2013/06/22

DJ-X81にUSB電源をつないでみる

今回はアルインコDJ-X81をパソコンやモバイルバッテリーで動かす実験です。

事の発端は携帯電話やスマホが充電できるモバイルチャージャーで手持ちの受信機DJ-X81も充電・受信動作するのではないかと疑問に思ったことでした。


そこであらためてDJ-X81の外部電源スペックをチェックしますとDC5.4~6.0Vと、USB電源5.0Vの規格に0.4V以上足りません。

この「0.4Vの差」が果たしてDJ-X81にどの程度影響するのか。それを確かめるべくDJ-X81とUSB電源をつなぐケーブルを製作し実験しました。



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最初はDJ-X81用USB電源供給ケーブル製作です。用意したものは以下の部品です。

・USB充電ケーブル(一方がAタイプのオスであれば何でも可) 100円
・L型DCプラグ( 外側直径3.8~4ミリ、内径約3ミリ、プラグ長さ1.0センチ) 100円

費用は200円+税でした。

実のところPSPのプラグがDJ-X81と同じらしくPSP-USBケーブルを使った実験も恐らく可能と思いました。しかしストレートタイプのDCプラグはDJ-X81をアウトドアで使う場合不便に思い、USB駆動でDJ-X81を使う気満々であえてL型プラグ工作の道を選びました。



それではDJ-X81用USB電源ケーブルをつくりましょう。

 USB充電ケーブルのUSB A端子と異なる側をニッパーなどで解体します。プラグを切断してしまっても構いません。

テスターで確かめたところ解体したUSB mini-Bプラグの結線はたまたま左からGND、データ×2、5V電源の順でした。



USB mini-Bプラグからリード線を外します。データ線(下の白いリード線)使わないので未結線でもいいのですが今回は機器の相性を考えショート後絶縁しました。
念のため一言。ショートさせたのはデータ線で、電源ではありません。



  L型プラグを解体したUSBケーブルのリード線とハンダ付けします。

DJ-X81やDJ-X8につなぐ場合はプラグの真ん中がプラス(5V)で外側がマイナス(GND)です。

間違えるとDJ-X81だけでなくパソコンやUSBモバイルバッテリーなどが爆発したりしますのでテスターでもう一度極性を確かめました。

ハンダ付け後はリード線同士のショートを防ぐため酢酸ビニル系接着剤でハンダ付けした周辺を満たしました。



- + - + - + - + -



DJ-X81と電源をつなぐUSB電源ケーブルが完成しましたのでUSB電源とつなぎ火入れしましょう。
(DJ-X81 + SMA-W100RX + eneloopスティックブースター)

見事DJ-X81が受信しはじめました。しかし受信しながらの充電動作や緊急放送受信待機中・電源オフ中の充電は開始されません。

パソコンのUSB接続も試しましたがDJ-X81の受信動作はするものの、充電は始まりませんでした。



今度は2.1アンペアまで供給できるらしい、秋葉原で入手したUSB接続の中華製(「充電王」と書いていないのでたぶん砂袋なし)モバイルバッテリーにDJ-X81をつなぎ電源を入れました。

DJ-X81が完全オフ(緊急放送受信なし)のとき充電が開始されました。緊急放送受信待機中では最初動作が不安定でしたが、製作したUSB電源ケーブルを何度かつなぎ直すとDJ-X81の充電が始まりました。

いずれもしばらくすると「NO DC」表示が点滅し始めましたのでうまく充電されていないと思われます。

DJ-X81が電源オンではやはり充電されませんでした。



試しに200円程度で市販されている激安乾電池USB電源に単三充電池を入れ動作を確かめたところDJ-X81の液晶が薄く点滅する程度で受信さえもしませんでした。



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実験の結果をまとめます。

DJ-X81をUSBで電源供給すると
・受信動作はすることが多い
・充電はほぼ困難

ということがわかりました。「0.4Vの差」は大きかったです。

これで個人的にたくらんでいた、DJ-X81を単3充電池のUSB充電器として使うメドは立たなくなりました。


さらに問題が・・・。

中華製USBモバイルバッテリーでDJ-X81を駆動するとモバイルバッテリーのノイズをDJ-X81が拾ってしまい、AMラジオ放送は聴けるものの、航空無線や166MHz帯がほぼ受信不能という場合がありました。

