2014/08/24

ハムフェア(HAMFAIR)2014ぶらり散策

2014年8月23~24日に開催されたハムフェアの会場へ足を運びました。ここではよしおの視点で会場の主だった様子や製品を手に取ってみた感想などをご紹介します。



まずはアイコムのブースから。
アイコムはIC-7850(IC-7800のアニバーサリーモデル)、ID-51各アニバーサリーモデルを訴求していました。写真の映り込みは大目に見てください(汗)

上はID-5150周年アニバーサリーモデルの赤です。実際にこのアニバーサリーモデル本体を見たのは今回が初めてです。色はプラスチックプレートはめ込みではなくブラック本体への塗装で実現しているようです。

50周年記念のためか、過去モデルも一部展示されていました。

残念ながら8/28発売予定のIP67対応特定小電力トランシーバーIC-4350, IC-4350Lは気が付かずスルーしました。
見た目はIC-4300IC-4300Lとほぼ同じように見えますが八重洲無線から発売済みのFTH-308, FTH-308Lに搭載されているものとほぼ同等の個別呼び出しやグループ呼び出し、緊急呼び出し機能が新たに装備されることから今後八重洲無線の有力な対抗馬となりそうです。



次に第一電波工業のブース。

特設コーナーにはランドローバーのディフェンダー110?をベースに、ルーフへ可動式大型太陽電池を、フロントバンパーへヘッドライトまで伸びるグリルやウィンチを含むカスタムパーツを搭載した迫力のあるスペシャルなRVが登場。正面から向かってフロントバンパー左側には短波帯からローVHFまで運用できそうな、全長3メートルほどのロングアンテナを装備し、まるで北米や中南米の自然公園で使われていそうなコンセプトの大型デモカーです。

運転席に座るだけで顔が緩んでしまいそうです。これだけのアンテナと機材満載の無線車は運転するだけでも楽しいと思いますが北海道の大草原へこの車を走らせ無線運用すると間違いなく最高の気分にひたれることでしょう。

写真は念のため表示を加工していますが、ナンバーは取得済みですので北海道でのデモも秒読み段階でしょうか!?



HAM STARのブースです。

アイコム製、ケンウッド製、八重洲無線製など多種多様なリグを遠隔制御するリモートリグコントローラRRS-101のデモは大勢の方が集まっていました。他社製品と比べネットワークの知識がほとんどなくても設置可能な点を宣伝していました。

ブースには世界中で人気のあるエレクラフトのK3超小型オールモードポータブルトランシーバーKX3とスペアナなどを表示するパナアダプタPX3がありました。写真はKX3とPX3です。

RRS-101はCWを含めK3、KX3の遠隔操作にも対応しているとのことです。



八重洲無線のブースで目を引いたのは発売されたばかりの特定小電力トランシーバーSR100と発売予定のSR70です。

カラフルな無線機が並んでいますからブース内でもひときわ目立ちます。SR100については別途こちらにまとめてあります。

SR100とSR70の違いは価格(SR100よりも定価が4千円安い)とSR100からの一部機能(録音再生と振動着信)、自動チャンネル表示回転機能の省略です。このためSR100の録音再生ボタンはSR70ではケンウッドの特小無線機UBZ-BM20Rの音量アッテネート機能に似たミュートボタンとなっています。

電池蓋は思った以上に重厚に作られています。手に持つと凹凸のあるグリップがよく馴染みました。詳しくは書きませんがロングアンテナモデルが出る可能性もないわけではなさそうです。



CQ Ham Radioのブースです。

発売予定のフルデジタルSDR無線機TRX-305MBとフルオプション装備のTRX-305を展示デモ中でした。

TRX-305MBは本体に操作表示部がないためパソコンとUSB接続しコマンドライン上で操作します。このパワーアンプなしの状態で1ミリワットの出力が得られるとのことです。

こちらは操作パネルや5Wパワーアンプなどなどをすべて組み立てたTRX-305の製作例です。AORの受信機AR5001DAR6000のような外観です。

ケースを含む全部入りのTRX-305のお値段は20万円近くを予定しているそうです。一見、アイコムのIC-7410ケンウッドのTS-590八重洲無線のFTDX1200が買えてしまう価格設定に見えますが中身を理解しながら作れる自作キットという位置づけを考えると妥当ではないでしょうか。



