2017/12/31

VAIO Phone A VPA0511Sラジオ機能レビュー

VAIO Phone A VPA0511Sの出荷時にプリインストールされている、Radikoを除くFMラジオアプリで動作するFMラジオ受信機能だけを、使い勝手を交えレビューします。
VAIO Phone A VPA0511S (VPA051)



■VAIO Phone A VPA051とは

VAIO Phone A VPA051(VPA0511S)は2017年4月にVAIO株式会社から発売されたAndroidスマートフォンです。

VPA051(VPA0511S)のラジオ機能は通常の国内向けのスマートフォンと同様、76〜108MHzのFMラジオが50, 100, 200kHzステップで受信できます。一部地域のAMラジオ放送をFMで聴けるワイドFMにも対応します。

FMラジオアプリの言語設定は日本語にしてもなぜか常に英語表示に固定されます。



■選局

チューニング方法は往年のBCLラジオICF-6800シリーズと思しきギミックを模した手動選局とプリセット選局、スキャンに対応します。

手動選局は画面下の周波数目盛りを左右にスワイプするか画面中央の周波数表示の左右の矢印をタッチします。周波数目盛りのスワイプはもたつきが多く操作性は良くありません。

スキャン速度は状況によりますが実測でおおよそ毎秒約25ステップと高速です。スキャンは周波数表示の左右の矢印を長押しして開始します。

設定項目にScan Stationsという項目はありますがこちらはスキャンが動作しません。ジャンル選択項目らしきものは多数ありますが使い方は不明です。


プリセット数は最大7です。エリアコールや地域設定、放送局名表示など1万円程度の市販の名刺サイズラジオにある機能はありません。



■感度

イヤホンやヘッドホンのコードがアンテナとなるため、使用するイヤホンによりますが、受信感度は名刺サイズラジオと同等です。

ただし移動中のバサつき改善のためか名刺サイズラジオより高音が抑えられていたり、一定の受信環境以上でなければステレオになりません。



■音質

使用するイヤホンやヘッドホンによりますが、一般的なFMラジオの音と比べ高音がかなり抑えられています。

ステレオ感はひと昔前のラジオよりも少なめです。上述の通り移動中のバサつき改善が理由と思われます。このため聴感上、ノイズは市販のラジオと比べ少ないと感じます。



■付加機能

録音機能があります。録音したファイルはFMRecordingフォルダーへ保存されます。録音時間は5, 15, 30分間と無制限まで選択可能です。タイマー録音機能はありません。
録音中(左上の緑の点が赤になる)


録音フォーマットは44.1kHz、約99kbpsの3GPステレオ。アマチュア無線のD-STARほどではありませんが少しケロケロします。

受信周波数範囲とオート(Stereo)とモノラルが切り替えられます。

スリープタイマーを搭載し15~60分から4段階選べます。

イヤホンやヘッドホンを接続した状態でスピーカーからラジオが聴取できるモードもあります。

設定項目のスクリーンショットを以下に示します。
FMラジオアプリ設定項目一覧



■その他気になったこと

FMラジオをステレオで楽しむ場合は基本的に4極プラグのスマートフォン専用ヘッドホンが必要です。

市販の3極ステレオミニプラグのヘッドホンを使うと、なぜか常にモノラル音声でしかFMラジオが聴けないことが多いです。
3極ステレオミニプラグ(上)と4極プラグ(下)

具体的には、3極ステレオミニプラグのヘッドホンをつなぎ音楽ファイルや動画ファイル再生直後にFMラジオアプリを起動するとFMステレオラジオ番組もステレオで楽しめますが、それ以外ではアプリでステレオ表示されていても音声はモノラル出力となります。

3極ステレオミニプラグのヘッドホンで音楽ファイルや動画ファイルを再生するとモノラルにはならずステレオで正常に再生されるのでFMラジオアプリのバグのようです。

また、4極ステレオミニプラグのヘッドホンを使うとFMラジオアプリではステレオ表示でモノラル音声出力となる問題は常に発生しません。
FMラジオ受信中のVAIO Phone A VPA051