USB電源を受信機とつなぐと受信機として機能しない場合もありそうです。



 適切なUSB電源さえ入手できれば個人的にはDJ-X81のUSB給電は実用範囲と思いますが、その“適切なUSB電源”選びがなかなか厳しいものです。

それから本実験は結果が100%再現することを保証するものではありません。あくまでも参考程度に留めてください・・・と一言忘れていました。



以上、DJ-X81をUSB給電し受信動作させる実験でした。


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2013/06/15

受信機のポップノイズを少なくする実験

今回はワイドバンド(広帯域)受信機を使うときに発生する問題の一つ、イヤホン使用時のポップノイズ軽減を考えます。



受信機をお持ちの方はご存知でしょうが、ポップノイズとは受信機が電波を受信した直後、音が出る瞬間に発生する「ポツッ」「ブツッ」などという一瞬の大きなノイズを指します。ポップノイズはイヤホンやヘッドフォンを使うと気づくことがあり、スケルチの入り切りが断続すると気になる存在です。

何とかこのポップノイズを少なくする方法はないものか・・・。考えた結果は「ボリューム付きイヤホン・ヘッドホンを使う」というものでした。

その理由は受信機の音量を音の出る最小付近まで小さくしたときと比較的音量が大きい時でポップノイズの音の大きさにあまり変化がないことに気がついたからです。



順を追って説明します。長いので次の写真の手前まで読み飛ばしていただいて構いません。

まず受信機の音量を大きくします。このとき受信音は大きくなりますがポップノイズは大きくならず一定です。

受信音が大きいとイヤホン・ヘッドホンをつけても大きいままですから耳を痛めてしまいます。そこでボリューム付きイヤホン・ヘッドホンを用意し、音量を手元で小さくします。

すると受信音も小さくなりますが同時にポップノイズも小さくなるはずです。



以上がボリューム付きイヤホン・ヘッドホンを使いポップノイズを下げる理屈ですが、要するにポップノイズが小さくなるかもしれないということです。

さて推測はこのくらいにして早速ポップノイズ軽減実験をしましょう。用意したものはボリュームコントロール付きイヤホン延長コードです。

これは手持ちのヘッドホンとオーディオ機器の間に挟む手元ボリュームです。使い慣れたイヤホン・ヘッドホンを無改造でボリューム付きに変身できますのでとても便利です。この手元ボリュームを先日入手したアルインコDJ-X81受信機とパソコンの間につなぎ、手元ボリュームなしと手元ボリューム最小でポップノイズの音量がどれほど変わるのか、SoundEngine Freeというソフトで録音後再生し確かめました。

上はDJ-X81受信機を直接パソコンをつないだときのポップノイズ音量です。最大で約-2dBでした。

DJ-X81受信機とパソコンの間に手元ボリュームを挟んだときのポップノイズ音量です。最大で約-8dBでした。

以上から手元ボリュームをDJ-X81とパソコンの間に入れると入れないときよりポップノイズがおおよそ1/3少なくなることがわかりました。



- + - + - + - + -



手持ちのヘッドホンで実際に聞いて確かめますと手元ボリュームがあるときは半分以上ポップノイズが減っている感覚です。同時に受信機のサーというホワイトノイズも少なくなったようです。

実験と実際の感覚にずれがあったので上の実験に若干間違いはあるのかもしれませんが、少なくとも手元ボリュームのあるイヤホン・ヘッドホンを使えばポップノイズが少なくなることは確認できました。

なお手元ボリューム付きイヤホン・ヘッドホン使用時は受信機本体の音量を上げて使うため、イヤホンを受信機から外すとスピーカーから大音量が出ますので注意してください。

この方法でポップノイズ軽減が有効な受信機は受信機本体のボリュームを上下してもポップノイズ音が変化しない機種に限られます。うまくいかない場合もあるかもしれません。



以上、イヤホン使用時のポップノイズを少なくする実験でした。


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2013/06/08

DJ-X81のEEW&EWSお試し受信

最近の当ブログでは出現頻度の高いDJ-X81ですが今度は先日緊急地震速報(EEW)と緊急警報放送(EWS)に関していくつか実験しましたので取り上げます。緊急放送以外のDJ-X81に関しては文末に「関連記事」がいくつかありますので参照ください。




緊急地震速報(EEW)と緊急警報放送(EWS)のお試し受信実験に使ったものは以下です。

・アルインコ DJ-X81(EEW/EWS受信用)
・FMトランスミッター(組立済み電子工作キット)
・パソコン(インターネット接続環境が前提)