いよいよAORのブースです。デジタル通信アダプタARD300と新型受信機AR-DV1コンセプトモデル、気象観測装置が展示されていました。お目当てはやはりデジタル音声受信機AR-DV1です。

業務用を意識したことで白となったそうです。今年2014年の流行色という話もありますがこれまでのイメージを刷新する色でいいと思います。よしおの予想はいい意味で見事に裏切られました。

コンセプトモデルですので最終仕様ではありませんが予定では従来のアナログ受信機能にデジタル復調モードや多彩な受信フィルター、SDHCカードに対応する録音機能、パソコン接続用USB端子などが装備されるそうです。内部はSDRとのことです。

展示されているコンセプトモデルを操作したところ、受信範囲は予定スペックより少々広めの0.1~1350MHzで351MHz登録局(DCR)やD-STAR、C4FMが復調できました。他にアルインコの一部方式や海外で主流のP25やNXDN、dPMRやDMRそしてデジタルモデムARD9800に採用されている狭帯域デジタル通信方式G4GUOの復調に対応予定とのことです。

展示モデルの音量やスケルチつまみはアナログボリュームではなくアルインコの製品などに採用されているものと同様のクリック感のあるプッシュボタン内蔵ダイヤルでした。ボタンはプニッとした押し具合ですので???という印象を持ちましたがまだ最終仕様ではないとのことです。なお補足ですが背面には現状、BNCコネクターと電源端子、AUXという入出力不明の3.5ミリジャック、そして3.5ミリのスピーカー出力端子がありました。

電源は12Vを予定し操作ボタンのバックライトは色を変えられるようになるとのこと。液晶バックライトの色も暫定とのことです。

AR-DV1の発売は来年2015年春頃で価格は10万円程度。AR8600MK2にARD300を外付けするよりもお求めやすくなるのは嬉しい限りです。

AR-DV1が製品化されていない状況で気が早いですがデジタル復調ハンディ機の製品化を尋ねたところ技術的に難しいようで現状未定とのことでした。国内未発売のスキャナー、ユニデンアメリカのデジタル復調スキャナーBCD436HPがすでに市場流通しているため難しくないのではと思ってしまいます。今後に期待しましょう。

このAR-DV1、ぎりぎりポータブル機サイズです。キャリングベルトを取り付けアウトドアへ持ち出したくなるような、すっきりとした雰囲気ですね。



最後にケンウッドブースです。TS-990のデモなどを行っていました。

TS-990以外の主だった新製品を見つけられなかったため、たまたま会場内の特定小電力3チャンネルをブースの特定小電力トランシーバーで受信したところUBZ-BH47FRが最も高感度ということが判明したり、アンテナ内蔵型=低感度と思っていたプレミオシリーズUBZ-S27Bが何故かUBZ-BM20Rよりも受信感度が高いように見え、ケンウッドの特小のうち個人的に最も音声が聞き取りやすいと分かったのは収穫でした。

ケンウッドブースの写真は忘れていた諸事情によりこちらが唯一となります.....。



さて。オチがついたところでまとめに入ります。

今回のハムフェアでは企業ブースは元より、例年に比べクラブブースも様々な企画を打ち出し終始大盛況だったと思います。掘り出し物もありました。

特に10年前では考えられなかった、年齢を問わず無線機を片手に会場を回る学生や10代~40代くらいの女性をあちこちで見かけたこと、コンテストなど各波での女性オペレータの活躍が印象的でした。関係各所でイメージアップを図ろうとされている方々が尽力されていらっしゃるようです。携帯電話や無線LAN等を除く、純粋な無線人口の拡大は大変ありがたいことです。

やはり競技場でスポーツ観戦する気分にも似た、会場ならではの一体感と言いましょうか、この雰囲気は実にいいものです。

ハムフェアは着実に進化しています。来年も参加したいですね。

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2014/08/22

アイコム IC-R6ミニレビュー

IC-R6はアイコムの広帯域受信機の入門機です。詳細は「受信機フル活用テクニックver.14」や「はじめての受信機操作ガイド」などの冊子に取り上げられていますのでここではIC-R6をこれまでに使った辛口の個人的な感想を簡単にお話します。
アイコム IC-R6



