2018/04/29

アイコムIC-R30とIC-R6スペック比較

アイコムから海外のデジタル通信の復調に対応した広帯域ハンディレシーバーIC-R30が発売中です。ここではベストセラーのアナログ専用広帯域ハンディレシーバーIC-R6とのスペックを比べます。



まずは受信周波数範囲、受信モード、ステップから(表クリックで拡大)。

IC-R6は1309.995MHzまで受信できますがIC-R30は3304.99999MHzまで受信できます。

IC-R30には、IC-R6にはないSSB, CW、FM-N、AM-Nのアナログモードの復調だけでなくD-STAR、APCO P25、dPMR、NXDN、D-CRの、各デジタルモードの復調が可能です。

IC-R30は気温による周波数安定度がIC-R6より優れているようなので最小10ヘルツまでステップが選べます。



大きさ、重さ、周波数安定度、電源電圧、消費電流、電池使用時間、充電池充電時間の比較です(表クリック拡大)。

幅と厚みは両機種ほぼ変わりません。IC-R30の高さはIC-R6の1.7倍です。

IC-R30の重さは充電池込みでIC-R6の約1.5倍です。

IC-R30の使用温度範囲は下限が-20度からとなりました。

周波数安定度は一見IC-R6が優れているように見えますが、温度変化に強いのはIC-R30と思われます。

電源電圧はIC-R6が乾電池2本相当に対してIC-R30は乾電池3本相当またはマイクロUSB給電が使えます。

IC-R30の受信時の消費電流はおおよそIC-R6の3倍です。充電池による連続使用時間はIC-R30がIC-R6の約半分となっています。

IC-R6は充電池を付属BC-196で約15時間で充電完了するのに対し、IC-R30は付属のリチウムイオン充電池BP-287を付属急速充電器BC-223で約4時間で完了します。

もちろんIC-R30はマイクロUSB端子からの充電も可能です。この充電時間はお手持ちのACアダプターやUSBケーブルの組み合わせで変わるので一概には言えません。



受信方式、中間周波数、選択度を比較します(表クリックで拡大)。

IC-R30は、Aバンド側のWFMモード以外の受信はIC-R6と同じトリプルスーパーヘテロダインですが、BバンドとAバンドのWFMモード受信時はダブルスーパーヘテロダインです。

IC-R30の中間周波数は1stで3通りあり、不正受信などを極限まで抑え込んでいると思われます。

IC-R30の選択度はIC-R6とほぼ変わりません。



そしてお待ちかねの受信感度比較です(表クリックで拡大)。

136MHz以下のAMモードの受信感度はIC-R6が勝ります。

FMモードとWFMモードの受信感度はともに全域でIC-R6の圧勝です。

IC-R6にはSSBとCWが受信できないためIC-R30の比較対象にはなりません。



IC-R6にはデジタル復調機能がなく比較対象にはなりませんが、デジタルモードの受信感度比較表も一応掲載しておきます(表クリックで拡大)。



IC-R30のスケルチ感度一覧表も合わせて掲載します。IC-R6のスケルチ感度はカタログや説明書には見当たらなかったため「非公開」としました(表クリックで拡大)。



~ ◇ ~ ◇ ~ ◇ ~



IC-R30とIC-R6のスペック比較、いかがでしたでしょうか。

以上をまとめると、デジタル復調&2波同時受信&2波同時録音機能を持つIC-R30はカタログスペック上、
  • IC-R6よりも3倍電池喰い
  • 222MHz以上のAMモード以外はIC-R6よりも感度が良くない
という結果になると思います。


この結果はカタログスペック比較だけの話ですから、細かくチェックすると当てはまらないかもしれません。

IC-R6のスケルチは他社製品と比べ少し深いため、もしかするとIC-R30ではスケルチ感度がIC-R6より優れているのかもしれません。


この件については更に調査が必要でしょう。

よしおも気が向いたら入手したIC-R30についていろいろ試してみようと思います。

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2018/04/28

東芝エルイー 予約録音対応CDラジオTY-AH1発売開始

東芝エルイートレーディングからラジオの予約録音に対応したCDラジオが発売開始されました。

TY-AH1:ハイレゾ対応SD_USB_CDラジオ:東芝エルイートレーディング株式会社
東芝エルイー CDラジオ TY-AH1正面(公式サイトから)
TY-AH1斜めからの撮影写真(公式サイトから)

TY-AH1はコンセントからの電源のみで動作しCD、USBメモリー、SD(HC)カード、Bluetoothの各種再生とアナログ外部入力、カラオケマイク入力、パソコンからのUSB音声入力に対応するCDラジオです。

