2019/05/05

ELPA(朝日電器)ポータブルラジオ ER-H100プチレビュー

ELPAブランドの朝日電器が発売する、テーブルに置いて使えるラジオ、ER-H100を入手したので軽く使用レポートします。
ELPA(朝日電器) ER-H100テーブルトップラジオ


レビューの前におさらいですが、ER-H100はコンセントの電源または単1アルカリ乾電池3本で約200時間使えるAM、FM、ワイドFM(補完放送)に対応するアナログ選局式ラジオです。

大きさは幅21.8×高さ12×奥行き9.2センチ、重さは電池込みで約1.1キログラムです。

サイズの感覚はA5版用紙をひと回り大きくした程度と言えば伝わるでしょうか。

直径9センチのフルレンジモノラルスピーカーを内蔵します。

折りたたみ式ハンドルがあり、持ち運びが楽です。

本体色は写真のようなブラックのみです。


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各部をチェックします。

正面には本体の半分以上を占めるモノラルスピーカーと選局窓、電源ランプ、バンド切り替えスイッチがあります。同調ランプはありません。
ER-H100正面

右側面には選局ダイヤル、電源兼用音量ツマミ、イヤホン端子があります。
ER-H100右側面

上の写真にはありませんが、左側には電源コードをコンセントへつなぐコネクターがあります。電源コードは付属しています。

裏側には単一乾電池を3本入れる電池室があります。
ER-H100電池室

蓋が少し開けにくいので、電池交換ではツメを少し強めに押す必要があります。言い換えれば、電池のふたが外れにくいということです。


本体上にはFM用のロッドアンテナと折りたたみ式のハンドル(取っ手)がついています。
ER-H100 本体上(ハンドル折りたたみ時)

見た目だけの判断は時期尚早ですが、少なくとも値段の割に造りはしっかりしているように思います。

●ER-H100の長所

このER-H100を使い始めて一番初めに驚くことはAMの音のクリアさです。

最近のデジタルチューナー搭載ラジオ、ラジカセ、ラジオレコーダーは何故かAMの音がこもってしまい、アナウンサーや語学番組の講師が何を言っているのかさっぱり聞き取れないものが多く、よしおも困っていました。

しかしこのER-H100は20年以上前のラジオのように、ひらがなの か行、さ行、た行、ぱ行などが聞き取れるレベルです!



次に驚くことは、選局ダイヤルを回すとデジタルチューナーなのか!?と疑ってしまうほど、アナログチューナーのように電波が探せることです。

通常市販されているデジタルチューナー搭載のアナログ選局ラジオの多くは、選局ダイヤルを回す度に音が一瞬途切れるブツ切れ状態になります。

しかしER-H100は、現在では絶滅寸前のアナログチューナーに匹敵するほど、特にAMバンドで連続的かつスムーズな選局が可能です。



このようにER-H100はAMラジオの音のはっきり感とダイヤル選局のストレスの少なさが、最近流行のデジタルチューナー搭載アナログ選局ラジオよりもはるかに良好です。


●ER-H100の受信感度

受信感度はAMがデスクトップラジオとしてはやや低め、FMが最近のラジカセよりも幾分良い感じです。
ER-H100動作中の様子



●ER-H100の短所

もちろん、気になる点もいくつかあります。

気になる点①は弱い電波を受信中、隣接する強い電波が現れると強い電波へ勝手に同調してしまうことです。

気になる点②はFMラジオとワイドFM放送の高音が抑えめで、人の声よりも高い中音がやや強めに出ることです。
クラシックなどの音楽聴取には向かないと思うので、FMは別のラジオで聞いた方がよさそうというのがよしおの意見です。

気になる点③は以下のような操作性の問題です:
  • 電源スイッチが音量と兼用なので、ワンプッシュで電源が入らない
  • 音量つまみのでっぱりが少なく、指1本で回す必要がある
  • 電源兼音量つまみと選局ダイヤルが近すぎる
  • 音量つまみを少し回すと音が急に大きくなり、びっくりする
  • 同調ランプがないので放送に合わせづらい



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ER-H100でFMラジオを受信中の様子

このように、気になる点はいくつかあるものの、ER-H100は現在市販されているホームラジオでAMの音質はピカイチ(死語? "ピカチュウ"の類ではない)ですから、最近買ったAMラジオのモコモコ何を言っているのか分からない音質にプンプンされている方は、選択肢のひとつとなるかもしれません。

もちろん、音をクリアに聴けるAMラジオはいくつかあるのですが、手軽に使えるホームラジオに限定すると、本記事執筆時点(2019年5月現在)でER-H100以外の現行モデルは意外と見当たらないのではないかと思います。

値段も税抜きで3000円前後と、昭和時代の半額以下ですから、気になる方はチェックされてはいかがでしょうか。

※よしおはただのラジオマニアであり、販売会社の手先でも何でもありません(笑)

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2019/05/01

デジタル復調ハンディ受信機3機種雑感2019

昨年(2018年)にアイコムのIC-R30、AORのAR-DV10がリリースされてから、まもなく1年が過ぎようとしています。そこで、手持ちのユニデンアメリカ BCD436HPを交え3機種の使い勝手を振り返り、これまでによしおが気づいた点やベストな受信機はどれかなどを挙げてみます。
AR-DV10(左), BCD436HP(中央), IC-R30(右)




