2022/08/22

ハムフェア2022展示のアルインコ受信機DJ-X100

 ハムフェア2022で登場したアルインコのデジタル復調対応受信機DJ-X100について配布された資料の情報を交え、よしおが確認した情報を簡単にまとめます。

ALINCO DJ-X100開発品
 

ここに掲載されたDJ-X100は2022年8月現在開発中のもので、いくつかの仕様は発売日までにアップデートされます。


■仕様

  • 受信周波数範囲:30~252.895/255.1~379.895/382.1~469.995MHz
  • 受信モード:DCR(STD-T98),NXDN(STD-T102/B54),DMR,D-STAR音声,C4FM音声DNモード,NAM,AM,NFM,FM
  • 周波数ステップ:1/5/6.25/8.33/10/12.5/15/20/25/30/50/100/125/200kHz,1/2周波数オフセット可能
  • 電源:付属Li-ion充電池EBP-114(3.6V 3120mAh),付属USB-C,単3電池3本(オプションEDH-46併用)
  • 使用時間:約9時間(暫定値)
  • 充電時間:約5時間(付属のUSBケーブル+USBアダプター),約3.5時間(オプション急速充電スタンドEDC-325 + ACアダプターEDC-300のセット品EDC-325A使用時)
  • アンテナ:付属EA-295,イヤホンアンテナ(どちらかを選択)
  • 受信方式:トリプルスーパーヘテロダイン+DSP,FMラジオはダイレクトコンバージョン
  • 音声出力:内蔵スピーカー400mW(10%歪時,8Ω),両耳モノラルイヤホン出力未定
  • 大きさ(約):58W x 110H x 32.5D mm(突起物含まず)
  • 重さ(約):260g(アンテナ、付属バッテリーパックEBP-114含む)
  • 使用温度:-20 ~ +60℃
  • 防水防塵:IP67相当
  • メモリーCH:999CH,26バンク(拡張不可能)
  • プログラムスキャンメモリー:50ペア
  • リンクスキャン有
  • 内蔵アッテネーター:3段階
  • GPSレシーバー:内蔵
  • バーアンテナ:なし(AMラジオ受信不可能。ただしワイドFM補完放送受信可能)
  • メモリー編集ソフト:付属(無償)




■特徴と機能

  • ユーティリティ受信マニア向け次世代マルチモードレシーバー
  • シングルVFOで30~470MHzをほぼフラットな感度で受信
  • 通信の待ち受け中にFMラジオが聞けるラジオモード
  • アナログ通信もDSP処理してクリアな受信音を実現
  • アナログ受信のCTCSS(逆トーン含む),DCS(逆コード含む),JR空線キャンセラー,MSK私鉄空線キャンセラー装備
  • GPSレシーバーでメモリーに登録した緯度経度データで最寄りのチャンネルの検索とスキャンが可能
  • TFTカラー液晶ディスプレイ(背景色とフォント色はそれぞれ赤/緑/青で各256段階から選択可能)
  • 周波数の入力,モード切替,ステップ切替に特化したボタン
  • キーボードは押しやすいフラット型
  • 日本語の階層型操作メニュー
  • メモリーネームタグは半角英数28文字,全角14文字表示
  • USBタイプCコネクターで充電・外部電源の他、パソコンとの通信接続も可能
  • ステレオイヤホンを使用すると両耳からモノラル音声を出力
  • ビープ音調整
  • 同時待ち受け時のFMラジオ受信音声音量調節
  • イヤホンジャックが誤って外れた場合に無音化する設定
  • 音声AGC(音量一定化)
  • Sメータ調整
  • 内蔵基準周波数調整
  • 低音高音音質調整
  • ユーザーコード(UC)表示
  • ホワイトニングコード(WC)表示
  • ダイヤル(上)と音量(下)の入れ替え可能
  • メモリCH使用数やファームウェアバージョンが一目瞭然(下記)
DJ-X100開発品INFO画面

DJ-X100開発品POWER画面

DJ-X100開発品SETTING画面の一部

 

 