■まとめ

VAIO PhoneのFMラジオ機能は表示言語が英語オンリーであったり音質やステレオ感が良くなかったり、使用するヘッドホンを選ぶなどクセはあります。AMラジオが聴取できない点は市販のラジオでカバーするしかありません。

よしおが入手した個体は開封直後から液晶保護シートに指紋がべったり付いているなど、期待を超える品質でしたが、スマートフォン内蔵ラジオとして最低限ラジオ番組の聴取はできるのでおまけ程度には使えると思います。

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2017/12/25

ラジオ放送番組の録音方法と録音機器の選び方2017

今回は2017年現在入手が容易な製品をもとにラジオの録音方法を大きく2通りに分け、カタログスペック比較やよしおの製品試用体験などからラジオ番組の予約録音におすすめの製品を提案します。



まず、ラジオ番組の録音方法は大きく2通りに分かれると思います。
(1) 全国のラジオ番組を録音する
(2) お住まいの地域のラジオ番組を録音する

それぞれラジオの予約録音方法をチェックしましょう。


(1) 全国のラジオ番組を録音する


お住いの地域以外のラジオ番組を録音したい場合は、インターネット接続前提でRadikoプレミアムなどに加入し、市販のインターネットラジオ録音ソフトで番組を予約録音します。

録音したい番組の放送時間にそのラジオ放送局の電波が遠距離受信可能であれば高感度な指向性アンテナを立て、それなりの単品ラジオチューナーとレコーダーを組み合わせるのも有効な手の一つです。

詳しい説明は省略しますが、Radikoプレミアムなどに登録した上でRadikoolなどフリーソフトや市販のネットラジオ予約録音ソフトが使えるかもしれません。

市販のRadikoラジオ番組録音ソフトの例



(2) お住まいの地域のラジオ番組を録音する


地域の放送番組を予約録音する場合はラジオ放送の電波を受信する、ラジオ録音機(ラジオレコーダー)がおすすめです。

Radikoと比べ録音中の音切れがほぼなく、通信料不要なのがその理由です。

2017年現在、よしおがおすすめするラジオ録音機(ラジオレコーダー)には下のようなものがあります。価格が分かるようにAmazonのリンクも貼っておきます。

これから紹介する機種のおもな選定基準はいずれもMP3でAMラジオとFMラジオが録音でき、10番組以上ラジオ番組が予約録音できること、時計が自動補正されることです。


ZS-RS81BT(ソニー)
ソニー CDメモリーラジオ ZS-RS81BT(公式サイトから)
[特徴]
  • 単2乾電池6本またはコンセントで動作
  • ラジオはAMモノラルとFMステレオ、ワイドFMステレオが聴取、録音可能
  • 予約録音は最大10件まで。日付と曜日の指定可能
  • 録音音質は128kbpsステレオMP3フォーマットのみ
  • SDカード、SDHCカード、32GBまでのUSBメモリー対応
  • 自動時刻補正機能装備



CFD-RS501(ソニー)
ソニー CDメモリーラジカセ CFD-RS501(公式サイトから)
[特徴]
  • コンセント専用機
  • ラジオはAMモノラルとFMステレオ、ワイドFMステレオが聴取、録音可能
  • SDカード、SDHCカード、メモリースティックDuo、カセットテープ対応
  • 予約録音は10件まで日付、曜日の指定可能
  • 録音音質は128kbpsステレオMP3フォーマットのみ
  • 自動時刻補正機能装備
  • AM放送用の外部アンテナ付属



ICZ-R250TV(ソニー)
ソニー ラジオレコーダー ICZ-R250TV(FMアンテナ引き出し時)
[特徴]
  • 内蔵充電池と単3アルカリ乾電池4本または付属ACアダプターで動作
  • ラジオはAMモノラルとFMステレオ、ワイドFMステレオ、ワンセグ音声が聴取、録音可能
  • 内蔵メモリー、SDカード、SDHCカード対応
  • 予約録音は20件まで日付、曜日の指定可能
  • 録音音質は192kbps、128kbpsステレオMP3と48kbpsモノラルMP3フォーマット
  • 自動時刻補正機能装備
  • AM放送用の外部アンテナ、FMとワンセグ音声用アンテナコード付属