その前に、簡単に各機種がどんなものか振り返りましょう。

●AOR AR-DV10(ファーム1904A)

AOR AR-DV10 + 市販ダブルベントロッドアンテナ

言わずと知れた、市販品では最多の受信モードに対応する国産デジタル復調ハンディ受信機です。

今年(2019年)4月にベータ版ながら、待望のTETRAトランキング無線の復調モードT-TC搭載ファームウェアが公開され、活躍の幅がさらに拡大しました。

メニュー階層が深すぎることによる複雑な操作など、各部に詰めの甘さが見られる反面、それを跳ね返すだけのAR-DV10独特の機能が世界中の受信活動家を惹きつけるのでしょう。


●アイコム IC-R30(ファーム1.10)

アイコム IC-R30 + 付属ロッドアンテナ

2波同時受信&同時録音機能、ブルートゥース音声受信機能、無料リモコンアプリを使いスマートフォンでコントロールする機能を備えた、デジタル復調ハンディ受信機です。

日本語表示と超高速スキャンで使い勝手が良好で、従来のアナログとデジタル簡易無線を快適に楽しめる受信機です。


●ユニデンアメリカ BCD436HP(ファーム1.26.00)

米ユニデンBCD436HP + コメットSMA-W100RX

2013年に発表されベストセラーとなった、米ユニデンの北米向けデジタルハンディスキャナーです。

日本では使いこなせない機能が満載ながら、近くの無線電波を瞬時に受信するクロースコール、メモリーチャンネル数の制約のなさ、オプションの追加でDMR復調が可能など、飛び道具が満載です。

昨年(2018年)に次期モデルSDS100が発売されましたが大きさと重量、電池寿命でBCD436HPに分があります。日本語のサポートは一切ないので生粋の受信マニア向けと言えるでしょう。



●3機種を1年間使ってみて

IC-R30AR-DV10の発売後半年間は、IC-R30単独で持ち出すことが多くありました。しかし現在ではBCD436HPをメインに持ち歩くようになりました。

理由としては下記があります:

  • クロースコール機能の存在
  • 郊外では未だアナログ無線が半数以上
  • ソフトウェアでメモリーを比較的楽にカスタマイズできる
  • オプション追加でDMRが復調できる
  • AGCがあり受信時、通信間の音量差が少ない

数年使用し続けてきた慣れや愛着も理由のひとつに挙げられるかもしれません。

IC-R30は近年流行しているDMRが聴けず、相変わらずデジタル復調時の音量の大小差が激しいです。またIC-R30で聞けるアナログはBCD436HPでカバーできるので、自然とIC-R30を外へ持ち出さなくなりました。



●結局、どれが良い?

ここで3機種の機能比較表を見てみましょう(表をクリックして拡大)。

一見するとIC-R30が受信範囲と機能で圧倒的優勢に見えます。AR-DV10の△はメモリー名に半角カタカナが使えるという意味です。


次に受信モードの比較表をチェックします(表をクリックして拡大)。


IC-R30はメインとサブの2つの受信回路が入っており、メインでのみ1300MHzまでSSBとCWが受信できます。
デジタル簡易業務無線を楽しむのであればIC-R30ですが、それ以外のデジタルを楽しむ場合はBCD436HPAR-DV10となります。


今度はマニアックな機能を比較します(表をクリックして拡大)。

IC-R30はアナログ受信用の機能が豊富です。AR-DV10は意外にもDCRのユーザーコードやdPMRのCCの選択受信ができません。


補足として、よしおが実際にこれまでに3機種を使用した経験から受信感度や不正受信を総合的に見ると、全バンドでBCD436HPのバランスが良好に思えます。

IC-R30は今後積極的に受信したい周波数の受信感度が八重洲無線のアマチュア無線機VX-8D(生産終了)に負けています。また2波同時受信でまれに強い内部発振が発生します。

AR-DV10は特に160MHz帯周辺と460MHz帯以上で不正受信が頻発し、屋外でアンテナを伸ばしづらい状況です。

またAR-DV10はサーチやスキャン中に「ゴボッ」「ケッ」などという、声なのかよく分からない誤復調が1時間に数回は発生します。

昨年(2018年)の夏場、40度近くの室温でエラーするまで稼働させ、本体温度が50度を超えたことを手持ちのAR-DV10が根に持っているのかもしれません。

受信機にも悩みや不満がいろいろあるのでしょうね(笑)
AR-DV10(左), BCD436HP(中央), IC-R30(右), いずれもケース装着



2019年、個人的に活躍させたいと考えている受信機はAR-DV10です。世界で使用されているTETRAのトランキング無線にも対応するなど、活躍の場がますます広がりつつあります。

これまでAR-DV10をサーチ主体で使ってきましたが、ようやくメモリー登録に目途がついたので、これからはAR-DV10をスキャン主体で持ち出して使っていこうと思います。


よしおのように、IC-R30に物足りなさを感じる場合はほぼ間違いなくDCR以外のデジタルを受信したい病でしょうから(笑)、操作性や動作に多少の難があってもAR-DV10が選択肢に入るかと思います。

(関連記事はこの下です)


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