2016/11/28

【追記】【プチレビュー】TY-JKR5、使用前に遭遇した症状と対策

前回の防災ラジオの選び方2016で紹介した東芝エルイーのFM/AMラジオTY-JKR5を入手しました。今回はTY-JKR5を使うと戸惑いそうなことと、その対策を感想(レビュー)を交え説明します。


TY-JKR5の特徴は以前こちらの記事で説明しました。

あらためて簡単に説明しますとTY-JKR5はLEDライトと充電用手回しハンドルで発電した電気をUSB充電端子へ送りスマートフォンや携帯電話を充電する機能を備えた、雨対応FM/AM 2バンドラジオです。

単4アルカリ乾電池2本または内蔵コンデンサーで動作します。


手回し充電機能の付いた製品はたとえばパナソニックRF-TJ20やソニーのICF-B99ICF-B09、オーム電機のRAD-V945NRAD-V529K、ヤザワのBL109RMSDBK、朝日電器(ELPA)のER-DY10Fスターリングクラブの製品など、各社から発売され私たちはどれを選べばよいのか目移りする傾向はありますが、少なくとも、どれもニッケル水素充電池を内蔵している点は共通です。

ニッケル水素充電池やニッケルカドミウム(ニカド)充電池を内蔵する製品の中には何もせず数年以上放置すると内蔵電池が劣化し、いざという時にほとんど使えなくなるものがあるようです。

TY-JKR5は充電池にこれまで採用されてきたニッケル水素/ニカドではなく大容量コンデンサーを使用。充電池劣化の心配が少なくなるということで、いざという時にすぐ充電して使えるというのがうたい文句です。





さて、ここからはTY-JKR5を使って初めて分かった、説明書には記されていないように見える使用上の注意をいくつか説明します。

よしおが入手した個体は内蔵充電池(コンデンサー)に手回しハンドルで充電するとLEDライトは点灯するのにラジオが動作していないように見える症状に見舞われました。

しかし乾電池を入れ、本体後ろの切り替えスイッチを乾電池側へ倒すと、ラジオとLEDライトは期待通り動作します。

説明書を何度も読み返しましたが、内蔵充電池への充電は本体裏面の電池切り替えスイッチを触ることなく、ハンドルの回す向きにかかわらず、手回しハンドルを約2分間回すだけで満充電できると読めます。

ところが内蔵充電池でラジオを動作させようとするとハンドルを2分間回し続けてもLEDライトは点灯するものの、肝心のラジオは電源・音量つまみを触っても音が出ずインジケーターも光りませんでした。


故障と思い販売店に交換してもらいましたが交換品はさらに症状がよくなく、3分間程度手回しハンドルを回し続けるとようやく内蔵充電池でLEDが光り始めました。ラジオはまだ音が出ません。どうやら説明書に記載されていないことが起きているようです。


しつこくさらに2分間ハンドルを回しラジオの電源を入れると、ようやくホワイトノイズが聞こえてきました。充電が足りないと思いさらに3分間ハンドルを回し続けたところ、ようやくラジオが鳴り始めました。


めでたしめでたしと言いたいところですが、新たな問題が。同調インジケーターが点灯しません。

電波が弱いと思いTY-JKR5を外へ連れ出しましたが変化なし。そこで電池切り替えスイッチを乾電池に替えたところ、やっと同調インジケーターが光り始めました。

どうやら内蔵充電池でラジオを動作させるとバッテリーインジケーターは点灯しますが状況によっては電波が強くても同調インジケーターが点灯しない仕様のようです。
【2016/11/28追記】
ハンドルの回す速さを速くすることでこの問題が解消することがわかりました。



よしおの個体だけかもしれませんがこれらをまとめると、TY-JKR5には初めて、または久しぶりに内蔵充電池でラジオを聴取する際は以下の追加操作と制限があるといえます(メーカー未確認):

1) 手回しハンドルを7分以上回す必要があるかもしれない

2) 同調インジケーターは点灯しないかもしれない

【2016/11/28追記】
2) については手回しハンドルの回す速さが遅いと同調インジケーターが点灯せず、毎秒3回転させると点灯することが分かりました。


以上、TY-JKR5を使い遭遇した症状と対策について紹介しました。

TY-JKR5は小型軽量にもかかわらず、ラジオの受信感度がFMとAMともにこれまでの、特に10年以上前の格安防災手回し充電ラジオとは比べ物にならないほど感度が良いと思います。

