2017/10/29

秋月NS73M使用FMステレオトランスミッターキットの製作

秋月電子通商で販売されているトライステート社のNS73M使用FMステレオ・トランスミッター・キットを入手しました。
トライステート NS73M使用FMステレオ・トランスミッター・キット




このNS73M使用FMステレオ・トランスミッター・キットは手持ちの音声をカーラジオを含むFMラジオへ電波で飛ばす、デジタル方式のFMステレオ送信機です。

送信周波数は87.5MHz~89.9MHzで0.1MHzステップで連続可変。音声はステレオライン入力に対応しています。

コンデンサーマイク入力方法はメーカーWebサイトに改造例があります。




このキットの入手理由は現在使用しているエレキットのFMステレオトランスミッター(販売終了品)が76~80MHzで、そのままでは補完放送周波数付近で使えないためです。

当初は小型で使いやすいエレキットの同型機の改造を検討しましたがワンダーキットも含め同系統の製品がすべて販売終了でした。

秋月には低価格FMステレオ・トランスミッタキットもありますがそのまま製作すると周波数ズレや音質などが値段なりのため、前から気になっていた前述のNS73M使用版にしました。



このNS73M使用のFMトランスミッターキットは部品の数が多くないので、中級以上の電子工作員なら説明書を読めば30分も掛からず組み立てられるはずです。
トライステート NS73M使用FMステレオ・トランスミッター・キット部品
本キットを組み立てる場合はこのトランスミッターキット本体に加え8V~12VのACアダプター、アンテナとして1メートル程度の細いリード線が別途必要です。



ということでラジオ番組を聴きながら電子工作し、手持ちのACアダプターで電源を入れると無事動作しました。
トライステート NS73M使用FMステレオ・トランスミッター・キット組み立て例


音のクリアさはこれまで使ってきたものより上です。

CDを再生するとFMラジオ放送局顔負けの非常にクリアな音質となりますが、このトランスミッターの音質が良すぎるためか、パソコンから低ビットレート音声を送るとデジタル特有の音の粗さが目立ちます。

入力レベルは設定変更してもエレキットの旧FMステレオトランスミッターキットよりも低いため、次回改造してみます。


このキットは周波数ずれの心配がなくボタンでメニュー設定できるので、精密ドライバーを握りしめながら調整職人になる必要はありません。
トライステート NS73M使用FMステレオ・トランスミッター・キット動作例


次は収納ケースを考えます。

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「だれでもできる電波通信実験」AM送信機製作 (2011/05/23)

2017/10/25

アンドー 特小無線機 T16-475Y, T14-365LZ発売中

ラジオや小型オーディオ機器を取り扱うアンドーから特定小電力トランシーバーが2機種発売中です。

マルチフィールドトランシーバー T16-475Y | アンドーインターナショナル

特定小電力トランシーバー T14-365LZ | アンドーインターナショナル



●T16-475Y

アンドー T16-475Y (公式サイトから)

T16-475Yは単4乾電池3本で動作する腕時計型特定小電力トランシーバーです。

どこかで見たような気はしますが総務省の技術適合証明を受けた、電池を入れてだれでもすぐ買って使える無線機です。

大きさは幅5×高さ7.1×厚み3.3センチ。重さは電池込みで約92グラムです。

使用チャンネルは単信20チャンネル。レピーターは使えません。

マルチフィールドトランシーバーとありますが、恐らく防滴機能はありません。

本体中央部にPTT(送信)ボタンがありますが、付属イヤホンマイクを使ったハンズフリー通信も可能です。


参考通信距離は見通しのよい場所で最大1キロメートルとありますが、アンテナが短いので100メートルも届けば御の字でしょう。

ボタン配置といい液晶表示といい、見たところF.R.C.の腕時計型特定小電力トランシーバー FT-20Wと同じコンセプトですが、FT-20Wが専用充電池を使用するのに対して、このアンドーのT16-475Yは電源に乾電池を使用する部分がポイントとなっています。
FRC FT-20W 左~正面(公式サイトから)

F.R.C. FT-20W 正面~右(公式サイトから)


FT-20W同様にスキャンを装備し、時計機能が常時動作すると思われます。

アームバンドとイヤホンマイクが付属します。
アンドー T16-475Y (公式サイトから)



●T14-365LZ

アンドー T14-365LZ (公式サイトから)