TY-AH1000の後継機に当たります。リモコンを付属します。
TY-AH1リモコン(公式サイトから)


大きさは幅35×高さ12.6×奥行き21.8センチ、重さは本体のみ約2.9キログラムです。乾電池は収納できないため電池込みの重さは存在しません。


このTY-AH1の最大の特徴は先行発売されたCDラジカセTY-AK1と同じように、お手持ちの音源もハイレゾ相当にアップコンバートし圧縮音声の欠落を補完して再生する機能を装備したことです。
TY-AH1 上面(公式サイトから)


TY-AH1にはTY-AK1のようなカセットの録音再生機能がない代わりに、BLuetooth再生とパソコンからのUSB音声入力が追加されています。

前機種TY-AH1000にはアップコンバート機能はなく、ハイレゾ音源のみハイレゾ再生できました。

TY-AH1のスピーカーの大きさと総合音声出力はともにTY-AH1000よりダウンしています。

Bluetooth再生はできますがBluetoothで再生した音をSDメモリーカードやUSBメモリーへ録音はできません。

ハイレゾファイル再生中はエコーを含むカラオケマイクミキシング機能と他メディアへのダビング機能が働きません。


TY-AH1使用例(公式サイトから)



次に気になるラジオ回りをチェックします。

TY-AH1の受信周波数はAMが531~1710kHzのワイドAM、FMが76~108MHzのワイドFM(FM補完放送)に対応します。

TY-AH1にはTY-AH1000同様、AM用ループアンテナが付属しています。ループアンテナを接続しないとAMラジオ放送を受信できません。

FM放送は本体のロッドアンテナをのばし受信します。TY-AH1のチューナーはFMステレオ放送の受信にも対応しています。FM外部アンテナ端子はありません。



ラジオのタイマー予約録音の機能周辺をチェックします。

オプションの32GBまでのUSBメモリーまたはSDカード、SDHCカードへ192kbps MP3の音質で録音できます。

TY-AH1は10件までのラジオ予約録音が可能となっていますが、各予約録音開始~終了時刻間は必ず5分以上離し、予約開始10分前に電源を切る制約があります。

この辺りは競合機種と思われるソニーのラジオレコーダーZS-RS81BTCFD-RS501ICZ-R110ICZ-R250TV、パナソニックのラジオレコーダーRF-DR100などと比べ、設定時刻の制約や予約数などに関して使い勝手が良くありません。
検討中の方は関連記事前にあるAM&FM受信ラジオレコーダー一覧リストのコメントも参考にされてください。

ラジオ番組のタイマー録音メインでTY-AH1を使いたいと考えている場合は、上記のようなソニーやパナソニックの別機種と本機の併用をおすすめします。
TY-AH1ハンドルを持った状態(公式サイトから)



このTY-AH1は発売中。本文章執筆時の価格は税抜き23000円程度です。

ステレオ音声レベルメーターや日本語液晶表示とエコー付きカラオケ、ハイレゾアップコンバート再生など多彩な録音再生機能を備えたとにかく多彩なCDラジオです。

ラジオのタイマー録音まわりの使い勝手やボタンの操作性は他社製品に一歩譲る面もありますが、お手持ちの音源のハイレゾ相当化し再生が可能ということでTY-AK1も含め期待してしまう製品です。

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2018/04/22

ケンウッド 上空対応の351MHz登録局 TPZ-D510発表

ケンウッドから特定小電力トランシーバーサイズの登録局トランシーバーが登場します。

2018年4月12日|ニュースリリース|ケンウッド

TPZ-D510|業務用無線機|商品情報|ケンウッド

ケンウッド TPZ-D510(公式サイトから)

TPZ-D510はアンテナの長さ込みで幅5×高さ15.5×厚み2.7センチ、重さ約160グラム、付属リチウムイオン充電池で約13時間以上使える、資格不要で送信出力2ワットのデジタルトランシーバーです。簡単な手続きで誰でも使えます。

外観は同社の特定小電力トランシーバー UBZ-M51シリーズ, UBZ-M31を踏襲していますが、特定小電力トランシーバーよりも縦の持つ部分が1.5センチほど長くなり、手に持ったときのホールド感を向上しています。





次にTPZ-D510の特徴を業務用途目線でチェックします。

TPZ-D510は業務通信の確実性を向上する機能が充実しています。

  • 最大2ワット送信出力と750ミリワット大音量

ハイパーデミトスの名の通り、免許資格不要で使える特定小電力トランシーバーの50~200倍も電波が強いため、中規模の店舗フロアーや屋外でも中継器なしで使えます。

ただし電波が50倍だからといって通話距離が50倍になる訳ではありません。
TPZ-D510通信距離目安(公式サイトから)