RF-DR100 本体色ホワイト or オレンジ(パナソニック)
パナソニック RF-DR100-W(グレイスホワイト) (公式サイトから)
パナソニック RF-DR100-D(コーラルオレンジ) (公式サイトから)
[特徴]
  • 単2乾電池6本またはコンセントの電源で動作
  • AMとFMステレオ放送の聴取と録音が可能。ワイドFM(補完放送)は不可
  • 内蔵メモリー、SDHCカード、SDカード対応
  • AM用18センチ大型ジャイロアンテナ搭載
  • 予約録音20件まで。日付、曜日の指定可能
  • 録音音質は192kbpsステレオ, 128kbpsステレオ, 32kbpsモノラルのMP3フォーマット
  • 自動時刻補正可能
  • オプションのAMループアンテナが接続可能



上記各製品の特徴はざっくりしすぎているのでラジオファンは不満を感じるかもしれません。

そこで上記4機種のカタログと説明書をほぼ隅々まで読み、製品の実使用情報を加えた、予約録音に関係しそうな情報をスペック比較表に並べました。比較表は5分割しています。

まずは外観、対応メディア、共通機能比較です(クリックで拡大)。

周波数特性、録音機能、再生機能、その他機能比較です(クリックで拡大)。

Bluetooth、予約録音やアラームを含むタイマー、そして肝心のラジオ部のスペック比較です(クリックで拡大)。

最大録音時間、電池持ち時間、内蔵スピーカーの音質比較です(クリックで拡大)。

最後は入出力端子、電源そして付属品の構成比較です(クリックで拡大)。




上記4機種のうち特にラジオの予約録音に特化した製品は、20番組予約可能で192kbpsの比較的音質の良いMP3録音ができるソニーのICZ-R250TVパナソニックのRF-DR100のどちらかになります。

パナソニックのRF-DR100はAMラジオ受信用大型ジャイロアンテナはありますがFMアンテナ端子がなく、一部地域のAM放送をFMラジオで聴けるワイドFM受信機能がありません。

ソニーのICZ-R250TVにはワンセグTV音声録音機能があります。よしおも当記事執筆現在、普段使いのメイン機としてフル活用しています。小型で持ち運びしやすいですがAMラジオ音質のこもりと慣れるまで操作がやや煩雑と感じます。


ラジオの入りやすい場所へ録音機(ラジオレコーダー)本体を置きアンテナを整えれば、上記4機種どれを選んでもお住まいの地域のラジオ番組の予約録音はできます。

あとは見た目や機能、置き場所、使い勝手などの「好み」が決め手でしょう。



2017年現在は市場に上記4機種以外のラジオ番組を予約録音可能な機種はありますが、正直なところ予約録音システムの完成度がいまいちだったり高音質なMP3録音ができないなど残念な仕様を確認しています。

よしおとしては(ソニーやパナソニックの回し者ではありませんが)多少値が張っても上記4製品(ZS-RS81BT, CFD-RS501, ICZ-R250TV, RF-DR100)のうちどれかをお勧めしたいところです。

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2017/12/23

米八重洲無線 航空無線ハンディFTA-250L発売中

アメリカの八重洲無線から北米向けのハンディ型航空無線機が今年(2017年)8月に登場しています。

Airband Transceiver FTA-250L - Yaesu.com

米八重洲無線 FTA-250L(公式サイトから)

