2023/04/19

DJ-X100の「上級の知識」とは③選択受信,トーン,秘話

アルインコDJ-X100の使用には『無線と受信機に関する上級の知識』が必要です。ここでは『上級の知識』に必須であろうキーワードを一つずつ深読みチェックしていきます。この記事から初めてお読みの方は本記事の「①はじめに」から読むことを勧めます。

DJ-X100プロトタイプ INFO画面

今回は下記3つのキーワードを紐解きます。

(4)CTCSS/UCなどの選択受信

(5)トーン

(6)秘話



(4)CTCSS/UCなどの選択受信

選択受信とは同じ周波数を使っている第三者の通話内容を聞こえないようにする無線機同士の「合言葉」です。

CTCSSはトーンスケルチとも呼ばれるアナログ無線用の選択受信です。

UCはデジタル簡易無線などで使われる選択受信です。

選択受信は「合言葉」が合わないと同じ周波数に合わせても無線の内容は聞こえません。

異なるCTCSSやUCの「合言葉」を無線機に設定すると無線の音声が正しく出ないことがあります。

CTCSSやUCの「合言葉」を無線機に全く設定しないと第三者が使っている無線と混信することがあります。

これは受信機でも同様で、無線機と同じCTCSSやUCの「合言葉」に受信機も合わせなければ正しく聞こえない場合があります。

またCTCSSやUCの「合言葉」を受信機に設定しないと同じ周波数を使う無線の電波がすべて受信されてしまう場合があります。

無線機のCTCSSやUCの「合言葉」の設定を確かめるには無線機の設定を確認するか、受信機で無線機の電波を受信して探すくらいしかなさそうです。

となると受信機でCTCSSやUCの「合言葉」を合わせたり無線電波のCTCSSやUCの「合言葉」を探し出したりする操作方法をマスターする必要があります。

 

つまりCTCSSやUCなど無線の選択受信を確実に理解し、CTCSSやUCなどを受信機で正しく設定する方法を会得して初めて『上級の知識』があるといえるのでしょう。

なおCTCSSとUCはあくまで一例で、「など」の言葉が示すとおり選択受信の種類は他にもあります。

デジタル無線では受信モード毎に選択受信の名前が変わります。



(5)トーン

トーンとはアナログ無線用選択受信の種類の一つであるCTCSSの「合言葉」を具現化したものです。

CTCSSの「合言葉」は「トーン」の言葉が示すとおり、音で具現化されています。

音声通話を邪魔しない音(トーン)を無線電波に乗せることで、同じトーンの無線機同士が通話できるようになっています。

無線機同士のトーンが異なると通話できません。

受信機でも同様に、受信した無線電波のトーンが受信機に設定したトーンと一致すれば理論上は受信機から音声が出るようになります。

選択受信の「合言葉」を具現化したものはトーン以外にも数多くあります。

ここでいう『上級の知識』とはDJ-X100を使う上で必要な、「合言葉」を具現化したものを知り尽くした状態を意味するのでしょう。



(6)秘話

秘話とは第三者に無線の電波を受信されても通話内容をわからないようにする機能の一つです。

秘話コードが一致すれば音声を正しく復調できますが、秘話コードが不一致の場合は無線の電波を受信できても聞こえるのはただの雑音です。

たとえばデジタル簡易無線の秘話コードのパターンは32767通りあります。

いいかえれば秘話のかかったデジタル簡易無線の秘話コード第三者が突破して正しく音声に復調できる確率は1/32767=0.003%と、計算上かぎりなく0%に近い数字です。

つまり秘話を有効にしたデジタル無線通信は第三者による音声の復調が理論的にきわめて困難ということです。

では秘話についての『上級の知識』とは何でしょう。

おそらくですが、先に述べた「第三者による音声の復調が理論的にきわめて困難」という理論に関連する何かではないかと考えられます。

※【2023/4/21追記】キーワード(7)~(11)については諸事情により大変勝手ながら公開中止とさせていただきます。楽しみにされていた方、申し訳ありません。

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DJ-X100の「上級の知識」とは②電波型式,ステップ,シフト