T14-365LZは単4乾電池4本で動作する特定小電力トランシーバーです。

何となく見覚えのある製品のような気もしますが、こちらも総務省の技術適合証明を受けた、誰でも買ってすぐ使える無線機です。

大きさは幅5.2×高さ14.2×厚み3.3センチ。重さは電池込みで約130グラムです。

使用チャンネルは単信20チャンネル。レピーターは使えません。
アンドー T14-365LZ 液晶表示 (公式サイトから)


アンテナの隣にLEDがあり懐中電灯として使えるようです。
アンドー T14-365LZ ライト機能(公式サイトから)


防滴機能はありません。

ハンズフリー通信、モニター機能、スキャン、ベルコール機能などがあるようです。

付属品はベルトクリップのみです。





腕時計型のT16-475Y、ストレート型のT14-365LZはいずれも発売中で、T16-475Yは2台1組で2万2千円程度、T14-365LZは2台1組で1万5千円前後のようです。


せっかくT16-475YとT14-365LZを取り上げたのですがFRCのFT-20Wは2台で店頭価格が1万3千円程度なので今回取り上げた2機種の割高感は否めません。

この価格でそこそこの通信距離と確実性を確保するのであれば単3電池1本駆動可能なアイコムの47チャンネル機IC-4300アルインコDJ-PB20ケンウッドのUTB-10など防滴性能を持つ無線機メーカー製をお勧めしたいところです。

しかし腕時計型のT16-475Yは乾電池式という点が他にはないため、重さ100グラム程度の腕時計型無線機を腕にくくりつけ遊んでみたい用途には良いのではないかと思います。


なお、これら2機種は形状や色が全く同じ、紛らわしい類似品をオークションサイトやショッピングサイトで見かけます。

それらは値段がアンドーと比べ極端に安いですが、アンドー以外はすべて海外でのみ使用可能となっているものばかりです(当記事執筆時点)。

入手の際はANDOの文字があることを確かめるくらいしか手立てがないので注意が必要でしょう。

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エフ・アール・シー 腕時計型特小無線機FT-20W発表 (2016/06/03)

アイコム、本体93gの小型特定小電力トランシーバー (2011/09/27)

【追記】アルインコ 特小DJ-PB20発売開始 (2014/02/24)

JVCケンウッドの特小無線機UTB-10発売中!? (2015/07/01)

2017/10/22

アイコムIC-DPR6とIC-DPR7の違いスペック比較

アイコムの351MHz登録局ハンディトランシーバーIC-DPR7、IC-DPR7BTが発売されました。ここではIC-DPR6との違いを他社製品も交えスペック比較してみましょう。

アイコム IC-DPR7(公式サイトから)


まず基本スペック比較です(クリックで拡大)。

左からIC-DPR6、IC-DPR7、IC-DPR7BTの順に並べてあります。

送受信チャンネルや送信出力を含む無線機としての基本スペックはIC-DPR6とIC-DPR7シリーズで共通のようです。

IC-DPR7シリーズの大きさはIC-DPR6比で高さが5ミリ、厚みが0.5ミリ減り、重さも約10グラム以上減少しています。

内蔵スピーカー出力が向上し、騒がしい重機を扱う現場や道路周辺での使用感がアップしています。受信イコライザー(音質調整機能、後述)が追加され聞きやすさも調整できるようになりました。


電池の持ちは1時間長くなりました。これは付属リチウムイオンバッテリーの性能向上によります。

IC-DPR6の電源はリチウムイオンバッテリーBP-274とアルカリ乾電池5本ケースBP-221でしたが、IC-DPR7シリーズはリチウムイオンバッテリーBP-290とアルカリ乾電池5本ケースBP-291と、卓上充電器を含むバッテリーシステムが新規採用されています。

IC-DPR7シリーズでは通常の4段階の電池残量表示に加えリチウムイオンバッテリーの詳細残量、充電回数、温度、健康度が本体でチェックできるようになり、厳しいプロフェッショナルなビジネスユースに対応しました。

また電池寿命警告表示が新規追加され、電池劣化による満充電してもすぐに電池が切れる不測の事態が分かるようになりました。

IC-DPR7シリーズに付属のリチウムイオンバッテリーBP-290はPCでバッテリーの状態が確認できるオプションのインテリジェントチャージャーBC-225(充電時間約2.5時間)とソフトウェアRS-BC225に対応しています。もちろん本体液晶表示でも情報は確認できます。