都市部の室内でFMラジオのロッドアンテナを伸ばすことなくFMラジオ放送があっさりと受信できました。

LEDライトの明るさも実用レベルです。AMラジオ受信中にLEDライトをつけるとなぜか雑音が出、放送局によっては全く聞こえなくなる場合があります。この場合はFM補完放送を聞くかライトを消すことで対応できます。

充電に2アンペア必要な手持ちのアンドロイドスマートフォンは充電エラーを表示することなく手回しハンドルで充電できました。

内蔵スピーカーの音も人の声を聴くには十分な音質です。電池ふたを開けるとスピーカーの音のヌケは良くなりますが一方で防滴性能は損なわれます。


非常時に使う際は慌てず落ち着き、状況によっては上記2点注意すれば使える小型手回しラジオとなるはずです。

(関連記事はこの下です)

[関連記事]
防災ラジオの選び方(2016年版)(2016/11/21)

東芝エルイー コンデンサー充電手回しラジオTY-JKR5発表(2016/02/12)

パナソニック 手回し2バンドラジオRF-TJ20発売中(2016/04/25)

2016/11/21

防災ラジオの選び方(2016年版)

今回は2016年に流通している数多くのラジオの中からラジオに不慣れな方にも使いやすく、非常時に使うラジオ(防災ラジオ)としてふさわしいラジオをチョイスしてみます。


●非常時にラジオが必要な理由とは


「そもそもラジオなんて要らないのでは? ワンセグテレビがスマートフォンに入っているから、ラジコ(Radiko)アプリもあるし」という方も少なからずいるでしょう。
 実は非常時にラジオが必要な理由は大きく2つあります。


〈理由1〉 ワンセグテレビは電池の持ちが良くない


非常時は恐らく停電に見舞われますからコンセントの電源は使えません。

手持ちのスマートフォンや携帯電話のワンセグテレビを視聴すると電池は持って半日程度と思います。避難生活が2日以上続くと当然ながらテレビは見られなくなります。電池がなければ携帯電話網が死んでいなくても通話できません。

モバイルバッテリーをお持ちの方もいるでしょうがスマートフォンと一緒に避難に持っていくと荷物が大きく重くなりがちです。

対してラジオは小さな電池2本で2~3日使えるものが多く、中には100時間使えるものもあります。これが非常時にラジオが必要な理由の一つです。


〈理由2〉 ワンセグテレビ、Radikoは放送が遅れて届く


ワンセグテレビやRadikoはアナログテレビ放送の時代や、ラジオ放送では考えられなかった放送の時間差があります。

放送の時間差があるとは、スタジオでニュースや津波警報を読み上げてから手元に届くまでの時間が長いということです。状況によってはおおよそ5~10秒遅れが出ます。アナログテレビ放送にはあった時報が地デジやRadikoにないのはそのためです。

つまりワンセグテレビを非常時に観るということは5~10秒昔の情報を受け取っているということになります。

対してラジオはほぼ瞬時に情報が届くため、テレビ視聴時よりも5~10秒早く行動に移せ、より早く避難できる。これが非常時にラジオが必要なもう一つの理由です。



●防災ラジオの選び方(2016年版)


うんちくはここまでとし、本題に入ります。避難所は一般的に大勢の避難者で混雑するため、ラジオは小型で内蔵スピーカーの音がそこそこよく、イヤホンやヘッドホンでも聞けるものがいいでしょう。

ここでは東日本大震災で避難したよしおの経験をもとに、1日12時間使い最低3日は電池が持ち、とっさのときに使い勝手の良い、なるべく安価で確実な小型軽量なポータブルラジオと、使える両耳/ステレオイヤホンの組み合わせを実際に5パターン選んでみました。


【パターン1】 ポータブルラジオ ソニーICF-51両耳イヤホン


ソニーの2バンドラジオ ICF-51ソニーの両耳イヤホンME-L91DWの組み合わせです。他に単4アルカリ乾電池2本が必要です。100円ショップなどで購入するとよいでしょう。

ICF-51はスマホ程度の大きさで重さはたったの113グラム程度。新品の単4アルカリ乾電池2本でスピーカーから音を鳴らすと約44時間以上使えます。イヤホンをつけるとさらに長く使えます。

ICF-51のイヤホン端子はモノラルのため、お手持ちの音楽プレーヤーやスマートフォンのヘッドホンをつなぐとまったく聞こえないか、片耳からしか聞こえません。
今回選んだ両耳イヤホンを使うと両耳からラジオが楽しめ、耳の内側をあまり圧迫せず周囲の音も比較的聞こえます(音はモノラル)。