スピーカーの音の大きさは750ミリワットと他社の同型同クラス機と比べ桁違いの大音量を確保し、騒音下での現場にも対応します。

  • グループACS

351MHz登録局は通常使えるチャンネル数が30と、特定小電力トランシーバーより多いものの、最近は使用者数が爆発的に増えています。

ケンウッドTPZ-D510は30チャンネルのうちあらかじめ登録済みの5チャンネルを高速スキャンし空きチャンネルで自動的に通話ができる、グループACS機能を他社に先駆けて装備しています。いわゆる空きチャンネルサーチ機能の高速版です。

このグループACSは本記事執筆時点でTPZ-D510以外の351MHz登録局無線機同士のみ使用可能です。


  • 7色大型LEDランプ

モトローラの特定小電力トランシーバーMS50MS80とバーテックススタンダード(八重洲無線)の特定小電力トランシーバーFTH-50FTH-80でおなじみの大型LEDランプが7色になって搭載されています。
TPZ-D510 7色LED(公式サイトから)

異なるチャンネルやグループ設定でTPZ-D510を複数台使い分けるときに通信できるかどうか一目で分かるためのもののようで、送受信などは表示しないようです。


  • セカンドPTT

同社の351MHz登録局無線機TPZ-D553シリーズ、特定小電力トランシーバーUBZ-M51シリーズに装備されている、1台で2台のトランシーバーを持っているように使える機能です。アルインコ製の特定小電力トランシーバー上位機種に装備されているものと同等です。
TPZ-D510 2ndPTT(公式サイトから)

SIMカード2枚挿しの電話番号2つ持ちスマートフォン1台をイメージすればよいでしょう。


  • イヤホンマイク接続用ケーブルがよじれにくい

同社製トランシーバーで好評の、オプションのスピーカーマイクやイヤホンマイクをつなぎ使うときの、コードのねじれやよじれが起こりにくく、ユーザーストレスフリーな機構を装備しています。
TPZ-D510独立回転ナット(公式サイトから)


  • 送信者が音で分かる送信お知らせ音機能

同社製特定小電力トランシーバーUBZ-M51シリーズで好評の、音だけで誰からの電波を受信しているか分かる機能です。

自分の配置された階より上高い音、下ならば低い音のように送信音を設定すると感覚的に送信者の場所が分かります。接客や警備など、目の離せない業務用途には最適な機能です。

これとは別に無線機本体の状態を無線機が離す音声アナウンス機能もあります。


  • 上空専用5チャンネル送受信可能

パラグライダーやスカイダイビングなどの空を使う屋外スポーツにのみ使用を許可されているチャンネルで通話可能です。送信出力は最大1ワットに制限されます。


この他、30分間までの水没や砂没に対応する防水防塵IP67とIP55、米国軍用規格MIL-STDなどをクリアした、一般業務用途には十分すぎる耐久性を有しています。




マニアックなポイントをチェックします。

まずアンテナは上空5チャンネルも使える関係で取り外せません。無理に外そうとすると折れたり見た目が正常でも内部にひびが入ります。折った時の修理は有料となるか修理不能です。
TPZ-D510右側面(公式サイトから)


アンテナマーク表示は3段階です。

使用するバッテリーは新型リチウムイオンのKNB-81L。同社のUBZ-BH47FRのバッテリーUBP-4Lと一見同じに見えますが同型ではありません。
KNB-81L(公式サイトから)

バッテリーシステムはTPZ-D553シリーズなど5ワットハイパワー機よりも小型省エネタイプのため、電源や充電器は新型となります。ただしスピーカーマイク、イヤホンマイク、ベルトクリップ、プログラミングケーブルKPG-186UはTPZ-D553シリーズと共用可能です。

付属充電台と接続するオプション連結用ACアダプターUBC-8MLは同社製特定小電力トランシーバーUBZ-BM20RUBZ-EA20RUBZ-S27UBZ-S20UBZ-BH47FRUBZ-M51シリーズUBZ-M31と共用可能です。

オプションのプログラミングケーブルKPG-186Uと無償ソフトウェアMCP-9Bでチャンネル個別のユーザーコードやグループ、秘話の個別設定やその他本体の設定が可能です。


