2016/01/28

八重洲無線 ロングアンテナ特小SR40L発表

ロングアンテナを搭載したSTANDARD HORIZONブランドの新たな特定小電力トランシーバーがラインナップに加わりました。

SR40L SR40|資格・免許不要のトランシーバー - 八重洲無線株式会社

SR40L(左) 公式サイトから引用


今回発表されたSR40Lは現行モデルSR40のロングアンテナ版。単3アルカリ乾電池3本で約85時間使用できる、誰でも買ってすぐ使える中継器非対応20チャンネルトランシーバーです。

基本性能はSR40と変わらず、やや砂塵の多い環境や一時的な水没にも対応するIP57。音量は工事現場などでも対応できる高出力500ミリワット。

大型LEDインジケーターを搭載し送受信が一目でわかります。またチャンネル表示回転機能を装備し、本体を90度の向きで固定した場合のチャンネル表示を見やすくしています。

20チャンネルモデルのためエントリー機と思いきや、秘話やスキャン、対応機種間でバックグラウンドの通話ノイズを抑えるコンパンダ、イヤホン断線検出機能、ワイヤレスクローン機能など、業務用途には十分すぎるほどの機能を装備しています。



SR40LはSR40のロングアンテナモデルの位置づけですが、SR40のようにアンテナを回転して収納することはできず固定式となっています。

アンテナ長はSR40の6.8センチをはるかに凌駕する16.4センチ。アルインコのハイエンド特小トランシーバーDJ-R100DLDJ-P24Lが実測で約16.1センチですからわずかにこれらを上回っています。
SR40L(右) 公式サイトから引用

またSR40Lはアンテナが長いため(大した差ではありませんが)SR40よりも9グラム重くなっています。

当然ですがオプションのリチウムイオン電池SBR-18LIが使える点もSR40と変更ありません。



気になる価格はSR40と同じ、税抜き15800円。ノーマルアンテナのSR40は6色から選べましたが、ロングアンテナモデルのSR40Lはブラックのみとなっています。

スタンダードホライゾンブランドの特定小電力トランシーバーでロングアンテナモデルは今回が初と思います。

個人的にはなぜ中級モデルのSR100AではなくハイスペックエントリーモデルのSR40をロングアンテナ化したのか不思議に思いますが、手軽に高感度性能が楽しめる点は評価できると思います。

この調子で他のモデルのロングアンテナ化もお願いしたいところです。

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2016/01/23

八重洲無線 1W登録局トランシーバーVXD1発表

コンパクトな351MHz簡易デジタル(登録局)無線機、VXD1が八重洲無線から発表されています。

VXD1 公式サイトから引用

製品詳細:1Wタイプ 携帯型デジタルトランシーバー「VXD1」(資格不要・登録局)/八重洲無線株式会社



VXD1は簡単な手続きで使える高出力トランシーバーです。電池があれば買ってすぐ使える特定小電力トランシーバーの100倍となる1ワットの電波の強さを持ち、通話距離の伸びが期待できます。アンテナが着脱可能な点も特定小電力トランシーバーと異なる点です。

バッテリーや充電器、ベルトクリップなど、トランシーバーを手持ちで使うために必要なものと申請書類が付属。イヤホンマイクやスピーカーマイクは別途入手可能です。

VXD1 公式サイトから引用

VXD1の大きさは幅5.5センチ、高さ9.1センチ、奥行2.7センチと、前から見たときカセットテープ(死語?)よりも一回り小さいサイズ。厚みはカセットテープの3本分程度となっています。

重さはアンテナと電池込みで186グラムと、電池の持ちや性能を考えないものとすると現行機種VXD20VXD9よりも50~120グラム程度軽量化を達成しています。





外観をチェックします。

VXD1 カタログから引用

本体上部は左からアンテナ、防水防塵キャップ付きのスピーカーマイク端子、LEDインジケーターらしき小窓、電源スイッチ兼(と思われる)音量ツマミが配置されています。

付属のアンテナATU-12Jは長さ10センチ。オプションで5センチのウルトラスタビー(ショート)アンテナATU-17Jと20.3センチのホイップ(ロング)アンテナATU-6Jが用意されています。


本体正面には上から英数字表示に対応したアンバー色のバックライト内蔵と思われる液晶表示部と▼、MODE兼キーロック、▲の操作ボタン、マイクとスピーカーがあります。初採用と思われる液晶の大きさは縦1センチ強、横4センチ程度と思われます。