IC-DPR7シリーズはIC-DPR6に引き続き外部電源入力端子は本体にありません。




設定機能をチェックします(クリックで拡大)。


ポケットビープ動作設定とは着信時の無線機本体の動作を設定する機能です。

IC-DPR6とIC-DPR7(BT除く)にポケットビープ機能がないわけではなく、振動着信が選べない(IC-DPR7BTのみ)ことを表します。

IC-DPR7シリーズはビープ音の音量固定/連動切替ができるようになっています。

IC-DPR6の弱電波を音で知らせる受信電波強度通知はIC-DPR7では削除されています。

マイクゲイン調整幅が変更されています。

IC-DPR7にはVOX機能が本体に内蔵され、オプションのVOXユニットVS-2SJが不要となりました。

アルインコのDJ-DPS70シリーズと同様、エマージェンシー機能に60度以上無線機本体が傾くと電波を自動発報するマンダウン、トランシーバーをある時間以上操作しない場合自動送信するローンワーカーが追加されています。




設定機能比較を続けます。

IC-DPR7シリーズに搭載された録音機能は受信音声録音と最大10秒までのワンタッチアンサー用音声録音の2種類があります。

受信音声録音時間の上限は取扱説明書にありませんが海外向け同型機では最大8分とあるため、恐らくそれに準ずるのではないかと思います。

アルインコのDJ-DPS70シリーズは最大35分または31件が上限のためスペックとしてはアルインコが上でしょう。


そして待望の全チャンネルスキャンが搭載されました。

上の表の「メモリーCH毎のスキャン設定」がスキャンの設定項目です。スキャンしたいチャンネルは自由に選択できるのでチャンネルのスキップ登録もできます。スキャン停止後のオプションも充実しています。


一時音量切り替えとはサイドキーをワンプッシュするだけで予め設定してある音量に一時的に変更(音量上げる/下げる)できる機能です。アルインコDJ-DPS70シリーズの固定音量レベル設定と同様です。

IC-DPR7に新設されたオートキーロックは15秒~10分まで調節できます。

IC-DPR6のバックライト機能は自動のみでしたがIC-DPR7では明るさ調整、連続点灯や切の選択ができるようになりました。

外部電源5V出力はアイコム指定の純正オプションのイヤホンマイクやヘッドセット使用時、うまく動作しない場合などに使用します。

送受信イコライザーは送信音質と受信音質が変えられる機能です。ケンウッドのTPZ-D553シリーズアルインコのDJ-DPS70シリーズと同様です。



補足として今回登場したIC-DPR7とIC-DPR7BTではブルートゥース機能以外に下記機能が差別化されています。
  • ポケットビープ動作設定の振動モード、振動+ビープ動作
  • 着信バイブレーター
  • BluetoothヘッドセットによるVOX送信
  • 設定モード画面で文字がはみ出す場合に追加表示するネクスト表示(サイド2キー押)





以上IC-DPR6とIC-DPR7シリーズのスペック比較でした。

今回登場したIC-DPR7とIC-DPR7BTはIC-DPR6の機能拡充版と考えてよさそうです。

とにかく高出力で遠くまで通信できればよいと割り切るのであればIC-DPR6、スキャン機能付きの5Wハンディのアイコム機が欲しい場合はIC-DPR7シリーズを選ぶことになります。


これで全チャンネルスキャン機能のない351MHz登録局(簡易デジタル)ハンディ機は八重洲無線を残すのみとなりました。

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アイコム 351MHz登録局無線機IC-DPR7スペック予想 (201/09/16)

アルインコDR-DPM60とDR-DPM50スペック&機能比較 (201/08/17)

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ケンウッド 登録局携帯機TCP-D551,TPZ-D553シリーズ発表 (2016/01/17)

2017/10/11

ソニー FM/AMラジオICF-306ミニレビュー

ICF-306は単3アルカリ乾電池2本で約100時間以上使える2バンドラジオです。入手して1年以上経過し馴染んできたのでラジオの使い勝手や感度、音質などを使用レポートします。
ソニー ICF-306 FM/AMモノラルラジオ