アルインコDJ-X100の使用には『無線と受信機に関する上級の知識』が必要です。ここでは『上級の知識』に必須であろうキーワードを一つずつ深読みチェックしていきます。この記事から初めてお読みの方は本記事の「①はじめに」から読むことを勧めます。

ALINCO DJ-X100プロトタイプ

 

今回は下記3つのキーワードを紐解きます。

(1)電波型式

(2)ステップ

(3)シフト

 

 

(1)電波型式

受信の知識に最低限必要な電波型式とは、簡単にいえば受信機に搭載されたの受信モードのことです。

AMモードはエアバンドやAMラジオ、短波ラジオ、アマチュア無線で使われている受信モードです。

FMモードは少し複雑でFMラジオで使われるWFMモードとアマチュア無線を含むアナログ無線通信用のNFMモードという受信モードがあります。

このように受信したい無線には受信モードがあります。

どの無線がどんな受信モードを使っているかは実際に無線を受信したり、ネットや書籍などで調べる必要があります。

聞きたい無線に合わせて受信機の受信モードを自分で正しく切り替えられていれば、受信に必要な中級レベルの電波型式に関する知識はある程度マスターできているといえるでしょう。

 

ただ、デジタル無線の受信モードはアナログ無線よりも複雑です。

デジタル無線の電波はアナログ受信機で受信してもただの「ザー」という雑音ですから、初見でどのデジタルモードに合わせるかなんて雑音を聞いてもほぼわかりません。

受信したデジタル無線をどのデジタル方式の受信モードに合わせれば音声として正しく復調できるかを知るためには、毎日デジタル無線と格闘する日頃の鍛錬が必要になります。

 

『上級の知識』レベルを目指す場合は受信モードの理解では不足で、アマチュア無線などの無線従事者免許の取得過程などで学習する「電波型式」そのものの理解が必要です。

その理由は受信のヒントになる情報が掲載されている総務省の電波利用ホームページの公開情報が受信機の「受信モード」ではなく「電波型式」そのもので記載されているからです。

総務省の電波利用ホームページに記載された電波型式に対応する受信機の受信モードがわからなければ、総務省の電波利用ホームページに記載されたせっかくの有益な情報を受信活動に活かせません。

電波型式の読み方は説明が長くなるので、アマチュア無線の教科書や電波型式を説明しているネットの情報を参考にしてください。

 

 

(2)ステップ

ステップとは無線を使う周波数範囲の分割程度のことです。

たとえば日本のAMラジオは531〜1602kHzの周波数範囲が9kHzのステップで分割され放送されています。

この9kHzがAMラジオのステップになります。

民間用VHFエアバンドは118〜136MHzの周波数範囲が25kHzステップで分割されて無線が使われています。

ステップは周波数や用途、無線の使用者などで変わるので、受信したい無線が何kHzのステップを使っているか知る必要があります。

最初のうちは周波数帳を見て受信機にステップをセットし、慣れてきたら各無線に使われているステップをある程度覚えておくとよいでしょう。

 

 

(3)シフト

無線のシフトとは簡単にいえば2つの無線機の間で使う電波の周波数の差のことです。

たとえばスマホや携帯電話の基地局と移動局が使う無線の周波数には差があります。

ここでいう移動局とはスマホや携帯電話のことで、基地局はスマホや携帯電話がオフラインにならないための、建物の屋上に設置された無線機です。

 

NTTドコモのプラチナバンドB19の場合、基地局の周波数が875〜890MHzで移動局の周波数が830〜845MHzです。

B19の基地局と移動局には周波数の差が45MHzあります。

この差をシフトといいます。

 

