2011/06/29

ケンウッド、悪天候下の使用を可能にした特小無線機

ケンウッド史上最もタフな特定小電力トランシーバーが発表されました。


優れた防塵・防水性能と堅牢性で悪天候下の屋外でも確実に業務をサポート
 特定小電力トランシーバー DEMITOSS PRO 「UBZ-BM20R」を新発売

個人的にはUBZ-BG20Rの後継機種ではないかと推測します。
型番末尾の"R"は残念ながら輸出仕様のRではなくスポーツグレードを示すRとも少し違い.....などという前置きはここまでにして、UBZ-BM20Rにはケンウッドの特定小電力トランシーバー史上かつてない防水性能と耐衝撃性能を誇っています。


カタログスペックを見ると至る所に現場での使用に配慮した文句が見て取れ、なかなかやるな!ケンウッドという感じを受けます。一部抜粋しますと
・簡単に音量を上げ下げできる音量アッテネート機能
・内蔵スピーカーの音声品質を高めたBTLアンプ
が目につきます。まず
> ・簡単に音量を上げ下げできる音量アッテネート機能
についてメリットを考えてみましょう。
音量アッテネート機能は量販店などお客さんとの直接的なやり取りでの使用が想定されていると思われます。確かに考えてみると急なお客さんとの対応中いきなりトランシーバーから大音量で音声が流れてきたときはトランシーバーを普段使い慣れている人であっても「音量どこだ~」と慌てることがあります。音量アッテネート機能ボタンの使い方を使用者に伝えておけばこのように慌てることは少なくなるはずです。

> ・内蔵スピーカーの音声品質を高めたBTLアンプ
よしおは現行品UBZ-BG20Rを使ったことがあります。UBZ-BG20Rはカタログスペック上低周波(AF)出力が50mW以上とありますが実際使ってみると最大音量でキンキン音が割れるものの200mWはあるのではというほどの大音量で聞こえます。UBZ-BM20Rもカタログスペック上は50mW以上とありますが「2つのアンプを組み合わせて音声信号を増幅し、高音質を実現するBTLアンプを採用。コンパクトな内蔵スピーカーでのクリアな音声を実現しました。」という宣伝からすると実使用ではUBZ-BG20Rを上回る快適なコミュニケーションが可能と推測できます。

そのほかにも
・のぞき見防止のためのチャンネル非表示機能
は量販店ではほぼ必須でこれにより液晶表示をシールで隠すといった手間が省ける機能や
・ネーム登録・表示機能(最大4文字の英数字)
という特定小電力トランシーバー史上初ではないかと思われる機能も装備しているため環境によってはこれらの機能の使用で業務が円滑に進むことが期待できます。



次に筐体のデザインから使いやすさを検証しましょう。
最初に気になるのがアンテナの取り付け位置です。現行機種UBZ-BG20Rは本体後部からアンテナが生えて(笑)おり、腰につけて長期間運用し続けた場合アンテナの根元に負担が掛かる問題がありました。今回発表されたUBZ-BM20Rのアンテナはそれを解消するべく本体上面の左中央付近から生えていることから、腰にトランシーバーを取り付けたとき無線機のアンテナ根元への負担が減っています。

音量ツマミは特定小電力トランシーバーではこれまで常識でしたがUBZ-S27/20やモトローラのMS50が発売された前後から廃止する方向に各社向かっているようです。音量ツマミのない無線機を使ったことがないので実際どうなのかは分かりませんが、考えてみるとiPodやWalkmanではすでに回転式の音量ツマミを採用していません。音量ツマミなしのほうが出っ張りがなく誤操作が少なくなること、トランシーバーのデザインに自由度が増すことなどが予想でき、新たなトランシーバーの用途が開拓できるかもしれません。



従来のDEMITOSSのデザインを受け継ぎながらどことなくこれまでの機種以上にプロっぽさが垣間見えるUBZ-BM20R。価格は他メーカーよりも高めの設定ですがカタログスペックや製品写真を見る限りトランシーバーとしての性能を研究し尽くしている感じを受けるため使用感は好感触になりそうです。アンテナが気持ち長いことから屋内での使用は場合によっては不便(その場合はアンテナのないUBZ-S27、UBZ-S20がおすすめです)かもしれませんが距離をかせぎたい環境や水まわり、過酷な屋外で酷使する用途にはまさにうってつけの無線機と言えましょう。

2011/06/23

簡易扇風機、形状変更後

先日自作扇風機をお披露目(詳細は文末参照)しましたが・・・デスクに置くとどうしても使い勝手が悪いため使いながら扇風機の形状を総合的に考慮した結果、こんな形になりました。


