2011/04/27

警察が無線受信を含めたiPhoneアプリを提供

今日はアメリカの警察が警察無線受信を含めたiPhoneアプリを公式に提供開始したという話題をお届けします。

アメリカカリフォルニア州サンタクルーズ(といってもサンタクロースの話題ではなく地名です)警察が一般市民向けの情報を提供する公式のiPhoneアプリ提供開始を発表しました。このiPhoneアプリはiTunesやアップルストアから無料でダウンロードして使用できるようです(ダウンロードはこちら)。

このiPhoneアプリはアメリカカリフォルニア大学の卒業生Kushyar Kasraie氏とJamieson Johnson氏が2009年に設立したEZ Axess社が開発し、受信機で受信できるリアルタイムな警察無線の受信機能やリアルタイムの犯罪発生マップ、警察署に勤務する方々が作成した最新ニュース、サンタクルーズ警察の公式YouTubeチャンネル動画、最近のサンタクルーズ警察のイベントなどの写真などへのアクセスが可能となっています。

当記事では以前にも警察無線受信アプリ関連の話題(最下部の関連記事参照)をお伝えしましたが警察公式の無線傍受iPhoneアプリはアメリカ国内であってもそうそうお目にかかれるものではありません。アメリカの情報公開の懐の広さにあらためて感銘を受けました。日本でも警察無線が傍受できるシステムをぜひとも作って欲しいなあというのがよしおの個人的意見です。


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[関連情報]
City of Santa Cruz  Police(英文、「Santa Cruz Police Release First Consumer-Focused iPhone App in Nation」の見出し)

[関連記事]
連続銀行強盗が警察無線アプリを使用!?

2011/04/25

【一部訂正】KDDI、CDMA1X系サービス終了を発表

今年の2/24に当ブログで予兆を事前にお知らせしたとおり、auの860MHz/915MHz帯を使用する3Gサービス、すなわちCDMA1Xサービスの終了がKDDIから正式に発表されています。

「CDMA 1X」などのサービス終了等のお知らせ  2011年  KDDI株式会社

今回のauのCDMA1Xサービス終了の事前の2/24時点の記事とその詳細は最下行の関連記事を参照いただくとして、簡単に振り返りますと移動局(携帯電話)側が送信する、au用に割り当てられている915MHz~925MHzが総務省の方針により「電子タグシステム等」に割り当てられ今後使えなくなることが原因です。

auの3G網は今回2012年7月22日にサービスが終了する800MHz帯と2.1GHz帯、さらに「新800MHz」に割り当てられており、このうちの「新800MHz帯」を除く800MHz帯を使用する携帯電話のサービスが終了します。
「新」があったりなかったりの800MHz帯ですが「新800MHz」とは具体的に825~829MHzと843~845MHz(左記はいずれも基地局側の周波数)です。「新800MHz」の合計使用帯域幅は6MHzで、旧800MHzの使用帯域幅が10MHzだったことから2012年7月23日以降auの携帯電話の800MHz帯使用割合が実質4割減、つまり800MHzだけに限った場合、基地局サービスエリア内で一度に通話できるユーザー数がこれまでよりも約4割減となり残りは2.1GHz帯での通話となるか、2.1GHz帯サービスエリア外ではこれまでよりも通話制限の可能性が増えることになります。

auの3G網は「新800MHz」以外に2.1GHzにも約13MHz分割り当てがありますから2011年現在、すべての3Gサービスが完全に終了にはなりませんのでご安心ください。ただ旧型CDMA端末をお持ちの一部auユーザーの方は端末の交換または買い替えが必要となります。実際にどの機種がサービス終了になるかはKDDIが公表しています(上のリンクを参照)のでそちらをご覧ください。

※4/26、サービス終了日を訂正しました


[関連記事]
auの3G網サービス終了カウントダウン開始か?

2011/04/22

「特小」無線局が「特中」化の兆し

それは昨年10月に総務省が国会に提出した「放送法等の一部を改正する法律」が発端でした。

放送法等の一部を改正する法律案 | 概要(pdf)

上記pdfの3ページ目「2.電波法関係」「(2)免許不要局の拡大」にある文を見ると「免許不要局の空中線電力の上限を0.01ワットから1ワットに見直す。」とあります。0.01ワット=10mWの免許不要局で思い浮かぶのはコンサート会場や劇場で使う特定小電力ワイヤレスマイクロホンや特定小電力コードレスホン、特定小電力トランシーバー、テレメータ設備や医療機器用の特定小電力無線設備などで、これらは免許・資格が不要でだれでもすぐに使えしかも電波出力が1mW~10mWなので「免許不要局の拡大」に見事に合致します。

上の「放送法等の一部を改正する法律」の資料には「施行期日」が「公布の日から9月以内の政令で定める日」とあり昨年(2010年)11月26日に成立し同年12月3日に告示、つまり公布されましたから遅くとも今年2011年の9月には施行されます。
つまり早くとも今年中に電波出力が10mWを超える特定小電力ワイヤレスマイクや放送中継装置、小電力コードレスホン、そして特定小電力トランシーバーが商品化されるかもしれないってことです!!