エアバンドではシフトが0MHzですから基地局(管制塔)と移動局(航空機)で同じ周波数を使います。

アマチュア無線では「レピーターシフト」という言葉でシフトは馴染みがあるはずです。

受信したい無線システムに基地局と移動局がある場合でシフトに関する情報が不足していたり、手持ちの受信機でシフトの設定方法がわからない場合は自分で調べて理解することが必要かもしれません。

※【2023/4/21追記】キーワード(7)~(11)については諸事情により大変勝手ながら公開中止とさせていただきます。楽しみにされていた方、申し訳ありません。

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2023/04/17

DJ-X100の「上級の知識」とは①はじめに

アルインコからまもなく発売されるデジタルマルチモードレシーバーDJ-X100。公式の製品情報ページには『無線と受信機に関する上級の知識』が必要とあります。

ALINCO DJ-X100ハムフェア2022試作機

DJ-X100を予約済み、またはこの記事を目にされた時点ですでに実機が手元にある方は『上級の知識』をお持ちでしょう。

しかし購入検討中の方の中には『上級の知識』があるか自信のない方もいらっしゃることでしょう。

今回はDJ-X100を使うために必要不可欠な『無線と受信機に関する上級の知識』が示すものを受信活動歴20~30年の不肖よしおが深読みし説明します。

 

 

 『上級の知識』とは

 『上級の知識』とは何かを確認するため、まずはDJ-X100の製品情報ページの『【ご注意】』を確認しましょう。

『電波型式、ステップ、シフト、CTCSS/UCなどの選択通信やトーン・秘話の違い、スキャンの種類など無線と受信機に関する上級の知識が無いとお使いになれません。

自動モード・自動ステップ切り替えのような初心者向け機能、書き込み済メモリーチャンネル、盗聴器発見機能は採用していません。

無線趣味のエアバンドリスナー向きではありますが、航空機や鉄道写真撮影など無線以外の趣味のためにレシーバーをお求めになるユーザー向けではありません。

製品の性質上、用語説明から始めねばならないようなカスタマーサポートは致しかねます。ご購入の際は十分ご注意ください。』

DJ-X100の【ご注意】(公式サイトから)

 

この『【ご注意】』の説明から、DJ-X100の使用には過去に広帯域受信機などで様々な電波を受信した知識&経験と、受信機に関する知識&経験の保有が大前提であるのではと読み取れます。

 

つまり『上級の知識』とは知識だけでなく『上級の知識』を支える経験も必要といえそうです。

 

『【ご注意】』をストレートに表現すれば「初見でDJ-X100を使うな」「専門誌や専門書を丁寧に読めば理解できるようなことを人に聞くな、自分で調べよ」でしょう。

 

裏読みするなら

  • 受信機で何が聞けるかわからないユーザー
  • 受信機の使い方自体がよくわからないユーザー
  • 取り扱い説明書を読まないユーザー
  • とりあえずDJ-X100に興味はあるが、使ってわからなければメーカーや有識者に聞けばいいと考えるユーザー
  • 受信自体を第一目的にしていないユーザー

はお断りで

  • 受信機のパワーユーザー=受信マニア

が使用を許されるということでしょうか。

 

追加で補足するならば

  • かつて○物入やスーパー○多、レーダー探知機に内蔵されていたお手軽受信機で何気なく受信したことがある程度
  • 動画やアプリ、ゲームなどで無線の交信場面を見たり聞いたことがある程度
  • 無線を業務や趣味で使用した経験はあるが無線機の設定は業者や他人任せの程度

ですとDJ-X100を使う『上級の知識』獲得済みレベルには達していないと思われます。

 

DJ-X100を使わず、買ってただ保管するだけなら問題はなさそうですね。



『上級の知識』の詳細

DJ-X100の使用について、初心者と中級レベルのユーザーはお断りという状況はわかりました。

では、どんな知識や経験が『上級の知識』につながるといえるのでしょうか。

 