よしおがICF-306を入手した経緯はそれまでのソニーのラジオとは一線を画す、曲線と直線を基本とするシンプルなデザインが良く使ってみたいと思ったからです。

価格も3000~4000円程度と、ソニー製にしては入手しやすいこともポイントでした。スペックに関しては発売前の記事(下記関連記事参照)に記載しています。

なお写真のICF-306は不覚にもスピーカーグリルを凹ませてしまったため、左下が変形していることをご承知おきください。





あらためてICF-306をチェックします。
ICF-306 FMアンテナ収納時


大きさは手のひらよりもひと回り~二回り大きい程度で置き場所に困ることがありません。

重さも最近のスマートフォンと同程度か少しある程度。可動式ハンドルがあり持ち運びも比較的楽です。



使い方は電源を入れAMかFMを選び、本体上の選局ダイヤルと右側の音量つまみを調節するだけ。ラジオの使い方が分からなくてもとりあえず触れば音が出るようになっています。
ICF-306本体上面

最近の製品にありがちな、素早く選局ダイヤルを回すとラジオの受信がダイヤルのスピードについてこないAFC搭載ラジオとは異なる、完全なアナログラジオなので急いで放送を合わせたい場合にも素早く対応して使い勝手は快適です。



本体には電池ランプと同調ランプがあり、電池切れとラジオの放送局に合わせられているか一目で分かります。ラジオの選局窓と周囲には光沢があり従来のラジオのイメージを刷新するアクセントになっています。
ソニー ICF-306


スピーカーの周囲には金属製グリルが装着され、ほぼ同じ内部スペックを持つICF-P26ICF-P36よりも音が広がりやすく高価な造りです。そういう訳で写真のICF-306は凹んでいます(よしお自身もかなり凹んでいます)。




ラジオの受信範囲はAMが530~1605kHz、FMが76~108MHzと、i-dioを除く国内の主要な地上波ラジオ放送をカバーします。一部地域でAM放送をFMでも聴けるFM補完放送(ワイドFM)に対応しています。ラジオNIKKEIは受信できません。


受信音声は内蔵モノラルスピーカーの他、モノラルヘッドホン端子があり音楽プレーヤーに使われているステレオミニプラグのヘッドホンから出力できます。ステレオイヤホンを使用すると音声は両耳モノラルとなります。
ICF-306右側の 音量つまみ(上)とヘッドホン端子(下)

音質は大型スピーカーを搭載した5000円以上のラジオと比べ高音と低音が抑えられ、パーソナリティやアナウンサーの声が聴ける程度に設定されています。

非常に音が軽く柔らかいのでラジオを鳴らしながら何かをする用途に向いています。



電池はICF-306を裏返すと電池蓋があります。電池蓋を下向きにずらして上へ跳ね上げると電池が取り付けられます。蓋は本体と一体のためなくす心配がありません。
ICF-306裏側

電池室が1本ずつに分かれているので電池を入れた後に蓋を閉めようとするといきなり電池が飛び出すトラブルが少なくなっています。
ICF-306 電池蓋オープン



ラジオとして重要な性能の一つである受信感度は地元の放送局を受信できる程度。山間部での使用や遠距離受信を楽しむ場合は1万円以上のICF-EX5MK2ICF-M780NICF-SW7600GRなどを選びます。





ICF-306のデザインコンセプトに似た同社の上位機種ICZ-R250TVと比べると音質やスピーカーの数、機能性、受信範囲や感度で劣りますが持ち運びやすさと電池の持ちはICF-306が勝ります。
ICF-306(左)とICZ-R250TV(右)
ICF-306(手前)、ICZ-R250TV(奥)

家電にありがちな電源コードがなく電池専用なのでインテリアを重視する部屋にさりげなく置けるお手軽ラジオとして、このICF-306は選択肢のひとつに入るでしょう。

小型ながら電池の持ちもなかなかのものですから、非常時に備えた普段使い用としても最適です。

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[関連記事]
ソニー 2バンドラジオICF-P26, ICF-P36, ICF-306発表 (2015/10/12)

ソニー ワンセグラジオレコーダーICZ-R250TV発表&プチレビュー (2014/10/05)

【追記】ソニー、ラジオNIKKEIが聴けるホームラジオICF-M780N (2014/01/22)

2017/10/08

東芝エルイー FMラジオ内蔵パーティースピーカーTY-ASC60発売

東芝エルイートレーディングからFMラジオを内蔵した高出力ポータブルスピーカーが発売されます。

TY-ASC60:ポータブルサウンドシステム:東芝エルイートレーディング株式会社

東芝エルイー TY-ASC60 (公式サイトから)