FTA-250Lは特定の航空関係者だけが使用可能なエアバンドトランシーバーです。一般ユーザーが簡単に持てる免許資格不要の受信機とは異なります。

付属のリチウムイオン充電池SBR-25LIとオプションの大容量リチウムイオン充電池SBR-26LIで動作します。

連続動作時間はSBR-25LI使用時、約16時間です。



外観をチェックします。

見たところ同社製デュアルバンドアマチュアハンディのFT-65とFT-65Rに似ています。液晶ディスプレイもFT-65RやFT-65と同じフルドット表示のようです。
FTA-250L 左右側面(取扱説明書から)

上面、側面ともに一見FT-65シリーズとほぼ変わりませんが、よく見るとアンテナコネクターのBNC化とスピーカーマイク端子形状が違います。

上面の赤色ボタンはFT-65シリーズではLEDライト兼エマージェンシーキーでしたが、FTA-250Lではキーロックとなっています。

スピーカーマイク以外はFT-65シリーズと共用できるようです。



機能をチェックします。

COMMバンドの送受信のほか、米国のWXチャンネル受信に対応します。送信出力は5ワットです。送受信モードはAM、WXチャンネルの受信モードはFMです。

内蔵スピーカーの音声は700ミリワットまでという大音量。

メモリー数は航空無線機としては大容量の250。英数字のチャンネル名設定やグループ化も可能です。

音関係はエンジンやイグニッションノイズを下げるANL(自動ノイズキャンセラー)、送受信独立したノイズキャンセル、内蔵orオプション外部マイクの選択、受信音質のAFフィルター設定、VOX設定など、馴染みのあるものからプロ仕様のものまで至れり尽くせりです。

送受信機はDSPではなく通常のダブルスーパーです。

FT-65シリーズにあったLEDライト機能はありません。

トーンスケルチやDCSはありません。



このFTA-250Lは北米で発売中。米国市場価格は、米八重洲無線では破格の250ドル程度と、アマチュア無線機FT-65シリーズよりも少し値が張る程度です。

個人的にはFTA-250Lでアンテナ端子をBNCにできるならFT-65シリーズではなぜそうしなかったのか、というのが率直な感想です。まあBNCよりも逆SMAのほうが安くできるからというのが本当のところと思いますが…。

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2017/12/17

発売前のIC-R30機能を再チェック

間もなくアイコムから海外のデジタル復調モードに対応した広帯域受信機IC-R30が発売されるはずです。そこでハムフェア2017の展示情報を元に、発売前のIC-R30の見た目と機能をあらためてチェックします。
アイコム IC-R30(ハムフェア2017にて)



IC-R30はアイコムから発売される予定の、デジタル受信対応の広帯域受信機です。

電源は付属の新型3280mAh大容量リチウムイオンバッテリーBP-287で動作するほか、単3乾電池3本または6本ケースのオプション発売も考えられます。



●外観

IC-R30の大きさはアンテナを除き推定で幅6×高さ15×厚み3.2センチ程度、重さは付属アンテナと付属リチウムイオン充電池込みで推定約400グラムです。

液晶表示は国内から発売されるハンディ型広帯域受信機としては最大級の2.3インチフルドットタイプ。タッチパネルはありません。
IC-R30 デジタル+デジタル同時受信表示中
液晶バックライトは白色です。

本体正面のキーボードは従来のラバータイプではなくプラスチック製と思われるハードタイプです。試作機を触った限り、ふにゃっとした感じはありませんでした。


本体左側面にはマイクロSDカードスロット、右側面にはCI-V接続に対応した片耳モノラルイヤホン端子と充電兼PCとのデータ通信用マイクロUSBコネクターがあります。
IC-R30 左側面
IC-R30 右側面(上からイヤホン、マイクロUSBコネクタ)


上面にはSMAアンテナコネクターと内蔵GPSアンテナ、メインダイヤルがあります。
IC-R30 アンテナコネクター、GPS、メインダイヤル
 
メインダイヤルは上下分離しているように見えますが、上下ツマミ一体のシングルタイプです。



●周波数範囲とモード

受信周波数はメインが0.1-3304.99999MHz、サブバンドが108-520MHz。2波同時受信(デュアルワッチ)対応です。

デュアルワッチ時はメインとサブの周波数範囲にこだわらず、組み合わせによってはメインが100kHz、サブが954kHzなどのデュアルワッチが可能となるかもしれません。