ICF-51は非常用持ち出し袋に入れてもかさばりにくく、カラーはホワイトとレッドが選べ見た目がおしゃれですから、無骨になりがちな避難所で使用すると気分が和らぐと思います。

欠点は電池が単4型ということ。避難先では最も普及しているといわれている単3型よりも入手がしづらいかもしれません。ラジオの感度は実用レベルです。


【パターン2】 ポータブルラジオ ソニーICF-P26/ICF-P36両耳イヤホン


ICF-P26(左)とICF-P36(中央)は大きさがスマホよりも大きく厚め、重さも180~210グラムと、スマホより重いですが置いた時の安定感は良好です。どちらも単3アルカリ乾電池2本でなんと100時間(スピーカー時)~250時間(イヤホン時)ラジオが聞けます。

ICF-P26とICF-P36の違いは見た目だけで性能は変わりません。手首からぶら下げられるストラップも付属しています。ラジオの感度は普通です。

イヤホンは付属してはいますが片耳のため、必要に応じて上のような両耳イヤホンを入手します。長時間使う場合は単3アルカリ乾電池2本を別途入手します。

【2016.12.06追記】ICF-P26、ICF-P36のイヤホン端子は両耳モノラルタイプのため市販のステレオイヤホン(スマートフォン用を除く)使用時に両耳から音が出ます


【パターン3】 ポータブルラジオ パナソニックRF-P50A/RF-P150A両耳イヤホン


RF-P50A(左)とRF-P150A(中央)は大きさがスマホと同程度、重さ168~180グラムとスマホより少し重いくらいです。どちらも単3アルカリ乾電池2本で95時間(スピーカー時)~220時間(イヤホン時)も使えます。

RF-P50AとRF-P150Aの違いは見た目だけで性能は変わりません。ストラップは本体に取り付け済みです。ラジオの感度は普通です。

こちらもイヤホンを付属してはいますが片耳のため、必要に応じて上にあるような両耳イヤホンを別途入手します。長時間使う場合は単3アルカリ乾電池2本を別途入手します。


【パターン4】 ステレオポータブルラジオ ソニーSRF-18JVCステレオヘッドホン



SRF-18は単3アルカリ乾電池2本で47時間以上使えるステレオスピーカー内蔵のFMステレオ/AMラジオです。大きさはスマートフォンより少し大きめ。重さは約200グラムです。

オーディオプレーヤーとつなぎスピーカーとして使えるコードが付属しています。長時間使う場合は単3アルカリ乾電池2本を別途入手します。ラジオの感度は普通です。

難点は90メガヘルツ以上のFM補完放送(AM放送がFMでも聞ける)を受信できないこと。ステレオヘッドホンは付属していないため、耳への負担が少なく周囲の音も聞こえる、上にあるJVCのカラバリヘッドホンHP-F140などで色をそろえるのもよいでしょう。



【パターン5】東芝 FM/AM充電ラジオTY-JKR5JVCステレオヘッドホン


東芝エルイーのTY-JKR5は大きさはスマートホンと同じくらいで重さは約190グラム。手回しハンドルとUSB電源出力端子、LEDライトを持つ、まさに防災用の機能全部盛りといえるラジオです。

手回しハンドルを1分間回すと電池交換不要で30分ラジオが聞けます。オプションの単4アルカリ乾電池2本があれば40~60時間程ハンドルを回すことなくラジオを聴くこともできます。急な雨でも安心な防滴機能、うっかり落下を防ぐハンドストラップもあります。

イヤホン端子はステレオ(音はモノラル)タイプで手持ちの音楽プレーヤーやICレコーダー等のステレオヘッドホンが使えます。ステレオヘッドホンがない場合は先に登場した、耳への負担が少なく周囲の音も聞こえるJVCのカラフルヘッドホンHP-F140などがあるとよいでしょう。






以上、防災ラジオが必要な理由と防災ラジオの選び方の具体例を考えてみました。

個人的には値が少し張るとはいえ電池切れの心配がほぼ不要な、パターン5の東芝エルイーのTY-JKR5を選びます。


非常時に持ち出すものは多いはずです。防災ラジオは値段と大事さを天秤にかけながら、『非常時にとりあえず情報収集できれば』で選ぶとよいと思います。

(関連記事はこの下です)


[関連記事]
東芝エルイー コンデンサー充電手回しラジオTY-JKR5発表(2016/02/12)

パナソニック 手回し2バンドラジオRF-TJ20発売中(2016/04/25)

