2013/10/26

ケンウッドのTM-D710Gいよいよ発売

ハムフェア2013で発表されたJVCケンウッドのモービル機TM-D710G/TM-D710GSがまもなく登場します。

TM-D710G/TM-D710GS - ケンウッド


どうやら現行品TM-D710/TM-D710Sのアップグレード版という位置づけです。

アップグレード内容は主に以下のとおりです。
・GPSユニット内蔵
・GPSロガー機能と場所登録、簡易ナビゲーション機能追加
・APRSロック機能追加
・空線キャンセラー強化(1種から3種へ)
・クロストーン追加



カタログと説明書を元にTM-D710とTM-D710Gの比較表を作りました。
( "o" : 搭載  "x" : 非搭載  "?" : 不明 )

TM-D710GはTM-D710がベースですので機能削除はないと思われます。従いまして恐らく表の"?"の部分は"o"となると予想します。

空線キャンセラー強化ですが同社他製品同様2280Hzの連続信号に加え1500HzとMSK信号、2000Hz断続信号に対応すると思われます。

GPS測位時間など気になる内容はいずれ発売後明らかになります。楽しみに待ちましょう。


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2013/10/24

AORから「ワンセグ付加装置」登場

これまでバナーのみ現れていた「ワンセグ付加装置」がついにベールを脱ぎました。

「ワンセグ付加装置」 AR-909-DTV - AOR,LTD.(J) (pdfファイル)



タイトルから当初AR5001やAR6000などのIF端子を介してつなぐ地上デジタルテレビ放送の復調器を予想していましたが、その妄想はもろくも崩れ去りました。

商品名はなんと「地上デジタルTVチューナー」。地デジ放送をブラウン管テレビで見るTVチューナーのように見えます。すでに普及し始めているHDMI端子もデジタル音声出力端子もこのAR-909-DTVにはありません。

どうやら本機のターゲットはテレビ塔から離れた地域でアナログテレビを使いテレビを観ている世帯のようです。12セグ放送の受信困難な弱電界地域ではワンセグテレビ放送に自動切換するとあります。




AT909-DTVでは弱電界の電波状況改善に「ダイバーシチ」受信を採用しているそうです。「ダイバーシチ」または「ダイバーシティ」は車をお持ちの方はお馴染みの言葉ですがAR-909-DTVはなんと「4チューナー・キャリア合成方式」という聞きなれない方法で受信するそうです。

これは単純に4機のデジタルチューナーの電波を1つ選ぶのではなく複数または全部のアンテナで受けたデータを相互補完し合わせて映像と音声にする、ずいぶん高度な方式のようで3G方式の携帯電話の仕組みに似ています。単純にブースターなどで受信電波を強くするだけではないようですね。



この「ダイバーシチ」と「4チューナー・キャリア合成方式」が果たしてブースターで電波を強くした一般的なTVチューナーでどの程度異なるのかは本カタログから読み取れません。もし総合的に費用対効果の高い製品となるのであればAR-909-DTVにメリットが生まれるかもしれませんが・・・。

それでもAR-909-DTVをわざわざ購入しなくてもすでに安価に市販されている地デジテレビと高感度アンテナそしてブースターを買えばテレビが映らない問題は解決するかもしれないと考えてしまいます。恐らくですが本製品の発表にはAORの技術力のアピールが含まれているのではないかと思いました。


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2013/10/13

FRC、同報無線受信対応の防災ラジオ発表

ファーストコム(Firstcom、FRC)から開発中とあった緊急放送対応ラジオがついに発表されました。

NX-109RD 防災ラジオ F.R.C. エフ・アール・シー

NX-109RDは通常のFMラジオとしての動作の他EEW(緊急地震速報)とEWS(緊急警報放送)の自動起動に対応し、さらに携帯電話や通常のラジオでは受信できない60MHz帯の同報無線受信にも対応しています。

同報無線とは町内のスピーカーから朝夕チャイムなどが流れたりクマ出没注意や行方不明の方の捜索協力の音声が流れるあの放送です。このNX-109RDがあればそのスピーカーから流れる放送をよりはっきり聞ける可能性が高い(デジタル化された地域や周波数の異なる地域は対応していない可能性あり)ということです。



NX-109RD本体スペックを観察しましょう。

(1)EEW(緊急地震速報)とEWS(津波などの緊急警報放送)受信と自動起動対応
(2)60MHz同報無線受信対応
(3)大きさが縦10 x 横6 x 薄さ1.6センチ
(4)マイクロUSB端子電源入力
(5)100mAhバッテリー内蔵、約25-30時間駆動
(6)LEDライト搭載
(7)サイレン機能搭載

