ち低コストで選ぶならばDJ-P221Lは選択肢に入るでしょうが、特にレジャー目的で短いアンテナの機種をお好みの場合はDJ-P22のほうがDJ-P221Mよりもスペック上アンテナ長が3ミリも!長いですから、多分DJ-P221MよりもDJ-P22がほんのわずかに通話距離が長いかもしれません。

個人的にはやはりロングアンテナで1ミリワット連続送信機能のついたDJ-P221Lが気になります。



アイコムを皮切りとしてアルインコ、八重洲無線の3社がロングアンテナを持つ単3電池1本で使える特小トランシーバーをラインナップに揃えてきました。あとは期待を込めて、ケンウッドからロングアンテナ装備の単3電池1本機種の登場を待つだけでしょうか。


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2013/11/18

ユニデンアメリカ、デジタル復調スキャナー2機種発表

ユニデンアメリカからなんと、デジタル通信を復調可能な受信機(スキャナー)が2機種も!登場するニュースが飛び込んできました。公式と思われる動画がユーチューブにアップされています。

Uniden New Scanner Launch - Uniden

このビデオを見ますと、前半ではスキャナーがスマートフォンなどの情報機器と比べ速報性に優れている点やユニデンの最新スキャナー"HomePatrol-1"は女性にも使いやすい点などが、後半ではユニデンが引き続き革新的なスキャナーを開発し、ユーザーとのコミュニケーションを如何に大切にしようとしているかがアピールされている内容と思いました。



さっそくビデオ内で紹介されている発売予定の新スキャナーを見て行きましょう。

●BCD436HP
デジタル復調機能のついた新型ハンディスキャナーです。単3電池3本で動作し、なんと充電池のUSB充電に公式対応!

サイズは縦160x横71x厚み37ミリ(アンテナ除く)、アンテナと電池込みで重さ約350グラム、ID-51を彷彿とさせる縦長の大型液晶ディスプレイ、テンキー、そしてシリアルポートではなく正真正銘のUSBインターフェース、最大32GB対応のマイクロSDスロットが実装されているようです。

スピーカー最大出力は余裕の360ミリワット、アンテナは国内の市販のアンテナが使えるSMAコネクターです。

受信周波数範囲は25-512MHz、758-960MHz(一部除く)そして1240-1300MHzと、国内でもよく使うバンドを網羅しています。

アメリカ向けだけあって日本国内で使えない機能もありますが、BCD436HPの特筆すべき機能はマイクロSDカードによる周波数管理や音声録音保存、現行モデルBCD396XTから大幅に拡張されたデジタル復調機能、録音タイムスタンプに使える時計機能、バックグラウンドで動作するクロースコールRFキャプチャと思います。

念のためですが、クロースコールRFキャプチャとはアルインコDJ-X11のFチューンと同じ、近くの電波を瞬時に捉え周波数を拾う機能です。BCD436HPでは最大10の周波数が自動登録可能と説明書にありました。

BCD436HPスキャナーにはパソコン用のケーブルやソフトが付属していますから1台入手すればすぐ受信を始められるようになっています。今までの日本にはない試みですね。もっともこれはアメリカのお話ですが・・・。



●BCD536HP
デジタル復調機能のついた新型フラッグシップポータブルスキャナーです。
主に車に取り付けて使用する想定で24V車の直付はNGですが最大16Vまで対応しているようですので13.8V安定化電源を介した使用が可能と思います。

BCD436HPの機能は踏襲しつつ、なんとBCD536HPにはさらにWifiを介しスマートフォンやタブレットから遠隔操作可能な機能がついており、上のビデオによると世界のどこからでもインターネット越しに遠隔受信が可能だそうです!

BCD536HPに内蔵スピーカーはないようですが代わりにスピーカー出力端子は装備されているようです。スペック上UHFエアバンドなど受信性能は比較的ハンディ機BCD436HPよりも優れている表記がありました。



さて気になる価格はハンディ機BCD436HPが約5万円でポータブル機が約6万円と、AORから先日発売されたデジタル通信受信アダプタARD300の単体よりもかなり低価格という、何とも大丈夫なのかと心配になってしまう設定です。

国内で特に気になる内容としてデジタル方式の簡易業務や351MHzを使う登録局の復調が可能かが挙げられますが可能性は未知数です。

確かに今回発表されたBCD436HPとBCD536HPにはAPCO P25のフェーズ2復調用にAMBE+2が使用されていますがTDMA(時分割多重)方式のため、FDMA(周波数分割多重)の簡易デジタル(デジ簡)や登録局の復調には対応出来ない可能性があります。もしかすると将来日本のデジタル無線通信規格が世界標準になればファームウェアのアップデートで可能となるかもしれませんが現時点では何とも言えません。



アメリカでの発売予定は来年2014年1月頃。APCO P25フェーズ1コーデック以外のデジタル復調器を標準で内蔵した受信機、しかもハンディ機が発売されると思うとかなり期待してしまいますね。

デザインや操作性、PCとの親和性もこれまでの受信機とも一線を画すコンセプトですので、仕向地がアメリカなのはわかってはいますが.....アメリカ人がうらやましいです。


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2013/11/17

UBZ-EA20R送受信性能比較実験

ケンウッド特定小電力トランシーバーUBZ-EA20Rの送受信性能を他の特定小電力トランシーバーと比較する実験をしてみました。なお通話距離実験以外の、本体の使用レポートはページ下の関連記事をご覧ください。



この実験を行う前、よしおはかなり悩みました。周知の通り、電波の飛び方には不確定要素が多く、そのままの状態で通話距離を測る方法では正しいトランシーバーの性能比較ができないからです。

そもそも不確定要素こそ電波を楽しむ醍醐味ですし本来の使い方をしてこそ"トランシーバー"なのですが、今回はどうしても特定小電力トランシーバーの送受信性能比較がしたかったので無理に他のトランシーバーとの性能比較ができるような測定環境を仕立てました。

あまりにも実験に夢中になってしまい、写真がうまく取れなかったことはご了解いただければと思います。



今回のトランシーバー性能比較では送信するトランシーバーだけをアルミケースに入れ、その電波の飛距離を測定する方法を採りました。送信電波を強制的に弱くすることで周囲の環境に左右されにくくなり、送受信性能比較がより正確にできると考えたからです。

UBZ-EA20Rの性能比較には(あまりにも理不尽ですが)アルインコのDJ-R100DLを使いました。アルインコのDJ-R100DLは飛距離に定評のある同社DJ-P23L/P24L/CH27などとほぼ同性能ですからきっと参考になることでしょう。



UBZ-EA20Rの通話距離測定環境と装備の説明です。少々長いので結果をご覧になりたい方は下の赤と青の棒グラフに進んでください。

使用したアルミケースは金属の外側が35×26×9センチで内側に厚さ4ミリのスポンジが貼ってあります。アルミケースは湿った草の上に置きました。

実験場所は海抜6メートル、片側の幅30メートル程度の河川敷で左右に高さ10メートル程度のなだらかな堤防のある場所です。周囲に金属建築物はありません。

距離はガーミンのハンディGPS eTrex LEGEND HCxをD-GPSモードで3回測定後、結果を平均しました。

その他の装備として混信チェック用にDJ-R100DLよりも高感度受信が可能なアマチュア無線トランシーバーVX-8Dを使っています。



いよいよ実験です。実験は「(1)UBZ-EA20R送信実験」と「(2)UBZ-EA20R受信実験」の2種類です。DJ-R100DLも同様に行いました。

> (1) UBZ-EA20R送信実験
アルミケース内にUBZ-EA20Rを密閉し送信、その電波をミヨシTCV01で受信。スケルチがオープンするギリギリの距離を測ります。