そして今回、スキャン機能がノーマルとシークの2種類に増えています。当記事執筆時点で取扱説明書が非公開のため詳細は不明ですが要チェックです。

送受信の音質コントロールはTPZ-D553シリーズに引き続き設定可能。

マイクロホンの感度切替は内蔵マイクと外部マイクそれぞれ設定できるようです。





このTPZ-D510は今年(2018年)5月の中頃に発売予定。価格は発売前ながら一部量販店では早くも税抜き3万円以下となっています。

競合機種は八重洲無線のVXD1SとアイコムのIC-DPR30でしょう。ただしTPZ-D510は最大2ワットと他機種の2倍高出力。業務用途に使いやすい機能も満載で他社を圧倒しています。


思いのほか小型軽量でスキャン機能も充実。3.6ボルトバッテリーでリチウムイオン充電池2セルクラスの750ミリワットという大音量を叩き出す高性能ぶりは前例がないはずです。

業務用と分かってはいてもUSB充電端子が欲しいものです。

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2018/04/15

AR-DV10とAR-DV1発売前スペック比較

AORからリリースされるデジタル復調モード対応のハンディ型SDR受信機AR-DV10が4/20金曜日に出荷予定です。そこで分かる範囲で、同社のデジタルボイスレシーバーAR-DV1と発売前スペック比較します。
AOR AR-DV10 非SDRバージョン(ハムフェア2017)


まずは一般的特性の比較から(表のクリックで拡大)。

AR-DV10の容積はAR-DV1の1/5。重さは電池を含んでも1/3以下です。

電源電圧は最大10.5Vのため、カーバッテリーの直結やAR-DV1のACアダプターを外部電源として使うと有償修理か修理対応不可(修理不能)となります。

AR-DV1にはなかった、内蔵スピーカー使用時だけ大雨で使える防滴性能IPX5が追加されました。イヤホンをつなぐと防滴性能はなくなります。



受信周波数や動作モード、復調モードの比較です(表のクリックで拡大)。

AR-DV10はAMラジオとFMラジオ専用のダイレクトコンバージョン受信回路がメイン回路とは独立して設けられています。AM用バーアンテナは本体に内蔵されません。

バージョンアップによっては無線受信待機中にラジオ聴取が可能な、八重洲無線のAFデュアルに相当する機能が追加されるかもしれません。

同期検波AMモードの搭載可否は不明です。

デジタル復調モードはAR-DV1と同じと考えてよさそうです。

AR-DV1の製品情報ページにMOTOTRBO対応の文字はないように見えましたが、MOTOTRBOはDMR技術と互換性があるので通常は復調可能と考えてよいでしょう。



受信感度と受信支援機能を比較します(クリックで拡大)。

"不明"を除く仕様はすべて両機種同じため、もしかするとAR-DV1に近い受信性能かもしれません。



IF帯域幅と受信方式の比較です(表のクリックで拡大)。

IF帯域幅はAR-DV1にあった500Hz以下と200kHzのフィルターがAR-DV10にはありません。

100kHzを使えるのがFMラジオのみのため、アナログワイヤレスマイクやアナログ放送中継波の受信が厳しくなる状況はあり得ます。

AR-DV10の受信方式はAMラジオとFMラジオ以外はシングルスーパーヘテロダインです。

周波数安定度はさすがに固定機AR-DV1には負けます。



スケルチやその他受信機能、オーディオ出力を比較します(表のクリックで拡大)。

アッテネーターは自動無段階切替から一般的なハンディ機に装備されている方式になりました。

検波出力端子が消えました。

内蔵スピーカー出力はAR-DV10の製品情報ページを見ると、当記事執筆時点で「音声出力250mWの大音量」とありますが、仕様表とカタログには最大700mWとあるので後者が正解でしょう。



最後はSDカードとタイマー機能の比較です(表のクリックで拡大)。

残念ながら現時点でAORの録音機能には期待できません。

必要に応じてDMRとTETRAの復調が不可能なアイコムのIC-R30を別途入手するか、市販の音声起動録音タイプのICレコーダーをAR-DV10と併用する必要があります。

タイマー機能有無の詳細は現時点で不明です。





以上、発売間近のAR-DV10AR-DV1のスペック比較でした。

ハムフェア2017の会場では非SDRになると聞いていましたが、製品版ではまさかのSDRとなりました。発売が遅れた理由はおそらくこれでしょう。


AR-DV1発売前(2015年以前)は、AR-DV1相当の機能を持つSDRのハンディ機はつくれないとのことでしたが、今回AORはその常識を覆し、低消費電力という新技術をも引っ提げてAR-DV10を市場へ投入します。