・・・と、はやる気持ちを抑え少し冷静に考えると疑問や問題が思い浮かびます。たとえば
 a) 1Wまで使用できる周波数や変調方式、占有周波数帯域は従来とまったく同じ?
 b)10mW機と混信時、1W機が勝ち10mW機は送信しづらくなる問題をどうする?
などです。これらの疑問・問題は1Wが出せる専用の周波数を空いている(特定小電力トランシーバーの場合421.9375~422.025MHz、前後12.5kHzをガードバンドとするなどの)帯域へ新規に割り当て、既存周波数運用時は最大出力10mW制限とすれば解決できそうです。新たな設備投資の問題もありますが1W化のために結局設備投資は必要になります。いかがでしょうか。


難しい話はこのくらいにして話題を戻しましょう。トランシーバーに限定するならば1Wはミニパワークラスと同等の送信出力を持つトランシーバーが誰でも自由に使えるということで、非常に驚くべきことです。私よしおの周りでも業務で特定小電力トランシーバーを使っているときに「あと少しで届くのに中継器を使っても届かない・・・」という状況の方がおり、苦労されているのを知っていますのでぜひこのニュースを教えたいと思います。

いよいよ送信出力が1WまでOKとなる特定小電力無線設備。1Wは今までの感覚からするともはや小電力ではなく中電力もしくは大電力と呼ぶべきでしょう。1Wであれば3.7Vのリチウムイオン電池で駆動できる範囲ですから本体の大型化にはそれほど結びつかないはずです。各社からの新製品発表に今からわくわくしています。


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[参考資料]
総務省|新規制定・改正法令・告示 法律

2011/04/20

AMBE+2とは~無線用語

テレビ放送のデジタル化の波に乗ってか乗らずか、無線の世界でも急速にデジタル化が進んでいると言われています。最近登録局なるハイパワーデジタルトランシーバーが国内メーカー各社から発売され、その飛距離ゆえに好評を得ているようですが各社の商品説明に必ずといっていいほど「AMBE+2」の文字があります。今日はこのAMBE+2を少しだけ掘り下げます。

最初にAMBEとは米国Digital Voice SYSTEMS, Inc(DVSI)が開発したAdvanced Multi-Band Excitationの略であらかじめ用意された、細かく砕いた音の破片を音声に当てはめたり(復号化)、その逆(符号化)を行うボコーダーを利用した音声圧縮方式の名前もしくは音声圧縮技術の名称で、2~9.6k(キロ)bpsという超低転送レートで音声を符号化、復号化します。

AMBEは4kbps周辺の再現率が他のコーデックと比べ若干劣っていたことからアルゴリズムを見直したものがAMBE+2となりました。AMBE+2は現在ではAPCO P25の無線通信や各種衛星電話などで広く使われている信頼度の高い音声圧縮方式です。
身近な実際の使用実績ではAMBE+2の前身となるAMBEがアイコムとJARLが提唱するD-STARのDVモードとして採用され、現在発売中の登録局デジタルトランシーバーを含めた国内市場の無線機器ではAMBE+2の4.8kbpsモードが多く使用されているといったところです。このAMBE&AMBE+2の音声圧縮技術によってクリアなデジタルモードでの狭帯域(6.25kHz)通信が可能となりました。

・・・とここまでAMBE+2とは何ぞやを超簡単に説明してきましたが文章だけでは面白くないのでDVSI社のサイトで見つけた、登録局トランシーバーに実装されているビットレート4.8kbpsと同程度の4.0kbpsで符号&復号化したAMBE+とAMBE+2の音声(WAVEファイル)を聴き比べてみてください。実際に無線機でFSK変調し飛ばした音声とは限りませんのであくまでも参考程度ということで。
[オリジナル音声]
男性の声
女性の声
[AMBE+符号&復号後]
[AMBE+2符号&復号後]

よしおも聴いてみましたがAMBE+とAMBE+2の違いはまったくといっていいほどわかりません。ただオリジナル音声と符号&復号後の音声を比べると後者が若干鼻の詰まった音になっている印象を受けました。これならカゼを引いて会話しても分かりませんよね、多分・・・。
ただメーカーもこの辺りは承知しているはずですから実際の製品、無線機器では若干の音質改善を施していることでしょう。