TY-ASC60は小~中規模の室内での使用を想定した、パーティーやイベント用のアンプ内蔵ワイヤレスステレオスピーカーです。

大きさは縦置き使用の場合、幅25.9×高さ59.5×奥行き27.2センチ、重さ約7キログラムです。

このスピーカーがあるとスマートフォンなどとブルートゥースで接続した音楽再生、2つのUSBメモリー音楽再生、オプションの接続コードを使ったオーディオ機器の音楽再生、オプションのカラオケ用マイクロホン2本を使ったエコー付きマイクミキシング、そしてFMラジオが楽しめます。

Bluetooth、32GBまでのUSBメモリー、外部入力、FMラジオの再生が可能で、2本のマイクロホンがあればこれらの音声とミキシングが可能です。

2系統のUSBメモリーを接続できますが2つのUSBメモリー同時再生は対応していません。著作権保護されたファイルの再生は不可です。

TY-ASC60 横置き使用例 (公式サイトから)

音声出力は30ワットフルレンジスピーカーが2機ステレオで配置され、計60ワットの大音量が再生できます。音楽と気分に合わせた5種類のプリセットイコライザーも装備しています。

電源はコンセントからと内蔵鉛充電式電池12ボルト4Ahの2パターンが選べます。内蔵充電池を満充電し使用した場合の連続再生時間は約5時間です。



それでは各部をチェックします。

本体正面には7色に変化するステレオスピーカーライトとスピーカー周囲にちりばめられた2色のLEDデコレーションライトを搭載し、音だけでなく視覚的にもサウンドが楽しめます。

TY-ASC60 縦置き使用例 (公式サイトから)
スピーカーネットがなく、指やとがったもの、机の角でスピーカーをツンツンすると簡単にスピーカーが破損しますので移動時など取扱には注意が必要です。



本体上は操作面です。

手前からマイクロホン音量ダイヤル(左)とスピーカーの音量ダイヤル(右)、電源スイッチ(左の赤)、表示部、重低音強調BASSボタンがあります。

中央部に入力切替(右)とスピーカー音質切替(左)、USBメモリー再生兼FMラジオのコントロールボタン、スピーカーライト切替とマイクロホンのエコーボタンがあります。

そして奥にはUSB端子2系統、外部入力端子、マイク2本接続端子があります。
TY-ASC60 操作面(上面) (公式サイトから)


コンセントと接続するAC電源ソケット(電源コード端子)はスピーカー裏にあります。FMアンテナもスピーカー裏です。
TY-ASC60各部説明 (公式サイトから)

中央のボタンと表示部はバックライトを装備し暗所での操作性を向上しています。音量ダイヤル周辺にバックライトはないようです。



前置きがずいぶん長くなりました。本題のラジオをチェックします。

ラジオ受信機能は76~108MHzのFMのみ対応しています。地域によりAMラジオをFMで聴ける可能性があるFM補完放送(ワイドFM)に対応しています。周波数は本体に表示されます。

ラジオ放送局を自動で探し30局まで登録する自動プリセット、スキャンに対応します。手動プリセットや手動選局も可能なため極端に安価な製品にありがちな全自動で使いづらいことはなさそうです。

初期設定はお住いの地域を選ぶだけで完了する高機能タイプではありませんので、自動プリセットで初期設定する場合は予め本体を窓側に置くことをお勧めします。



外部接続をチェックしましょう。TY-ASC60にはBluetooth2.1+EDRとUSB2.0端子、ステレオミニ音声入力端子、2系統の標準モノラルマイクロホンジャック、付属電源コードとつなぎコンセントとつなぐ電源入力端子があります。

USB端子はUSBメモリー再生専用。スマートフォンの充電や接続は想定していないようです。

Bluetoothはワンセグ音声の再生や著作権保護されたファイルは再生できないようです。

FMラジオ用アンテナは通常のロッドアンテナではなく本体から伸びたリード線のようです。



さて、この東芝エルイーのTY-ASC60はソニーが10月21日発売予定するワイヤレスポータブルスピーカーSRS-XB60と似ており、真っ向勝負の様相を呈しています。

そこで両者のスペック比較をしてみましょう(クリックで拡大)。


スピーカー出力はソニーSRS-XB60の150ワットに対してTY-ASC60が60ワットと倍の差があります。しかし重さはTY-ASC60が1キロ軽くなっています。