> (2) UBZ-EA20R受信実験
アルミケース内にTCV01を密閉し送信、その電波をUBZ-EA20Rで受信。スケルチがオープンするギリギリの距離を測ります。

実験中、トランシーバーの感度を落とすため、地面からできるだけ低く手に持ち無理なく測れる高さ、約45センチに統一しました。どうでもいいことですが、このときの両手にトランシーバーを持ってそそくさと走る、実験中の様子は誰が見ても不審者そのもの・・・。


+ ◇ + ◇ + ◇ + ◇ + ◇ + ◇ + ◇ + ◇ +


コホン、気を取りなおして実験の結果です。以下のようにUBZ-EA20Rの送信距離がDJ-R100DLの1/3未満、受信距離はDJ-R100DLの半分未満となりました。

理想はアンテナ長の異なる同じ機種で実験するべきですがそれでも実験結果を見る限り、アンテナの長いトランシーバーのほうが通話距離では有利かもしれないと思えてきます。

試しに他の特定小電力トランシーバーの送受信距離も同様に測定しました。詳細は割愛しますがUBZ-EA20Rの送信性能は所有している特小無線機の中で最も低い結果となりました。

受信性能はUBZ-EA20Rのスケルチが深めに設定されており飛距離重視スケルチ設定の他機種との比較は酷というものですが、それでも格安特定小電力トランシーバーよりは僅かに勝りました。(店舗用途には非現実的ですが)スケルチ解除や裏ワザでさらに受信距離は拡張されます。



以上、UBZ-EA20Rの交信距離比較実験でした。


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2013/11/09

八重洲無線、FTH-307(L), FTH-308(L)発表

遂に八重洲無線(旧バーテックススタンダード)公式サイトにて特定小電力トランシーバーFTH-307、FTH-307L、FTH-308、FTH-308Lが正式発表されました。

FTH-307 / FTH-307L - 八重洲無線株式会社

FTH-308 / FTH-308L - 八重洲無線株式会社



念のため簡単に説明しますとFTH-307(L)とFTH-308(L)は免許資格不要で誰でも1台につき単3電池1本あればすぐに使えるトランシーバーです。

FTH-307(L)とFTH-308(L)の価格差は約4千円。一見すると外観は赤色のEMGボタンと電源スイッチ兼音量ツマミ左のLEDインジケーターの違いだけに見えます。



さっそくカタログと取扱説明書からその仕様の違いを読み解いていきましょう...と言っておきながらいきなり結論です。

どうやらFTH-307(L)にはなくFTH-308(L)にはある機能はカタログどおり
・EMG(エマージェンシー)機能
・LEDインジケーター機能
・防水防塵性能の違い(IP55とIP67)
だけのようです。



次に今回発表されたFTH-307とFTH-308シリーズがこれまでの製品とどのように異なるのか見て行きましょう。

■ セレコール機能
あらかじめ個別IDとグループ番号(トーンスケルチ、グループコードなどとは異なる)を各FTH-307(L), FTH-308(L)へ個別設定し、特定の1個人との会話ができる機能です。

セレコール機能がトーンスケルチ(別名グループコード、グループモード)やDCSと併用できるかについては不明ですが、現行品HX812の個別呼び出し機能とID数などが異なることから、少なくともFTH-307(L)/FTH-308(L)以降に発売されるであろう八重洲無線独自の新規格と思われます。


■ スケルチレベル調整
ヘビーユーザー待望の機能が装備されました。FTH-307(L), FTH-308(L)は4段階のスケルチ調節が可能です。同クラスのアイコムIC-4300(L)とアルインコDJ-P221が5段階ですから単純なスペック比較ではFTH-307(L)/308(L)が1段階少ないように見えます。


■ ワイヤレスクローン機能
1台のFTH-307(L)/FTH-308(L)の設定を他の複数のFTH-307(L)/FTH-308(L)シリーズへ無線でコピーできる機能です。422MHz帯特定小電力トランシーバーでは初ではないかと思います。

日本では未発売の、一部のユニデンの受信機にもある機能で業務用途にはかなり重宝しそうです。なおワイヤレスクローン後、セレコールの設定は個別変更が必要と思われます。



FTH-307/308シリーズの取扱説明書に目を通して気になった内容を1点挙げておきましょう。それはセットモード中"SL-xx"表示の「本機では動作しません」という項目です。このセットモードはもしかすると次期発売予定のFTH-2....おっと、ここから先はお楽しみです(笑)

このセットモードの謎はいずれ明らかになることでしょう。



以上のようにFTH-307シリーズとFTH-308シリーズの仕様の違いは3箇所だけのようです。

307か308のどちらを選ぶかですが日常業務や通常のレジャーで使う場合はFTH-307(L)、水場や砂塵の多い場所での使用を主とするならFTH-308(L)といったところでしょうか。

少なくとも、LEDインジケーターがFTH-308(L)にのみ装備されている時点で目の肥えていらっしゃる方々はほぼ迷わずFTH-308Lを選ぶでしょう。



発売は目前と思われますが...またひとつ、悩みが増えてしまいました。


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2013/11/03

ケンウッドUBZ-EA20R使用レポート

KENWOODの特小(特定小電力)トランシーバーUBZ-EA20Rを手に入れました。



あらためてこのUBZ-EA20Rを簡単に説明しますと免許資格不要、誰でも使え単3電池1本で使用できるトランシーバーです。

2013年現在すでに乾電池1本で使えるトランシーバーは各社から発売されていますが、充電式電池エネループ正式対応のトランシーバーはこのUBZ-EA20Rをおいて他には見当たらない状況です(2013年11月3日現在)。

UBZ-EA20Rはケンウッドのトランシーバーラインナップで比較的安価な部類に属しますが同価格帯の現行品UBZ-LM20と比べ通信距離を約2倍伸ばす別売り中継器(レピーター)に対応していることが大きなメリットです。



各部をチェックします。

本体のボタンは電源、チャンネル上下キー、混信などを防ぐMENUキー、送信ボタン(PTTキー)、音量つまみというシンプルな構成です。各ボタンとも大きめに配置してあります。押しづらさもありませんし不意の誤操作にも耐えられそうな押し心地です。手探りでもボタンが探せるよう送信ボタンにはわずかに突起が設けてあります。

音量も不用意に変化しないよう堅めにしてあり業務ユースを意識した造りです。

バッテリーは市販の単3乾電池、単3エネループ充電池、そして業務ユースに便利な別売り充電台UBC-6CR対応専用充電池UPB-7Nの3種類に対応します。乾電池と充電池の切り替えはセットメニューから行います。切り替えが必要な理由は恐らく省エネ設定などトランシーバー動作全体に依存するパラメータが異なるためと思われます。

使用上の注意ですが別売り充電台UBC-6CRではエネループが充電できません。何となく不便に感じられますが誤って乾電池を充電してしまうトラブル防止策と納得しておきましょう。電池交換が煩わしい用途では充電器と専用バッテリーを別途導入するのがよさそうです。

右側面のオプション接続用コネクターは他の業務機同様ネジ止め式となっており不用意な外れを防止しています。



簡単な通話テストをしてみました。

送信について。複数の特定小電力トランシーバーや受信機でUBZ-EA20Rの送信音声をチェックしたところケンウッドならではの味付けで、すべての機器で低音の周辺ノイズが消され音声がクリアに聞こえました。マイク感度はトランシーバー本体を口元に近づけて使う場合に設定されているようで無理なく声を拾い、程よい感じです。マイクが奥まった場所にありますので強風でも風の音を拾いにくくなっているように感じました。

受信について。UBZ-EA20Rで他のトランシーバーの音声を受信すると受信時の音質は移動中や通話終了直後のザッという耳障りな雑音を極力目立たないようにされ長時間の使用で疲れない配慮があると思いました。