(1)と(2)については上である程度説明済みです。FMラジオですので緊急時以外にも通常のFMラジオとしても使えます。また最大28.7センチのアンテナを伸ばすことで感度の高い受信が期待できます。補足ですがワンセグテレビ放送の音声はFMラジオ放送と異なりますので本機では受信できません。別の機種をおすすめします(こちらに緊急放送とワンセグ音声ラジオ対応表があります)。

(3)の大きさですが薄さが16ミリとなかなか頑張っています。緊急時の持ち運びにかさばる心配が少なそうです。

(4)の充電端子については一般的なスマートホンと同じ形ですから充電時はお手持ちのACアダプターが使えると思います。なおACアダプターをつないでFMラジオとして使う場合はACアダプターから雑音が入るかもしれません。詳しくは本体の説明書を参考にされてください。

(5)について。充電池内蔵ですので停電時にも1日は持つ設計です。モバイル電源などを別途用意すればなお心強いでしょう。

(6)は懐中電灯機能ですね。本体のボタンを押しながら使うのか、一度押すとしばらく点いてくれるのかは不明ですがあくまでも非常用の位置づけです。このLEDライトはEEWやEWSの緊急放送受信時にも光ってお知らせするようです。

※2016/6/23追記:懐中電灯機能はボタンを押すたびに入/切するタイプとのことです

(7)のサイレン機能はスピーカーの音量が最大300ミリワットとのことですからポケットラジオでは大音量のクラスです。非常時に比較的大きめの音で鳴るでしょう。



実際のNX-109RDの使い方ですが、通常はマイクロUSB電源端子にACアダプターをつなぎ設置する方法を取ります。
緊急放送があるとFMラジオ放送を聞いていても電源を切った状態でもNX-109RDが起動し放送が鳴り始めます(緊急放送の周波数と別のラジオ放送を聞いているときに緊急放送に切り替わるかは未確認)。そして避難・移動する場合このNX-109RDを持ち出す、というイメージです。



NX-109RDは販売店にもよりますが黒、白、黄色の3色から選べるようです。EEWやEWS対応のラジオ、同報無線が聞けるラジオとしては最小クラスですので農作業のお供などの普段使いを始め、万一携帯電話網が寸断されてしまったり同報無線のスピーカーから音が鳴らなくなるような大災害などが発生した場合にかさばらない情報ツールとして活躍しそうですね。


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2013/10/09

アイコム(ICOM) IC-R1をSGとして使う

IC-R1はアイコム初のハンディ型コミュニケーションレシーバー(広帯域受信機)です。1989~1995年頃まで販売されていたと記憶しています。

スペック上の動作保証周波数範囲は一部周波数帯を除く2-905MHzとなっていますが実質100kHz~1300MHzまで可変でき、周波数ステップは0.5~50kHzのうち10段階、現在広く市販されている受信機同様WFM, NFM, AMに対応しています。

厚さはなんと3センチ程度(分厚い!)、高さは約10センチですがこれでも当時としては最小クラス。ライバル、アルインコのDJ-X1よりもはるかに高速な毎秒最大20chのプログラムスキャン(サーチ)・メモリスキャン速度を有しさらには時計、スリープタイマー、オンタイマーまでも備えたハイスペックマシンです。

時計・タイマー機能、スリープ機能付き受信機は現代でも多くはありません。IC-R1が人気機種となったことは想像に難くないでしょう。

しかし一方でデザインの古さはもとより内蔵充電池の持ちが1時間弱、単3電池使用時は外付けの巨大なバッテリーケースを介し6本必要、スケルチの開きが渋かったり受信周波数周辺の強い電波で目的の信号が受信できない選択度の悪さなど、スペックからは見えない部分に問題があり、必ずしも良い面ばかりではありません。


- + - + - + - + - + - + - + -


今回この名機IC-R1を取り上げたきっかけは修理受付期間の終了が迫っていたことでした。

久しぶりに電源を入れたIC-R1は乾燥した冷暗所に保管していたこともあってか、液晶が薄くなることもなくFMラジオや航空無線などを昔と変わらない性能で受信しました。気がついていない故障があると思い念のため修理に出したところコンデンサが数箇所劣化していた程度で特に問題は見当たらず安堵しました。

IC-R1を長期保管する前は上記の選択度の低さもあり、もっぱらラジオやテレビ音声の受信機として活用していましたが残念ながらアナログテレビ放送は終了してしまい、せっかく修理を終えたばかりのIC-R1の活用方法が思い浮かびません。

何とかこのIC-R1を活躍させる方法を考えていたところ昔発見した裏ワザをふと思い出したので紹介しましょう。それはIC-R1を無改造で超微弱なSG(信号発生器)として活用する方法です。



