2018/06/18

SBR-12LIがAR-DV10の予備電池となるか検証してみる

AORのデジタル復調広帯域受信機AR-DV10は本記事執筆時点で品薄です。当然オプションも品薄ですから入手に難儀することは容易に想像がつきます。

そしてご存じの通り、AR-DV10の電池の持ちはあまり良い方ではありません。予備バッテリーBP-10を調達しようと思いましたがしかし、AR-DV10が品薄の現状ではBP-10がさらに品薄であることは必至。

付属の単3乾電池ケースはアルカリ乾電池専用のためニッケル水素充電池を使うことができません。仮に使えたとしても、BP-10より重くかさばるため持ち運びが面倒です。


いろいろ考えているうちに、たまたま欧州を訪れていたことから八重洲無線が海外で展開している業務用無線機のバッテリーSBR-12LIが使えるのでは?と思い付き、欧州のアマチュア無線ショップを回ることにしました。

そして何店舗か回り、やっとの思いで念願?のSBR-12LIを入手できました。
八重洲無線リチウムイオンバッテリー SBR-12LI



AR-DV10にセットする前に外観比較チェックをします。
AOR BP-10(左)、八重洲無線 SBR-12LI(右)各裏面

SBR-12LIのラベルから、電圧は同じですが電池容量は10パーセントBP-10より少ないことが分かります。

表面、側面、端子形状、バッテリーリブ等、どこを見ても瓜二つ。
BP-10(左)、SBR-12LI(右)各表面
BP-10(上)、SBR-12LI(下)各側面
BP-10(上)、SBR-12LI(下)本体接触面
BP-10(奥)、SBR-12LI(手前)バッテリーリブ



見た目の確認が終わったところでSBR-12LIをAR-DV10へ装填し電源が入るか確認します。
AR-DV10とSBR-12LI(手前)

写真はBP-10で動作中のAR-DV10の様子ですが、SBR-12LIでも無事に電源が入り動作しているように見えます。SBR-12LIとAR-DV10の組み合わせで防水防塵性能がBP-10同等かは分かりません。

充電も本体内とスタンドの両方で可能らしき動作も確認しています。



ということで、自己責任で八重洲無線のSBR-12LIを使いながらAR-DV10で受信活動をしばらくは続けていこうと思います。

国内では本記事執筆時点でSBR-12LIを取り扱っている店舗が見当たらないため、入手はほぼ絶望的です。

どうしてもAR-DV10の予備バッテリーが必要であれば、よしおのように欧米までSBR-12LIを買いに行く選択肢はありますがついでに本格的な受信活動もしたいところです。

結局、純正スペアバッテリーBP-10が国内で流通するまでは10.5Vの外部電源を用意するのが無難でしょう。

※本情報はあくまでも参考ということでお願いします

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2018/06/16

米八重洲無線 デュアルバンドハンディFT-4XRとモノバンドハンディFT-4VR発売中

手のひらサイズの八重洲無線製ハンディアマチュア無線機2機種が国内を除く米国や欧州などで発売中です。

FT-4XR – VHF/UHF Dual Band FM Handheld Transceiver - Yaesu.com(英語)

FT-4VR - VHF 2 Meter Mono Band FM Handheld Transceiver - Yaesu.com(英語)


先にデュアルバンドハンディ機、FT-4XRからチェックしましょう。
欧州八重洲無線 FT-4XE実機(FT-4XRと同型)

FT-4XRは144MHz帯と430MHz帯のアマチュアバンドの送信、65~108MHzのFMラジオ、136~174MHzと400~480MHzのFMモードの受信が可能な1波切り替え式デュアルバンドFMハンディトランシーバーです。

