2017/07/27

Nutubeハイブリッド・ラジオ・レシーバー組み立ての注意点

電子工作マガジン2017年夏号の、Nutubeを使ったハイブリッド・ラジオ・レシーバーキットを組み立てました。このAMラジオ電子工作キットの組み立てと調整で少しわかりにくかった点、苦労した点がいくつかあったので載せておきます。
ハイブリッド・ラジオ・レシーバー(Nutube取り付け前)



既にご存知と思いますが、NutubeとはKORGがノリタケ伊勢電子の蛍光表示管技術を応用して最近開発した超小型真空管(三極管)です。通常の真空管よりも消費電力が大幅に削減されており、電池駆動も容易になっています。
Nutube真空管


組み立てに使用した電子工作キットの製品Webサイトはこちらです。

紙面の特集記事のタイトルは「ハイブリッド真空管式高一ラジオの製作」です。



早速キット組み立て時のポイントを組み立て順ではありませんが紹介します。

最初に気になったのは基板に読み取りづらいシルクがある点です。R4の文字上にスルーホールが打たれており、R1と区別できませんでした。結局回路図と基板のパターンから謎を読み解きました。

この基板は部品の取り付けを誤ると取り外しに苦労しますのではんだ付け前に入念な確認が必要です。



次にやや難と思ったのはコンデンサーやIC、Nutubeの取り付け向きが誌面に明記されていなかったことです。

紙面には向きに注意としか記載されておらず、基板のシルクとパターン、回路図を見ながら部品のデータシートを別途Webからダウンロードして読み解く必要がありました。

取り付け向きがわかり辛そうなU1とU2の拡大写真を上げておきます。
なお、U1が写っている写真のバーアンテナそばに写りこんだ抵抗は誤った数値ですから、この写真と同じように抵抗を取り付けるとラジオは動作しないので注意してください。



組み立てでやや手間が掛かるのがバリコンと選局ダイヤルの固定用ネジです。

バリコンを基板へはんだ付けする前に選局ダイヤルが引っ掛かりなく回るか確認が必要です。

下の写真のように、バリコンが基板と水平に固定されていないと選局ダイヤルが固定したネジと接触し回らなくなります。
バリコン固定NG例


またバリコンと基板を固定するためのキット付属のネジ2箇所を強く締めすぎるとバリコンがメキッという音とともにひび割れてしまい再起不能となるので、ネジは下の写真のようにほどほどに締める必要があります。
バリコン固定OK例


バリコンと選局ダイヤルの仮組みがOKとなったら選局ダイヤルのネジのみ外し、バリコンをはんだ付けします。


選局ダイヤルはバリやゆがみが比較的激しいので、手に刺さりそうなギザギザ部分は棒やすりで適度に削ると良いでしょう。

やすりでバリ取り後に選局ダイヤルのネジを締めます。ネジ締めの程度は下の写真を参考にしてください。
バリ除去前の選局ダイヤル




最も苦労したのはAMバーアンテナの取り付けでした。バーアンテナの端に写真には説明のないプラスチック部品が予め取り付けられていました(写真右側の樹脂部分)。
バーアンテナ状態(樹脂付着状態)


このままでは基板にうまく固定できないので、このプラスチック部品をニッパーなどでギリギリ基板へ取り付け可能となるまで加工しました。
バーアンテナ付着樹脂加工後



また、バーアンテナから伸びる線の基板への取り付け方法が誌面に記載されていませんでした。仕方なく回路図とバーアンテナの説明書を照らし合わせ取り付けました。

組み立て後、購入したキットの部品表の裏面にアンテナの取り付け方法が記載されていたことに気が付きました。

下の写真はキットに円筒型バーアンテナが付属していた場合の取り付け例です。扁平型バーアンテナの取り付けはこれとは異なります。




調整箇所はNutubeのピン番号と調整方法が一言誌面に書かれてあるだけで、別途Nutubeのピン配置の入手が必要でした。そのNutubeのピン配置が掲載されている使用ガイドはこちらです。