DVSI社はこのAMBE+2用DSPを「低コスト」と称していますがアルインコの登録局デジタルトランシーバーDJ-DP10で採用されなかった状況やユニデン・GREのAPCO P25復調に対応した広帯域受信機と非対応のものの価格差を見てしまうと立場によっては「低コスト」とは言えないのでは?と思いました。いずれにせよ今後無線機のデジタル化が加速すればデジタルトランシーバーも現在の特定小電力トランシーバーより若干頭が出る程度の低価格で作られるでしょうが、デジタル化・・・どうしても気持ち複雑です。

2011/04/18

AORが今年(2011年)参加する展示会を発表

少々古い情報と思いますが無線通信の権威、AORから2011年開催予定の、無線関連の展示会参加予定がAOR公式ページに掲載されています(日本国内向けページには記載がありませんでした)。

Tradeshow  AOR,LTD. Authority On Radio Communications(英文)

なんと、国内では今年2011年開催予定のハムフェアとラジオライフ主催の東京ペディションに参加予定とのことでうれしいじゃないですか!

もう今から待ち遠しくてたまりませんが電力不足問題もあるので特にハムフェアがそもそも開催されるのか心配です。
開催予定地である東京ビックサイトの屋根が開放できれば万事オッケー!なのですが・・・今からでも遅くはないので自然光の入りやすい場所に開催地を変えるか、来場者全員が懐中電灯を持参する方法でもいいのでとにかく開催中止だけは回避してほしいですね。

2011/04/16

2015年、4GネットワークがGPSを妨害する!?

カゼでしばらく更新をお休みしていましたが本日から再開します。

さてアメリカからYahoo!ニュースの記事です。

Planned wireless Internet network threatens GPS - Yahoo! News(英文)

この記事は次世代ワイヤレス高速インターネット回線の電波がGPSの周波数帯と極めて近く、その電波がGPS受信機に影響をおよぼしかねないという見出しで始まっており、カーナビやスマートフォンのGPS機能、GPSハンディ受信機などが影響を受けるとGPS受信機メーカーが警告しているといった内容です。

記事によりますと今回ワイヤレス高速インターネットサービスを開始するのはバージニア州にあるライトスクウェアード社(アメリカの主要携帯電話会社の基地局を整備している会社)の無線通信網で、アメリカ連邦通信委員会FCCのお墨付きを得てのサービス開始だそうです。この高速ワイヤレスインターネットサービスが開始された場合"GPSへの潜在的なリスクは非常に大きく予想できない。1箇所あたり何百万平方キロメートルのGPS使用不能地域がアメリカ全土で4万箇所発生するだろう"とあるGPS機器を製造するメーカーの副社長が話しています。

FCCは今年2011年1月にライトスクェアード社に対してGoサインを出していいます。FCCのスポークスマンRob Kenny氏が"我々は既存のGPSシステムが確実に機能するため問題のあらゆる解決策を有している"と話したことからFCC側としては2015年完成予定の4GネットワークがGPSに影響を及ぼす可能性が低いと判断したとみて間違いないでしょう。ただこのまま状況が進んだ場合、2015年にはアメリカ全土の92%がこの高速ワイヤレスインターネットサービスの電波で埋め尽くされるのは事実のようです。

GPSは1.5GHz帯(1575MHz)を使用していますがこの記事にはライトスクェアード社が敷設する4G網の周波数や電波の送信出力など、定量的な情報がまったくといっていいほどありません。そこで最低限、現状を把握するべくGPSの周波数に隣接するアメリカの現在のバンドプランをFCCのサイトで調べてみたところ以下の結果が得られました。


・1535-1559MHz
 - GMDSS(10年ほど前にSOSの代わりとなった全世界共通の遭難・救難信号送出システム)

・1559-1610MHz
 - 飛行機の無線航行用(飛行機-衛星間)、地上DGPS(GPS誤差補正信号を出す地上局)
・1559-1626.5MHz
 - 飛行機の無線航行に必要不可欠な移動通信用
・1559-1626.5MHz
 - 次世代技術開発用(やむを得ない場合のみ)
・1400-1727MHz
 - 宇宙からの電波天文用
・1610-1626.5MHz
 - 飛行機の無線航行用(飛行機-衛星間)、宇宙飛行士通信用
・1626.5-1660MHz
 - 飛行機の無線航行用(飛行機-衛星間)

これを見る限りですと今回のアメリカでの4G網敷設による影響はアメリカ上空を飛行する飛行機や周辺を航行する船舶、宇宙人を探す電波探査などといった分野へも影響を与えそうでアメリカ周辺に限らず地球上の広い範囲に及びそうです。
アメリカがこれほど4G網の整備を急ぐ理由はFCCの公式ブログをちらっと見た限りですとここ十年でスマートフォン需要が急速に拡大し電波が足りなくなるとの予想を見越したバンドプラン変更と私よしおは解釈しています。