秋葉原で売っていたコンパクトカメラ用三脚を台座に使っています。ティッシュやA4用紙を余裕で吹き飛ばす扇風機としての性能は前回製作時から受け継いでいます。

前回のデザインと比べポケットに入れて扇風機を駆動することは難しくなりましたが上の写真のような形状ですと好きな向きに風を送ることができます。唯一の難点はあまりにも風力が凄まじすぎる反面モーターとプロペラ(ブレード)の振動が机に響き渡るため、マウスパッドなどやプチプチといったクッション材が必須なことです。

これで手で持たなくても扇風機の恩恵にあずかれます。それにしても固定器具を変えるだけで扇風機の印象ってのはこうも変わるものなのかと思いました。


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[関連記事]
簡易扇風機の自作

2011/06/22

簡易扇風機の自作

本日は九州地方が梅雨明けしたとのことで各地猛暑となりました。よしおの生息地域も猛暑に見舞われ、あまりにも暑く我慢できなかったので急場しのぎにありあわせの材料で扇風機を作ってみました。

なにぶん急場しのぎで組み立てたためデザイン云々はなく、機能を満足すればよい状況なのはご勘弁いただくとして、あくまでも参考ですが使った材料を記しておきます。
・モーター
・スライドスイッチ
・単3電池ケース
・リード線
・プロペラ(直径20センチ大)
・単3充電式電池x2
・ポリスチレン棒(30センチ長)

思いつけば小学生でも作れる非常に簡単なものですが、いざ使う目的を考えたとき空き缶やペットボトルを台座にするかなどで1時間ほど考え込んでしまい、結局このプラスチック棒にモーターと電池をくくりつける組み合わせにたどりつきました。これならポケットに差したり、いすに座った状態で床に置きパンツ(ズボン)を冷やしたり、うちわの代わりとして手で持ちながら歩くことができます。

工作のポイントとしては
①乾電池よりも充電池がおすすめ
②使うプロペラで扇風機の性能が大きく左右される
です。
①の理由は充電池を使った場合乾電池よりも電圧が長時間安定し回転数が落ちにくいためです。②は実際に製作するとわかります。よしおは当初紙で羽根を製作しましたが厚紙の場合回転時に羽根が寝てしまい風が周囲に拡散し思うような性能が発揮できなかったり、製作後数時間のうちに湿気で羽根が曲がってしまう状況に遭遇しました。ですので現在は手持ちの玩具に付属していたプラスチック製のプロペラを使用しています。

モーターは手持ちに太陽電池用(1.5V)以外に見当たらなかったことから仕方なくこれを無理やり3Vで駆動しています(絶対に真似しないでください)。恐らくそれが理由でしょうが動作数分でモーターがかなり熱くなりました。コンデンサをつけていないためモーターの内部できれいなスパークがよく見えます(笑)。
定格を越えて駆動しているため当然といえば当然ですが扇風機としての性能は3V駆動にもかかわらず、USB駆動の5Vミニファンと同等かそれをしのぐものになっています。


と、ここまでお読みいただいた方で察しの良い方は「扇風機買えよ」と言われることでしょう。まさにそのとおりと思います。ただ電池駆動の扇風機が少ない中でこのような傍に置ける簡易扇風機を作れば夏場の節電中にきっと威力を発揮するでしょう。また市販品が多い中、“手作り”を主張する扇風機があると職場の話のネタの一つになると思いますがいかがでしょうか。

2011/06/16

アイコム、原発周辺一時帰宅者へ無線機提供

アイコムアメリカの公式サイトに掲載されています。

Icom Supplies Radios to Victims of Nuclear Accident(英文)

このニュースリリースによるとアイコムは福島原発の立ち入り制限区域内に立ち入る一時帰宅者に対して無線機の提供と防護服を装着した状態での無線機操作をレクチャーするスタッフを現地入りさせたとあります。
恐らく立ち入り制限区域に入る被災者に対して無線機の使い方を指導したものと思われますが、無線機メーカーが無線機だけでなくトランシーバーの使い方を教える技術者も派遣するのは異例であり、アイコムの復興支援への取り組みに熱いものを感じます。

アイコムが被災地に600台無線機器を送ったことは以前当ブログでもお伝えしました(文末、関連記事参照)が、この報道資料によるとこれまでにアイコムが東北・関東大震災被災地に提供した無線機の内訳は
IC-4100(特小)...300台と充電池&充電器
アマチュアハンディ機...200台と充電池&充電器
IC-D50(登録局)...100台
とのことで、非常に多岐に渡っています。