デジタル+アナログとアナログ同士のデュアルワッチは可能ですがデジタル同士は2波同時表示しても片側しか復調されません。

受信モードはFM, FM-N, WFM, AM, AM-N, LSB, USB, CW. CW-R, D-STAR, P25, dPMR, NXDN-VN, NXDN-N, D-CRです。デュアルワッチ時のサブ側は恐らくFMとAM、メイン側と排他の各種デジタルモードのみとなりそうです。

DMRやTETRA、八重洲方式とアルインコ方式のデジタル、国内の主要なデジタル波はほぼすべて復調できません。秘話コードの設定可否は不明です。

最小ステップ設定は10ヘルツです。



●外部接続

マイクロUSB端子は本体内充電に対応しますが、PCとの接続はマスストレージクラスとシリアル通信どちらに対応するか不明です。

Bluetoothを搭載し、一部を除く市販のヘッドセットをペアリングするとワイヤレスモニタリングが可能です。デュアルワッチ時、左右ステレオ独立音声になるか、オーディオプロファイルを装備するかは不明です。

またBluetooth機能はスマートフォンアプリで位置情報やメモリーデータ、録音データ、D-STARの受信データがスマートフォンと連携できるようになるかもしれません。

内蔵GPSはエフ・アール・シーの広帯域受信機FC-S789のようなロケーションベーススキャンや位置情報ロガーとして使用できると予想されます。簡易ナビゲーション機能も追加されるかもしれません。


オプションのイヤホンをイヤホン端子へつなぐとセットメニューでイヤホンアンテナを使うことができます。ただしFMラジオ受信専用かは不明です。

AM用バーアンテナも内蔵します。AMラジオ以外に長波帯の誘導無線受信に使えるかは不明です。アンテナ切り替え機能はセットメニューにあります。



●録音

発売予定のIC-R30には2波同時録音機能が装備されます。

同社アマチュアハンディ機ID-51シリーズやデスクトップコミュニケーションレシーバーIC-R8600同等の、スケルチに連動する自動ファイル分割機能やD-STARのコールサインなどの記録、受信日時、信号強度が記録されるはずです。

2波同時受信時の録音音声はモノラルミックスされるのか独立音声ファイルとなるかステレオフォーマットで録音されるか、詳細は不明です。



●便利機能

バンドスコープ表示中に受信音声を出すスコープAF出力、CI-V接続に対応します。

ユニデンアメリカBCD436HPアルインコDJ-X11のような、付近の強い電波を素早く判明させる瞬間同調機能はIC-R30にはありません。



●操作性

発売予定のIC-R30は国内で流通している広帯域受信機にはあまりない操作系を持っています。

IC-R30が、IC-R20を含むこれまでの国内向け広帯域受信機と異なる点は、受信周波数の直接入力にひと手間かかるようになったことです。

具体的に言うとIC-R30のオペレーションは、数字キーがメモリースキャン範囲を割り当てるショートカットキーとなっているため、周波数の直接入力は入力前に右下のF-INPボタンを押す必要があります。

このVFOモードへの変更操作は長押し切り替えではないので操作は同社製IC-RX7よりも幾分簡単になっています。



●まとめ
以上からIC-R30は本体から直接メモリーバンクへアクセスする従来機と異なり、予めPCで編集済みメモリーデータベースのスキャンに重点をおいたマシンとなります。

生産終了したIC-R20など従来の操作方法に慣れた受信ユーザーには使いづらさを感じるかもしれません。

しかしユニデンアメリカのハンディスキャナーBCD436HP 3台使いの一人であるよしおの意見として、この手間は直接入力する周波数やプログラムスキャンエッジ周波数を事前にパソコンで思いつくジャンルすべてを入力しておけばほぼ解決することです。