遡ること20年前の1990年代前半、あれは第二世代デジタル携帯電話が出始めた頃でした。

あの頃は本当に良かったです.....と回想はさておきまして、当時ユピテルのMVT-7100とIC-R1を同時使用していた折、IC-R1が内部発振する状況を偶然見つけました。ただの内部発振でありませんでした。IC-R1の受信周波数を変化させると内部発振周波数も変化したのです。

いろいろ試した結果、以下の法則性が判明しました。

発振周波数=IC-R1の受信周波数 - 266.7MHz


例えばIC-R1を688.9MHzに合わせると688.9 - 266.7=422.2MHzの内部発振周波数の超微弱電波が発生し、以下の写真のように他の無線機や受信機で受信できるのです。

IC-R1の表示周波数は0.1~1300MHzですから、IC-R1を手にしているということは同時に266.8~1566.7MHzの範囲で自由に可変できる超微弱信号発生器を手にしていることにもなるのです!



トランシーバーなどの受信感度比較、簡易周波数ズレチェック、無線用パワーアンプの動作確認など、IC-R1を信号発生器としてみなすことで受信機以外の新たな可能性が見えてきました。

もしIC-R1をお持ちであれば信号発生器として活用する方法、試されてはいかがでしょうか。



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2013/10/05

アイコム、無線LAN上で使える2.4GHz無線機

アイコムが2.4GHzで通信するトランシーバーIP100Hを始めとする無線システムを発表しました。

IPネットワーク上で動作するトランシーバーシステム IP Advanced Radio System を新発売 - プレスリリース アイコム株式会社


本システム(IP Advanced Radio System)を構築することですでに幅広く普及している2.4GHzの無線LANと同じ電波を使い、専用のAP(アクセスポイント)と2.4GHz専用ハンディトランシーバーを接続し交互通話、別売りヘッドセットの追加で電話のように話せる同時通話をサポートしています。

IPネットワーク無線機のためシステムの構成によってはインターネットを使い、離れたネットワーク上の内線電話やIP100H端末と外線での通話や、発売済みの通信機能拡張ユニットを使い従来の無線機との通話もサポートしているようです。無線機を外線接続する状況はアマチュア無線のフォーンパッチ(死語?)を思い出します。



理論的には100台の同時通話が可能とのことですが、恐らく音声をパケット化することで実現できる技術なのでしょう。

複数同時に100台もの無線機を通話状態にすることは既存の特定小電力無線機や351MHz登録局、簡易業務無線機の通信インフラだけでは到底できないことですから画期的と言えます。

2.4GHzの無線LANの規格を使うことで電波に関する手続きが少なくなりコストなど、導入のハードルが従来の無線システムよりも圧倒的に低くなります。

アイコムはあくまでも"システム"として提案していますが、アクセスポイントなしで端末IP100H間のアドホック?通話が可能な仕様であれば従来の無線機としての使い方も可能と予想され、期待が高まります。

アクセスポイントまでの通話距離など、詳細は仕様がリリースされてからのお楽しみとなりそうです。

(以下は民生用アイコム製無線機です。
機種毎に選び方の目安を加筆しましたので参考にされてください)

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ID-51、2013年グッドデザイン賞受賞

アイコムのアマチュア無線機ID-51が日本デザイン振興会のグッドデザイン賞を勝ち取ったようです。

「2013年グッドデザイン賞」受賞のお知らせ - アイコム株式会社

記憶が正しければ、アマチュア無線用ハンディ機としては旧バーテックススタンダード(現八重洲無線)のVX-3以来、6年ぶりの受賞と思われます。受信機としてはアイコムのIC-RX7が2008年に受賞していますね。


審査員の評価はまったくそのとおりだと思います。特に筐体のコンパクト化は重要で、スマートフォンに慣れた世代は厚さと重さに敏感で、厚すぎたり重すぎたりすると持ち運びたくなくなってしまうと思いますから。

評価の最後にあります『災害時の非常連絡用ツールとして活用されていくことが期待される。』という内容が一般の人にも使ってほしい意味合いが含まれているようで、何となく深い気がするのは私だけでしょうか。

個人的にID-51は新機能が盛りだくさんで欲しいと思います。AMラジオが最低でもVX-3レベルの感度で60~300MHz帯を含むワイド受信機能または1.2GHz送受信機能がついていたら何も言わず買っていたと思います。次製品ID-71(仮)に期待しています(笑)



私よしおはトランシーバーのデザインの良さに惹かれて免許を取ったのがアマチュア無線の始まりでした。最近は本当にご無沙汰状態ですが・・・。

グッドデザイン賞をきっかけとしてアマチュア無線に限らず、無線の世界がより一般の方々にも周知されればと思います。



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