大きさは縦9×横5.2×厚み3センチ、重さは付属充電池とアンテナ込みで約250グラムです。

液晶表示と正面のキーボードにはバックライトが装備されています。

電源は1750mAh付属リチウムイオン充電池のみ。外部電源入力端子はありません。


送信は最大5ワットのフルパワー。

航空無線の受信はできません。

FMラジオは65~108MHz魔で受信可能。無線バンドを待機しながらラジオを楽しめるAFデュアル機能はありません。


電池の持ちは約9時間。付属急速充電器は約3.5時間で充電完了します。

メモリーチャンネル数は200。バンクは任意のメモリーチャンネルを1バンク当たり最大200チャンネルまで、10バンク登録できます。

プログラムメモリースキャン(サーチ)は10組。5秒に1度プライオリティチャンネルを受信するデュアル受信に対応します。

トーンスケルチやDCS、DTMF送出にも対応しています。



このFT-4XRは米国だけでなく、日本国内でも発売されているFT-65シリーズの小型版と考えてよいように見えますが、念のためこのFT-4XRとFT-65シリーズとの違いを詳しくチェックしましょう。
FT-4XR(公式サイトから)
FT-65R(公式サイトから)

外観の違いは高さが短くなったこと以外は、液晶表示がフルドット液晶ではなくセグメント液晶になったこと、プログラムボタンが4個から2個に減ったこと、正面のLEDフラッシュライトの廃止が挙げられます。

バックライトの色はどちらも青に見えることもある白色です。

FT-4XRのアンテナコネクターはFT-65シリーズと同じ逆SMA型のため、市販のSMAアンテナはそのままでは使えず、別売りのアンテナアダプターを使う必要があります。

スピーカー出力はどちらも800ミリワットのハイパワーです。

電池の持ちはどちらも9時間ほどです。受信中の消費電流が5パーセント以上省エネになりました。

FT-4XRに付属の充電池容量はFT-65シリーズから200mAh減っているにもかかわらず、使用時間は変わらないので、FT-4XRのほうがスタミナ仕様になったと言えます。

内部はFT-4XRの欧州仕様FT-4XEのみ6.25kHzステップが選択可能となりました。受信感度や送信の仕様にFT-4XRとFT-65シリーズ間の違いはありません。

FT-65シリーズにあったコンパンダーとオプションの秘話機能(米国版と国内版にはそもそも非搭載)は、FT-4XRではまったくありません。



次にモノバンドFMハンディトランシーバー FT-4VRをチェックしましょう。
欧州八重洲無線 FT-4VE実機(FT-4VRと同型)

FT-4VRは上で説明したFT-4XRからおおよそ430MHz帯の送受信機能のみ省略したモノバンドハンディトランシーバーと考えてよいでしょう。

外観は型番以外変化はなさそうです。オプションもFT-4XRと同じです。

FMラジオはFT-4XR同様、受信できます。

機能を見ると、FT-4XRのVHF帯との違いは周波数ステップの6.25kHzが選択できないことが分かります。144MHz帯を6.25kHzで送信または受信する場合は注意が必要です。






このFT-4XRとFT-4VRはどちらも北米地域で発売中。価格はFT-4XRが18000円程度、FT-4VRが15000円程度です。北米地域ではFT-65シリーズよりFT-4XRのほうが3000円ほど安いようですね。

欧州ではFT-4XEとFT-4VEとして、ほぼ北米と同価格で発売されています。


よしおは先日、欧州でFT-4XEとFT-4VEの実機を軽く触ってきましたが、操作性や手に持った感じはFT-65シリーズとさほど変わりませんでした。

液晶の文字の大きさはセグメントタイプのFT-4XEとFT-4VEのほうがひと回り大きいので見やすいと思います。

本体の大きさは手のひらに隠れるか少しはみ出す程度で扱いやすいと思いました。

FT-65ユーザーならばFT-4XシリーズやFT-4Vシリーズはしっくりくるはずです。
米八重洲無線 FT-4VR(公式サイトから)


もしFT-4XRの国内版が登場するならば、FT-65よりもFT-4XRの国内版のほうが安価で小型かつ電池の持ちも同等のため、FT-4XRの国内版のほうが良い選択肢かもしれません。