グループモード時、現行のケンウッド特定小電力トランシーバー同士の通話、または中継器越しの通話では通話終了直後のザッという雑音が綺麗に消えます。格安エントリー機にはない快適さがコストパフォーマンス抜群の本UBZ-EA20Rでも体感できます。

スケルチ(雑音消去装置)は他のトランシーバーより深めに設定されていますので通話距離は他機種よりも短いと思います。業務でのストレスを極力減らすための工夫と考えます。

なおUBZ-EA20Rのスケルチは固定ですが最小レベルにする裏ワザもあるようです。ただしレジャーで使うには現実的ではないと思いますからこの場では伏せます。この方法での使用は説明書に記載されていませんので本件についてメーカーへの問い合わせはご遠慮ください。機会があればご自身で研究されると面白いでしょう。

音量について。単3電池1本動作ですから他の電池2本以上のトランシーバーと比べるとスピーカーからの音の大きさは小さめ。UBZ-EA20R本体だけでは騒がしいところでの使用は厳しいです。別売りイヤホンマイクを使う場合は気にならないと思います。単3電池1本駆動で懸念される最大音量での動作不安定さは確認できませんでした。



UBZ-EA20Rの簡単なまとめです。

本機は業務を円滑にするための必要充分な配慮がされた、軽量でコストパフォーマンス抜群の無線機と思います。レジャーでの使用は飛距離より機動性と通話品質を重視される方におすすめできると思います。



以上UBZ-EA20Rの通話距離実験を除く使用レポートでした。




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2013/10/26

ケンウッドのTM-D710Gいよいよ発売

ハムフェア2013で発表されたJVCケンウッドのモービル機TM-D710G/TM-D710GSがまもなく登場します。

TM-D710G/TM-D710GS - ケンウッド


どうやら現行品TM-D710/TM-D710Sのアップグレード版という位置づけです。

アップグレード内容は主に以下のとおりです。
・GPSユニット内蔵
・GPSロガー機能と場所登録、簡易ナビゲーション機能追加
・APRSロック機能追加
・空線キャンセラー強化(1種から3種へ)
・クロストーン追加



カタログと説明書を元にTM-D710とTM-D710Gの比較表を作りました。
( "o" : 搭載  "x" : 非搭載  "?" : 不明 )

TM-D710GはTM-D710がベースですので機能削除はないと思われます。従いまして恐らく表の"?"の部分は"o"となると予想します。

空線キャンセラー強化ですが同社他製品同様2280Hzの連続信号に加え1500HzとMSK信号、2000Hz断続信号に対応すると思われます。

GPS測位時間など気になる内容はいずれ発売後明らかになります。楽しみに待ちましょう。


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2013/10/24

AORから「ワンセグ付加装置」登場

これまでバナーのみ現れていた「ワンセグ付加装置」がついにベールを脱ぎました。

「ワンセグ付加装置」 AR-909-DTV - AOR,LTD.(J) (pdfファイル)



タイトルから当初AR5001やAR6000などのIF端子を介してつなぐ地上デジタルテレビ放送の復調器を予想していましたが、その妄想はもろくも崩れ去りました。

商品名はなんと「地上デジタルTVチューナー」。地デジ放送をブラウン管テレビで見るTVチューナーのように見えます。すでに普及し始めているHDMI端子もデジタル音声出力端子もこのAR-909-DTVにはありません。

どうやら本機のターゲットはテレビ塔から離れた地域でアナログテレビを使いテレビを観ている世帯のようです。12セグ放送の受信困難な弱電界地域ではワンセグテレビ放送に自動切換するとあります。




AT909-DTVでは弱電界の電波状況改善に「ダイバーシチ」受信を採用しているそうです。「ダイバーシチ」または「ダイバーシティ」は車をお持ちの方はお馴染みの言葉ですがAR-909-DTVはなんと「4チューナー・キャリア合成方式」という聞きなれない方法で受信するそうです。

これは単純に4機のデジタルチューナーの電波を1つ選ぶのではなく複数または全部のアンテナで受けたデータを相互補完し合わせて映像と音声にする、ずいぶん高度な方式のようで3G方式の携帯電話の仕組みに似ています。単純にブースターなどで受信電波を強くするだけではないようですね。



この「ダイバーシチ」と「4チューナー・キャリア合成方式」が果たしてブースターで電波を強くした一般的なTVチューナーでどの程度異なるのかは本カタログから読み取れません。もし総合的に費用対効果の高い製品となるのであればAR-909-DTVにメリットが生まれるかもしれませんが・・・。

それでもAR-909-DTVをわざわざ購入しなくてもすでに安価に市販されている地デジテレビと高感度アンテナそしてブースターを買えばテレビが映らない問題は解決するかもしれないと考えてしまいます。恐らくですが本製品の発表にはAORの技術力のアピールが含まれているのではないかと思いました。


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2013/10/13

FRC、同報無線受信対応の防災ラジオ発表

ファーストコム(Firstcom、FRC)から開発中とあった緊急放送対応ラジオがついに発表されました。

NX-109RD 防災ラジオ F.R.C. エフ・アール・シー

NX-109RDは通常のFMラジオとしての動作の他EEW(緊急地震速報)とEWS(緊急警報放送)の自動起動に対応し、さらに携帯電話や通常のラジオでは受信できない60MHz帯の同報無線受信にも対応しています。

同報無線とは町内のスピーカーから朝夕チャイムなどが流れたりクマ出没注意や行方不明の方の捜索協力の音声が流れるあの放送です。このNX-109RDがあればそのスピーカーから流れる放送をよりはっきり聞ける可能性が高い(デジタル化された地域や周波数の異なる地域は対応していない可能性あり)ということです。



NX-109RD本体スペックを観察しましょう。

(1)EEW(緊急地震速報)とEWS(津波などの緊急警報放送)受信と自動起動対応
(2)60MHz同報無線受信対応
(3)大きさが縦10 x 横6 x 薄さ1.6センチ
(4)マイクロUSB端子電源入力
(5)100mAhバッテリー内蔵、約25-30時間駆動
(6)LEDライト搭載
(7)サイレン機能搭載

(1)と(2)については上である程度説明済みです。FMラジオですので緊急時以外にも通常のFMラジオとしても使えます。また最大28.7センチのアンテナを伸ばすことで感度の高い受信が期待できます。補足ですがワンセグテレビ放送の音声はFMラジオ放送と異なりますので本機では受信できません。別の機種をおすすめします(こちらに緊急放送とワンセグ音声ラジオ対応表があります)。

(3)の大きさですが薄さが16ミリとなかなか頑張っています。緊急時の持ち運びにかさばる心配が少なそうです。

(4)の充電端子については一般的なスマートホンと同じ形ですから充電時はお手持ちのACアダプターが使えると思います。なおACアダプターをつないでFMラジオとして使う場合はACアダプターから雑音が入るかもしれません。詳しくは本体の説明書を参考にされてください。

(5)について。充電池内蔵ですので停電時にも1日は持つ設計です。モバイル電源などを別途用意すればなお心強いでしょう。

(6)は懐中電灯機能ですね。本体のボタンを押しながら使うのか、一度押すとしばらく点いてくれるのかは不明ですがあくまでも非常用の位置づけです。このLEDライトはEEWやEWSの緊急放送受信時にも光ってお知らせするようです。