実験の流れはEEW、EWS共通で
①YoutubeでEEW/EWS放送の音声を再生
②再生したEEW/EWS放送をFMトランスミッターでDJ-X81へ送信
③DJ-X81のEEW/EWS信号受信後の動作を確認
という、思いつけば簡単に実現できそうな単純なものです。

DJ-X81の緊急放送受信周波数はFMトランスミッターで送信する周波数に変更済みです。



今回の実験ではDJ-X81の以下についてお試し受信を実験しました。
(a)EEW受信時の動作
(b)EWS信号受信時の動作
(c)EWS試験信号受信時の動作
(d)NHK-FMのEWS試験信号受信時の動作



■ (a)EEW受信時の動作

DJ-X81がFM送信機で送信したEEW信号を受信すると電源がオフでも他の周波数を聞いていてもスキャン中でも、上のように白色LEDが光りデフォルトでは音量が最大となり「EMGNCY」の文字が現れました。

EEW受信後は電源以外のボタンが利きませんでした。



■ (b)EWS信号受信時の動作

EWS信号を受信するとDJ-X81はEEW受信時と同様にEWS受信チャンネルを受信しました。DJ-X81の電源が切れているときもEEW受信時同様、DJ-X81は自動起動しました。


この後EWS試験信号を受信するとDJ-X81の電源が自動で切れました。

EEW受信後、EWS試験信号をDJ-X81が受信しても電源は自動オフしませんでしたのでEWS受信とEEW受信でDJ-X81の動作が少し異なるようです。



■ (c)EWS試験信号受信時の動作

結果、電源が切れているときFMトランスミッターからのEWS試験信号を受信するとDJ-X81は起動しました。このとき音声は流れずミュートされ、液晶にTESTと表示されました。
ということでDJ-X81はEWS試験信号受信時、一切音が出ない仕様のようですから誤報なく安心して使えそうです。

ためしにFMトランスミッターで EWS試験信号送信後にもう一度EWS試験信号をDJ-X81へ送信しましたがDJ-X81の電源は切れませんでした。



■ (d)NHK-FMのEWS試験信号受信時の動作

実際のFMラジオ放送局、NHK-FMから送信されたEWS試験信号受信時の動作です。

EEW/EWS受信周波数をNHK-FMに合わせなおし6/1の午前11時58~59分頃にDJ-X81の様子を撮影しました。

上記(c)の実験と同じようにEWS試験信号をDJ-X81が検出しました。もちろんこのときDJ-X81のスピーカーから音は出ていません。DJ-X81は(c)の実験と同じ動作をしました。

この場合のDJ-X81起動タイミングですが1回目のEWS試験信号が出、少しの試験信号無音区間があった直後に起動を始めました。

EWS試験信号受信から30分ほどしてDJ-X81は自動電源オフしました。



+ + + + +



(a)~(d)の実験と結果をまとめます。

・EEW受信時:白色LEDが光りDJ-X81は大音量(事前変更可)で放送を受信
・EWS受信時:EEW受信時と同様。EWS試験信号を受信後電源が切れる
・EWS試験信号受信時:DJ-X81は無音で起動、約30分後に電源自動オフ

※EWS試験信号受信時以外の電源自動オフについては未確認です。



EWS試験信号受信後のDJ-X81の取り扱いについて何点か注意があります。

EWS試験放送後に自動オフしたDJ-X81の電源を入れると音量が緊急放送受信時の大音量設定(任意に変更可能)となっていました。EWS試験信号放送にかかわらず、緊急放送受信後にDJ-X81を使う場合は音量に注意が必要です。

さらに補足を。DJ-X81が充電スタンドや外部電源接続した状態ではEWS試験信号受信により起動するとDJ-X81の充電タイマーは通常の電源オンオフと同様にリセットされ、満充電であっても充電が開始されます。

EWS試験信号を受信してから自動オフ後、充電スタンドや外部電源接続した状態ではさらに充電タイマーがリセットされ、10時間の充電が始まりました。DJ-X8よりも充電池の過充電が少々心配です。