●余談
新製品登場予定で浮足立っているところへ水を差すようですが、2波同時録音が出来るのに国内デジタル通信がほぼ復調不可能というこの受信機の有意義な活用方法は航空無線受信か351MHz登録局を含む簡易デジタル、アナログ業務無線を移動録音するくらいでしょうか。

確かにGPSとBluetoothの機能は未知数。SSB受信と日本語表示もあるので魅力的ですが...。

そう考えるとクロースコール(瞬間同調機能)のあるBCD436HPを2台持ち歩くか、2018年に登場予定の、録音機能はかなり貧弱ながらDMRとTETRAの一部が復調可能となるはずのAOR AR-DV10を選ぶほうが有意義とよしおは思ってしまいます。

IC-R30の勝算はスマートフォンアプリを含む機能拡張性に懸かっているのでは、とよしおは考えます。

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2017/12/11

USB給電型LED点滅弛張発振器の自作

LEDを自動点滅する弛張発振器のUSB動作品を作ったので紹介します。理由は夜間に歩行中、高齢者ドライバーに何度もひかれそうになったためです。



●LED点滅回路

自動点滅LED回路の作り方はマイコンやICも使えますが、今回はトランジスターを使い少ない部品でできる弛張発振器としました。

回路の公開は省きますが弛張発振器はFCZ研究所で公開されていたものをベースにしています。弛張発振器でWeb検索すると出てきます。

Web公開されている回路にLEDのカソード(短い方)とUSBマイナス電源側の間に電流制限抵抗を追加する改良を施しています。


※本記事内容を実践する場合はくれぐれも自己責任でお願いします



●部品

使用部品は下記です。なお写真のLEDは実際に使ったものと違います。

  • ユニバーサル基板(秋月電子AE-B2-CEM3相当を8等分) 1枚
  • 発振器用220キロオーム抵抗 1本
  • 10マイクロファラド16ボルト電解コンデンサー 1個
  • 2SA1015トランジスター 1個
  • 2SC1815トランジスター 1個
  • 橙色LED(秋月電子OS5YPM5B61A-QR相当) 1個
  • 電流制限抵抗150オーム 1個
  • USB 1メートル充電/通信対応延長ケーブル(100円ショップ品) 1個
  • ホットスティック(秋月電子HB-40S相当) 1本

材料費は工具やはんだ、送料を除くと税抜き500円程度です。

通信(データ)に対応しない給電専用USBケーブルを使うとUSB電源によってはうまく動かないかもしれません。

LEDは電流制限抵抗を変えれば橙以外に赤や緑、青、白、紫なども使えるはずです。



●組み立て

この弛張発振器の組み立ての最大のポイントは電解コンデンサーのマイナス(短い方)を2SC1815のベースへ、プラス(長い方)をLEDのアノード(長い方)とつなぐことです。

入手したUSB延長ケーブルはジャック側を切り基板へはんだ付けしました。
今回は5V電源プラス側が赤、電源マイナス側が黒、データが緑と白でした。製品によって色が変わる場合があるのでテスターでチェックします。
USB延長ケーブル ジャック側切断後