左側面にはPTTボタンと橙色のチャンネルスキャンとワンタッチミュートが機能割り当て可能なプログラマブルボタン、そして保護キャップ付きマイクロUSB充電端子があります。
VXD1 公式サイトから引用


本体背面にはベルトクリップ固定部分が装備されているはずです。付属のベルトクリップは上記写真から大型ワニ口タイプと思われるため、事実なら厚手のベルトや作業着に取り付ける際に便利でしょう。


急速充電器とVXD1の充電接点は本体底面にあることが下記付属品の写真左端の急速充電器CD-63の形状からわかります。
VXD1 公式サイトから引用






機能をチェックします。

本体はIP67の一時的な水没や砂没に対応する堅牢ボディ。
VXD1 公式サイトから引用


電波の最大出力は1ワットと、現行機種VXD20、VXD9の1/5です。送信出力は1ワットのほか0.5ワット、0.2ワットが選べます。

スピーカー音量はVXD9と同じ最大500ミリワット。騒音の多い現場などで十分使用に耐えられるはずです。

マイクロUSB充電端子を登録局トランシーバー、簡易デジタルトランシーバーとして初めて搭載しました。メーカー無保証ながら500ミリアンペア以上の出力があれば、お手持ちのスマートフォンや携帯電話無線機の電源がVXD1の充電にも使えるかもしれません。なお、このUSB充電端子は外部電源端子ではないと思われます。

ワンタッチミュート(消音)機能はVXD1側面にある橙色のプログラマブルボタンがワンタッチミュートのとき有効な機能です。ケンウッドのUBZ-BM20Rに装備された音量アッテネート機能は音量を下げる機能でしたが、こちらは一時的に完全に素早く受信音声を消すようです。

電池持続時間はスーパーセーブ機能ON時、最大15時間程度と、送信出力の小さな特定小電力トランシーバーには及びませんが、小型ボディの割に持ちは良いでしょう。

チャンネルスキャンは2チャンネルの交互待ち受けが可能な機能です。全チャンネルスキャン機能ではありません。


受信方式はこれまでのスーパーヘテロダイン方式ではなくダイレクトコンバージョン方式が採用されています。トランシーバーの高安定動作や小型化などに寄与していると思われます。

その他、登録局トランシーバーとしての標準的なユーザーコード、秘話コードの設定、上空チャンネル受信機能に対応しています。


補足として、機能ではありませんがVXD1にはVXD20と同様、無線機本体に3年保証が付属しています。ケンウッドのTPZ-D503TPZ-D553シリーズの本体2年保証よりも1年多くなっています。





以上、VXD1の外観とスペックなどをチェックしました。

VXD1は1ワットの小型機ということで単3電池1本駆動のFTH-307シリーズFTH-308シリーズと同じ、手で持つと無線機本体が隠れるほどの超小型サイズを想像していましたが、実際はアマチュアハンディ機FT1Dシリーズ、FT1XDや現行モデルVXD9の一回り小型版という印象です。

本体充電端子からの通常充電には恐らく6時間以上掛かると予想しますが、一般的なスマートフォンと同じマイクロUSB充電端子を装備しているためアウトドアや万一の状況下での電源確保は比較的容易なはずです。繰り返しとなりますがVXD1の充電端子は外部電源端子ではないと思われます。

気になる点としては最低使用温度が-10℃と、VXD20やVXD9の-20℃よりもスペックダウンしています。雪山や冷凍庫内とその周辺での使用はあらかじめVXD1をポケットへ入れるなど、工夫が必要です。


価格は付属品込みで税抜き39800円と、オープン価格ではない登録局トランシーバーとして現(2016年1月)時点では最高のコストパフォーマンスです。

受信方式がダイレクトコンバージョンとなったVXD1。今後どのような受信性能を"魅せる"のか楽しみですね。

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ケンウッド 登録局携帯機TCP-D551,TPZ-D553シリーズ発表(2016/1/17)

2016/01/17

ケンウッド 登録局携帯機TCP-D551,TPZ-D553シリーズ発表

ケンウッドから薄型コンパクトな351MHz登録局(簡易デジタル)ハンディ機が発表されました。

(TCP-D551,TPZ-D553シリーズ、公式サイトから引用)

