2015/02/20

エフ・アール・シー アンテナ内蔵特小無線機発表

F.R.C.(エフ・アール・シー)がアンテナ内蔵型の特定小電力トランシーバーを発表しました。

アンテナ内蔵小型特定小電力トランシーバー NX-MINI 新発売!! - F.R.C.

(以降、写真は公式サイトから引用)


NX-MINIは通話距離を伸ばす中継器非対応の20チャンネル機です。カラバリは豊富で、それぞれ光沢のある白、黒、青、黄、桃の5色から選べます。

専用3.7V(恐らくリチウムイオン)充電池と充電器、ベルトクリップ、ネックストラップが一式付属するようです。



さっそくこのNX-MINIを紐解いていきましょう。まずは外観から。

"MINI"の称号を拝するNX-MINIですが本体サイズは83x50x25ミリと、アンテナなし状態のアイコムアマチュア無線機IC-P7や八重洲無線のアマチュア無線機VX-3/受信機VR-160とほぼ同サイズかわずかに一回り大きいサイズといったところです。重さはバッテリー込みで95グラムと、このクラスではかなり軽量な部類に入ります。乾電池ケースオプションはなさそうです。無線機のデザインはどことなく海外由来の気がしなくもありません。


正面には電源ボタン、チャンネルボタン、音量ボタンが配置されています。電源ボタンの直下に何やら透明な窓らしき部分があります。恐らく送信時は赤色に、受信時は緑色に光るインジケーターではないかと推測します。

正面から向かって左側面を見るとボタンが2個搭載され、上部にLEDらしき透明な部分が見えます。恐らく懐中電灯機能でしょう。

側面のボタンは恐らく上がPTTで下がライト機能とFMラジオ機能のスイッチ、あるいはモニター(弱い電波を拾う)ボタンと思われます。

ベルトクリップは黒色。最近のアマチュア無線機では一般的になりつつあるバッテリーに取り付ける方式です。バッテリーが白なので個人的には統一して欲しかったです。

イヤホンマイクのオプション設定があります。恐らく本体向かって右側面上方に端子開口部があると推測します。


ところで下のバッテリーの製品写真をよく観察すると、左側面が盛り上がっていることに気が付きます。

これはあくまでも予想ですが、恐らくACアダプターを直接接続でき充電可能になっているのではと推測します。



次に性能面をチェックします。

バッテリー持続時間はスペックによると約20時間となっていますが音声出力が300ミリワットでの結果ですから、イヤホンマイクを使うとさらに伸びそうです。

気になる通話距離ですがスペック表によると「市街地:約80m」「見通しの良い郊外:800m」とあり、先日発売された、アンテナが本体の長さと同じくらい長いFT-20Zの「市街地:約100~200m」「見通しの良い郊外:1~2km」と比べ2割短いことに気が付きます。アンテナ内蔵型ゆえの性能の限界でしょうが、それでもずいぶん健闘していると思います。

音声出力は最大500ミリワットとあり、特定小電力トランシーバーの中ではかなりの大音量が再生可能なようです。

NX-MINIにはFMラジオ受信機能も内蔵されています。本記事の作成段階では説明書を入手していないため不明点が多くありますが、もしかするとNX-20Xのような、FMラジオを受信中に無線電波を受けるとすぐさまトランシーバー待機状態に復帰する八重洲無線のAFデュアルと同等の機能を搭載しているかもしれません。

そのほかにもチャンネルスキャンや緊急アラーム、電池残量表示機能、38グループモードなどが搭載されているようです。スキャン機能がどの程度実用的かは未知数ですが、市販されている一般的な特小トランシーバーの基本機能は一通りそろっているようですね。



NX-MINIの用途ですが、アンテナが内蔵されていますので恐らく店舗用向けと思われます。非防水のためキッチンやプール、河川や海などの水場での使用は避けるべきでしょう。





以上NX-MINIの外観や機能、用途を考察しました。早速まとめに入ります。

NX-MINIはアンテナ内蔵の誰でも使える通話料無料のトランシーバーです。アンテナが露出せず服や周囲のもの、体との干渉が極めて少ないため通話距離は他の買ってすぐ使えるトランシーバーと比べやや短いものの、店舗に最適な製品です。