残念ながら今回新設される4G網が実際にどの程度の周波数を使いどの程度分野ごとに影響があるのかまでは調べられなかったため影響範囲は何とも言えないですが、少なくともこれはアメリカだけの問題ではなさそうな気配がします。また通信機器が使う周波数は近年グローバル化が進んでいるためアメリカ以外でもこの問題が発生する可能性があるかもしれません。

2011/04/06

radiko、関東&関西の周辺放送局が充実化

先月3月25日から中部地方のラジオ局の実用化試験配信も開始されたradikoですが今度は関東地方・関西地方それぞれにある都市部近隣の放送局が新たに加わるようです。

関東・関西周辺局が4月12日(火)10時より実用化試験配信を開始(pdf)

今月4月12日火曜日10時から計12局がradikoで聴けるようになるとのことです。今回実用化試験配信を開始する放送局について詳しくは下の表を見てください。

関東地方 茨城放送
アール・エフ・ラジオ日本
エフエム栃木
ベイエフエム
エフエムナックファイブ
横浜エフエム
エフエム群馬

関西地方 ラジオ関西
京都放送
和歌山放送
ラジオNIKKEI
兵庫エフエム放送

関東地方の茨城放送、エフエム栃木、エフエム群馬と関西地方のラジオ関西、京都放送、和歌山放送は放送局のある県内のみのサービスとなりますがそれ以外の放送局は広範囲で聴けるようになるそうです。

個人的には最近聴きはじめた、ノイズに埋もれながらもかろうじて入るFM-FUJI(78.6MHz)も聴けるようになるとありがたかったのですが次の機会を待つことにします。
今後は北海道と福岡でもサービスが予定されていますからますますradikoから“耳”が離せないですね。

2011/04/03

MVT-7100のプチ修理

MVT-7100はユピテルが過去に発売し現在でも十分通用する高感度&高速サーチ・スキャン性能で当時人気を博した広帯域受信機(マルチバンドレシーバー)です。外部電源のほか単3電池4本で動作し内蔵スピーカーが低音から高音まで豊かに再生するので無線受信以外にもFMラジオ・短波ラジオとしてパフォーマンスを十二分に発揮します。
(YUPITERU  MVT-7100)


なにぶん十年以上前の製品ですのでずっと酷使していれば不具合も出るでしょう。よしお所有の個体では
①スケルチがMONIボタン以外でオープンしない
②キーボードが押しづらい
という問題が発生したことからこのMVT-7100をプチメンテするに至りました・・・ってことでいきなりですがMVT-7100を分解します。


(MVT-7100  分解写真1)

まず
> ①スケルチがMONIボタン以外でオープンしない
はスケルチつまみへ加える力の向きによって改善したりしなかったりすることが分かっていたので可変抵抗の半田面接触不良を予想しました。
MVT-7100の基板は大きく3枚に分かれています。上の写真が接触不良と思われるスケルチつまみのある基板です。


(MVT-7100  分解写真2)

上の分解写真2、赤い枠で囲んだ部分にある可変抵抗と基板をつなぐ半田に案の定接触不良を見つけたのでさっそく半田を追加しました。


仮組み・動作チェック中のMVT-7100です。スケルチつまみがMINのときMONIボタンを押すことなくBUSYが表示され、スケルチつまみは無事使えるようになりました。


残るは
> ②キーボードが押しづらい
つまりキーボードを強く押さないとキーが反応しない問題です。この対策はキーパッドの電極にアルミ箔を付ける方法にしようか悩みましたがアルミが基板側の電極を削ってしまう可能性も考えられることからこの方法は断念しました。たまたま持っていたPTFEを含む防錆潤滑剤を試したところ思った以上に接触不良が改善したためキーパッド裏の黒い電極部分にこの防錆潤滑剤を重ね塗り後適度にふき取りOKとしました。


ということでしばらく抱えていたMVT-7100の不具合はようやく解消しました。
YUPITERUのMVT-7100はボタンが大きい&セットモードがなく各種設定がダイレクトに変えられるので操作性がよいこと、一般のFMラジオよりも放送が高感度で受信できること、VX-8Dよりも60MHz帯防災無線の受信性能が優れていること等々、メリットがあるので今でも現役です。



※本記事には実験的な内容が含まれています

2011/04/01

被災地で臨時FMラジオが放送中

総務省は本日4/1、東北・関東大地震の被災地にFMラジオで聴ける臨時災害放送局を設置し各種情報を放送中であることを公表しました。

総務省|被災地の生活に役立つ情報を臨時災害放送局で放送しています

資料によりますと岩手県、宮城県、福島県のほか茨城県でも局地的に放送されているようです。
いずれも安否確認やライフライン、国や県からの情報が入手できるとのことですから被災された方、近隣にお住まいの方はFMラジオをお持ちでしたらぜひチェックしてみてください。