■補足

  • 2バンド同時受信,SSB/CW,短波やAM放送受信,盗聴発見機能は敢えて省いた「新しいフラッグシップモデル」
  • SDカード非対応
  • 録音非対応
  • Bluetoothワイヤレスイヤホン非対応
  • RALCWI,アルインコEJ-47U,APCO25,dPMR,TETRA復調不可能
  • 警察,消防,自衛隊,海上保安庁,防災行政,電力会社,高速道路,JR在来線,新幹線,私鉄,MCA,空港内連絡,小電力コミュニティ,C4FMのVWモードなどの各種デジタル通信は復調不可能
  • 「暗号化」通信は復調不可能
ALINCO DJ-X100開発品背面



■付属品

  • Li-ionバッテリーパックEBP-114
  • USBアダプターEDC-328
  • USBケーブルEDS-39
  • ベルトクリップEBC-65
  • アンテナEA-295
  • 保証書
  • 説明書
ALINCO EBP-114開発品




■オプション

  • 急速充電スタンドEDC-325 + ACアダプターEDC-300のセットEDC-325A
  • 乾電池ケース(単3電池3本は別売り)EDH-46
  • ソフトケースESC-65
急速充電スタンド+ACアダプターのセットEDC-325A




■ハムフェア2022実機のファーストインプレッション

  • 高さがない分、厚みがある印象
  • 3120mAhリチウムイオン充電池を取り付けた状態でも軽く感じる
  • ボタンは軽い力で押せ、押した時のクリック感がある
  • 上下2連ダイヤルのクリック感は強い。クリック音は割とある。回す力は重くなく軽すぎない
  • 電源起動は3秒程度
  • 電源や充電中の表示に電気回路図記号を使ってあり、理系人間には直感的に理解しやすい
  • 周波数表示は縦1センチ近くあり、よしおのような老眼にも見やすい
  • 付属のバッテリーパックは同社製無線機DJ-DPS71/70のバッテリーパックと類似の造り
  • USB電源経由か定かではないが、エアバンド受信中に比較的ノイズが多かった。IC-R30よりも電源からのノイズに弱い可能性あり
  • IC-R30よりもスピーカーが大きいのかDSPの恩恵か、音が聴き取りやすい
  • スキャンが速い
  • 秘話通信はデフォルトでスキャン中に自動スキップする(IC-R30同様)
  • スピーカーで聞いている状況では電源の入切とスケルチが開いた時のボフッ音が聞こえない(イヤホンは未確認。パワーセーブ切だった可能性あり)
  • デジタルモード選択時、受信中以外に「ゲコゲコ」といった音声が出ない
  • 開発品の本体は日本製(MADE IN JAPAN)
ALINCO DJ-X100開発品左側面

ALINCO DJ-X100開発品右側面




DJ-X100は2023年の初春発売予定、発売価格は7万円程度とのことです。

個人的にはこれまでのアルインコらしからぬデザインや操作性、不自然さを感じさせないそつのなさが意外でした。

アルインコが既存のアナログレシーバーDJ-X11(A)を販売継続する謎が解けた気がします。

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2022/08/16

ソニー 2バンド防災ラジオICF-B300発表

 ソニーから防災ラジオが発売予定です。

ICF-B300 ラジオ/CDラジオ・ラジカセ - ソニー

ソニー ICF-B300(公式サイトから)
ソニー ICF-B300(公式サイトから)

 
ICF-B300は単3アルカリ電池2本で約50時間、または内蔵充電池で駆動する、ライト付きの2バンド防災ラジオです。

AMは1710kHzまでのAMワイドまで、FMは95MHzまでの補完放送(ワイドFM)も受信します。

防水キャップと電池蓋を閉めた状態で防滴の基準IPX4に対応し、少雨でも使えます。

手回しハンドルと小型の太陽電池を装備し、本体の内蔵充電池を充電できます。

 
 
さて上記の通り、ICF-B300は単3アルカリ電池2本または内蔵充電池の電力でラジオと懐中電灯機能が使えますが、スマートフォンや携帯電話の充電にも対応します。

内蔵充電池への充電は下記3通りから選べます。
  1. 手回し充電
  2. オプションのUSB ACアダプタからのUSB充電
  3. 太陽光充電

スマートフォンや携帯電話への充電用電源は下記3通りから選べます。
  1. 人力によるハンドルの手回し
  2. 充電済みの内蔵充電池
  3. 単3アルカリ乾電池
充電する機種によりますがICF-B300から1分間、手回しでスマートフォンや携帯電話へ充電すると約1分の通話または約25分の待ち受けができます。