デジタル簡易無線機「TPZ-D553」(登録局対応)を新発売(ニュースリリース) - JVCケンウッド

TCP-D551|業務用無線機|商品情報|ケンウッド

TPZ-D553SCH_D553MCH|業務用無線機|商品情報|ケンウッド


今回発表されたTCP-D551とTPZ-D553シリーズは登録局と呼ばれる351MHz帯を使用した、簡単な手続きをすれば使用可能なトランシーバーです。

免許資格不要の買ってすぐ使える特定小電力トランシーバーの500倍電波が強く、条件が整えば市街地でも数キロメートル程度の通信も可能です。


どちらもカードサイズ相当の幅5.6センチ×高さ9.2センチ。薄型バッテリー装着状態で厚みが2.46センチ、重さ222グラムと、現行機TPZ-D503の基本性能をそのままに一回り小さく、50グラム軽くなっているようです。小型軽量ながら最大5ワットのハイパワー送信に対応しています。

現行機種TPZ-D503の発表が2010年末でしたので実にほぼ5年ぶりのモデルチェンジと言えます。



TCP-D551とTPZ-D553シリーズの違いは付属品が一式揃っているか否かだけのようです。トランシーバー本体の見た目や機能にそん色は見当たりませんでした。

TCP-D551はアンテナのみ付属(説明書も非付属)。そのままでは使えないためバッテリーなどオプションの入手が別途必要です。

対するTPZ-D553シリーズは個人や小~中規模店舗を含む一般ユーザー向けでリチウムイオン充電池、充電器、ベルトフック(クリップ)、アンテナ、説明書と申請書類が付属し、購入後簡単な手続きを済ませるだけで使い始められます。

どちらの機種も万一の水没や砂没などに対応するIP67と米国国防総省軍用規格も満たすほどのタフボディ。オプションは現行機種TPZ-D503と互換性がないようです。


TPZ-D553シリーズは2種類あり、薄型軽量リチウム充電池付属のTPZ-D553SCHと、最大約15時間使用可能な1800mAh標準容量リチウムイオン充電池付属のTPZ-D553MCHです。バッテリーはTCP-D551とTPZ-D553シリーズ間で共用可能です。

軽さと薄さを優先するならばTPZ-D553SCH、電池の持ちを優先するならばTPZ-D553MCHを選びます。バッテリー装着時の両者の厚みの差は約5ミリ、重さの差は約30グラムです。





それではTCP-D551とTPZ-D553シリーズの特徴をチェックしましょう。


●外観
(TCP-D551/TPZ-D553公式サイトから引用)

本体上部を見ると左からスピーカー/マイク端子、電源共用らしき音量つまみ、アンテナが見えます。

スピーカー/マイク端子は「独立回転ナットによるねじ込み式」とのこと。恐らくプラグ付近が回転する仕組みと思われます。

中央の電源共用らしき音量つまみは本体周辺に電源ボタンが見当たらないため"電源共用らしき"と記載しました。即ちつまみをひねるとカチッという音とともに電源が入切できるツマミと予想します。

アンテナはもちろん着脱可能。TPZ-D553シリーズの主な定格にあるようにアンテナ接栓はTPZ-D503と異なり、国内の他メーカー製登録局ハンディトランシーバーやアマチュアハンディ無線機と同じSMA方式となりました。これによりサードパーティー製のアンテナが変換アダプターなしで装着できます。

電源共用らしき音量つまみとアンテナの間に送受信LEDランプらしきものが見えます。



(TCP-D551/TPZ-D553公式サイトから引用)

本体正面の液晶表示は漢字対応のフルドット液晶。恐らく液晶画面の大きさは長さ約4センチ、幅1センチ程度と思われます。TPZ-D503の約半分、アイコムの登録局ハンディIC-DPR6と比べ一回り小さいでしょうか。

文字の表示は八重洲無線のアマチュアハンディ機VX-8Dなどに装備されている縦倍角表示切替に対応しています。

ボタンは「戻る」、「▲」、「▼」、MENU兼「決定」の4種類と、非常にシンプルな構成です。現行機TPZ-D503は6ボタンでした。


(TCP-D551/TPZ-D553公式サイトから引用)

本体向かって左側面にはPTTを含む3つのボタンが装備されています。TPZ-D503の3ボタンは「PTT」、「モニター」、「バックライト」でしたので恐らくTCP-D551とTPZ-D553シリーズも同様でしょう。ただし今回、橙色のボタンには「セカンドPTT(後述)」も割り当てられています。



●機能

最初に目につく機能としては、あたかも2台のトランシーバーを持っているように使用が可能な「セカンドPTT」でしょう。

これはアルインコのハイクラス特定小電力トランシーバーDJ-R100DDJ-P24シリーズに装備されたデュアルオペレーションモードと同じ機能のようです。


オプションのメモリーコントロールプログラムMCP-8BとプログラミングケーブルKPG-186UによるPC上での設定変更が可能な点も見逃せません。業務用途で各無線機の設定時間短縮が図れます。