このようにEEW/EWSのお試し受信実験と実際のEWS試験放送の動作結果から、アルインコのDJ-X81は緊急放送を正確に受信するだろうことがわかりました。

DJ-X81の受信機としての感想は「・・・」でしたが、上記のようにEEWとEWS各信号に誤動作なく確実に反応する様子を見ると「緊急受信用としては合格」という感想に変わりそうです。今のところ緊急放送受信の誤動作はありません。

いずれにせよ、ワンセグ音声も無線も受信できる防災ラジオとしては2013年6月の時点でDJ-X81が最強スペックであることに変わりありません。たとえ携帯電話の基地局がダウンしても使える防災情報ラジオとして、安心して持ち歩けそうです。


以上、DJ-X81の緊急放送受信に関するお試し受信レポートでした。



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2013/06/05

近紫外線(ブラック)ライトの製作

ふとしたことがきっかけで急にUV(紫外線、ブラック)ライトを自作しようと思い立ちました。

UVライトを作るためにはパーツショップで紫外線LEDと電源を揃えるのが近道です。今回は持ち運び式UVライトが欲しかったので電源は乾電池式としました。なおボタン電池式の市販品は電池が切れやすく、コストパフォーマンスに優れないことから今回は検討対象外です。



製作予定のブラックライトはスポット照射が目的でハイパワーを必要としないものです。

まず思いついたのは白色LED自作電子工作キットで紫外線LEDを光らせること。しかし電子工作キットはハンダ付けと完成基板をおさめる箱の調達が面倒です。

できればハンダ付けや加工は最小に抑えた上でコストを下げたい・・・よしおの出した結論は



「100均USB白色LEDライトと完成品の
乾電池USB電源を組み合わせ、
白色LEDをUV LEDに換装する」



それでは構成部品を紹介しましょう。
 
左から直径5ミリ近紫外線LED(オプトサプライ製OSSV5111A 120円)、乾電池USB電源(210円)、100均のフレキシブル白色USBライト(105円)と単三電池(手持ち)です。久しぶりにパーツ屋さんを歩きまわりました。

電池代はないものと考えるとお値段なんと435円! しかもハンダ付けはたったの2箇所! もはや電子工作を語るのも怪しいほどです。

この構成なら電子工作キットのケースを手に入れる手間・加工時間とお金のすべてが節約できそうですし小学生も簡単に工作できると思います。 部品を探し回った時間は・・・まあ楽しんだ時間ということにしてください。通販では味わえない、実店舗をめぐってお店の方と話すのもなかなか良いものですよ(笑)。



少しばかり話が脱線しました。気を取り直して最初にUSB白色ライトの分解から始めましょう。以下に示す分解加工はくれぐれも自己責任でお願いします

入手した105円フレキシブルLEDライトはフレキシブルアーム端にゴム製ネジがあり、ライト後ろ側から見て反時計回りに回すと銀色のキャップが外れる構造となっていました(以下)。


白色LEDについている透明キャップを外します。摩擦だけでくっついているので回すことなく簡単に外せます。


たまたまこのUSBライトの中に入っていたLEDが5ミリでしたので、今回買った5ミリのUV LEDと簡単に交換できそうです。
 
USBフレキシブルライトについていた白色LEDの配線をよく観察し、紫外線LEDの足をニッパやラジオペンチで加工します。LEDには極性があるので十分注意してください(間違えるとUV LEDが壊れる可能性があります)。最初からついている抵抗はそのまま使いましょう。

白色LEDについているリード線をはんだごてで外しもう一度LEDの極性を確かめ、外したリード線を間違えないように紫外線LEDにハンダ付けします。


ハンダ付けが終わったら乾電池USB電源に電池を入れ、ハンダ付けしたUSB LEDライトをつなぎ動作チェックします。

近紫外線LEDが見事に紫に光りました。白色LEDからUV LEDへ換装成功です! ハンダゴテの電源は切っておきましょう。

なお近紫外線LEDは暗く見えますが、人には見えていないだけで実際には紫外線が大量に出ています。くれぐれも光っているLEDを直視しないように!!