※2016/6/23追記:懐中電灯機能はボタンを押すたびに入/切するタイプとのことです

(7)のサイレン機能はスピーカーの音量が最大300ミリワットとのことですからポケットラジオでは大音量のクラスです。非常時に比較的大きめの音で鳴るでしょう。



実際のNX-109RDの使い方ですが、通常はマイクロUSB電源端子にACアダプターをつなぎ設置する方法を取ります。
緊急放送があるとFMラジオ放送を聞いていても電源を切った状態でもNX-109RDが起動し放送が鳴り始めます(緊急放送の周波数と別のラジオ放送を聞いているときに緊急放送に切り替わるかは未確認)。そして避難・移動する場合このNX-109RDを持ち出す、というイメージです。



NX-109RDは販売店にもよりますが黒、白、黄色の3色から選べるようです。EEWやEWS対応のラジオ、同報無線が聞けるラジオとしては最小クラスですので農作業のお供などの普段使いを始め、万一携帯電話網が寸断されてしまったり同報無線のスピーカーから音が鳴らなくなるような大災害などが発生した場合にかさばらない情報ツールとして活躍しそうですね。


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2013/10/09

アイコム(ICOM) IC-R1をSGとして使う

IC-R1はアイコム初のハンディ型コミュニケーションレシーバー(広帯域受信機)です。1989~1995年頃まで販売されていたと記憶しています。

スペック上の動作保証周波数範囲は一部周波数帯を除く2-905MHzとなっていますが実質100kHz~1300MHzまで可変でき、周波数ステップは0.5~50kHzのうち10段階、現在広く市販されている受信機同様WFM, NFM, AMに対応しています。

厚さはなんと3センチ程度(分厚い!)、高さは約10センチですがこれでも当時としては最小クラス。ライバル、アルインコのDJ-X1よりもはるかに高速な毎秒最大20chのプログラムスキャン(サーチ)・メモリスキャン速度を有しさらには時計、スリープタイマー、オンタイマーまでも備えたハイスペックマシンです。

時計・タイマー機能、スリープ機能付き受信機は現代でも多くはありません。IC-R1が人気機種となったことは想像に難くないでしょう。

しかし一方でデザインの古さはもとより内蔵充電池の持ちが1時間弱、単3電池使用時は外付けの巨大なバッテリーケースを介し6本必要、スケルチの開きが渋かったり受信周波数周辺の強い電波で目的の信号が受信できない選択度の悪さなど、スペックからは見えない部分に問題があり、必ずしも良い面ばかりではありません。


- + - + - + - + - + - + - + -


今回この名機IC-R1を取り上げたきっかけは修理受付期間の終了が迫っていたことでした。

久しぶりに電源を入れたIC-R1は乾燥した冷暗所に保管していたこともあってか、液晶が薄くなることもなくFMラジオや航空無線などを昔と変わらない性能で受信しました。気がついていない故障があると思い念のため修理に出したところコンデンサが数箇所劣化していた程度で特に問題は見当たらず安堵しました。

IC-R1を長期保管する前は上記の選択度の低さもあり、もっぱらラジオやテレビ音声の受信機として活用していましたが残念ながらアナログテレビ放送は終了してしまい、せっかく修理を終えたばかりのIC-R1の活用方法が思い浮かびません。

何とかこのIC-R1を活躍させる方法を考えていたところ昔発見した裏ワザをふと思い出したので紹介しましょう。それはIC-R1を無改造で超微弱なSG(信号発生器)として活用する方法です。



遡ること20年前の1990年代前半、あれは第二世代デジタル携帯電話が出始めた頃でした。

あの頃は本当に良かったです.....と回想はさておきまして、当時ユピテルのMVT-7100とIC-R1を同時使用していた折、IC-R1が内部発振する状況を偶然見つけました。ただの内部発振でありませんでした。IC-R1の受信周波数を変化させると内部発振周波数も変化したのです。

いろいろ試した結果、以下の法則性が判明しました。

発振周波数=IC-R1の受信周波数 - 266.7MHz


例えばIC-R1を688.9MHzに合わせると688.9 - 266.7=422.2MHzの内部発振周波数の超微弱電波が発生し、以下の写真のように他の無線機や受信機で受信できるのです。

IC-R1の表示周波数は0.1~1300MHzですから、IC-R1を手にしているということは同時に266.8~1566.7MHzの範囲で自由に可変できる超微弱信号発生器を手にしていることにもなるのです!



トランシーバーなどの受信感度比較、簡易周波数ズレチェック、無線用パワーアンプの動作確認など、IC-R1を信号発生器としてみなすことで受信機以外の新たな可能性が見えてきました。

もしIC-R1をお持ちであれば信号発生器として活用する方法、試されてはいかがでしょうか。



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2013/10/05

アイコム、無線LAN上で使える2.4GHz無線機

アイコムが2.4GHzで通信するトランシーバーIP100Hを始めとする無線システムを発表しました。

IPネットワーク上で動作するトランシーバーシステム IP Advanced Radio System を新発売 - プレスリリース アイコム株式会社


本システム(IP Advanced Radio System)を構築することですでに幅広く普及している2.4GHzの無線LANと同じ電波を使い、専用のAP(アクセスポイント)と2.4GHz専用ハンディトランシーバーを接続し交互通話、別売りヘッドセットの追加で電話のように話せる同時通話をサポートしています。

IPネットワーク無線機のためシステムの構成によってはインターネットを使い、離れたネットワーク上の内線電話やIP100H端末と外線での通話や、発売済みの通信機能拡張ユニットを使い従来の無線機との通話もサポートしているようです。無線機を外線接続する状況はアマチュア無線のフォーンパッチ(死語?)を思い出します。



理論的には100台の同時通話が可能とのことですが、恐らく音声をパケット化することで実現できる技術なのでしょう。

複数同時に100台もの無線機を通話状態にすることは既存の特定小電力無線機や351MHz登録局、簡易業務無線機の通信インフラだけでは到底できないことですから画期的と言えます。

2.4GHzの無線LANの規格を使うことで電波に関する手続きが少なくなりコストなど、導入のハードルが従来の無線システムよりも圧倒的に低くなります。

アイコムはあくまでも"システム"として提案していますが、アクセスポイントなしで端末IP100H間のアドホック?通話が可能な仕様であれば従来の無線機としての使い方も可能と予想され、期待が高まります。

アクセスポイントまでの通話距離など、詳細は仕様がリリースされてからのお楽しみとなりそうです。

(以下は民生用アイコム製無線機です。
機種毎に選び方の目安を加筆しましたので参考にされてください)

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2013/10/01

ID-51、2013年グッドデザイン賞受賞

アイコムのアマチュア無線機ID-51が日本デザイン振興会のグッドデザイン賞を勝ち取ったようです。

「2013年グッドデザイン賞」受賞のお知らせ - アイコム株式会社

記憶が正しければ、アマチュア無線用ハンディ機としては旧バーテックススタンダード(現八重洲無線)のVX-3以来、6年ぶりの受賞と思われます。受信機としてはアイコムのIC-RX7が2008年に受賞していますね。


審査員の評価はまったくそのとおりだと思います。特に筐体のコンパクト化は重要で、スマートフォンに慣れた世代は厚さと重さに敏感で、厚すぎたり重すぎたりすると持ち運びたくなくなってしまうと思いますから。

評価の最後にあります『災害時の非常連絡用ツールとして活用されていくことが期待される。』という内容が一般の人にも使ってほしい意味合いが含まれているようで、何となく深い気がするのは私だけでしょうか。

個人的にID-51は新機能が盛りだくさんで欲しいと思います。AMラジオが最低でもVX-3レベルの感度で60~300MHz帯を含むワイド受信機能または1.2GHz送受信機能がついていたら何も言わず買っていたと思います。次製品ID-71(仮)に期待しています(笑)