参考として完成例の写真を掲載しておきます。
基板表面
基板裏面、選局ダイヤル取り付け前

基板をキット付属のケースへ取り付けたところ


ケース装着後のNutubeラジオ上部スイッチ類
ケースの取り付けねじは金属色が電池ボックス内側用、黒色が上記写真の電源/選局ダイヤル/ヘッドホン端子側用です。この説明も紙面にはないようなので付け加えておきます。





完成した真空管ラジオの電源を入れNutubeの緑にじわっと光り出す様子を見ると、それまでの苦労が報われる気がしました。これぞ電子工作の醍醐味と言えます。
Nutube AMラジオ動作中


ということで苦言ばかりになりましたが、これらの情報がNutubeラジオの組み立ての参考になればと思います。


(関連記事はこの下です)


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TRX-305Bキット組み立てのポイント (2015/01/02)

「だれでもできる電波通信実験」AM送信機製作 (2011/05/23)

2017/07/24

ソニー 名刺サイズラジオSRF-T355K発表&スペック分析

ソニーから大型液晶を搭載した名刺サイズラジオが発売されます。

SRF-T355 | ラジオ/CDラジオ・ラジカセ | ソニー

SRF-T355K | ラジオ/CDラジオ・ラジカセ | ソニー

SRF-T355 (公式サイトから)
SRF-T355K (公式サイトから)


SRF-T355シリーズは単4電池2本で動作する2バンドの名刺サイズラジオです。SRF-T355とSRF-T355Kの違いは充電スタンドと充電池、充電器などの有無です。
SRF-T355K (公式サイトから)


ラジオ本体の大きさは幅5.56✕高さ10.68✕厚み1.69センチ、重さは充電キット付属のSRF-T355Kが付属充電池込みで約96グラム、充電キットなしのSRF-T355が乾電池込みで約88グラムです。

SRF-T355(K) プリセットボタン (公式サイトから)

受信範囲はAMが531kHz〜1710kHz、FMが76〜108MHz。FM補完放送にも対応します。ワンセグ音声は受信できません。

オプションのヘッドホン使用時はFMステレオ音声も楽しめます。イヤホンをラジオから外すとFMが受信できなくなります。

内蔵スピーカーは最大80ミリワットまで大きな音が出ます。

時計機能、30〜120分の4段階スリープタイマーとラジオ/アラーム音から選べる目覚まし機能があります。
SRF-T355(K) 大型液晶表示 (公式サイトから)




さて、SRF-T355シリーズは一見するとワンセグ音声も受信可能な名刺サイズラジオXDR-63TVに似ています。そこで両者のスペック比較をします(クリックで拡大)。


ワンセグ音声受信を除く機能はXDR-63TVからほぼ継承されています。中継局や補完放送も地域設定後は比較的簡単に受信できます。

XDR-63TVと比較するとFM補完放送受信機能が追加されています。

電池の持ちがXDR-63TVよりも3~6時間短くなっています。


SRF-T355Kは充電スタンド付属のため毎日繰り返し付属充電池を使い電池交換がほぼ不要です。

SRF-T355は同時発売予定となるオプションのBCA-TRG3KITを追加することでSRF-T355Kと同等となります。
BCA-TRG3KIT(公式サイトから)

上記表にありませんが、XDR-63TVから時計機能が追加されています。代わりにオンタイマーが削除されました。




このSRF-T355K、SRF-T355の発売は(2017年)8月5日。ソニーストア価格はSRF-T355Kが13380円、SRF-T355が9880円(どちらも税抜き)です。

ソニーストアで先行展示品を触ったところ大型液晶表示の効果は絶大で、気になる点はあるもののXDR-63TVとはまた一味違うマニアックな機能が装備されるなど工夫がありました。


ワンセグ音声受信が不要な名刺サイズラジオを選ぶ場合、このバックライト付き大型液晶表示のあるSRF-T355シリーズは選択肢に入ると思います。

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ソニー 卓上ラジオICF-506発表&スペック分析 (2017/07/22)

2017/07/22

ソニー 卓上ラジオICF-506発表&スペック分析

ソニーから折り畳み式取っ手の付いたポータブルラジオが発表されました。

ICF-506 | ラジオ/CDラジオ・ラジカセ | ソニー

ICF-506 (公式サイトから)


