2014/07/31

アルインコ 新型特小DJ-TEST1000!?

アルインコ電子事業部の公式サイトに特定小電力トランシーバーのニューモデル?が登場しているようです。



一見すると351MHz登録局(DCR)のDJ-DP10のように見えます。

DJ-DP10と同一筐体の特小には業務用同時通話機能を搭載したDJ-P45があります。

しかも本機には「TEST」の称号が与えられていることから、もしかするとこれは他の特定小電力無線機をテストするトランシーバーのリファレンスモデルでは!と想像をしてしまうのは私だけではないと思います。



果たしてその真相は・・・下記公式Webサイトの製品詳細ページをご覧ください。

テストトランシーバー - アルインコ電子事業部


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2014/07/23

AOR ハムフェア2014で新型受信機展示予定!

エーオーアール日本語公式サイトの情報です。

「ハムフェア2014」出展のお知らせ - AOR,LTD.(J) (pdf)



今回ハムフェア2014にて参考展示される予定のAR-DV1は「アナログとデジタルを受信可能とした最新型広帯域受信機」だそうです。

AR-DV1のスペックは不明ですが公開資料から「卓上型」という情報は分かりました。そこでAR-DV1のコンセプトを勝手に予想してみましょう。


その前にこれまでのエーオーアールのデジタル通信への取り組みを振り返りますとデジタルモデムARD9800音声用デジタルモデムARD9000シリーズという、既存の無線機や受信機に外付けして使用する製品を他社に先駆けリリースしてきました。

近年のデジタル通信の受信に対応した製品ですとAPCO P25デコーダを内蔵したスーパーハイエンド機AR-ALPHA、一般人は入手が不可能な200MHz帯 SCPCデジタル消防救急受令機AR-F100, AR-F400、昨年2013年発売されたデジタル通信受信アダプタARD300が挙げられます。国外ではAR8200MK3の筐体を改造しAPCO P25復調に対応したハンディ機AR8200Dも登場しましたがすでに一部では生産終了との噂もあります。



ここからは想像の域です。これはあまりにも極端な話ですがあくまでも仮定の話として、ARD300の中身を既存のエーオーアールの受信機内部へ実装すればデジタル復調対応受信機とすることも可能なわけです。ARD300はドットマトリクス表示ですから既存の受信機の液晶へARD300の操作体系を組み入れようとすれば相当な手間がかかることでしょう。

さて、新型受信機として手っ取り早く成立させられるであろう方法としてはAR2300へARD300のボードを内蔵しパソコンからのみコントロール可能な製品でしょう。これならば操作部や液晶表示開発への手間が減ります。しかしエーオーアールは今回参考出品予定のAR-DV1を敢えて「PC制御型」と明記せず「卓上型」としています。これは即ち、「デスクトップ型」のAR8600シリーズなどのように表示やボタンが本体に装備されていることをほぼ言い表していると推測できます。ということは必然的にドットマトリックス表示を持つ製品という予想が立ちます。

エーオーアールのこれまで登場した製品の傾向から、今回ハムフェア会場に登場予定のAR-DV1の筐体は現行のAR8600シリーズとさほど変わらないコンセプトとよしおは(期待を込めて)予想します。もちろんハムフェアーでユーザーの意見がフィードバックされ製品リリースとなる可能性は十分あるとも言えます。



果たして卓上型最高峰を誇るウェーブテック社のWR3600シリーズのアナログ性能を凌駕するのか、はたまたひとまずAR8600MK2にARD300がビルトインされる形式での披露となるのか。これ以上想像すると収拾がつかなくなりそうですのでこの続きは製品が公開されてからとしましょうか。

ハムフェア2014開催まであと1ヶ月ほど。公開が待ち遠しいです。


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2014/07/15

エフ・アール・シー 特定小電力無線機NX-20X発売

独創的でリーズナブルな無線機、受信機を開発しているFRCからビギナー向けの新型特定小電力トランシーバーが発売されました。

NX-20X 特定小電力トランシーバー 【F.R.C. エフ・アール・シー】

(写真は公式サイトから引用)