もう一度DJ-X100の製品情報ページの『【ご注意】』を見て、『上級の知識』のヒントを含みそうな文を探します。

『電波型式、ステップ、シフト、CTCSS/UCなどの選択通信やトーン・秘話の違い、スキャンの種類など無線と受信機に関する上級の知識が無いとお使いになれません。』

『自動モード・自動ステップ切り替えのような初心者向け機能、書き込み済メモリーチャンネル、盗聴器発見機能は採用していません。』

 

次に上記文中に登場したキーワードを確認します。

上記の2文には

(1)電波型式
(2)ステップ
(3)シフト
(4)CTCSS/UCなどの選択通信
(5)トーン
(6)秘話
(7)スキャンの種類
(8)"など"
(9)初心者向け機能
(10)書き込み済みメモリーチャンネル
(11)盗聴器発見機能

の、11のキーワードが含まれていそうです。

どうやらこれら11のキーワードが『上級の知識』に必要なものの答えにつながりそうですね。

各キーワードの説明だけでも長文となります。

 

そこで上記11のキーワードを次回から順に一つずつ説明します。

最後までたいへん長い道のりになりますが、DJ-X100を使うための『上級の知識』獲得の参考情報として、興味があればしばらく気長にお付き合いください。

※【2023/4/21追記】上記キーワードの(7)~(11)については諸事情により大変勝手ながら公開中止とさせていただきます。楽しみにされていた方、申し訳ありません。

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アイコムIC-R30回想②長所(2023/04/16)

2023/04/16

アイコムIC-R30回想②長所

IC-R30が2022年末に生産終了となりましたので、あらためてIC-R30がどんな受信機か振り返ります。長くなるので内容を①主な特徴、②長所、③短所、④振り返り&まとめの4回に分けます。今回は長所編です。

アイコム IC-R30 2波同時スキャン中

前編の「①主な特徴」は下記関連記事を参照してください。


よしおが確認したIC-R30の長所は数多くあるため、見た目、操作性、機能、受信、スキャン、音、録音という7つのカテゴリに分けて説明します。

 

ではこれからカテゴリ別に長所を挙げていきます。

言葉の羅列ばかりで長くなります。気長にお付き合いください。

 

見た目

  • 付属充電池を装着しても軽量でコンパクト
  • 極端に分厚かったり、造りが甘かったり、極端に重いなど野暮ったさがない
  • 液晶コントラストが調節可能
 

操作性

  • メニュー画面が日本語表示(前述)
  • 液晶と正面ボタンにバックライトを内蔵(前述)
  • バックライトの明るさが変えられる
  • スマホやタブレットで遠隔操作可能(前述)
  • オプションのヘッドセットVS-3で本体の一部機能が操作可能(前述)
  • スキャン、モード切替、ステップ選択、アッテネータ、バンドスコープ、録音開始などをファンクションボタンを押さず操作できる
  • メニュー設定項目の一番下に到達時、ダイヤルを+方向へ回し続けても、十字キーを下へ押し続けても一番上の最初の設定項目へ戻らない
  • スケルチレベルの深さ設定が実際に受信する時の微妙な感覚と合っている
 

機能

  • Bluetoothワイヤレス受信待ち受け可能(前述)
  • オプションVS-3があれば待ち受け中にスマホやタブレットと接続すると好きな音楽やビデオを楽しめる。無線を受信すると音楽やビデオが一時停止されIC-R30の受信音声に自動で切り替わる
  • メーカー保証外だが他社製ブルートゥースヘッドセットもそこそこ受信音が聞ける。ただし本体やヘッドセットが壊れたら全て自己責任
  • USB充電可能(前述)
  • 全カバーを閉めると本体はIP57防塵防水(前述)
  • 日本語音声読み上げ機能(切可、前述)
  • SDカード内の設定ファイルを入れ替えるだけで受信機の設定を一括変更可能。日常生活に例えるなら普段着とパジャマ、仕事着、ドレスコード等、服装やメーク等がIC-R30の設定ファイルの変更で変えられるということ
  • メーカーへ本体を送らなくても自分でファームウェアアップデート可能
  • GPSロガー機能が使える。山行や受信旅の記録に便利
オプションのBluetoothヘッドセットVS-3