ただ、FT-4XRとFT-4VRにはFT-65シリーズのような大容量充電池のオプションが現時点ではラインナップされていないので、もしかするとオプションの大容量バッテリーが今後も用意されない可能性はあります。

加えて市販のSMAアンテナの取り付けが必要な場合はFT-65シリーズ同様、第一電波工業のSMAJ-SMAJのような変換コネクターが必要ですから、それならば少し高くてもアナログの業務無線電波をより広く受信できC4FMデジタルにも出られるFT-70Dが無難な気もします。

価格、オプションの豊富さ、外部電源入力端子の有無など仕様で選ぶのもありですが、悩んだ場合は見た目重視で選ぶ手もあります。

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2018/06/10

AR-DV10(1805Aファーム)で欧州にて無線を受信する

AORから発売されたAR-DV10を持ってヨーロッパ郊外で少しだけVHF~UHF無線の受信活動をしましたのでその様子を紹介します。AR-DV10に搭載のファームウェアは1805Aです。
AOR AR-DV10+ダブル屈曲アンテナ



その前に、なぜアイコムのIC-R30ではなくAORのAR-DV10をヨーロッパへもっていくことに決めたか、経緯を簡単にお話ししましょう。

よしおは現在アイコムのIC-R30も入手していますがAR-DV10の製品情報を確認すると、ヨーロッパで受信可能なデジタル波はアマチュア無線を除きDMR、dPMR、TETRAダイレクトモードの3種類とのことです。

よってDMRとTETRAの受信ができないIC-R30では持って行ってもデジタル受信の旨味が極めて少ないと判断し、AR-DV10を今回持参した次第です。



それではヨーロッパでの受信活動の方法と成果を説明しましょう。

最初にヨーロッパ到着後、AR-DV10のオートモードで140~170MHz帯、350~470MHz帯を12.5kHzステップでサーチしました。

すると420MHz帯と440MHz帯、460MHz帯にDMRとTETRAのトランキング無線らしき電波の音を確認できました。



次に復調の可能性を探りました。

TETRAについて、AR-DV10は1805Aファームウェアではダイレクトモードのみ対応するため、いろいろ試してもトランキング無線はまったく復調できず。くやしいですが諦めました。

DMRの復調を試みるとオートモードではところどころ音声がぶつ切れになるのでAR-DV10でDMRモードに手動設定し、スロットを切り替えるなどしたところ、弱い電波でも安定して音声が復調できました。
AR-DV10で欧州のDMR受信中


dPMRは残念ながら電波そのものを受信できませんでした。しかしアナログのPMRは秘話ありの通話を確認できました。



このように受信結果はほぼAR-DV10の製品情報の説明通りでした。

今回滞在した地域で使用されていたデジタルモードの種類はDMRが圧倒的に多く、次いでTETRAのトランキング無線でした。P25やD-CRを含むNXDNは電波自体を確認できませんでした。

よしおがAR-DV10を持参したのは正解だったようです。

それにしてもデジタル復調時の音量を自動調節するAR-DV10のAGCは快適ですね。AR-DV10の特徴であるスピーカーの音質の良さもあってか、どのDMRの復調音声も比較的はっきり聞こえました。


ヨーロッパの都市部であればもっと結果が異なると思いますが、訪れた時期が時期だけに警備が手厚く、ただでさえ変態不審者に見えるよしおが日本に帰れなくなる可能性もあるため派手な行動はなるべく避けることにし、泣く泣く都市部での受信活動を諦めました。

加えて下調べ不足と突然現れるAR-DV10のメモリー異常が重なり、あまり受信できなかったのは残念でした。
AR-DV10で突然発生した内部メモリーエラー
このような症状はいずれ改善されるでしょう。現時点ではバックアップ用に安定動作のAR-DV1も併用するべきですね。

機会があれば次回もチャレンジしたいと思います。

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