NX-20Xは格安現行モデルET-20X、ET-20XG同様、2台1組セットの製品です。買って充電すればだれでも通話料無料ですぐ使えます。



現行モデルET-20Xと比べますとNX-20Xには以下の特徴があります。

・大きさが一回り以上小さく、薄くなった

・重さが約半分になった

・アンテナが固定式になった(ET-20Xは回転収納式)

・色はブラック(黒)とワインレッド(赤) (ET-20Xは黒とガンメタル)

・スペック上受信感度が若干低下した(-14dB -> -9dB)

・リチウムイオン電池と充電器オプションが標準付属(ET-20Xはオプション単3電池3本)

・スペック上電池の持ちが半分以下になった(約60時間->約24時間)

・スピーカーマイク端子が1ピンになった(ET-20Xは2ピン)

・FMラジオ搭載(ET-20Xはなし)

・秘話(ひそひそ話)機能搭載(ET-20Xはなし)


一言で表すならば、大きさや重さが減り機能が増えたといったところでしょう。液晶表示は現行品よりも見やすいと思います。アンテナは恐らく曲がりません。

受信感度はスペック上低下していますが、果たして現行品ET-20Xの受信感度が通信距離に定評のあるアルインコの上位製品と同等かと言われますと比べてみた方のみぞ知るといったところです。

本体色に赤が追加されました。使用中に無線機が目立つ可能性はありますが、紛失の可能性は少なくなるでしょう。

注目すべきはFMラジオと秘話です。どちらもFRC製品初と思います。詳細未確認ですが故マルドルのTM-20SやミヨシTCV01のように、FMラジオ受信中無線を受信するとラジオ受信が自動で止まり無線に切り替わる機能があればやはり便利でしょうね。

秘話機能は恐らくNX-20X以外のトランシーバーを使うと通話内容が分かりにくくなる機能と思います。エントリークラスの製品にこれほどの機能を載せてくる試みはかつてありませんでした。



その他気がついたことをいくつか。

引き続き大手メーカー品のような防水防塵機能はないようです。400ミリワットという騒音下でも大音量で再生可能な仕様は歓迎します。

NX-20Xに付属するACアダプターの充電端子がマイクロUSBのように見えますから(メーカー保証外ですが)もしかするとお手持ちのスマートフォンの充電器でも充電できるかもしれません。

ベルコール(音で相手を呼び出す)機能の音色のレパートリーがET-20Xと同じ5種類かは未確認です。



現行品に比べコンパクトになり機能も充実しているNX-20X。電池が切れたら付属ACアダプターの充電コードを差し込むだけという携帯電話と同等の手軽さを誇ります。

スペック上抜群のコストパフォーマンスですので趣味やレジャーで気軽にトランシーバーを使いたい方、ET-20Xからワンランクアップしたい方、格安で秘話機能が欲しい方にはおすすめと思います。FMラジオ内蔵ですから災害時の情報収集にも活用できそうですね。

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2014/07/11

八重洲無線 クラス最薄特小トランシーバーSR100発表

先日特小無線機FTH-508をリリースしたばかりの八重洲無線から「STANDARD HORIZON」ブランドで新たな特定小電力無線機がリリースされました。

SR100 - 八重洲無線株式会社

(八重洲無線公式サイトから引用)


八重洲無線のSR100は単3電池1本駆動でスピーカー内蔵の無線機としてはクラス最薄の、だれでも買え単3アルカリ乾電池1本あればすぐに使えるトランシーバーです。

一時的な水没や砂没に対応し基本性能は先日リリースされたばかりのFTH-508とほぼ同一。FTH-307シリーズFTH-308シリーズに非搭載のバイブレータ機能も装備されています。





それでは両者の違いを見ていきます。SR100は先日発売開始されたばかりのFTH-508と比べおおよそ以下が異なるようです。

・本体がさらに0.5ミリ薄くなった

・縦横が2~3ミリ伸びた

・低周波出力(スピーカー最大音量)が1.5倍アップした

・再生ボタン装備

・電池積算使用時間インジケータ追加

・チャンネル表示が90度回転可能

・15秒の通話録音機能追加

・中継器使用時1mW送信機能追加

・バッテリー(乾電池or充電池)インジケータ手動設定

・外部マイク感度切り替え廃止

・内部マイク感度切り替え追加

・VOX機能廃止

・イヤホン断線検出機能追加

・サブ(予備)チャンネルセレクト機能追加

・充電池や充電器といった充電キットが非付属(オプション対応)



