2015/12/31

ラジオフランス 中波放送を終息

「ラジオフランス」は今年(2015年)12月31日をもってAM電波によるラジオ放送を停止するそうです。

Extinction des ondes moyennes - Radio France(仏語)


上記の見出しをGoogle翻訳すると
"2015年12月31日24:00の時点で、ラジオ・フランスのプログラムで発行体中波放送は恒久的に送信を停止する。これらの送信機は、これまでフランス情報、フランス、青RCFMフランスブルーエルサスを放送していた。"
と、ややおぼつかない翻訳ながらAMラジオ放送終了のアナウンスが読み取れます。


ウィキペディアによるとラジオフランスは別名「フランス公共ラジオ」で日本のNHKに相当する、フランスの公共放送です。例えるならば、NHK第一とNHK第二がAMラジオで聴取できなくなるということでしょうか.....。

また、同じくウィキペディア(英語)によるとラジオフランスの放送は遅くとも1922年(大正11年)から開始されていたので、単純計算すると93年の歴史に幕を閉じることになります。



この発表には末尾に"中波によって覆われていた分野でのリスナーフランスブルーやフランス情報のカバレッジは現在、FMやインターネットによって提供されています"(Google翻訳)との記載もあり、FMラジオでの聴取は引き続き可能とのことです。

今後フランスでラジオを(インターネットを介してではなく)受信機で楽しむにはFM放送の入るラジオが必須ということです。

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2015/12/29

米ウィスラー 新スキャナーWS1088, WS1098製品情報公開

開発中とのことで詳細が不明となっていた、米ウィスラーの新型デジタル復調スキャナー(広帯域受信機)2機種の製品情報ページが公開されています。

WS1088ハンディスキャナー

WS1088 - Whistler Group Inc(英語)


WS1098デスクトップ/モービルスキャナー

WS1098 - Whistler Group Inc(英語)


WS1088は単3電池4本駆動のハンディ機、WS1098は車載12V運用と13.8V固定運用に対応したモービル機兼固定機です。





公開スペック情報を元にそれぞれの特徴を見ていきましょう。


●WS1088


発売中のWS1080と同様に単3型アルカリ乾電池4本または単3型ニッケル水素充電池4本、5V USB外部電源に対応したデジタル・アナログ復調スキャナーです。

受信周波数は25~54MHz、108~174MHz、216~512MHz、764~960MHz(一部除く)、1240~1300MHzの5バンド。受信モードはFM(ナロー含む)、AM、デジタル復調はP25のみとなっています。

ファームウェアがアップデートされると話は別ですが現状、351MHz帯のデジタル簡易無線(登録局)をはじめとする、国内で使用されているデジタル無線はほぼ復調できません。

32GBまでのマイクロSDカードを装着し、受信音声録音やメモリーデータ管理が可能。

アンテナコネクターはワンタッチで着脱可能なBNCタイプ。

このほか、
・USB2.0インターフェースとUSB充電機能

・付近の電波に自動チューニングして受信するスペクトラムスイーパー機能

・受信時に点滅周期や点滅パターンおよび色が変えられるアラートLED機能

・ヘッドホン端子を介したIF出力

・指定時刻に自動起動する自動電源オン機能

・サーチ中電波のステップずれを補正して受信するゼロマチック機能
なども装備されています。


ざっと取扱説明書に目を通した限り、今回発売されたWS1088はほぼ純粋にWS1080にテンキーを付けヘビーユーザーの操作性を向上したモデルという位置づけです。



●WS1098


発売中のWS1095と同様の12V~13.8Vで動作するデジタル・アナログ復調スキャナーです。受信周波数や受信モードはWS108xシリーズ、WS1095と共通です。

"リモートヘッド"によりコントローラーと本体の分離が可能。本体裏面のアンテナコネクターはBNCです。

コントローラーを取り外した本体前面に標準SDカードスロットを搭載。録音ファイルの保存やメモリーデータの編集ができます。


自動電源オン機能やUSB充電機能、USB電源による動作機能は装備されていませんがその他機能はWS1080や前述のWS1088と同じようです。





ここまで公開された取扱説明書や製品説明を元にWS1088、WS1098を紐解いてきました。

気になる価格はWS1088が約600ドル、WS1098が約680ドルと、どちらもテンキーレスのWS1080とWS1095から100ドル(約1万3000円)アップ。前回予想した50ドルアップでは実現できなかったようです。