私よしおはトランシーバーのデザインの良さに惹かれて免許を取ったのがアマチュア無線の始まりでした。最近は本当にご無沙汰状態ですが・・・。

グッドデザイン賞をきっかけとしてアマチュア無線に限らず、無線の世界がより一般の方々にも周知されればと思います。



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2013/09/15

オリンパス、ワンセグ音声録音対応ICレコーダー発売

オリンパスからワンセグテレビ音声録音機能つきICレコーダーが発表されました。

ラジオサーバーポケット PJ-35 - オリンパス

ラジオサーバーポケット PJ-30 - オリンパス

オリンパスのラジオ録音機能付きICレコーダーには「ラジオサーバー」という相性が付けられています。PJ-35とPJ-30はどちらもワンセグ音声の録音に対応しています(EEW、EWS受信は非対応)。

PJ-35とPJ-30の違いはDirac HDサウンド機能を含む、スピーカと大型操作ボタンを装備した「スピーカー付きアンテナステーション」の有無と本体・アンテナステーションの色(PJ-35は黒、PJ-30は白)です。

いずれもワンセグ音声受信アンテナ、FM簡易アンテナ、AMループアンテナが同梱され、付属のアンテナステーションを介することで本体単体動作以上の受信性能発揮が期待できます。



ラジオ受信のベテランが特に注意するであろう機能を以下に挙げます。

・付属充電池でワンセグ音声約12時間受信、約9時間録音。ラジオ受信、録音はそれ以上
・高音質(128kbps/44.1kHz)、長時間音質(48kbps/22.05kHz)のMP3録音
・音声起動録音(VCVA)
・本体モノラルスピーカー内蔵
・ヘッドホン出力端子は左右1.2mW(16Ωヘッドホン使用時)出力
・USB充電
・ラジオ受信時、ラジオ録音時のノイズフィルタ
・自動ステレオ、強制モノラルのFMモード設定
・ノイズ対策用AM画面表示入切
・AM/FM/ワンセグ音声スキャン
・AM/FMラジオスキャン感度調整
・NHKラジオ第一放送使用自動時刻補正
・ワンセグのマルチチャンネル(同じ放送局で異なる番組)放送の選択
・ワンセグ番組の主音声副音声は受信時と録音済みファイル再生時切り替え
・目覚まし機能は固定アラーム、録音済みファイル(ワンセグ音声録音ファイル含む)再生、ラジオ/ワンセグ音声受信から選択可

128kbpsを超えるMP3録音ができないことはFMラジオ録音では気になりますが64kbpsのワンセグ音声には十分すぎます。



次にマニアックな観点からワンセグ関連のPJ-35、PJ-30の使用上の注意点を拾い出してみますと

(1)ワンセグTV録音ファイルは本体でのみ再生可
(2)ワンセグの物理チャンネルがAM/FMのように手動選局できない
(3)予約録音で頭切れ、尻切れとなる可能性あり
(4)FMとワンセグの同軸外部アンテナ同時使用は市販の混合器が必要

があります。


(1)についてはデジタルにつきものの著作権絡みの問題で、期待はしていましたがやはり予想通りといったところです。パソコンへのファイル移動も本体内分割編集もできないようです。どうしても外部出力したい場合はアナログ音声接続でパソコンなどと接続すれば問題は解決しますが、こうなるとICレコーダーとしては本末転倒のような気がしてなりません。

(2)について。再送信地域や競技場などのエリアワンセグを受信したいとき「放送局登録」から「オート登録(自動スキャン)」を操作する方法では受信可能ですが、弱電界でチャンネル登録できなかったりスキャンに時間が掛かる場合もあるかと。

(3)ですがPJ-35、PJ-30にはAMラジオのNHKラジオ第一放送を使った自動時計補正機能はあります。しかしご存知の通り、ワンセグを含めた地上デジタル放送にはタイムラグがあります。この場合は1分ほど予め広く予約設定すると良いでしょう。

(4)について。PJ-35/30のアンテナステーションに装備された同軸アンテナ入力はFMとワンセグ音声共用となっており使い勝手が少々良くないです。別途混合器を使用すれば問題ありませんが敢えてこれを回避する方法として、スマートさに欠けますがFMとワンセグの受信を切り替えの都度アンテナをつなぎ替えるか、付属のワンセグ用アンテナにアンテナカプラーをつなぎ受信感度を上げる方法が考えられます。



まとめますと今回オリンパスから発売されたPJ-35/30はワンセグ音声を手元で受信・録音したり、手軽に外へ持ち出したいユーザにおすすめできます。携帯電話などでワンセグ録画可能な機種もありますが、専用機ならではの燃費性能と映像を録画しないことによる使い勝手の良さなどを考えますとなかなか重宝しそうに思えます。

他の機器とあまりつないで使わず大型ボタンと操作性、Dirac HDサウンドを求めるならばPJ-35、すでに外部入力端子付きオーディオ機器をお持ちの方、とにかく価格重視ならばPJ-30でしょう。ただ2、3千円の価格差を考えてしまうと.....迷いますね。


以上オリンパスのPJ-35/30を玄人観点で分析しました。



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2013/09/02

ユニデンダイレクトが閉店

ユニデンの直販サイトであるユニデンダイレクトが2013年8月31日をもって閉店したとのことです。

ユニデンダイレクト閉店のお知らせ - ユニデン


地上デジタル放送への移行が終了したことでテレビ製品の需要が少なくなったためと予想されます。

ユニデンアメリカなどで"ベアキャット"ブランドのスキャナーや無線機を大量にラインナップしている一方、国内では現行ラインナップの無線関連製品が地震津波警報機EWR200や特定小電力トランシーバーSLT001、国際VHFトランシーバーMHS75の3種類だけという状況は少々さびしいと感じてしまいます(船舶取り付け型の国際VHFトランシーバーUM415はすでに生産を終了しているようです)。


せめて国内版"ベアキャット"を出してほしいとは言わないまでも、APCO25復調レシーバーを製品化できる技術を持っていますので351MHz登録局デジタル無線機の製品化もできるのでは?と個人的には思います。

次期製品はレピーター対応の47ch特定小電力トランシーバーもしくは351MHz登録局デジタル無線機に期待したいと思います。ということで独断と偏見でもしユニデンが次期トランシーバーを出してくるとしたらどんな製品となるか、勝手に予想しましょう。



まず、これまでのユニデンは低価格路線であったと思います。ということで次期無線機も低価格製品を出してくるという予想は難しくありません。

次に、製品にどんな機能を持たせてくるか。恐らく過去の製品が価格重視の必要十分程度でしたから、次期トランシーバーも価格なりの既存の製品と同じ程度のスペックを持たせると思います。

その場合の問題は売れるか、ですね。特定小電力トランシーバーの各社の現行ラインナップを見ますと各社とも低価格化、単3電池1本駆動そして薄型化などのデザイン性などという付加価値をすでにつけており、既存のユニデンの特定小電力トランシーバーSLT001を単純に47ch使えるようにした製品では価格面以外での競争力は高くない状況と考えます。するとその場合残りは製品そのもの以外での勝負ということになるかと思います。


仮にもしユニデンの次期トランシーバーがこれまでの常識に一石を投じるものとなればうれしい誤算です。6月(2013年)に登場したDECT方式コードレス電話機DECT3188Cは高齢の方を意識した作りになっているようですからもしかすると.....今度は高齢の方でも簡単に使えるトランシーバーが登場するのかもしれませんね。






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2013/07/17

AORから「ワンセグ付加装置」登場か!?