 
 

受信

  • 少なくとも通常のデジタル簡易無線の免許局と登録局は復調可能
  • 長波~短波がそこそこ実用的かつオールモードで受信可能
  • AMラジオ用バーアンテナ内蔵
  • デジタル無線受信待機中やスキャン中ゲコゲコ言わない
  • 108~520MHzの間では同一周波数の2波同時受信が可能
  • AMモードではANL、SSBモードではノイズブランカーが使える
  • WFMモードを除き携帯電話基地局のカブリを受けにくい
  • WFMモードを除き混変調が比較的少ない
  • USB給電&充電しながら受信しても場合によってはACアダプターからのノイズの影響が少ない
  • 1波受信中は内部発振が少ない
  • 周波数ズレがほとんどない
  • AMモードはワイドとナローが選べる
  • メイン側のFMモードは3段階(WFM, FM, FM-N)
  • FM-Nモードを使うと特定小電力トランシーバーの音声が比較的大きく聞こえる
 

スキャン

  • サーチ(プログラムスキャン)とメモリースキャンが爆速(前述)
  • 一時スキップのON/OFFに加え、一時スキップ時間も選べる
  • スキャン中、電波が切れた直後から再スキャン開始までの時間を変更可能
  • スキャン中に電波を受信中、自動でスキャンを再開するスキャン停止時間を変更可能
  • スキャン再スタートまでの待機時間で0秒が選べる。つまり受信電波がなくなったらすぐにスキャン再開できる
 

  • 内蔵スピーカーは弱電界中のAMモード以外聞き取りやすい。FMラジオの音質も小型ポケットラジオを超えたレベル
  • メインダイヤルを回しながら受信しても無音にならない。市販のDSPラジオのようなダイヤル選局中の音声ミュートがない
  • 受信中シャーシャー煩いAMモードの音声は録音すると少しマイルドになる
  • デジタル無線の音質を微調整できる
  • 広帯域受信機だからエアバンド受信中の音量差がほぼない
 

録音 

  • 2波同時録音中は各波の音声が独立して保存される。つまり受信音声は1つのファイルにモノラルミックスされて録音されない
  • 受信の都度ファイルが自動分割生成される。AR-DV10同様の金太郎飴方式も可
  • 2波同時録音しながら録音済み音声を再生できる
  • SDカードエラーによる録音失敗が滅多にない。カードエラーは過去5年間で1度だけ
  • 受信機の起動直後から自動で録音を開始できる(切可能)
  • 受信音声録音時、音声の頭切れがほぼない



以上、見た目、操作性、機能、受信、スキャン、音、録音という7つのカテゴリに分けてIC-R30の長所を説明しました。

 

 

これだけ長所を並べても残念ながらIC-R30は生産終了のため新品の入手は現実的ではありません。

 

余談ですが2023年現在、予約を含め購入可能な国内向けハンディ型デジタル無線対応受信機の選択肢はAR-DV10DJ-X100です。しかしDJ-X100は「無線と受信機に関する上級の知識が無い」 と使えません。

まあ、本当はAR-DV10のほうがいろいろ「上級」ですが...。 

AOR AR-DV10

「上級の知識」はラジオライフの特集記事を継続して読み続けたり、アマチュア無線機やデジタル無線対応受信機の取扱説明書やカタログを何度も読み、意味を理解して頑張り続ければ獲得できるようになると思います。

 