ICF-506は単3電池3本で動作するアナログ選局式2バンドラジオです。

受信範囲はAMが531〜1620kHz、FMが76〜108MHzです。一部のAMラジオがFMでも聴ける補完放送に対応します。

大きさは幅22.35✕高さ12.65✕奥行き6.2センチと手のひらのふた回り以上、重さは乾電池込みで約860グラムです。

アナログ選局方式ですからダイヤルを回して放送を合わせます。



さてICF-506は型番から察すると、手のひらに乗るか少し大きめのコンパクトラジオICF-306の上位機のように思います。
ICF-306 (公式サイトから)


しかしツウの方はきっと "あの" 機種に似ていると思われるでしょう。

そこでICF-801とICF-506の比較表を下記に置きます(クリックで拡大)。


スペック上はほとんど違いが分かりません。

大きさも両者違いがほとんどありません。
外観はICF-506のほうがすっきりしているように見えます。

電源とバンド切り替えスイッチ分離 or 一体の違いがあります。

ICF-801にはバックライトがあります。一方ICF-506にはありません。

ICF-801には緑色の電源/電池ランプはありませんがICF-506は装備しています。

コンセントにつながるのは両者同じです。ICF-801は単2電池駆動ですがICF-506は単3電池です。単3型充電式電池を使う場合はICF-506に歩があります。

スピーカーの大きさはどちらもほぼ同じですが音の大きさはスペック上ICF-506が140ミリワット大きめです。

ヘッドホン端子は本体右側にあります。ステレオイヤホンを使用すると両耳からモノラルで聴けます(ソニーストアで確認済み)。
ICF-506 (公式サイトから)



このICF-506の発売は(2017年)8月5日を予定。価格はソニーストア公式サイトによると税抜き5130円です。

ソニーストアで発売前のサンプルを軽く触ったところスピーカーの音は人の声が通りやすく、思いのほか受信感度が良い印象を受けました。操作感とスピーカーの音から、恐らくラジオの内部はICF-801よりも簡素化されています。

ICF-801とのすみ分けはわかりませんが、デザインはICF-506のほうがシンプルにまとめられていると個人的には思います。

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2017/07/19

オーム電機 長寿命ポケットラジオRAD-P2226S発売中

オーム電機からAudioCommブランドで小型のデジタル選局ラジオが発表されています。

AudioComm 液晶表示ポケットラジオ [品番]07-8855 - (株)オーム電機OHM

RAD-P2226S-W (公式サイトから)

RAD-P2226S(品番07-8855)は単4電池2本で動作する、スピーカーを内蔵した縦型の小型ポケットラジオです。

大きさは幅5.5×高さ9.2×厚み2.1センチ、重さは電池込みで約100グラムです。


受信範囲はAMが530~1605kHz、FMが76~108MHzです。FM補完放送にも対応します。

アンテナはAM用の内蔵バーアンテナとFM用のロッドアンテナです。イヤホンアンテナ機能はありません。

チューニングダイヤルがある通り、このラジオはデジタル表示でありながら実はアナログ選局というデジアナ選局方式ですのでボタンを1回押してすぐラジオが聴けるタイプではなく、選局ツマミを回し放送局を探すタイプです。AMの受信範囲が9kHzステップではない理由がここにあります。

モノラルイヤホン端子はFMロッドアンテナ収納部分のそばにあります。


このポケットラジオの特徴は大型液晶表示と電池寿命の長さです。

液晶は約3×4センチの大型のものを採用し視認性は抜群です。オレンジ色のバックライトが装備され暗闇での確認も容易です。選局ランプは装備されていないようです。

電池は単4アルカリ乾電池2本を使用しますが寿命がスピーカ使用時約58時間以上、イヤホン使用時約145時間以上と、これまでの同一クラス品と比べ2倍~3倍長く使えるようになっており、災害対策用としても十分対応可能となっています。
RAD-P2226S-Wパッケージ (公式サイトから)



このRAD-P2226S-Wは今年(2017年)5月から発売中で、価格はイヤホン付きで2000円前後です。

単4アルカリ乾電池でイヤホン使用時100時間以上持つラジオがRAD-P125Nなどを含め登場し始めています。音量は小さすぎないか、感度がどの程度なのか、選局ツマミの使い心地はどうなのかなどが気になります。