ダイレクト選局ではなく、予めメモリーされたデータベースをもとにスキャンするのが正しいスキャナーの使い方と思いますから現行のテンキーレスモデルで充分のような気もします。ただテンキー付き受信機に慣れ親しんだユーザーはやはりテンキー付きモデルのほうがしっくりくるかもしれません。



WS1088、WS1098は共にメーカーから正式に製品情報が公開されたものの、米国市場での流通はまだこれからのようです。

国内では対応しない機能はいくつかありますが、現存する国内で流通する広帯域受信機とは一線を画す機能や使い勝手が魅力的と思います。

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2015/12/20

コヴィア, V-Lowマルチメディア放送(i-dio)対応スマホ発売

株式会社コヴィア(covia)はi-dio(アイディオ)のサービスに対応したスマートフォンを発売しました。

Android5.1(Lollipop)搭載SIMフリースマートフォン i-dio Phone - covia





「とうとうスマホの話題か、よしおも終わったな」と思われたそこの方、少しお待ちを(笑)

まあ100%スマホのトピックではないというのは嘘になりますが...。今回はV-Lowマルチメディア放送、i-dioに関連した話題です。


すでにご存じの方もいらっしゃると思いますがi-dioとはエフエム東京の持ち株会社の子会社、東京マルチメディア放送が2016年3月に正式サービス開始予定の、V-Lowマルチメディア放送サービスの別称です。

このi-dioというV-Lowマルチメディア放送は一言で表すならば、"インターネット"と"放送" 双方のメリットを取り入れた新サービスです。補足ですがV-Lowマルチメディア放送は99~108MHzの旧アナログテレビ放送帯域の一部を使用するサービスです。



こちらの公式資料(pdf)を元に説明すると、i-dioは従来の放送という"コンテンツ(番組)製作=放送局"の枠を取り去り、放送局以外会社が放送電波でコンテンツを提供できるサービスのようです。

これを無理やり例えるならばおおよそ「(au、docomo、SoftBankのような携帯電話事業者の4G(LTE)回線を借用する格安SIMサービス会社」でしょうか(他に良いたとえがあれば是非教えてください)。

他にも、緊急時に不特定多数が必要な情報をi-dioを通して一斉配信することでインターネットの下り回線をひっ迫させにくいメリット等々が生まれるようです。


i-dioを聞いて思い出されるサービスとしては来年(2016年)6月末にサービスを終了するV-Highマルチメディア放送(NOTTV、モバキャス)やかつて存在していたモバHO!があります。これらとi-dioとは双方向サービスの充実や地域性を出すなどの点が異なるようです。



+ + + + +



さて、話題をcoviaの"i-dio Phone"に戻します。ようやく本題です。お待たせしました。

このi-dio PhoneのスペックはAndoroid5.1でクワッドコアCPU、RAMが2GB、ROMが16GB、5インチ(720×1280)のIPS液晶を持ち一見、普及型と思しきただのSIMフリースマートフォンですが、向かって右側を見ますと.....

このように"折りたたまれたように見える"、長さ10センチ程度のアンテナらしき細長いものが収納されていることが分かります。

恐らくこのアンテナが180度展開してi-dio放送サービスが受信出来るのでしょう。いや、展開しなくても受信できるのかもしれません。もしかすると超弾性合金エレメントを使用した2段ロッドアンテナになっているのかもしれません(予想は外れるかもしれません)。

このi-dio PhoneにはワンセグTV受信機能とワイドFM対応のFMラジオ受信機能も装備されているようです。残念ながらAMラジオの受信には対応しないようです。この10センチ程度のアンテナはワンセグTV放送とFMラジオの受信にも対応しているかもしれません。

これならイヤホン端子にヘッドホンを接続しなくてもi-dioのサービスやFMラジオが楽しめそうです。


+ + + + +


まとめに入ります。

今回発売されるcoviaのi-dio PhoneはV-Lowマルチメディア放送からFM放送までをカバーするアンテナを初搭載したスマートフォンと思います。

よしお個人としてはスマートフォンにラジオ受信用アンテナが装備されたことが"熱い"と思います。

i-dio Phoneの発売日は2015年12月21日。価格は3万円程度となっており、家電量販店などで取り扱うとのことです。気になる方はチェックされてはいかがでしょう。

