2013/10/09

アイコム(ICOM) IC-R1をSGとして使う

IC-R1はアイコム初のハンディ型コミュニケーションレシーバー(広帯域受信機)です。1989~1995年頃まで販売されていたと記憶しています。

スペック上の動作保証周波数範囲は一部周波数帯を除く2-905MHzとなっていますが実質100kHz~1300MHzまで可変でき、周波数ステップは0.5~50kHzのうち10段階、現在広く市販されている受信機同様WFM, NFM, AMに対応しています。

厚さはなんと3センチ程度(分厚い!)、高さは約10センチですがこれでも当時としては最小クラス。ライバル、アルインコのDJ-X1よりもはるかに高速な毎秒最大20chのプログラムスキャン(サーチ)・メモリスキャン速度を有しさらには時計、スリープタイマー、オンタイマーまでも備えたハイスペックマシンです。

時計・タイマー機能、スリープ機能付き受信機は現代でも多くはありません。IC-R1が人気機種となったことは想像に難くないでしょう。

しかし一方でデザインの古さはもとより内蔵充電池の持ちが1時間弱、単3電池使用時は外付けの巨大なバッテリーケースを介し6本必要、スケルチの開きが渋かったり受信周波数周辺の強い電波で目的の信号が受信できない選択度の悪さなど、スペックからは見えない部分に問題があり、必ずしも良い面ばかりではありません。


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今回この名機IC-R1を取り上げたきっかけは修理受付期間の終了が迫っていたことでした。

久しぶりに電源を入れたIC-R1は乾燥した冷暗所に保管していたこともあってか、液晶が薄くなることもなくFMラジオや航空無線などを昔と変わらない性能で受信しました。気がついていない故障があると思い念のため修理に出したところコンデンサが数箇所劣化していた程度で特に問題は見当たらず安堵しました。

IC-R1を長期保管する前は上記の選択度の低さもあり、もっぱらラジオやテレビ音声の受信機として活用していましたが残念ながらアナログテレビ放送は終了してしまい、せっかく修理を終えたばかりのIC-R1の活用方法が思い浮かびません。

何とかこのIC-R1を活躍させる方法を考えていたところ昔発見した裏ワザをふと思い出したので紹介しましょう。それはIC-R1を無改造で超微弱なSG(信号発生器)として活用する方法です。



遡ること20年前の1990年代前半、あれは第二世代デジタル携帯電話が出始めた頃でした。

あの頃は本当に良かったです.....と回想はさておきまして、当時ユピテルのMVT-7100とIC-R1を同時使用していた折、IC-R1が内部発振する状況を偶然見つけました。ただの内部発振でありませんでした。IC-R1の受信周波数を変化させると内部発振周波数も変化したのです。

いろいろ試した結果、以下の法則性が判明しました。

発振周波数=IC-R1の受信周波数 - 266.7MHz


例えばIC-R1を688.9MHzに合わせると688.9 - 266.7=422.2MHzの内部発振周波数の超微弱電波が発生し、以下の写真のように他の無線機や受信機で受信できるのです。

IC-R1の表示周波数は0.1~1300MHzですから、IC-R1を手にしているということは同時に266.8~1566.7MHzの範囲で自由に可変できる超微弱信号発生器を手にしていることにもなるのです!



トランシーバーなどの受信感度比較、簡易周波数ズレチェック、無線用パワーアンプの動作確認など、IC-R1を信号発生器としてみなすことで受信機以外の新たな可能性が見えてきました。

もしIC-R1をお持ちであれば信号発生器として活用する方法、試されてはいかがでしょうか。



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