今回の災害は皮肉にも携帯電話と比べた場合のトランシーバーの優位性を一般の方が理解する大きなきっかけとなりました。ニュース報道などで無線機はライフラインを支える縁の下の力持ちのためクローズアップされることは多くはありませんが現在でも復興に向けトランシーバーが警察、消防、自衛隊、民間ボランティアの方々の多大な助けとなっていることは間違いありません。

左から免許資格不要のIC-4300L(ロングアンテナ)、免許不要資格要の薄型ハイパワー機IC-DPR6、同中距離用IC-DPR3です

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[関連記事]
各無線機メーカーが大震災対応状況を発表

2011/06/08

MOTOTRBOとは ~ 無線用語

不可抗力で買ったばかりの無線機のロッドアンテナを誤って折ってしまいショックで沈んでいるよしおのつぶやきが今日も始まります。今回はMOTOTRBOを取り上げましょう。

モトローラが提唱するデジタル方式無線通信プラットフォームをMOTOTRBOと言います。MOTOTRBOの内容を簡単に説明しますとコーデックは国内でもおなじみの登録局や簡易業務用に使われ始めているAMBE+2(文末参照)、簡易的なテキストメッセージ機能をサポートしオプションでパソコン同士のデータ通信やGPSによる端末間の位置情報交換も可能です。またMOTOTRBOの携帯端末にはIP57と米軍規格810のC、D、E、Fに準拠し電池の持ちを向上するINPRES技術を実装しています。

MOTOTRBOの最大の特徴は12.5kHzのチャンネルスペースに最大2つのスロットを持つTDMA(時分割多重)方式を採用していることです。
同社のパンフレットを斜め読みしますとTDMAを採用することで主に
(1) 従来のアナログ方式よりも電池の持ちが最大40%向上
(2) 1波で2回線確保できるため電波に掛かる費用(税金)が6.25kHzのFDMAよりも安価
であることが大きくアピールされています。デジタル化による通話の高信頼性という内容もありましたが内容が具体的ではなく、実際に無線システムを導入する立場として確実性を重視するのか音声の圧縮・伸張に掛かる遅延を問題とするかなど好みが分かれますのでこの話題については触れないことにします。

まず
 (1) 従来のアナログ方式よりも電池の持ちが最大40%向上
を検証します。ここでは検証にMOTOTRBOに対応したXiR P8260はアナログとデジタルの両方に対応したハンディ機のスペックを見ましょう。
・XiR P8260スペック表:MOTOTRBO™ Portables(英文pdf)

P8260スペック表の電池の持ち時間を見ますと1500mAhのバッテリー使用時、アナログでは9時間に対してデジタルでは13時間、つまりデジタル方式で通信するとアナログよりも1.44倍ほど電池の持ちがよくなると記載されています。アナログ無線回路が“手抜き”の可能性も否定はできませんが宣伝どおりの電池持続性能となっているようです。

次に
 (2) 1波で2回線確保できるため電波に掛かる費用(税金)が6.25kHzのFDMAよりも安価
を考察します。国内ではアマチュア無線やライセンスフリー無線、MCAなどを除き、無線局免許を受ける場合1つの周波数に対して原則1つの免許状が交付されます。そう考えると確かにTDMAのほうが税金というランニングコストがFDMAよりも少なく済むと考えられそうです。


ここからは余談となりますがもしかすると現在の無線通信の多くでスペクトラム拡散通信を行っている理由としては電波の有効活用もさることながら実は電波に掛かる税金が安くなることもあるかもしれません。もっとも携帯電話の電波利用税は包括免許のためこの限りではないかもしれませんが・・・。

このように考えると、もし海外でも日本と同じような電波利用税のスタイルである場合、これまで何度か取り上げました25kHzの占有帯域で4つのスロットを使えるTETRA(文末参照)は長期的に見ると非常ににリーズナブルな方式と言え、他の方式以上に普及する理由が納得できます。

デジタル化はわたしたち受信家にとっては死活問題でありますが解釈によっては従来の倍以上周波数帯域を有効活用できる訳ですから利用者の視点で見るとランニングコストを抑えるチャンスと言えましょう。とするとデジタル化による「電波の有効活用」という政府のスローガンは私たちにとって二次的と言えなくもありません。



[参考資料]
MOTOTRBO™ SYSTEM(英文pdf)