テスターでチェックするUSBプラグ側の端子配置を載せておきます。
USB TypeA延長ケーブル プラグ極性

USBプラグ中央のデータ線+と-とつながる線は基板上でショートさせます。ショートさせなくても動く場合はあります。




●組み立て例

下記のLED点滅回路は220キロオーム抵抗がなかったので手持ちの100キロオーム抵抗を2本使っています。

写真はありませんが基板の裏側はホットボンドで金属部分がショートしないようにコーティングしました。



●動作

実際に動作させるとLEDが一瞬光りすぐ消える動作を繰り返します。

工事現場で赤く光っている現場点滅灯と同じ、明るい時間が暗い時間よりも短い点滅リズムです。
弛張発振回路の点灯した瞬間


●まとめ

弛張発振器の自作は部品数が少ないので電子工作員の入門用としては最適でしょう。

見た目は手作り感満載ですが自動点滅LED回路がUSB化したことで煩わしい電池交換の手間から解放されるので満足しています。


よしおはこれをこのまま鞄に取り付けて使うことにします。これで夜間安心して歩けるとよいのですが...。

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AOR AR-DV10発売延期を告知

AOR日本語公式サイトでアナウンスが出ています。

AR-DV10 発売延期のお知らせとお詫び|お知らせ|株式会社エーオーアール AOR, LTD

AOR AR-DV10

2017年内の発売はできなくなったと判断して良さそうです。




ここでAR-DV10について、あらためてハムフェア2017の情報をおさらいしましょう。

AR-DV10はデジタルモードの復調が可能なハンディタイプの非SDR広帯域受信機です。

0.1-1300MHzまでのアナログモードとVHF航空無線より上の周波数受信時のデジタルモードに対応しています。AR-DV1と異なりローVHFのデジタル復調は対応しません。

対応デジタルモードはアルインコ方式、D-STAR、八重洲方式、DCR、dPMR、DMR、NXDN、P25、TETRAの一部モードです。AR-DV1同様、国内にある大半の独自規格のデジタル無線は復調できません。


2波同時受信には対応しませんが3VFOに対応します。

主な端子はBNCアンテナ、マイクロSDスロット、ミニUSB、外部電源、イヤホンです。

基本的にはAR-DV1とほぼ同じ機能があるようです。

VFO切り替え時は必ずENTERを押す必要があります。

IQ出力はありません。

本体はIPX5の防滴仕様で大雨でも使えるスペックです。


録音機能はAR-DV1相当のため2017年末発売予定のアイコムIC-R30やユニデンアメリカのBCD436HPなどに比べて使い勝手ははっきり言わなくても格段に劣ります。

バッテリーは付属充電池で6時間ほど使えるとのことです。乾電池ケースオプションなども登場予定ですが大容量充電池のオプションは登場予定がありません。





話を戻しますがAR-DV10の発売延期の理由は恐らく重大な問題が発見されたか、部品が手に入らないなどが原因と予想できます。

このような発売延期情報を公式に発表する姿勢はいつまで経っても発売されない不安がひとまず軽くなるため、よしお個人的にも好意を持って受け入れられるものです。


AR-DV10発売がいつになるのかはあらためて発表されることでしょう。

あとはアイコムがAORに続きIC-R30の発売を延期しないことを祈るだけです。
アイコム IC-R30


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2017/11/29

秋月NS73M使用FMトランスミッターキットのUSB給電化


今回はトライステート社が開発し秋月電子通商で販売されているNS73M使用FMステレオ・トランスミッター・キットの外部電源端子をマイクロUSB端子へ改造します。

追加準備すべきものは恐らく
でしょう。



マイクロUSB端子化改造手順を説明します。

まずはんだ付けしてあるDCジャックCN2、ダイオードD1、5V三端子レギュレーターIC4を取り外します。
DCジャック、ダイオード、三端子レギュレーター除去後

次にマイクロUSBコネクタDIP化キットを組み立てます。
マイクロUSBコネクタDIP化キット組み立て前

ピンヘッダーは2本だけ使い、+と-など表示面を上にしてしっかりはんだ付けします。
マイクロUSBコネクタキット組み立て後


組み立てたマイクロUSBコネクタDIP化キットのピンヘッダーをDCジャック跡地へ収まるように曲げ加工します。

それをFMトランスミッターキットのDCジャックのあった場所へ、なるべくマイクロUSBコネクターが基板からはみ出すようにしてからはんだ付けします。

ピンヘッダーを曲げDCジャックの穴へ差し込む


FMステレオ・トランスミッター・キットとマイクロUSBコネクタDIP化キットの隙間をホットボンドで溶かしたホットスティックでいっぱいにし、マイクロUSBコネクターが動かないようにします。
ホットスティックで固めたマイクロUSBコネクター周辺



ダイオードと5V三端子レギュレーターの跡地へ下記写真の朱色の線に沿って部品の針金をラジオペンチで「コ」の字に加工してはんだ付けします。
IC4の跡地真ん中にある電源-が隣同士の電源+とショートしないように注意しましょう。