下記AOR日本語サイト左側のバナーに見慣れない文字が並んでいます。

AOR, LTD. (J) トップページ - AOR


そのバナーをクリックした時のスクリーンショットを貼り付けておきます。

リンク先内容は本記事を書いている現在「工事中」だそうですが、まさかAR5001DやAR6000などのIQ出力に接続し復調する装置が近日中に登場するのでしょうか。

これはワクワクしますね。


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2013/07/15

AOR、消防救急デジタル受信機発表

アルインコに続きAORもついにデジタル消防・救急無線受信機を発売するそうです。

消防救急デジタル無線共通仕様書準拠 AR-F100、AR-F400 - AOR

アルインコがハンディ機を登場させたのに対しAORは車載向けを登場させました。単三アルカリ乾電池4本でも緊急使用できるそうです。

AR-F100が260/270MHz帯デジタル消防救急無線と150MHzのアナログ受信用、AR-F400がAR-F100の受信範囲に加え351MHz登録局と467MHzデジタル簡易無線、460MHz帯アナログ無線の受信も可能という優れもの。

しかも車のテレビのように複数アンテナで受信するダイバーシティ受信にも対応するようです。

パスワードロック対応とありますが本体にテンキーはありません。スピーカーマイクなどにテンキーを実装して対応するのか、あるいはダイヤルで金庫のごとく番号を合わせ解錠するのか、もしくはスマホはありえないにせよ別端末で操作するのか、果たしてどれが正解なのでしょう。



せっかくのデジタル復調製品発表ではありますが、残念ながらAR-F100/400は一般市民の方の興味目的での購入は許されないそうです。このあたりはアルインコのDJ-XF7と同じ状況です。将来アメリカのパブリックセーフティのような状況に社会はならないとことをほのめかしているのでしょうか。

いずれにせよ、これでAORがAMBE+2の復調受信機を一般向け製品としても発売するだろう可能性は高まったと解釈して良いでしょうね。


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2013/07/14

KANHAM2013ぶらり散策

KANHAM2013を体感してきましたのでよしお独自の偏った視点でさらっと。写真の写りが良くないのはご容赦を。



まず入り口の様子から。関ハムの青い旗がはためいています.....ってシャレたつもりはありません、多分(笑)



2階の物販ブースです。 最も活気のある場所ですね。



次にメーカー展示ブースの無線機メーカーをあいうえお順にさらっと紹介します。

アイコムブースでは発売済みのIC-7100とID-51を紹介していました。



アルインコブース。現行品はもちろん、今年発売されたDJ-X81も展示されていました。
手持ちのDJ-X81に関していくつか質問させていただいたところ、近々うれしいことがあるかもしれない情報を伺いました。ここでは詳しく語りませんがDJ-X81をお持ちの方は吉報を待て、といったところでしょう。



ケンウッドブースではTS-990が大人気でした。
そろそろハンディ機が出ないかなと期待していましたが今回は現行品の展示のみだったと思います。



ヤエスのブースです。発売済みFTDX1200と発売予定のデジタルモービル機FTM-400Dが展示されていました。FTM-400Dはカタログよりも実物のほうが質感は高めと思いました。

発売済みのデジタルハンディ機FT1Dで送信したカメラ画像を20~30秒ほどFTM-400Dへ無線転送するデモを行なっており、QVGA画像がFT-1DからFTM-400Dへ転送されFTM-400Dで表示されると周囲から歓声が上がっていました。
発売は8月くらい、価格は20W機が8万4千円くらい、50W機が9万円未満だそうです。この機能で8万円代ですとお買い得と思うのは私だけでしょうか。



気になったものを少々。1階では記念局の運用が行われていました。会場横に高さ10メートルほどの巨大なタワーを臨時に組み立て運用していたようです。下はモールスを真剣に聞き取り打ち返している様子ですね。



その他屋外ブースではジャンク品を始めとするパーツや線材、真空管、無線機などを販売したり衛星を追尾していたようです。販売ブースで当初買おうか迷っていた東京ハイパワーのハンディ機、ナショナルの50mW CB機や受信機などは再び見に行ったところすでに売り切れていました。



初日に開催された落語の時間はサプライズがあったり無線ネタが多く笑わせてもらいました。
公演中に客席の携帯電話が何回も鳴ったり何度もフラッシュを焚いて音を立てて写真を撮る中高年の方々がいたのは少々残念でしたね。これが来年の開催に響かなければいいのですが・・・。



宇宙人の見つけ方に関する講演も聞きたかったのですが時間の関係でなくなく会場をあとにしました。



会場で気づいたことを一つ。やはり年齢が高い方が多いこともあってか、スマートフォン使用者の割合が随分低いように思いました。スマホを使った無線の応用はこの状況からすると現状では少々厳しいのかもしれません。



それにしてもこれほどのアンテナが並ぶのは無線イベントならではの光景、実に壮観です。無線について詳しくご存じない方が見たら間違いなく不思議に思うことでしょう。

今年は開催が危ぶまれたというお話でしたが、無事開催され参加でき大変よかったと思います。このような濃い交流の場はなかなかないですから来年も是非参加したいものです。

※プライバシー配慮のため画像は一部処理しています



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【追記】アルインコDJ-X81雑感

2013/06/22

DJ-X81にUSB電源をつないでみる

今回はアルインコDJ-X81をパソコンやモバイルバッテリーで動かす実験です。

事の発端は携帯電話やスマホが充電できるモバイルチャージャーで手持ちの受信機DJ-X81も充電・受信動作するのではないかと疑問に思ったことでした。


そこであらためてDJ-X81の外部電源スペックをチェックしますとDC5.4~6.0Vと、USB電源5.0Vの規格に0.4V以上足りません。

この「0.4Vの差」が果たしてDJ-X81にどの程度影響するのか。それを確かめるべくDJ-X81とUSB電源をつなぐケーブルを製作し実験しました。



- - - - -



最初はDJ-X81用USB電源供給ケーブル製作です。用意したものは以下の部品です。

・USB充電ケーブル(一方がAタイプのオスであれば何でも可) 100円
・L型DCプラグ( 外側直径3.8~4ミリ、内径約3ミリ、プラグ長さ1.0センチ) 100円

費用は200円+税でした。

実のところPSPのプラグがDJ-X81と同じらしくPSP-USBケーブルを使った実験も恐らく可能と思いました。しかしストレートタイプのDCプラグはDJ-X81をアウトドアで使う場合不便に思い、USB駆動でDJ-X81を使う気満々であえてL型プラグ工作の道を選びました。



それではDJ-X81用USB電源ケーブルをつくりましょう。

 USB充電ケーブルのUSB A端子と異なる側をニッパーなどで解体します。プラグを切断してしまっても構いません。

テスターで確かめたところ解体したUSB mini-Bプラグの結線はたまたま左からGND、データ×2、5V電源の順でした。



USB mini-Bプラグからリード線を外します。データ線(下の白いリード線)使わないので未結線でもいいのですが今回は機器の相性を考えショート後絶縁しました。
念のため一言。ショートさせたのはデータ線で、電源ではありません。



  L型プラグを解体したUSBケーブルのリード線とハンダ付けします。

DJ-X81やDJ-X8につなぐ場合はプラグの真ん中がプラス(5V)で外側がマイナス(GND)です。

間違えるとDJ-X81だけでなくパソコンやUSBモバイルバッテリーなどが爆発したりしますのでテスターでもう一度極性を確かめました。

ハンダ付け後はリード線同士のショートを防ぐため酢酸ビニル系接着剤でハンダ付けした周辺を満たしました。



- + - + - + - + -



DJ-X81と電源をつなぐUSB電源ケーブルが完成しましたのでUSB電源とつなぎ火入れしましょう。
(DJ-X81 + SMA-W100RX + eneloopスティックブースター)