IC-B300の内蔵充電池や新品のアルカリ乾電池でスマートフォンや携帯電話を充電した場合、最大の連続通話時間は約25分とありますが、この記載もお使いの機種によります。

ICF-B300でiPhoneを充電する場合はお手持ちのiPhoneに付属の充電ケーブルを使う必要があります。

ICF-B300の太陽光発電機能は直接スマートフォンや携帯電話へ充電できません(発電能力が少ないため)。


2022/01/01

2022年の無線受信について考える

2022年の無線受信に向けたトピックをいくつか挙げ、結果がどうなるかを確認し、これから先を考えてみます。


2022年に押さえておくとよいポイントは、2021年度版総務省の周波数再編アクションプランによる、避けて通れない無線のデジタル化でしょう。

中でも注目のトピックは列車無線と防災無線のデジタル化推進、2年後に迫るアナログ簡易無線の廃止です。 

 

 

●列車無線のデジタル化がさらに推進

2021年11月15日に総務省が公表した周波数再編アクションプランには「消防無線の移行後の跡地等も使用し、アナログ方式からデジタル方式(150MHz帯)へ早期の移行を推進する。」とあります。

要は既存の150MHz帯の列車無線が手持ちのアナログ方式受信機で聞けなくなるという事です。

デジタル化ならば可能性はわずかにありますが、懐事情を優先した会社が、しばしば不通となる携帯電話網の有事を軽視し、IP化する可能性もあります。

いずれにせよアンテナの工事や無線機の入れ替えの動向に一層の注視が必要でしょう。



●防災無線のデジタル化推進 

具体的には市町村用連絡波150MHz帯と400MHz帯、水防用や砂防用の60MHz帯のデジタル化と一部の260MHz帯へのシフトです。

周波数再編アクションプランにはこれまで受信できていた一部ヘリテレ連絡波や防災相互連絡波も含まれています。

少なくとも、災害発生前後に防災相互連絡波を受信することは今後できなくなります。



●地域振興用MCAのデジタル化推進

こちらも既に始まっていますが、今後は地域振興無線もデジタル化を加速するようです。

実際、関東圏では既に開始されていますが「350MHz 帯マリンホーンの代替システムとして利用を推進する」ともあります。



●アナログ簡易無線の使用期限は2024年11月30日

アナログ簡易無線は貴重な聞ける無線の一つです。

残り2年ほどでアナログ受信機で簡易無線は聞けなくなります。

 

 

■デジタル化、どうする?

いよいよアナログ受信機で聞ける無線の種類が航空無線(エアバンド)とアナログ船舶無線、市民ラジオ(CB無線)、アナログ特定小電力程度となる現実が差し迫ってきました。

今後どうするかの選択肢は何度も繰り返すようですが、

  • 聞けないなりに雑音を楽しむ
  • 聞けるジャンルを探して楽しむ
  • 無線以外(放送)を受信する
  • 聞けるようにするorなる
  • 受信できる電波を自分で作る
  • 受信の趣味を降りる

くらいでしょうか。


デジタル化は時代の流れで仕方なしにせよ、4G携帯電話の音声通話品質とは程遠い、あのデジタル独特のロボット音声のような音質が無線機の利用者全員に受け入れられるかは疑問です。

デジタル簡易無線はせめてステップを6.25kHzではなく12.5kHzにするか、もっと音質の良いAMBE+2互換の新型音声コーデックが欲しいです。

まあ、占有周波数帯域を12.5kHz相当にまで拡張したら音は良くなるでしょうが、アナログと同じチャンネル数しか割り当てられないのでデジタル化の意味はあまりないですねぇ、というか逼迫し過ぎている登録局のチャンネル数を増やすべきと思います(切実)。


それにしても、今まで聞けていたものが日に日に消えていく現実を目の当たりにするたびに毎回複雑なものがあります。

(関連記事はこの下です)



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