ソニーSRS-XB60はスマートフォンとの連携で音楽再生中の突然の通話にも対応できる内蔵マイクロホンがあります。対するTY-ASC60は音楽再生専用と必要最小限です。

マイクロホンミキシング機能はTY-ASC60がカラオケデュエットも可能な2系統を装備し、さらにエコーも可能なためSRS-XB60を圧倒しています。ただしエコーのディレイ調節はできません。

FMラジオ受信機能はTY-ASC60にはありますがソニーSRS-XB60にはありません。

ソニーSRS-XB60はスマートフォンを介した音質調整とLEDの調整が可能ですが、TY-ASC60は本体だけですべての設定が可能となっています。反面、TY-ASC60は横置きで使用すると操作が非常に面倒となります。

非圧縮音源の再生機能はTY-ASC60にはありませんが、すべてのBluetooth機器で対応していないのでSBCコーデックだけで十分と思います。また音質にこだわる場合は外部入力端子を使えば解決します。

LEDライトについては、SRS-XB60が音楽と同期するのに対してTY-ASC60はどうやら非同期という情報があります。たしかにTY-ASC60の製品説明には「音楽に同期する」と記載されていないので、音楽に同期してLEDライトが光らない情報は本当かもしれません。


このようにLEDライトを含む付加機能はソニーのSRS-XB60が2~3歩リードしていますが必要最低限があればよくマイクロホンを2本つなぎたい場合はTY-ASC60を選ぶことになります。





このTY-ASC60の発売は2017年10月中旬で、アマゾンによると10月14日くらいから発送予定。価格はアマゾンでは4万円程度ですが一部量販店の直販サイトでは2万円を切っています。

世界的に大出力スピーカーがヒットしているようですが、かつて大音量で再生できる日本製ラジカセが世界を席巻したことを彷彿させます。

例えばダンス中に災害が発生しFMラジオを聴きたいときはこのTY-ASC60があればもしかすると重宝するかもしれません。

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東芝エルイー シンプルなCDラジオ TY-C150発売中 (2017/06/10)

東芝エルイー SD&USB&CDラジオ TY-CWX90発表 (2017/04/18)

ソニー Bluetooth内蔵ラジオSRF-V1BT発表&プチレビュー (2016/06/05)

2017/10/02

パナソニック 名刺サイズラジオRF-NA35,RF-NA35R発表&スペック比較


パナソニックからアナログ選局方式の通勤ラジオ2機種 RF-NA35とRF-NA35Rが発売されます。

FM/AM 2バンドレシーバー RF-NA35 商品概要 | オーディオ | Panasonic

FM/AM 2バンドレシーバー RF-NA35R 商品概要 | オーディオ | Panasonic

パナソニック RF-NA35(公式サイトから)
パナソニック RF-NA35R(公式サイトから)



今回発表されたRF-NA35とRF-NA35Rは単4電池2本で動作するスピーカーを内蔵したFMとAMのモノラル2バンド対応名刺サイズラジオです。一部AM放送をFMでも聴けるFM補完放送の受信に対応します。

RF-NA35とRF-NA35Rの違いはイヤホンが外付け(RF-NA35)か、巻取り式イヤホン内蔵(RF-NA35R)かです。

どちらも直径2.5ミリのモノラルミニミニ(パナソニック名はモノラルスーパーミニ)イヤホン端子を装備しオプションのイヤホンが接続可能です。



RF-NA35とRF-NA35Rには同社のラジオに搭載されつつある「らくらくチューニング」と「快聴音モード」、「蛍光色ポインター&光るダイヤルパネル」が新装備されています。

らくらくチューニングは従来操作の難しかった放送局の選局がより楽になる機能で、快聴音モードは高音を強調して音を聞きやすくするための機能です。

蛍光色ポインター&光るダイヤルパネルは暗所での選局がより簡単になる機能です。

細かい部分ですが付属の乾電池がエボルタにグレードアップしてることも挙げられます。



さて、当記事を読まれている方はすでにお気づきでしょうがRF-NA35とRF-NA35RはRF-NA17ARF-NA17RAの後継機です。早速スペック比較をしましょう(表クリックで拡大)。