個人的に注目しているのは「チャンネルスキャン機能」です。

TCP-D551の説明によると "グループのチャンネル探し、またチャンネルの使用状況を確認できるチャンネルスキャン機能を搭載しています。" とあり、まさかの全チャンネルスキャン機能を搭載しているように見えます。これは期待が持てそうです。
(2016/3/7追記:全チャンネルスキャンの搭載を確認しました)


空きチャンネルを自動で探す「オートチャンネルセレクト機能」も搭載。これは昨今の登録局を使用する方が多くなってきたことへの配慮でしょう。恐らく2016年1月現在、TCP-D551とTPZ-D553シリーズのみ「オートチャンネルセレクト機能」に対応すると思われます。


「送受信音質調整機能」も搭載。TPZ-D503同様、オーディオを手掛けているだけにこだわりが見えます。


内蔵スピーカー出力の仕様は現時点で非公表です。TPZ-D503に引き続き最大1ワットの大音量が確保されると良いですね。


- - - - -



以上、当記事を作成中時点で公表されているスペックをもとにTCP-D551とTPZ-D553SCH、TPZ-D553MCHをチェックしました。

TCP-D551とTPZ-D553シリーズはこれまでのレジャー向けケンウッド無線機色の少ないデザインです。機種間のケース共用化のためレジャー機の派手さと業務機の地味さの間を取った結果でしょうか。

性能面では恐らく現行機の性能を維持し本格業務用途に対応したタフなボディを備えながら小型化、軽量化を達成したといったところでしょう。
個人的に、本体の小型軽量化が達成できたのはリチウムイオンバッテリーの性能向上によるところが大きいと予想します。

デジタル機ならではの周囲雑音の減衰性能は恐らくTPZ-D503と同等と考えられ、工事現場など騒音下でのクリアな通話は引き続き確保可能と思います。


発売日は2016年2月下旬。価格はオープンとのことですが、実勢価格は3万円前半~後半になるだろうと個人的には予想します。


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2016/01/08

ノルウェー 2017年に国営FM放送電波を停止

ノルウェーの文部科学省は現地時間2015年4月16日、ノルウェー国内のNRK(ノルウェー放送協会)のアナログラジオ放送を2017年に終了すると発表しました。

Radio digitisation in 2017 - Government.no(英語)



見出し部分をややラフに訳すと

(ノルウェー)政府は新たな技術革新の時が来たと結論付け、ノルウェー国内のFMラジオ放送局の停波日時を決定した。この2017年内に全FMラジオ放送を廃止する決定は2011年のノルウェー国会で公布されたラジオのデジタル化の命令に基づくものである。

となります。





またノルウェーの文科省は2017年のFMラジオ放送終了はおおよそ以下の4点が判断の理由と述べています:

・NRK(ノルウェー放送協会)のラジオのサービスが人口の90%を超えてカバーしていること

・デジタルラジオがリスナーに付加価値をもたらすこと

・車でのラジオの受信環境が十分整ったこと

・ラジオのリスナーの半数以上がすでに毎日デジタルラジオ放送を聴取していること



ノルウェーが2017年にFMラジオ放送を廃止すればAM、FMを含む国営アナログラジオ放送終了の世界初のケースとなるようです。

またノルウェーの総務省に当たるNKOMのこちらの公式Webサイトの発表によると基本的に公共放送を含むノルウェーの全FMラジオ放送は終了と読み取れますが、現存する一部地方の小規模なラジオ局はFMラジオ帯域の放送電波が2017年以降も引き続き使用できる例外はあるようです。


今後ノルウェーはDAB(デジタルオーディオ放送)というデジタル方式へラジオ放送をほぼ完全移行します。日本国内ではV-Lowマルチメディア放送(i-dio、下記関連記事参照)が間もなく今年(2016年)3月に福岡をはじめとする一部地域で正式に開始されます。

どちらの規格が良いかは各国の事情があり一概には言えないでしょう。ただ、DABという規格の存在意義を考えると海外ではラジオ文化が根強く生きている状況が伺えるのではないかと思います。

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独放送協会 AMラジオ放送を2015年末に停波済み(2016/01/07)

ラジオフランス 中波放送を終息(2015/12/31)