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2015/12/06

アイコム無線フェスティバル2015のIC-7300説明会に参加

アイコムならやま研究所で開催されたIC-7300の開発者説明会に参加しました。ここでは正式に公表された開発中のIC-7300の情報をまとめます。



IC-7300はHF帯と50MHzアマチュアバンドをカバーする幅240ミリ、奥行238ミリ、高さ95ミリの大きさで重さ約4.1キロのRFダイレクト・サンプリングトランシーバーです。


画面更新間隔は毎秒約30フレームと、ほぼIC-7851(IC-7850)と同じ。音声やRTTYを受信しながらウォーターフォール対応のリアルタイムスペクトラムスコープ等の表示が可能。

スペクトラムスコープを見ながら目的の山に線を合わせるダイヤルチューニングとタッチパネル上での2ステップ(1回目のタッチでタッチした周辺を拡大表示し2回目のタッチで目的のタッチした場所へ合わせる)選局をサポート。マウス接続によるチューニング操作は現時点では考えていないとのことです。

周波数変換をせず電波を直接デジタル処理するRFダイレクト・サンプリングにより本体の小型化と高性能を実現。

IC-7200比で1kHzのC/Nが15dB改善。性能はIC-7600に匹敵とのこと。

液晶の解像度はタッチパネル内蔵480 x 272ドット。ビギナーにも分かりやすいメニュー画面やローマ字入力、携帯電話方式の仮名入力に対応。

リレー切り替えタイプの高速オートアンテナチューナーを内蔵。

大型マグネットを搭載した新採用のスピーカーユニットを本体の専用スペースに装備。

音声録再、RTTYデコードログ、画面表示キャプチャー、SDカードスロット、大型クーリングファン、新設計のハンドマイクを標準装備。

またタッチパネルでは難しい、微妙な操作を実現するマルチダイヤルを搭載しています。


ラインナップは100W、50W、10Wの3タイプを予定。50W機は移動運用にもおすすめとのこと。

発売は来年2016年の早いうち、価格は10万円代前半となる予定とのことです。



画面表示キャプチャー機能が搭載されることは分かりました。またIC-7851と肩を並べられそうな音に聴こえたのはやはり間違いではなかったようです。

流行のタッチパネルを搭載しながらも固定機ならではのカチッとした見た目や操作感、操作レスポンスは確保されていると思いました。


対抗馬はやはり八重洲無線のFT-991でしょう。

発売されたらVHFとUHF内蔵で全部盛りのFT-991を取るか、あるいはこのIC-7300の短波帯の信号処理性能を取るかという新たな悩みが誕生します.....いや、もう既に(笑)

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2015/12/05

アイコム無線フェスティバル2015で開発中のIC-7300を触る

奈良県にあるアイコムのならやま研究所で開催されているアマチュア無線フェスティバル2015に来ています。



お目当ては発売が予定されているIC-7300です。

場内に上がるとまだ完成品ではないもののIC-7300と発売済みのIC-7851を含む実機が触れるようになっていました。





IC-7300はタッチパネルによる操作が可能な、HF~50MHzをカバーするダイレクトサンプリング無線機です。


現時点で確認したIC-7300の内容をざっと挙げてみます。

アンテナチューナーを内蔵しIC-7851に匹敵する描画速度でウォーターフォール表示が可能です。

周波数をタッチすると運用したいバンドが選択できたりバンドスコープ上をタッチすると付近のスペクトラム表示が拡大したり周波数が瞬時に移動可能となっています。テンキーはタッチパネル上に出現します。

録音機能がサポートされています。ハムフェア2015で説明のあった、搭載予定の表示画面保存機能は開発中の実機にはメニュー項目に見当たらないようです。出荷時に実装されるのかは不明です。

主観が入っているとは思いますが、音質は一見するとIC-7851との差がないように思いました。聴きやすいと思います。

操作感については、スペアナと音声波形などを全部同時に表示すると音声波形だけが体感で秒間5~8フレーム程度になりますが、それ以外はハムフェア2015に引き続き非常に滑らかです。

本体液晶表示の外部出力端子はないようです。またマウスによるUSB接続は現時点では対応しないようです。



IC-7300デモ機の裏面パネルです。電源とアンテナ端子、空冷ファン以外にご覧の端子が装備されているようです。仕様変更の可能性はあります。


IC-7300は発売が「2016年の早いうち」、価格は「10万円前半」とのことです。
※2015/12/06更新:公式発表の内容に合わせ訂正しました

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