最初にAMBEとは米国Digital Voice SYSTEMS, Inc(DVSI)が開発したAdvanced Multi-Band Excitationの略であらかじめ用意された、細かく砕いた音の破片を音声に当てはめたり(復号化)、その逆(符号化)を行うボコーダーを利用した音声圧縮方式の名前もしくは音声圧縮技術の名称で、2~9.6k(キロ)bpsという超低転送レートで音声を符号化、復号化します。
AMBEは4kbps周辺の再現率が他のコーデックと比べ若干劣っていたことからアルゴリズムを見直したものがAMBE+2となりました。AMBE+2は現在ではAPCO P25の無線通信や各種衛星電話などで広く使われている信頼度の高い音声圧縮方式です。
身近な実際の使用実績ではAMBE+2の前身となるAMBEがアイコムとJARLが提唱するD-STARのDVモードとして採用され、現在発売中の登録局デジタルトランシーバーを含めた国内市場の無線機器ではAMBE+2の4.8kbpsモードが多く使用されているといったところです。このAMBE&AMBE+2の音声圧縮技術によってクリアなデジタルモードでの狭帯域(6.25kHz)通信が可能となりました。
・・・とここまでAMBE+2とは何ぞやを超簡単に説明してきましたが文章だけでは面白くないのでDVSI社のサイトで見つけた、登録局トランシーバーに実装されているビットレート4.8kbpsと同程度の4.0kbpsで符号&復号化したAMBE+とAMBE+2の音声(WAVEファイル)を聴き比べてみてください。実際に無線機でFSK変調し飛ばした音声とは限りませんのであくまでも参考程度ということで。
[オリジナル音声]
・男性の声
・女性の声
[AMBE+符号&復号後]
・男性の声
・女性の声
[AMBE+2符号&復号後]
・男性の声
・女性の声
よしおも聴いてみましたがAMBE+とAMBE+2の違いはまったくといっていいほどわかりません。ただオリジナル音声と符号&復号後の音声を比べると後者が若干鼻の詰まった音になっている印象を受けました。これならカゼを引いて会話しても分かりませんよね、多分・・・。
ただメーカーもこの辺りは承知しているはずですから実際の製品、無線機器では若干の音質改善を施していることでしょう。
DVSI社はこのAMBE+2用DSPを「低コスト」と称していますがアルインコの登録局デジタルトランシーバーDJ-DP10で採用されなかった状況やユニデン・GREのAPCO P25復調に対応した広帯域受信機と非対応のものの価格差を見てしまうと立場によっては「低コスト」とは言えないのでは?と思いました。いずれにせよ今後無線機のデジタル化が加速すればデジタルトランシーバーも現在の特定小電力トランシーバーより若干頭が出る程度の低価格で作られるでしょうが、デジタル化・・・どうしても気持ち複雑です。
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