[関連記事]
TETRAとは・・・
TETRA無線機が各国で徐々に配備拡大中
米FCC、TETRA向けに規制緩和を検討
AMBE+2とは~無線用語

2011/06/06

はんだづけカフェに行ってきました~

うわさで秋葉原に半田付けできるスペースがあることを知りインターネット上で探したところ、はんだづけカフェの存在を知ったので初めて行ってきました。このはんだづけカフェはアーツ千代田3331の3階にあります。


アーツ千代田はかつての中学校を改装した建物のため内部はかつての校舎の面影がそこここに見え隠れしています。はんだづけカフェのスペースには学校のロッカーをリサイクルしたと思われる棚に所狭しとはんだづけに必要な道具などがおいてありました。


カフェにいらっしゃる皆さん、年代がさまざまではんだ付け以外にもいろいろなことをされており和気あいあいとした雰囲気で過ごせました。スタッフの方の知識はかなりのもので圧倒されました。そんな中よしおが作ったのはこちら。

オーディオパワーアンプICの386を使ったマイクアンプです。ユニバーサル基板で配線の引き回しを考える必要があったため敢えてはんだづけしました。非常に簡単な回路ですがこの日はスタッフの方が自作されたガイガーカウンター関連でテレビの取材が来たり周りの方とつい話してしまったこともあって完成までに数時間以上掛かりました(汗)

はんだづけカフェ、秋葉原駅から多少離れていますがこのように小学生くらいから大人まで、みんなで気軽にはんだづけできる環境は非常にありがたいものと思います。

2011/06/04

TETRA無線機が各国で徐々に配備拡大中

FCCは先日TETRAアソシエーションに対して450~470MHzと800MHzのESMRバンド(文末関連情報参照)でのTETRAの運用の許可を示唆する内容のコメントを発表しました。そんなアメリカのTETRAネットワークの拡大の可能性の波に乗ってか乗らずか、各国でTETRA無線システムを導入する動きがあります。

フランスでは近々開かれるG8サミットの警備に向けてTETRAネットワークの採用が決定したとのことです。軍や警察などが利用することから高い秘話性能が評価されたとのことです。G8のTETRAネットワーク利用者は10000人とも言われており少なくとも数千台のTETRA無線機がフランスのG8で使用されると考えられます。

スリランカのコロンボ近くにあるBandaranaike国際空港では空港内業務用にTETRAネットワークの採用が決定しました。TETRAの信頼性とネットワークの拡張性を評価したとのことです。

タイではバンコク市内に電気を供給する最大手の電力会社がTETRA通信システムを核とすることに署名しました。TETRAが採用された理由として広域ネットワークの利用が可能なこと、音声通信とデータ通信の両方が活用できることが挙げられています。TETRAネットワークはバンコク、ノンサブリ、サムート・プラカーン周辺で使用されるとのことです。

アメリカではモトローラが500MHz以下の帯域でデジタル通信をするべきでないと主張しており、未だにTETRAの400MHz帯への導入に難色を示していますが世界ではTETRA市場がじわり拡大中のようです。


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[関連情報]
(E)SMRバンド - NTT情報通信用語集

2011/06/02

AOR、AR5001DとAR2300制御ソフト公開

AOR公式サイトでAR5001D用とAR2300用のコントロールソフトウェアが公開されました。ダウンロードページは下記です(英文)。

http://www.aorja.com/support/software.html

ここから先はAR5001Dを例に説明します。このソフトによりPC(パソコン)でAR5001Dのスペアナ表示や電源入切をはじめとした機能のコントロールが可能となります。AR5001Dへの実際の導入方法ですがソフトを上記Webサイトからダウンロード後、USBドライバーをインストールしPCとAR5001DをUSBケーブルでつなぎコントロールソフトを起動することでPCからのAR5001Dの操作が可能となります。補足ですがこのソフトはWindows2000~7(32bit)に対応しています。Macユーザー、Unixユーザー、AndroidユーザーはWindowsの動作環境を整える必要があります。64bitのWindows環境をお持ちの方はソフトをダウンロードし動作を試すとよいでしょう。

AR2300とAR5001Dのソフトはどちらもほぼ共通のユーザーインターフェースとなっているためAR2300をご使用の方ならAR5001Dを容易に使いこなせるはずです。よしおはAR8000を所有していますがAR8000の発売当初は受信機本体をPCからコントロールする場合ソフトを自作しなければならず、パソコンからの受信機のコントロールは非常にハードルが高かったことを覚えています。それと比べると本当にいい時代になったと思います。

2011/06/01

【公開終了】YAESAからビギナー向けデュアルバンド機!

本記事は期間限定公開記事につき、公開終了しました。
見に来てくださった皆さんありがとうございました。

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6/1 エイプリルフール企画開催します!