まずIC-R6を使い、特に気になった点を3つ紹介しましょう。


①ノイズがシャーシャーうるさい

ノイズとは電波が弱い時に音声に混ざり発生する「シャー」「サー」という音です。このノイズは航空無線やラジオ聴取時に特に気になる現象です。アルインコのDJ-X81など、これまで使用した受信機や無線機ではここまでの症状に遭遇したことがなく少々驚きました。

もちろんこれを少なくする機能、AFフィルターも装備されています。IC-R6は初期設定でAFフィルター機能が「OFF」となっており高音が強調された設定となっています。このためスケルチ解除時や航空無線受信で弱い電波を受信した場合、人によりますがこのノイズが耳障りな場合があります。

しかしメモリースキャン中やプログラムスキャン中にAFフィルター設定を変更しても変更は反映されません。最初故障と思いましたがどうやら仕様とのことです。

AFフィルター設定をIC-R6に記憶させる場合はスキャンを停止後、または各メモリーチャンネル毎に「ON」へ変更する必要があるようです。オプションのクローニングソフトCS-R6には「共通設定」の「拡張」項目に一括でAFフィルター設定を変更できそうな項目はありますが、現状IC-R6とよしおのPCが正しく接続できないため未確認です。



②よしおの生息地付近ではFMラジオだけが全く聴き取れない

アイコムの元祖広帯域受信機IC-R1を含む他メーカーのレシーバーや通常のラジオでは経験上この不可解な現象は発生していません。アイコムの技術の方へ相談するなどして理由を調べたところ、どうやら近隣のV-Highマルチメディア放送送信所からIC-R6がカブリを受けているらしいことが分かりました。

以上からIC-R6は200MHz帯のかぶりに弱そうです。入門機ならではのWFM(ワイドFM)のフィルター性能が必要最低限というのも原因の一つなのかもしれません。

幸いなことにこのような状況下でも200MHz帯のUHF航空無線は問題なく聞こえました。またこれ以外の周波数でカブリらしき現象は認められませんでした。IC-R6のフィルタ性能は放送以外の無線電波を受信する限りは優秀と思います。

補足ですが中波~短波帯の受信感度はアルインコのDJ-X81を含む他機種よりもホワイトノイズが大きく聞こえるためか、若干感度は低めに感じました。



③プログラムスキャン中、電波があるにもかかわらずスキャンが停止しない場合がある

具体的には繁華街で特小チャンネルをIC-R6と他機種(八重洲無線のVR-160など)で同時にスキャンしたところ他機種では難なくスキャンが停止し受信できたのですがIC-R6は一向にスキャンが止まらないことがありました。

スキャンが止まらない原因はおそらく受信電波が弱いためと思われます。冊子「はじめての受信機操作ガイド」2014年版の後半146ページで取り上げられた症状が再現したようです。
人里離れた山間部で受信中の様子



その他気になったことを強いて挙げるならば本体上部のダイヤルと上下キーに割り当てられている選局と音量が素早く切り替えられないこと、操作ボタンにバックライトがないこと、液晶のアルファベットをもう少し読みやすくして欲しいこと、WFMのフィルター性能向上、そして本体前面と厚みの比率が不釣り合いなデザインを何とかして欲しいことくらいでしょうか。
コメット SMA-W100RXアンテナ装着例


個人的な意見としてスマートフォンや携帯電話がリチウムイオン全盛の現在、市販のモバイル電源に繋ぎ充電できれば敢えて時代に逆行して単3電池駆動としなくてもよいと思います。

次機種ではID-31やID-51で採用された初心者にもわかりやすい操作性や液晶の大型化、より一層の携帯性重視といったバージョンアップを望みます。ただ鉄道や消防、ライフラインの無線や簡易業務などが順次デジタル化している状況から、次機種もアナログ専用機ですと恐らく需要は多くないだろうことが悩みの種でもあります。



まとめとして、アイコムのIC-R6は他機種と比べ基本性能が優秀なアナログ波専用受信機です。入門機でありながら受信性能はハンディ機の中でトップクラスを誇ります。
オプションLC-146A装着例


上記の不満3点はありますが、裏を返すとそれ以外は満足しているということです。操作に慣れは必要ですが他機種と比べると圧倒的に不正受信がなく、高感度で低価格なためエアバンドリスナーを含む初心者におすすめしたい受信機です。

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