今度の特小無線機はなんと通話録音機能付きです。録音設定することで常時録音機能が働き、必要に応じて聞き逃した通話を再生できるようになりました。

チャンネル表示は90度回転しますがアンテナは回転しません。アンテナを無理に曲げようとすると壊れますので注意しましょう。バッテリーインジケータはトランシーバーの使用積算時間を表示しバッテリー寿命の目安をひと目で教えてくれる、これまでにはない試みです。

(個人的に)待望の1ミリワット連続送信機能が復活しVOX機能が廃止されました。そもそもVOX機能は通信開始の最初の言葉が切れてしまい、あまり実用的ではないためなくても問題にはならないと思います。

そしてサブチャンネルセレクト機能。これは混信の多い特小こそ必要な装備です。混信発生時、予備チャンネルへ簡単に移れる機能の追加は業務ユースにもレジャーユースにも嬉しいですね。

その他FTH-508ではLEDインジケータが省略されましたがSR100ではしっかりと復活していたり、グループコード/DCSコード設定がセットメニューへ移動したりと、細かな使い勝手の向上が図られています。


補足を1点。これはメーカー完全保証外の使い方で説明書に「絶対に使用しないでください」の表記はありますが敢えて取り上げます。FTH-307, FTH-308, FTH-508では市販の単3ニッケル水素充電池の性能を十分に引き出せないことがありました。SR100でも「絶対に使用しないでください。」と記載があるものの、あくまでもメーカー保証外ですがバッテリーインジケータ設定の追加により市販のニッケル水素充電池がより性能を引き出して使えるかもしれない?ように変更されました。





ここで、なぜ八重洲無線がこれほど同時期に基本機能や性能がほぼ同じ製品をリリースするのか少し考察します。

FTH-508も含めこれまでの八重洲無線の特定小電力トランシーバーは「STANDARD」という"業務用無線通信機器"ブランドを身にまとっていました。今回リリースされたSR100は「STANDARD HORIZON」という"レジャー・特殊用途向け通信機器"ブランドです。

八重洲無線のトランシーバーのデザインをあらためて振り返りますと最近の「STANDARD」特小には堅牢さ、シンプルさが見て取れますがSR100はまるで「ガンダム」に登場しても不思議ではないロボットキャラクターのようなポップな装いです。この外観の違いこそターゲットとするユーザーの明確な違いと思います。

今回SR100がわざわざ「スタンダードホライゾン」ブランドで登場した経緯はもしかするとSTANDARD HORIZON無線機ユーザーから「洋上は携帯電話がつながらないからだれでも使える船内連絡用の無線機を作って欲しい」というニーズに応えた結果なのかもしれません。



以上のようにSR100はレジャー用途、前回リリースされたFTH-508は業務用途という住み分けができていると考えます。それにしてもまさか新製品リリース直後にまた新製品を投入するとは予想外でした。気分はまさに特小祭りまっただ中です。

SR100のキャラクターはどことなくFTH-80(モトローラのMS80)に通じる部分もあります。6色のボディーカラーから好みの色を選べることもありどことなく八重洲無線らしくないような気もしますが(笑)、様々なアウトドアファンへ広告することでSR100はより幅広い層から支持されるのではないでしょうか。

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2014/07/07

アイコム 業務用車載無線機IC-D6005発売

5月にプレスリリースされていた登録局車載トランシーバーIC-D6005がついに発売となりました。

【IC-D6005】防塵・防まつ性能を備え、さらにタフになった 登録局対応 車載型デジタル簡易無線機。- アイコム株式会社

(アイコム公式サイトから引用)



IC-D6005は簡単な手続きと電波利用料(税金のようなもの)で使用可能な351MHz帯30チャンネルハイパワーモービルトランシーバーです。

IC-DPR1からIC-DPR100への変更と同様、従来機IC-D5005に比べ本体とスピーカーマイクはIP54の防滴規格に対応し、スピーカーマイクは液晶表示やPTTボタン以外の操作スイッチが廃止されています。