導通テスターで改造ポイントがOKかチェックし、電源端子をマイクロUSB化改造したFMステレオ・トランスミッター・キットと繋ぎます。

USB電源を入れ、FMトランスミッターキットの液晶が表示され電波が出ればOKです。
今回は写真のようにモバイルバッテリーで駆動してみました。




以上でFMトランスミッターキットのUSB給電化改造はひとまず完了です。

このトランスミッターキットの泣き所だった、USB機器が氾濫する現代にUSB電源が使えないという不思議な仕様は上記改造でそこそこクリアできたと思います。

これで音楽が車内や屋外でラジオからステレオ音声で楽しめる道筋が何とか立ちました。


なお今回取り上げた改造は必要最小限のため、質の良くないUSB電源を使うとFMトランスミッターキットやUSB電源が壊れ、改造を担当した電子工作員なども懐事情を超える被害を受ける場合があります。


また、今回はたまたまうまくいきましたが使う電源によってはうまく動作しない場合もあります。



よしおはさらにこのFMステレオトランスミッターキットへ追加したい加工がまだあるので箱へ入れるのは先になりそうです。

※本改造は参考情報ですから実行する場合は自己責任でお願いします

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2017/11/22

秋月NS73Mステレオトランスミッター音量アップ改造

前回、トライステート社で開発され秋月電子で販売されているNS73M使用FMステレオ・トランスミッター・キットを組み立てたとき(下記関連記事参照)音声が小さい気がしたので、入力音量を上げる改造を試しました。

トライステート NS73M使用FMステレオ・トランスミッター・キット



まず改造を始める前に近隣のFMラジオ放送とこの組み立てたトランスミッター・キットの変調の違いを比べ、気のせいかどうかチェックしました。

チェック方法はFMステレオ・トランスミッター・キットへ入力する音声の音量を再生機器側で最大近くに設定し、トランスミッター・キットの音声と普通のラジオ放送を手持ちのラジオで受信、両者の音量をレベルメーターのついたオーディオ機器で比べるというものです。

実験結果です。まずは通常のFMラジオ放送の音量から。
ほぼフルスケールです。

次に組み立て直後の秋月FMトランスミッター・キットの変調。
ご覧のとおり秋月NS73M FMトランスミッター・キットの音声はFMラジオ放送の1/3程度しか変調されていないことが分かりました。よしおの感覚は間違いではなかったようです。



では入力音声を3倍程度アップするFMトランスミッター・キットの改造をします。

改造ポイントは基板の中央部、音声入力ジャック直下(下記写真)のあたり。
NS73Mステレオ・トランスミッター・キットの液晶を外した状態

音声入力ジャック直下の改造ポイント(改造前)



音量アップ改造はJP3~JP4とJP5~JP6の間に18キロオームの抵抗を各1つ入れるだけです。これで無改造時の3倍以上変調が出るはずです。

改造後の写真がこちらです。上の写真と比べてみてください。



改造後の音量(変調)をチェックします。


見た目上、音量レベルだけはいい感じになりました。

しかしこの状態ではトランスミッター・キット本体のメニューで設定する"音声入力電圧設定"を"100mV"にするとなぜか音声がひずんでしまい、結局音量を小さくする必要がありました。

おそらくNS73Mの仕様上、FMラジオ放送の電波と同等の音量レベルまで高音質で深く変調させることは困難で、音量アップは無改造時の2倍が最適な設定と思います。

よしおは上記改造後、メニューで"音声入力電圧設定"を"200mV"または"140mV"にするか、オーディオ機器の再生音量を小さくして歪みを出さないように使い始めています。



今回の改造情報は秋月のFMステレオ・トランスミッター・キットを使用中で音量が小さいと思う方には少なからず朗報と思います。

このトライステート社 NS73M FMステレオ・トランスミッター・キットには使いづらさがまだ残っているので、箱へ入れる前に次の改造を考えます。

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