その紫外線の凄さの証拠をご覧に入れましょう。

下の写真は10年前に製作した、秋月電子のデジタルUV(紫外線量)計キットの完成品で、30ワット蛍光灯に直接UVセンサーを当て紫外線量を測っているところです。

参考までにこのキットのセンサーは260~400ナノメートルの紫外線が測定でき、370ナノメートルの紫外線にピークが来ていますので入手したUV LEDの波長をぎりぎりカバーしています。


30ワット蛍光灯からは1平方センチメートル当たり0.1ミリワットの紫外線が出ているようです。



今度は白色LEDを換装したばかりのUV LEDの光を直接デジタルUV計に入れます。

1平方センチメートルあたり1.42ミリワットで、単純計算してもなんと30ワット蛍光灯の15倍の紫外線量! LED光の直視は間違いなく危ないですね。

換装したUV LEDから紫外線が期待通り出ていることはこれで分かりました。



ということで、ハンダごてを温め冷やした時間を含め、20分程度の作業で無事、UVブラックライトが製作出来ました。

今回紹介した部品は地域や時期によっては手に入らない場合もあります。挑戦される方は工作に必要な知識をお持ちの上、くれぐれも自己責任でお願いします。うまく動かないとき自分でいろいろ工夫するのも楽しみのうちです。

以上、近紫外線(ブラック)ライトの製作でした。



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2013/06/01

DJ-X81スプリアス調査

先日入手した、アルインコのワンセグ音声&緊急放送受信対応受信機DJ-X81の内部スプリアスを調べました。理由はプリセットされている周波数で常にスキャンが停止したため不思議に思ったからです。

スプリアスとは実際には電波が出ていないのに受信機の中から出る「ニセ電波(=不正受信)」のひとつで、混変調やイメージ受信と並び無線電波を探すときに面倒な存在です。前回の記事ではスプリアスについて取り上げませんでしたので当記事で取り上げます。前回までの内容はページ下の「関連記事」を参照ください。



本題に入りましょう。スプリアスは受信機ごとに違い、スプリアスの少なさは受信機選びのポイントの一つです。今回はDJ-X81受信機のスプリアス調査をしました。

【調べ方】
・よく受信する118~470MHzを調査
・VFOモードでサーチ
・モードとステップは全自動、スケルチ3(買ってすぐの状態)
・アンテナは取り外した状態
・サーチ速度は最大
・付属充電池動作
・室温は約25度

つまり、電波がよほど強くない限りDJ-X81に外から電波が入らない状態です。



DJ-X81のスプリアス調査結果をグラフにしました(下図)。グラフの横軸は周波数、縦軸はDJ-X81が表示する電波の強さです。

グラフが少々見づらいので先にグラフの見方を説明します。
・左軸の値が0 : スプリアスなし
・左軸の値が1 : スケルチが開く最小レベル、メーター0表示(電波最弱)
・左軸の値が7 : メーターがフルスケール表示(電波最強)

つまりグラフの上の点ほどスプリアスレベルが大きく、点が多いほどスプリアスが多いということです。


DJ-X81では172~250MHzで強力なスプリアスが、それ以外の周波数でほぼ1MHz間隔で1つ以上の弱いスプリアスが観測できました。



これだけ見てもよく分からないので今度はDJ-X81の比較用にバーテックススタンダードのVX-8Dのスプリアスを調査しましょう。VX-8Dを選んだ理由は日々愛用しており、単純に調べてみたかったからです。

調べ方はDJ-X81とスケルチが1(DJ-X81よりも厳しい)以外同じです。調査周波数もDJ-X81と同じ118~470MHzです。

サーチ速度はVX-8Dでは1通りのみ固定(仕様)ですがスプリアスとの関係性は少ない項目ですのであまり問題にはならないでしょう。むしろDJ-X81の条件の方が有利?です。


VX-8Dのスプリアス調査結果をDJ-X81同様グラフにしました。VX-8Dは電波の強さの表示段階が8ありますので最大が「9」、スケルチオープン最小が「1」で「0」はスプリアスがないことを表します。

グラフでは分かりづらいですが300MHz帯のスプリアスは0、400~470MHzは1つだけでした。

測定方法は確かにほぼ同じ条件のはずですが、スプリアスの密度はDJ-X81とずいぶん異なるようです。



スプリアスの測り方は他にもいくつかあり、場合によってはアンテナを取り付けると現れるスプリアスもありますからアンテナを外して測定する方法にはいくらか疑問を持たれる方もいらっしゃることでしょう。

今回のスプリアス測定にアンテナを外した測定を選んだ理由は単純にお手持ちの受信機でも簡単に再現すると考えたからです。より簡便確実なスプリアス測定案がありましたらコメントいただけると助かります。


以上、DJ-X81のスプリアス調査結果でした。





[観覧記事]
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