2016/01/07

独放送協会 AMラジオ放送を2015年末に停波済み

ドイツの国営放送(Deutschlandradio)はAM電波によるラジオ放送を2015年12月31日に終息したと伝えています。

Der Deutschlandfunk beendet Mittelwellenübertragung zum Jahresende - Deutschlandradio(独語)


記事の見出しをGoogle翻訳に掛けると
国の放送局ARDは、数ヶ月前に彼らの最後の中波局をシャットダウンしました。ドイツのラジオはまだ中波上に広げられているに2015年12月31日に最後のステーションは、オフにされています。
となり、昨年(2015年)末にAMラジオ放送が終了したことが何となく読み取れます。

ARDとは"Arbeitsgemeinschaft der öffentlich-rechtlichen Rundfunkanstalten der Bundesrepublik Deutschland "の略で、ドイツ連邦の公共放送協会、日本でいうところのNHKを指すようです。


こちら(thanks to Mr.Kroeske)のサイトによるとドイツの中波(MF)放送はDeutschlandradio以外はAFNのみで、民間の放送局はAMラジオ放送をしていないようです。

つまり今回の出来事は事実上の中波放送の終了を意味するようです。




フランスに続きドイツまでもが国営のAMラジオ放送を終了してしまいました。ドイツ、フランスの中波BCLファンの方は悔しい思いをされていることと思います。

一部情報によるとノルウェーのFMラジオ放送が今月(1月)末で放送終了するとの情報もあります。

日本ではAMラジオ放送がスポーツ中継やニュースといった日常用途以外に地震や津波など自然災害発生時の重要な情報源のひとつとなり役に立っていますが、それでも他人事ではない気がします。

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2016/01/03

ソニー FM補完放送対応CDラジオ ZS-E30発表

ソニーから薄型スリムデザインのCDラジオZS-E30が発表されました。

ZS-E30(公式サイトから引用)

ZS-E30 _ ラジオ/CDラジオ・ラジカセ _ ソニー


ZS-E30は一見、その型番から生産完了したZS-E20CPの後継機に見えますが他方、その形状からZS-E80の機能削減版のようにも見えます。さっそくチェックしましょう。




まずはZS-E20CPとZS-E30を比較します。


●外観比較(対ZS-E20CP)


ZS-E20CP(公式サイトから引用)


ZS-E30ホワイト(公式サイトから引用)

今回発表されたZS-E30はZS-E20CPに比べ角ばったデザインとなりました。ZS-E20CPのほうが角が取れているせいか、小さく見えると思いますが実際はZS-E30が全体的に10ミリほど小型化されています(後述)。

色はZS-E20CPがホワイト一色のみでしたがZS-E30ではホワイトに加えブラックモデルがラインナップに追加されました。



次に天面の表示・操作パネルを比較します。

ZS-E20CP操作部(公式サイトから引用)


ZS-E30ブラック操作部(公式サイトから引用)


ZS-E20CPからボタンはほぼ均等に大型化され、操作性が向上しています。

CDトレイを開くための「CD開く」ボタンはプッシュボタン式からスライドスイッチ式に変更されました。これによりうっかりCDトレイを開く操作ミスが軽減されます。

「お気に入りラジオ局」ボタンが3から5へ増加しました。さらにおやすみタイマー機能が新搭載されました。



●スペック比較(対ZS-E20CP)


ZS-E30とZS-E20CPを仕様表で順に比較します。表の緑色は機能または性能向上、黄色はその反対を表します。


ZS-E30ではCDのプログラム再生機能が追加され、加えて前述の「お気に入りラジオ局」登録数も増加しています。またFM補完(AMラジオをFM電波で再送信する)放送の受信に対応しました。

AMラジオの受信周波数は前モデルZS-E20CPが531~1710kHzのため、ZS-E30も同様と予想します。



4つの時間から選べるスリープタイマー機能が装備され、スピーカー出力も10%パワーアップしました。

ZS-E30はZS-E20CPと同様、コンセントによるAC駆動と単3乾電池6本駆動の2電源に対応しています。電池の持ち時間はどちらもソニーアルカリ乾電池を使用したものとのことですがZS-E20CPの音量条件が不明のため、この表だけでは良しあしを判断できません。



上の表にある「基本仕様」を比べるとZS-E30のAC消費電力はZS-E20CP比1ワット減少とのことですので、上記から電池の持ちは1割ほど良くなっていると予想できます。

前述のとおり大きさは一回り以上ZS-E30がコンパクトかつ軽量となっています。

ZS-E30には「お気に入りラジオ局名メモ」が付属しなくなりましたが大きな問題ではないと思います。



- + - + - + - + -



今度はZS-E30と外観が比較的似ているZS-E80を比較しましょう。


●外観比較(対ZS-E80)


全体:

ZS-E80ピンク(公式サイトから引用)


ZS-E30ブラック(公式サイトから引用)


一見するとデザインは両者それほど変わらないようです。

今度は下記の真正面から撮影されたブラックモデルのZS-E30の写真をご覧ください。

ZS-E30のスピーカーを凝視するとZS-E80のそれとは異なる、バスレフ型のような穴の形状が見えるような気がしませんか?