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2017/07/17

八重洲無線 デュアルバンドハンディFT-65国内発表&実機確認

八重洲無線からFT-65Rの国内版が発売予定です。記事執筆時点で詳細は公式サイトには未掲載ですがKANHAM2017で公開された実機を交えチェックしましょう。


FT-65は付属リチウムイオン充電池で動作する5Wアナログデュアルバンドハンディです。

大きさは幅5.25×高さ10.45×厚み3.1センチ、重さはアンテナと付属充電池込みで約260グラムです。

付属品は約9時間以上使える1950mAh充電池SBR-25LI、急速充電器SBH-22、充電用ACアダプターSAD-20B、ベルトクリップSHB-18、アンテナです。

オプションとして約12.5時間以上使える2500mAhリチウムイオン充電池SBR-26LI、プログラミングケーブルSCU-35、クローンケーブルSCU-36、VOXイヤホンマイクSSM-512Bがあります。オプションの価格は税抜き5000円を超えるものはなく非常にリーズナブルです。


送信周波数は144MHz/430MHzのアマチュアバンド、受信周波数は補完放送に対応したFMラジオ、136~174MHzと400~480MHzです。VHF航空無線の受信には対応しないようです。

スピーカーの音声出力は1ワット、多少の雨とホコリならば使用可能なIP54です。MIL-STD-810C/D/Eに対応しタフさも兼ね備えており業務用無線機クラスのハイスペック装備です。

P1~P4で設定を一発で呼び出せるクイックリコールキー、正面の高輝度LEDライト、スキャン、ARTS、DTMFなどに対応しています。

FMラジオ受信機能はありますが無線を待ち受けながらラジオを楽しめるAFデュアル機能の記載はカタログからは確認できません。

スピーカーマイク端子はありますが外部電源端子はないようです。

KANHAM2017で配布されたスペック表を載せておきます。



次に外観をチェックします。なおレビュー対象の本体はサンプルであり発売直前の最終品ではないことをお断りしておきます。

FT-65の正面にはテンキーとクイックリコールキー(QRK)が4種類、上下ボタン、LEDライト、視認性のよいフルドット液晶表示、マイクがあります。


左側にはPTT、モニター、機能(F)キーがあります。

右側にはスピーカーマイクジャックがあります。

上部には電源と音量の共用ツマミ、エマージェンシーボタン、アンテナコネクターがあります。

電源は回してカチッと音がして入切するオーソドックスなタイプです。このツマミは電源/音量共用の専用ツマミでメインダイヤルにはなりません。

アンテナコネクターは上のようにケンウッドのTPZ-D503と同じSMAオスタイプで、国内で流通しているSMAアンテナを使用する場合は別途変換アダプターが必要です。


バッテリーの着脱はベルトクリップがない状態であれば下部のスイッチをスライドするとすぐにポップアップする扱いやすい方式です。

ベルトクリップ装着時はベルトクリップの端を持ち上げるとバッテリー交換がしやすくなります。






このFT-65は税抜き29800円、発売は未定となっています。

説明員によるとFT-65はFT-60の後継機とのことですが、キーボードにバックライトがないらしく受信範囲も極端に狭いので、国内でこのまま発売されるならば実売価格はFT-60よりも安くなると予想します。

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2017/07/16

KANHAM 2017ぶらり散策

大阪池田市で開催されたアマチュア無線フェスティバルKANHAM2017へ行ってきました。


屋内ブース:

アイコムのIC-7610です。8月末発売予定。

デュアルマイクが使用可能なアルインコの新発売のDR-DPM60。


ケンウッド70周年モデルのHF機TS-590SG70はハムフェア2017公開予定で展示はありませんでした。


八重洲無線のFT-70D

国内初公開となる八重洲無線のFT-65。FMラジオは国内向けにカスタマイズされているようです。

国内発売済みのモトローラ製351MHz登録局GDR4200。3.7V系リチウムイオン充電池で2.5ワットまで送信可能。

ラジオパーツジャパンが代理店となり販売しているイタリア製ELADのFDM-DUOのカモバージョン。国内用のカスタマイズ版です。


屋外ブース:




今年も炎天下の中、出展者と話すなどして終始楽しむことができました。

※写真は大人の都合で一部加工しています
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