見事DJ-X81が受信しはじめました。しかし受信しながらの充電動作や緊急放送受信待機中・電源オフ中の充電は開始されません。

パソコンのUSB接続も試しましたがDJ-X81の受信動作はするものの、充電は始まりませんでした。



今度は2.1アンペアまで供給できるらしい、秋葉原で入手したUSB接続の中華製(「充電王」と書いていないのでたぶん砂袋なし)モバイルバッテリーにDJ-X81をつなぎ電源を入れました。

DJ-X81が完全オフ(緊急放送受信なし)のとき充電が開始されました。緊急放送受信待機中では最初動作が不安定でしたが、製作したUSB電源ケーブルを何度かつなぎ直すとDJ-X81の充電が始まりました。

いずれもしばらくすると「NO DC」表示が点滅し始めましたのでうまく充電されていないと思われます。

DJ-X81が電源オンではやはり充電されませんでした。



試しに200円程度で市販されている激安乾電池USB電源に単三充電池を入れ動作を確かめたところDJ-X81の液晶が薄く点滅する程度で受信さえもしませんでした。



- - - - -



実験の結果をまとめます。

DJ-X81をUSBで電源供給すると
・受信動作はすることが多い
・充電はほぼ困難

ということがわかりました。「0.4Vの差」は大きかったです。

これで個人的にたくらんでいた、DJ-X81を単3充電池のUSB充電器として使うメドは立たなくなりました。


さらに問題が・・・。

中華製USBモバイルバッテリーでDJ-X81を駆動するとモバイルバッテリーのノイズをDJ-X81が拾ってしまい、AMラジオ放送は聴けるものの、航空無線や166MHz帯がほぼ受信不能という場合がありました。

USB電源を受信機とつなぐと受信機として機能しない場合もありそうです。



 適切なUSB電源さえ入手できれば個人的にはDJ-X81のUSB給電は実用範囲と思いますが、その“適切なUSB電源”選びがなかなか厳しいものです。

それから本実験は結果が100%再現することを保証するものではありません。あくまでも参考程度に留めてください・・・と一言忘れていました。



以上、DJ-X81をUSB給電し受信動作させる実験でした。


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2013/06/15

受信機のポップノイズを少なくする実験

今回はワイドバンド(広帯域)受信機を使うときに発生する問題の一つ、イヤホン使用時のポップノイズ軽減を考えます。



受信機をお持ちの方はご存知でしょうが、ポップノイズとは受信機が電波を受信した直後、音が出る瞬間に発生する「ポツッ」「ブツッ」などという一瞬の大きなノイズを指します。ポップノイズはイヤホンやヘッドフォンを使うと気づくことがあり、スケルチの入り切りが断続すると気になる存在です。

何とかこのポップノイズを少なくする方法はないものか・・・。考えた結果は「ボリューム付きイヤホン・ヘッドホンを使う」というものでした。

その理由は受信機の音量を音の出る最小付近まで小さくしたときと比較的音量が大きい時でポップノイズの音の大きさにあまり変化がないことに気がついたからです。



順を追って説明します。長いので次の写真の手前まで読み飛ばしていただいて構いません。

まず受信機の音量を大きくします。このとき受信音は大きくなりますがポップノイズは大きくならず一定です。

受信音が大きいとイヤホン・ヘッドホンをつけても大きいままですから耳を痛めてしまいます。そこでボリューム付きイヤホン・ヘッドホンを用意し、音量を手元で小さくします。

すると受信音も小さくなりますが同時にポップノイズも小さくなるはずです。



以上がボリューム付きイヤホン・ヘッドホンを使いポップノイズを下げる理屈ですが、要するにポップノイズが小さくなるかもしれないということです。

さて推測はこのくらいにして早速ポップノイズ軽減実験をしましょう。用意したものはボリュームコントロール付きイヤホン延長コードです。

これは手持ちのヘッドホンとオーディオ機器の間に挟む手元ボリュームです。使い慣れたイヤホン・ヘッドホンを無改造でボリューム付きに変身できますのでとても便利です。この手元ボリュームを先日入手したアルインコDJ-X81受信機とパソコンの間につなぎ、手元ボリュームなしと手元ボリューム最小でポップノイズの音量がどれほど変わるのか、SoundEngine Freeというソフトで録音後再生し確かめました。

上はDJ-X81受信機を直接パソコンをつないだときのポップノイズ音量です。最大で約-2dBでした。

DJ-X81受信機とパソコンの間に手元ボリュームを挟んだときのポップノイズ音量です。最大で約-8dBでした。

以上から手元ボリュームをDJ-X81とパソコンの間に入れると入れないときよりポップノイズがおおよそ1/3少なくなることがわかりました。



- + - + - + - + -



手持ちのヘッドホンで実際に聞いて確かめますと手元ボリュームがあるときは半分以上ポップノイズが減っている感覚です。同時に受信機のサーというホワイトノイズも少なくなったようです。

実験と実際の感覚にずれがあったので上の実験に若干間違いはあるのかもしれませんが、少なくとも手元ボリュームのあるイヤホン・ヘッドホンを使えばポップノイズが少なくなることは確認できました。

なお手元ボリューム付きイヤホン・ヘッドホン使用時は受信機本体の音量を上げて使うため、イヤホンを受信機から外すとスピーカーから大音量が出ますので注意してください。

この方法でポップノイズ軽減が有効な受信機は受信機本体のボリュームを上下してもポップノイズ音が変化しない機種に限られます。うまくいかない場合もあるかもしれません。



以上、イヤホン使用時のポップノイズを少なくする実験でした。


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2013/06/08

DJ-X81のEEW&EWSお試し受信

最近の当ブログでは出現頻度の高いDJ-X81ですが今度は先日緊急地震速報(EEW)と緊急警報放送(EWS)に関していくつか実験しましたので取り上げます。緊急放送以外のDJ-X81に関しては文末に「関連記事」がいくつかありますので参照ください。




緊急地震速報(EEW)と緊急警報放送(EWS)のお試し受信実験に使ったものは以下です。

・アルインコ DJ-X81(EEW/EWS受信用)
・FMトランスミッター(組立済み電子工作キット)
・パソコン(インターネット接続環境が前提)


実験の流れはEEW、EWS共通で
①YoutubeでEEW/EWS放送の音声を再生
②再生したEEW/EWS放送をFMトランスミッターでDJ-X81へ送信
③DJ-X81のEEW/EWS信号受信後の動作を確認
という、思いつけば簡単に実現できそうな単純なものです。

DJ-X81の緊急放送受信周波数はFMトランスミッターで送信する周波数に変更済みです。



今回の実験ではDJ-X81の以下についてお試し受信を実験しました。
(a)EEW受信時の動作
(b)EWS信号受信時の動作
(c)EWS試験信号受信時の動作
(d)NHK-FMのEWS試験信号受信時の動作



■ (a)EEW受信時の動作

DJ-X81がFM送信機で送信したEEW信号を受信すると電源がオフでも他の周波数を聞いていてもスキャン中でも、上のように白色LEDが光りデフォルトでは音量が最大となり「EMGNCY」の文字が現れました。

EEW受信後は電源以外のボタンが利きませんでした。



■ (b)EWS信号受信時の動作

EWS信号を受信するとDJ-X81はEEW受信時と同様にEWS受信チャンネルを受信しました。DJ-X81の電源が切れているときもEEW受信時同様、DJ-X81は自動起動しました。


この後EWS試験信号を受信するとDJ-X81の電源が自動で切れました。

EEW受信後、EWS試験信号をDJ-X81が受信しても電源は自動オフしませんでしたのでEWS受信とEEW受信でDJ-X81の動作が少し異なるようです。



■ (c)EWS試験信号受信時の動作

結果、電源が切れているときFMトランスミッターからのEWS試験信号を受信するとDJ-X81は起動しました。このとき音声は流れずミュートされ、液晶にTESTと表示されました。
ということでDJ-X81はEWS試験信号受信時、一切音が出ない仕様のようですから誤報なく安心して使えそうです。