このスピーカー形式の件、製品情報には明記されていませんので確認の余地がありそうです。



天面の表示・操作パネル:

ZS-E80操作部(公式サイトから引用)


ZS-E30操作部(公式サイトから引用)

ZS-E80には語学学習に便利な機能にアクセスするボタンがあるため操作表示部はZS-E30よりもやや手狭です。

ZS-E30はZS-E80と同様にプリセット(登録局)選択ボタンと手動選局(ラジオ局あわせ)ボタンが独立しているため、未知のラジオ放送局探しがよりストレスなく行えるはずです。

またZS-E80にはZS-E30にはないリモコンが付属しています。


ここで上のZS-E80とZS-E30のFMラジオ用ロッドアンテナ部分を拡大してみましょう。
ZS-E80 FMアンテナ拡大


ZS-E30 FMアンテナ拡大

ご存じとは思いますが上記のようにZS-E80のアンテナはZS-E20CPと同じ形状の3段式(全展開時75センチ程度)です。ところが今回発表されたZS-E30のアンテナは上記のように写真を拡大するとなんとなく4段式、つまり全長1メートル程度まで伸ばせる!?ように見えるのは私だけでしょうか.....。



●スペック比較(対ZS-E80)


ZS-E30とZS-E80を仕様表で比較します。先と同じように表の緑色は機能または性能向上、黄色はその反対を表します。


ZS-E30にはCDの再生スピード調整が非搭載です。

「ラジオ部」の機能を比較します。
ZS-E80の登録局(プリセット)選局「+」「-」ボタンは「お気に入りラジオ局」と別に登録した放送局のプリセット選局ができますが、ZS-E30では「シンセチューナー/プリセット局数(FM/AM)」の欄に別途「●(20/10)」のような記載がないため、登録局選局「+」「-」ボタンはボタン一発で選局可能な「お気に入りラジオ局」のアップダウン選局に割り当てられると予想できます。

また「受信バンド(FM)」の欄はZS-E30のみ「●」記入がありZS-E80は「-」となっています。ZS-E80の説明書によるとFMラジオの受信周波数範囲は76~90MHzもカバーしているため、公式サイトに記載されているZS-E80の仕様表の「受信バンド(FM)」の「-」は「●」の誤記と思われます。



ZS-E30はZS-E80と比べてもスピーカーの最大出力が10%アップしています。



大きさは高さ方向のみZS-E30のほうが1.6センチコンパクトです。またZS-E30はリモコンが付属しません。ZS-E80のリモコンでZS-E30が操作できるかも不明です。



- + - + - + - + -



まとめです。今回発表されたZS-E30は電源を入れてラジオまたはCDのボタンを押すだけで音が出る、基本機能に特化した奥行7センチのスリムなCDラジオです。

USBやBluttooth、NFC、外部アンテナ端子、LEDバックライト、時計や録音などといったこだわり機能はありません。

このZS-E30はZS-E20CPと比べ操作性や機能、性能、FMラジオの受信範囲が若干アップしたアップグレード版、ZS-E80と比べ語学学習機能を省いたベーシック版と言えます。


ZS-E30の発売日は2016年1月16日(土)。価格はソニーストアで税抜き7380円です。

選び方のひとつの目安ですが、とにかく丸みを帯びたデザインで選ぶならばZS-E20CP、CDプレーヤーを語学学習にも使いたい場合はZS-E80、FM補完放送受信可能地域で大型パソコンや太陽光発電システムなどのある場所で使用する場合はこのZS-E30を選ぶことになるはずです。


個人的には先に挙げたスピーカーのバスレフ型の是非とFMアンテナのサイズアップの是非が気になります。

これらのうち一方だけ、または両方がもし事実ならば、上位機種ZS-E80と比べ僅かながらスピーカーの高音質化またはFMラジオの高感度化という細かな配慮が図られている、つまりZS-E30はZS-E80から単純に語学学習機能を省いただけではないことになります。

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