たしかに録音機能は引き続き要改善ですが、よしお個人的には発売遅延発表後、たった数か月でAR-DV1に匹敵する内部構成と機能を持つであろうSDRのハンディ機化を達成したことこそがAOR開発陣の最も評価されるべきポイントと考えます。

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2018/04/08

SRF-R356発売前プチレビューと使い勝手&感度比較

ソニーストアでSRF-R356の発売前サンプルを触ってきたので手持ちのPLL名刺サイズラジオとの比較も交え、感度や使い勝手を軽く使用レポートします。なおレビューサンプルの写真はいつも通りありません。

SRF-R356(公式サイトから)

おさらいですが、SRF-R356は単4アルカリ乾電池1本でオプションのヘッドホン使用時78時間以上使えるデジタル選局方式の名刺サイズラジオです。

今回のレビュー品は発売前展示サンプルのため実際の製品と異なる場合があります。また本レビュー時点で取扱説明書は非公開です。



●見た目


まず、本体を持った感じは普通の名刺サイズラジオです。重さもマンガン乾電池込みで80グラムあると思えないほど軽量です。

液晶ディスプレイに表示される周波数と電源切時の数字はこれまでと同じ程度の大きさですが、フォントが7セグメントではなくなったため、ラジオに不慣れな方にはより見やすくなったと思います。

液晶バックライトの色は橙色です。



●操作感


上部の7個のプリセット用選局ボタンはICF-R354MICF-R354MKSRF-R431SRF-R433などと比べひと回り大きくなり、押しやすくなりました。
SRF-R356プリセット用選局ボタン(公式サイトから)

右側面のジョグレバーはこれまでよりも操作の確実さがアップしたと思います。


メニュー設定後にメニューを終了する場合はジョグレバー上の小さいボタンをメニュー設定表示がなくなるまで何回か押す必要がありそうです。



●その他使い勝手


電池交換とオプションの充電キットの充電スタンドBCA-TRG3KITに取り付ける場合は付属のキャリングケースを外す必要があります。

液晶バックライトはオレンジ。操作の都度一定時間点灯します。電池駆動時の常時入/切は設定できないようです。

内蔵の巻取り式モノラルイヤホンは新型の形状です。滑り止め加工がされていないようなので、手で耳に着けようとすると掴みづらいです。
SRF-R356大きさ(公式サイトから)

液晶ディスプレイ右のFM/AMバンド切替ボタンは凹んでいるので誤操作は少ないですが、強く押す必要があるのでボタン周囲の光沢面に指紋が派手に付きます。

時計表示は電源切で何かボタンを操作すると一定時間バックライトと同じタイミングで表示点灯し、その後消灯します。



●機能


SRF-R356には自動時刻補正機能はないので時計は初期設定またはメニュー設定から初期設定または変更します。

オプションのイヤホンまたはヘッドホンを接続する場合に使えるステレオ/モノラル音声出力切り替え設定があります。

メニュー設定を表示中、メニューを終了するまでラジオの音声が出なくなりました。
SRF-R356メニュー設定時(公式サイトから)

これまで見たことのない、取扱説明書がないと設定方法の分からない設定カスタマイズ項目がありました。



●ラジオの選局


選局方式は地域設定で反映されるプリセットと、自由に周波数が選べるマニュアル選局があります。

スキャン機能は引き続きありません。

ワイドFM(FM補完放送)放送局名はある程度登録されているようです。

従来可能だった、マニュアル選局時に一定時間以上ジョグレバーを倒し続け動作する「手スキャン」はSRF-R356では無音となり、周波数表示だけが高速アップまたはダウンとなる動作に変わっています。



●音質


内蔵巻取り式イヤホンの音質はICF-R354MICF-R354MKSRF-R431SRF-R433などと変わらない印象です。

AMラジオのこもり具合は従来と変わりません。言い換えるとSRF-T355SRF-T355KXDR-64TVほどのクリアさはなさそうです。



●受信感度


手持ちのPLLシンセサイザー名刺サイズラジオICF-RN931(生産完了)と受信感度を比べました。

ソニーストア内ではAMラジオが同等レベル、FMラジオが若干劣る傾向でした。


- + - + - + -


以上、発売前のSRF-R356のプチレビューでした。

個人的には日本語が表示され、ヘッドホンを使うと電池寿命が従来よりも30%以上長く持つラジオということで期待していました。

見た目と操作性の向上は歓迎しますが、手スキャンができなくなったこととFMラジオの受信感度が若干低めなことが気になりました。

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