大きさは変わりません。重さは1~3グラム軽量化されています。

電池の持ちが従来機の約半分となっています。最近同社から立て続けに発表されているらくらくチューニングラジオと同じ傾向です。

AMラジオの受信範囲が504~1665kHzまで拡張されています。

スピーカーの出力が1.3倍以上向上しています。

90分のオートパワーオフと同調ランプはどちらも装備されています。

上記比較表には記載しませんでしたがRF-NA17(R)Aのノイズカットスイッチが廃止され代わりに快聴音モードスイッチになるのでしょうか。



今度は外観比較をしてみましょう。

ラジオ本体の見た目だけを比較すると、今回発売されるRF-NA35(R)は現行機種RF-NA17(R)Aと比べ選局用文字の見やすさと同時に表示部分のチープ感も向上している気がします。
新発売 RF-NA35 (公式サイトから)
現行機種 RF-NA17A (公式サイトから)

新発売 RF-NA35R (公式サイトから)
現行機種 RF-NA17RA (公式サイトから)

電池の持ちの良い現行機種を選ぶか、今回新発売となる使い勝手のよさそうなRF-NA35(R)を選ぶべきかは個人の好みで決めるとよいのではないでしょうか。



このRF-NA35(R)の発売予定日は2017年10月20日金曜日。価格は執筆時点ではアマゾンによるとRF-NA35、RF-NA35Rどちらも6000円程度です。

個人的にはRF-NA35Rについて巻取りイヤホンのスイッチ破損が少なくなっていることを期待します。また、快聴音モード(高音強調機能)によるAMラジオの音質も気になるところです。

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2017/10/01

TRX-305の受信周波数ドリフトが発生

長らく懸案だった、すでに組み立て済みのCQ出版から発売されているフルディジタル・トランシーバーキットTRX-305(TRX-305A+TRX-305B)いじりをぼちぼち再開しました。
CQ出版 TRX-305組み立て動作例(ケース外し時)



再開の理由はTRX-305の開発がデジタルボイスレシーバーAR-DV1の開発と同じAORで、前回アイコム外部スピーカーSP-39ADをAR-DV1と接続したときの低音不足が気になりTRX-305も同様の音質だったため、TRX-305の中身を詳しく知れば手持ちのAR-DV1の音質改善の手がかりになるかもしれないと考えたからです。

ということでまずはしばらく放置していたTRX-305に火入れをしたところ、上記のとおり電源は入りました。


次に本体とパネルのファームウェアを更新しました。適用したファームはこちらの特設サイトで公開されているRX-305MBファームウェア704AとTRX-305CPファームウェアVer.509Aです。


アップデート方法等はお手持ちのTRX-305AまたはTRX-305BのキットのCD-ROMに同梱されているのでここでは割愛します。



さてファームウェアのアップデート成功を確認後、久しぶりにTRX-305で短波受信をしてみたところ気になる症状が現れました。それは周波数ドリフトしているように見えることです。

例えば6MHz帯のラジオNIKKEIと9MHz帯の某国の日本語放送を受信すると、どちらも140kHz程度の周波数ずれを確認しました。
TRX-305で本来6.055MHzの電波受信、下のIC-R8600は比較用

TRX-305で9MHz帯の某国放送受信中


市民ラジオ無線機SR-01で送信した電波を受信するとなんと400kHz程度も!ズレがありました。
SR-01の電波をTRX-305で受信中


TRX-305にはおまけ機能としてFMラジオ受信機能もあるのですがFM放送を受信すると時間が経つにつれて200kHzずれが500kHzへ拡大してしまいました。

いずれの症状も電源を入れなおすとすぐ元に戻るのですが数回電源を入れなおしても同じ症状を繰り返しています。



これは調査が必要です。

これは推測ですが原因はスイッチング電源かADコンバーターか基準クロックのドリフトかFPGAのタイミングズレか、あるいはメインダイヤルから謎のバルスパルスを発しているのか、はたまた長時間放置したのでTRX-305のかまってちゃんオーラなのか...。

いずれにせよTRX-305MB基板の細かいチェックと場合によってはFPGAプロジェクトのチェックが必要ですね。


TRX-305の音質改善方法を調べるはずが別の問題で新たな課題が浮上してしまいました。まあ趣味なので気が向いたら調べてみます。

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[関連記事]
CQ出版 実験ボードTRX-305A組み立て (2014/10/19)

TRX-305動作開始 (2015/01/10)

TRX-305メインパネル再分解 (2015/01/04)