少々脱線しましたが今回取り上げたIC-R30の長所のうち、よしおが特別取り上げたい長所はこの『アイコムIC-R30回想』のシリーズ最後で取り上げる予定です。

興味があれば後日下記関連記事を参照ください。

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2023/04/15

アイコムIC-R30回想①主な特徴

IC-R30が2022年末に生産終了となりましたので、あらためてIC-R30がどんな受信機か振り返ります。長くなるので内容を①主な特徴、②長所、③短所、④振り返り&まとめの4回に分けます。今回は主な特徴編です。

アイコム IC-R30 +社外アンテナ


IC-R30をひとことで表すと「一部のデジタル無線が復調可能なオールモードハンディ受信機」です。

ではIC-R30の主な特徴を振り返ります。

 

  • 2波同時受信

IC-R30には受信機が2台分入っているので、例えばUHFまでのエアバンドの2波同時受信が可能です。

 

  • 2波同時録音

2波同時受信した音声をオプションのマイクロSDカードへ録音できます。

音声は1波ずつ、交信毎にファイル分割されます(分割しない設定も可能)。

 

  • 超高速サーチ&スキャン

スキャン速度はスペック上メイン側が毎秒200ch、サブ側が毎秒150chとのことです。

よしおは実測していませんが、確かにメイン側のほうがサブ側よりもスキャンが速いです。

 

  • ブルートゥース(音声+リモコン)

IC-R30の受信音声をオプションのVS-3でワイヤレスで聞けます。

VS-3にはリモコン機能があり一時スキップ操作などをVS-3で遠隔操作できます。

 

  • マイクロSDカード対応

32GBまでのマイクロSDHCメモリーカードで2波同時音声録音と再生、メモリーデータ管理、ファームウェア更新などが可能です。

 

IC-R30、コメット製2段屈曲アンテナ取り付け状態

 

 

  • スマホアプリで遠隔操作

RS-R30、RS-R30A(Google Play公開終了)でIC-R30の主要機能をスマホやタブレット等から遠隔操作できます。

 

  • 約8時間連続動作

VS-3を併用したレビューは詳細は下記関連記事を参照してください。

 

  • マイクロUSBで充電&給電

付属の充電池をマイクロUSB端子から充電したりIC-R30動作中にマイクロUSB端子から給電できます。

 

  • 数種類のデジタル通信復調

主に、秘話のないデジタル簡易業務無線とデジタル一般業務無線を復調します。

 

  • バックライト内蔵ボタン

白色LEDが操作ボタンの裏に内蔵されており、暗所や夜間の操作が快適です。

左サイドのボタンは光りません。

 

IC-R30 2波同時スキャン中

 

 

  • バックライトフルドット液晶

受信機には必要十分な機能を備えた白色LED内蔵の2.3インチ相当のモノクロフルドット液晶表示です。

 

  • 漢字とひらがな日本語表示

英数字や半角カタカナ表示だけでなく、漢字とひらがなをフルドット液晶上に表示します。

 

  • 0.1〜3304.995MHzまでカバー(一部周波数帯を除く)

メイン側は0.1~3304.995MHz、サブ側は108~520MHzを受信します。

メイン側は1300MHzまでSSBとCWを含むオールモード受信が可能です。

 

  • 受信中の状態を日本語音声で読み上げ

受信中に電源ボタンを押すとメイン/サブ選択中の受信周波数と受信モードを日本語の音声で読み上げます。

 

  • 防塵防水(IP57)

過酷な環境で使用や保管をしない条件で付属の充電池を取り付け、確実にホコリを取り除き防水カバーを閉めた状態では、一定時間砂や真水へ水没しても壊れにくいようにできています(壊れないとは言っていない)。

 

  • GPSによる現在地周辺の最寄局検索(要事前設定)

事前に位置情報をメモリーした周波数をGPSの電波で自動で受信します。

 

 

2波同時スキャン中のIC-R30

 

IC-R30は2023年現在でも古さを感じさせないと思えるので、今考えると発売当時は受信機の最先端を盛り込んだ意欲作だったと思います。

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