外観やスピーカーマイクはレジャー用のIC-DPR100とほぼ同じに見えますが果たして違いは・・・。

業務用IC-D6005とレジャー用IC-DPR100の違いを取扱説明書から抜粋し比較してみましょう。

IC-D6005は実業務で使いやすくなるようメニューや表示、操作にいくぶん手が入っているようです。またオプションGPSマイクにも対応しています。将来パソコンなどと連携し外部機器接続ケーブルから受信したGPSデータを処理できる可能性が高いですね。



結論としてやはり本格業務に使用する場合はIC-D6005、趣味~軽微な作業にはIC-DPR100が適しているようです。

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2014/07/04

TMY消滅せり・・・

悲しいお知らせになりますが、独特の家電製品を生み出してきた株式会社ティーエムワイが倒産していたようです。

ドメイン名自体は現存していますが公式Webサイトは調べた限り検索サイトのキャッシュからもデータが消滅しているようです。



さらに調べてみたところ5月中頃まで公式Webサイトが稼働していた形跡を見つけました。またTMYのYahoo!ショッピングストアは3月末で閉店されており、YoutubeのTMYチャンネルは昨年12月以降更新されていませんでした。


個人的には受信中のテレビの周波数も表示するワンセグラジオ ORD-01や液晶モニター付きORD-T01Wが気になっていただけに残念でなりません。

今のうちにTMYのワンセグラジオを1台だけでも手に入れておこうと思ってしまうのは私だけですよね、多分.....。

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2014/07/01

第7世代iPod nano FMラジオレビュー

iPod nanoとはご存知のようにアップル社の音楽プレーヤーです。今回は第7世代のiPod nano(以下、iPod nano)を取り上げます。

最近のiPodは動画再生や写真ビュアー機能、歩数計内蔵カロリー計算機(オプションで心拍計も接続可)、ブルートゥース4.0ヘッドセットに対応、現在の曲名やアーティスト名を合成音声で読み上げるなど、非常に多彩な機能を装備しています。

最も驚くのはその薄さ。高品位アルミボディをまといながら5.4ミリという驚異のスリムさを誇ります。比較の仕方があまりにも無謀ではありますが無骨な既存の受信機やトランシーバーとはまさに一線を画す万人向けの、持つものを楽しくさせる製品の一つと思います。



さて、実はこのiPod nanoにはFMラジオが搭載されています。そこでこのFMラジオの使い勝手や音質を調べてみました。

■使い勝手

iPod nanoのFMラジオにはチューニング方法に独特の遊び心が取り入れられています。一言で表すならば「デジアナチューニング」がふさわしいでしょう。

iPod nanoのFMラジオを起動すると左右頭出し表示、停止表示の上に昔懐かしいチューニング目盛りが表示されます。

このチューニング目盛りの画面表示は触れると本当にラジオの選局が可能で、思わず顔がほころぶアナログチューニングの感覚を味わうことができます。例えば指を素早く右または左へスワイプする(なぞる)とチューニング表示が素早く変わり、その後パッと手を画面から離すとチューニング目盛りが徐々に止まるというものです。


左右の頭出し表示を長押しすると放送局のスキャンが始まります。

よく聴く放送局をプリセットする機能もあります。周波数右上の小さな「☆」表示をタッチすると上の写真のようにチューニング目盛りに赤い台形の印が現れプリセットが完了し、次回の選局を容易にしてくれます。

この機能は直近のラジオで例えるならば、生産終了したソニーのFM/AMステレオラジオSRF-A300の「ポインターマーク(放送局目安)」をつける操作と同機能と言えば分かりやすい?でしょうか。
プリセット選局は左右の頭出し表示をクリックすることで可能です。もちろんチューニング目盛りをスワイプし台形の赤いマークを探す手動選局も可能です。