ためしにFMトランスミッターで EWS試験信号送信後にもう一度EWS試験信号をDJ-X81へ送信しましたがDJ-X81の電源は切れませんでした。



■ (d)NHK-FMのEWS試験信号受信時の動作

実際のFMラジオ放送局、NHK-FMから送信されたEWS試験信号受信時の動作です。

EEW/EWS受信周波数をNHK-FMに合わせなおし6/1の午前11時58~59分頃にDJ-X81の様子を撮影しました。

上記(c)の実験と同じようにEWS試験信号をDJ-X81が検出しました。もちろんこのときDJ-X81のスピーカーから音は出ていません。DJ-X81は(c)の実験と同じ動作をしました。

この場合のDJ-X81起動タイミングですが1回目のEWS試験信号が出、少しの試験信号無音区間があった直後に起動を始めました。

EWS試験信号受信から30分ほどしてDJ-X81は自動電源オフしました。



+ + + + +



(a)~(d)の実験と結果をまとめます。

・EEW受信時:白色LEDが光りDJ-X81は大音量(事前変更可)で放送を受信
・EWS受信時:EEW受信時と同様。EWS試験信号を受信後電源が切れる
・EWS試験信号受信時:DJ-X81は無音で起動、約30分後に電源自動オフ

※EWS試験信号受信時以外の電源自動オフについては未確認です。



EWS試験信号受信後のDJ-X81の取り扱いについて何点か注意があります。

EWS試験放送後に自動オフしたDJ-X81の電源を入れると音量が緊急放送受信時の大音量設定(任意に変更可能)となっていました。EWS試験信号放送にかかわらず、緊急放送受信後にDJ-X81を使う場合は音量に注意が必要です。

さらに補足を。DJ-X81が充電スタンドや外部電源接続した状態ではEWS試験信号受信により起動するとDJ-X81の充電タイマーは通常の電源オンオフと同様にリセットされ、満充電であっても充電が開始されます。

EWS試験信号を受信してから自動オフ後、充電スタンドや外部電源接続した状態ではさらに充電タイマーがリセットされ、10時間の充電が始まりました。DJ-X8よりも充電池の過充電が少々心配です。





このようにEEW/EWSのお試し受信実験と実際のEWS試験放送の動作結果から、アルインコのDJ-X81は緊急放送を正確に受信するだろうことがわかりました。

DJ-X81の受信機としての感想は「・・・」でしたが、上記のようにEEWとEWS各信号に誤動作なく確実に反応する様子を見ると「緊急受信用としては合格」という感想に変わりそうです。今のところ緊急放送受信の誤動作はありません。

いずれにせよ、ワンセグ音声も無線も受信できる防災ラジオとしては2013年6月の時点でDJ-X81が最強スペックであることに変わりありません。たとえ携帯電話の基地局がダウンしても使える防災情報ラジオとして、安心して持ち歩けそうです。


以上、DJ-X81の緊急放送受信に関するお試し受信レポートでした。



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2013/06/05

近紫外線(ブラック)ライトの製作

ふとしたことがきっかけで急にUV(紫外線、ブラック)ライトを自作しようと思い立ちました。

UVライトを作るためにはパーツショップで紫外線LEDと電源を揃えるのが近道です。今回は持ち運び式UVライトが欲しかったので電源は乾電池式としました。なおボタン電池式の市販品は電池が切れやすく、コストパフォーマンスに優れないことから今回は検討対象外です。



製作予定のブラックライトはスポット照射が目的でハイパワーを必要としないものです。

まず思いついたのは白色LED自作電子工作キットで紫外線LEDを光らせること。しかし電子工作キットはハンダ付けと完成基板をおさめる箱の調達が面倒です。

できればハンダ付けや加工は最小に抑えた上でコストを下げたい・・・よしおの出した結論は



「100均USB白色LEDライトと完成品の
乾電池USB電源を組み合わせ、
白色LEDをUV LEDに換装する」



それでは構成部品を紹介しましょう。
 
左から直径5ミリ近紫外線LED(オプトサプライ製OSSV5111A 120円)、乾電池USB電源(210円)、100均のフレキシブル白色USBライト(105円)と単三電池(手持ち)です。久しぶりにパーツ屋さんを歩きまわりました。

電池代はないものと考えるとお値段なんと435円! しかもハンダ付けはたったの2箇所! もはや電子工作を語るのも怪しいほどです。

この構成なら電子工作キットのケースを手に入れる手間・加工時間とお金のすべてが節約できそうですし小学生も簡単に工作できると思います。 部品を探し回った時間は・・・まあ楽しんだ時間ということにしてください。通販では味わえない、実店舗をめぐってお店の方と話すのもなかなか良いものですよ(笑)。



少しばかり話が脱線しました。気を取り直して最初にUSB白色ライトの分解から始めましょう。以下に示す分解加工はくれぐれも自己責任でお願いします

入手した105円フレキシブルLEDライトはフレキシブルアーム端にゴム製ネジがあり、ライト後ろ側から見て反時計回りに回すと銀色のキャップが外れる構造となっていました(以下)。


白色LEDについている透明キャップを外します。摩擦だけでくっついているので回すことなく簡単に外せます。


たまたまこのUSBライトの中に入っていたLEDが5ミリでしたので、今回買った5ミリのUV LEDと簡単に交換できそうです。
 
USBフレキシブルライトについていた白色LEDの配線をよく観察し、紫外線LEDの足をニッパやラジオペンチで加工します。LEDには極性があるので十分注意してください(間違えるとUV LEDが壊れる可能性があります)。最初からついている抵抗はそのまま使いましょう。

白色LEDについているリード線をはんだごてで外しもう一度LEDの極性を確かめ、外したリード線を間違えないように紫外線LEDにハンダ付けします。


ハンダ付けが終わったら乾電池USB電源に電池を入れ、ハンダ付けしたUSB LEDライトをつなぎ動作チェックします。

近紫外線LEDが見事に紫に光りました。白色LEDからUV LEDへ換装成功です! ハンダゴテの電源は切っておきましょう。

なお近紫外線LEDは暗く見えますが、人には見えていないだけで実際には紫外線が大量に出ています。くれぐれも光っているLEDを直視しないように!!



その紫外線の凄さの証拠をご覧に入れましょう。

下の写真は10年前に製作した、秋月電子のデジタルUV(紫外線量)計キットの完成品で、30ワット蛍光灯に直接UVセンサーを当て紫外線量を測っているところです。

参考までにこのキットのセンサーは260~400ナノメートルの紫外線が測定でき、370ナノメートルの紫外線にピークが来ていますので入手したUV LEDの波長をぎりぎりカバーしています。


30ワット蛍光灯からは1平方センチメートル当たり0.1ミリワットの紫外線が出ているようです。



今度は白色LEDを換装したばかりのUV LEDの光を直接デジタルUV計に入れます。

1平方センチメートルあたり1.42ミリワットで、単純計算してもなんと30ワット蛍光灯の15倍の紫外線量! LED光の直視は間違いなく危ないですね。

換装したUV LEDから紫外線が期待通り出ていることはこれで分かりました。



ということで、ハンダごてを温め冷やした時間を含め、20分程度の作業で無事、UVブラックライトが製作出来ました。

今回紹介した部品は地域や時期によっては手に入らない場合もあります。挑戦される方は工作に必要な知識をお持ちの上、くれぐれも自己責任でお願いします。うまく動かないとき自分でいろいろ工夫するのも楽しみのうちです。

以上、近紫外線(ブラック)ライトの製作でした。



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