価格はオプションセットで1台6000円前後。高級機と同様1台1セットのため奇数個の買い増しにも対応しています。もちろん他の20チャンネル特定小電力トランシーバーとの基本的な通話の互換性も確保されています。

ライバルはアンテナ内蔵モデルのJVCケンウッドUBZ-S20です。エフ・アール・シーのNX-MINIはJVCケンウッドのUBZ-S20の見た目や通話品質、通話距離や防水性能など使い勝手は劣りますが反面、コストパフォーマンスが高いのが武器です。比較的小規模店舗で複数へ同時に情報展開できる、通話料無料の連絡手段が格安で必要ならば必然的にこのNX-MINIを選ぶことになるでしょう。

(関連記事はこの下です)


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2015/02/08

米ラジオシャック破産手続き開始

衝撃的なニュースがアメリカから入って来ました。

RadioShack Files For Chapter 11 Bankruptcy - HUFF POST(英文)

米ラジオシャックは現地時間の2015年2月6日、米国版民事再生法の適用を申請したそうです。負債総額は日本円でおおよそ1兆5千億円.....大変な額ですね。

こちらの日本語記事も参考になると思いますが、今後は4000ある店舗のうち2400店舗を筆頭株主である米スタンダードジェネラルへ売却し、米スタンダードジェネラルと取引のある米スプリントがそのうち1750のラジオシャックの各店舗スペースの1/3ほどに出店するようです。この店舗閉鎖は米国外のラジオシャックも対象となるそうです。補足ですが日本にはRadioShackの店舗はありません。



なぜ本話題を取り上げたかですが、ご存じのとおりラジオシャックは1921年に誕生した、米国では非常に有名な創業90年以上の老舗大手家電量販店で、現在スキャナーなど独自ブランドの無線関連製品を扱っていたからです。そこで、ここではあらためてラジオシャックブランドのスキャナーの現行品6機種のラインナップを振り返ってみましょう(各画像は出典元を引用)。


PRO-652 デスクトップラジオスキャナー
25-54MHz, 108-174MHz, 216-512MHz, 764-960MHz(一部除く), 1240-1300MHzをカバーするデジタルスキャナーです。米GREが発売したPSR-600のOEMです。


PRO-668ハンドヘルドデジタルスキャナー
PRO-652と同帯域をカバーする新コンセプトのデジタルハンディースキャナーです。米GREが発売したPSR-800のOEMです(詳細は下の関連記事参照)。


PRO-650デスクトップスキャナー
26-54MHz, 108-174MHz, 380-512MHzをカバーするアナログ通信用スキャナーです。米GREが発売したPSR-200のOEMです。


PRO-651ハンドヘルドスキャナー
PRO-668と同帯域をカバーするデジタルハンディースキャナーです。米GREが発売したPSR-500のOEMです。


PRO-649ハンドヘルドスキャナー
29-54MHz, 108-174MHz, 380-512MHzをカバーするアナログ通信用スキャナーです。米GREが発売したPSR-100のOEMです。



総じて25MHz以下や500~700MHz帯,1GHz帯の受信周波数などに歯抜けはありますが民間用航空無線など、メインストリートはそこそこカバーしています。さながら国内のお手軽受信機と高級受信機の間を埋めるラインナップといったところでしょうか。

ラジオシャックブランドのスキャナーはすべて米ウィスラー(旧GREアメリカ)のOEMです。2015年2月現在、国内では市場に流通していないデジタル復調機能を装備したハンディ受信機も整然とラインナップされているのはうらやましい限りです。



RadioShackのスキャナー製造元のGREアメリカのスキャナーがWhistlerブランドの一部として復活を遂げたことは記憶に新しいですが、今回そのOEM供給先の老舗RADIOSHACKが破産とは"RADIOSHOCK"...。まさに衝撃です。

今後同社の再建に伴いRadioShackのスキャナーは生産終了でしょうか。何とも感慨深いものがありますね。

(関連記事はこの下です)

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