以上からiPod nanoの操作感はデジタル世代だけでなくアナログ世代も満足させられるほどのものと思われます。



ところでiPod nanoのFMラジオには「放送中の曲や番組を一時停止する」後追い再生機能も搭載されています。言い換えるならばラジオ放送番組を途中で少し止め、後で止めた部分から聴き始めたり放送中のラジオ放送を少し巻き戻したりする機能です。

実はFMラジオ放送局を選び終わった直後からiPod nanoは内部で番組をバッファリング(一時保存)し始めています。このバッファリングは無効にできません。そのため実放送よりも耳に届く時間が最小0.3~0.5秒程度遅れているのです。iPod nanoのFMラジオは時計をラジオの時報に合わせる用途にはどちらかというと不向きです。

放送中の曲や番組を一時停止する」後追い再生機能操作の一例ですがラジオ番組の再生を一時中断するときは本体左側面の音量ボタン+と―の間にあるくぼみ部分をクリックします。
もう一度同じ部分をクリックすると一時中断した場所からFMラジオの番組が楽しめるのです。


ここで一つ疑問が。商品説明には「最大15分前まで巻き戻して聴ける」とありますが、果たして15分以上一時停止するとどうなるのでしょうか。さっそく検証してみましょう。

15分以上一時停止状態でiPod nanoを放置した後に番組を再生すると、最後に一時停止した直後の番組内容は一瞬再生されたものの、次の瞬間すぐに現在から15分前の放送が再生され始めました。どうやら常に最新のラジオ放送をバッファリングし15分を超えた後は古いデータから削除する仕組みになっているようです。

この仕組みを知った上でiPod nanoを操れば「放送中の曲や番組を一時停止する」機能がより快適に使えるでしょう。





■iPod nanoのFMラジオの音質

推測ですがFMラジオ放送は圧縮されiPod nanoの内部でバッファリングされているはずです。もしこれが事実とするならば果たしてバッファリング時の圧縮による音質の低下はどうなっているのでしょう。

ここではソニーのICZ-R100を使い44.1kHz 192kbps MP3で録音したデータとiPod nanoのFMラジオの再生周波数特性を比べました。比較はいずれも各機器のヘッドホン端子からPCへ入力し、フリーソフトSoundEngine Freeのスペアナ機能で測定します。

まずはソニーのICZ-R100再生波形から。
17kHz周辺まで録音されているように見えます。


次にiPod nanoの再生波形。
15kHz以上の周波数が全く再生されませんでした。ICZ-R100の再生波形と比べると2kHz付近から徐々に高音域が減衰しているように見えます。確かに聴感上もiPod nanoのFMラジオは聴きやすさを損なわない程度に高音域が抑え気味に聞こえました。

iPod nanoのFMラジオ放送は128kbps以下のMP3のようなシャリシャリした音は確認できません。192kbpsのMP3でもシャリ音が顕著に現れる手持ちのコンポーネントステレオでiPod nanoのラジオを再生しても全くといっていいほどMP3特有の圧縮ノイズは分かりませんでした。


気がついたのはこれだけではありません。ステレオ感が通常のラジオで聴取する場合と若干異なるのです。これはまるでハイファイコンポのハイブレンド(ステレオとアナログの中間状態で受信し聴感上S/N感を上げシャー音を減らす)のステレオ感にきわめて酷似しています。

バッファリングデータの圧縮が仮に事実ならばiPod nanoはステレオ感を少なくする代わりにラジオの聴きやすさを重視し、加えて高音域のデータを少なくし圧縮時の聴感上の音質の劣化を抑える工夫をしていると考えられます。つまりアップルのFMラジオのコンセプトとしてはコアなファンが求めるバリバリのハイファイ感ではなく、素人でも聴きやすいと思える音作り、かといって音質面でアラは出したくないという思想と思われます。




以上まとめますと第7世代iPod nanoは操作性や機能、音質あらゆる面でアップルが工夫をこらした芸術作品と思います。

FMラジオ機能を掘り下げるだけでもAppleの思想が見えてくるものです。たかがFMラジオですが、その「たかがFMラジオ」にここまでこだわるAppleはなかなかのものと思いました。仮にもしアップルが広帯域受信機とは言わないまでもポータブル短波ラジオを出したら・・・ほぼ間違いなくすごいことになるでしょう。

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