2016/11/11

パナソニック 小型ラジオRF-P155,RF-P55など4機種発表

Panasonicから単3電池2本で動作するAM専用、AM/FM 2バンドを受信する小型ラジオがそれぞれ2機種ずつ同時発表されています。

AM 1バンドラジオ R-P45 商品概要 - オーディオ - Panasonic

AM 1バンドラジオ R-P145 商品概要 - オーディオ - Panasonic

FM/AM 2バンドレシーバー RF-P55 商品概要 - オーディオ - Panasonic

FM/AM 2バンドレシーバー RF-P155 商品概要 - オーディオ - Panasonic



●R-P45

(公式サイトから)

R-P45は単3電池2本で動作するAM専用の小型ラジオです。本体は縦型デザインで表示窓は横型、下記R-P40の後継機です。
(R-P40、公式サイトから)

見た目の違いはらくらくチューニングと、暗い場所で表示が従来よりも見やすい蛍光色ポインター&光るダイヤルパネル」を新搭載したことです。

それ以外の違いは下記比較表を参照ください。

単純比較すると15~23グラム軽量化を達成し、電池の持ちは現行品の半分も持ちませんが、スピーカー出力は25パーセントアップしています。また受信範囲が504~1665kHzまで拡張されています。

付属の乾電池の種類はマンガン乾電池からエボルタ乾電池へ変更となりグレードアップされました。



●R-P145

(公式サイトから)

R-P145は単3電池2本で動作する小型AM専用ラジオ。本体は横型デザインで表示窓は縦型、下記R-P140の後継機です。
(R-P140公式サイトから)

見た目の違いはR-P45と同様にらくらくチューニングと、暗い場所で表示が従来よりも見やすい蛍光色ポインター&光るダイヤルパネル」を新搭載したことです。

それ以外の違いは下記比較表を参照ください。

単純比較すると5~12グラム軽量化を達成し、電池の持ちはR-P45同様に現行品の半分も持ちませんが、スピーカー出力はやはり25パーセントアップしています。受信範囲が504~1665kHzまで拡張されているのもR-P45と同じです。

付属の電池がマンガン乾電池からエボルタ乾電池へ変更となった点はR-P45と同じです。



●RF-P55

(公式サイトから)

RF-P55は単3電池2本で動作するAM/FM2バンド小型ラジオ。本体は縦型デザインで表示窓は横型です。下記RF-P50Aの後継機です。
(RF-P50A、公式サイトから)

見た目の違いはR-P45、R-P145と同様にらくらくチューニングと、暗い場所で表示が従来よりも見やすい蛍光色ポインター&光るダイヤルパネル」を新搭載したことです。

それ以外の違いは下記比較表を参照ください。

単純比較すると20~29グラム軽量化を達成し、電池の持ちは現行品の半分程度ですが、スピーカー出力はR-P45、R-P155と同様に25パーセントアップしています。AMラジオの受信範囲が504~1665kHzまで拡張されているのもR-P45と同じです。

付属電池がマンガン乾電池からエボルタ乾電池へ変更となった点もR-P45、R-P155と同じです。


●RF-P155

(公式サイトから)

RF-P155は単3電池2本で動作するAM/FM2バンド小型ラジオ。本体は横型デザインで表示窓は縦型です。下記RF-P150Aの後継機です。
(RF-P150A、公式サイトから)

見た目の違いはRF-P55と同様にらくらくチューニングと、暗い場所で表示が従来よりも見やすい蛍光色ポインター&光るダイヤルパネル」を新搭載したことです。

それ以外の違いは下記比較表を参照ください。

単純比較すると6~15グラム軽量化を達成。電池の持ちはRF-P55同様、現行品の半分程度ですが、スピーカー出力は上記R-P45、R-P155、RF-P55と同様に25パーセントアップしています。AMラジオの受信範囲が504~1665kHzまで拡張されているのも3機種と同じです。

付属の電池がマンガン乾電池からエボルタ乾電池へ変更となった点もR-P45、R-P155、RF-P55と同じです。



- + - + - + - + -



ポータブルラジオR-2255RF-2450に続き、小型ポケットラジオもアナログ選局のようなデジタルチューナー内蔵製品が登場しました。

今回発表された4機種に共通することは、いずれもAMラジオの受信範囲が拡張され、初心者にとって軽い、使いやすいなどのうれしさが向上したように見える反面、電池の持ちが現行品の約半分となってしまったことがあります。

またチューニングが楽になるということは言い換えると、近距離のラジオ放送が入りやすくなり遠くのラジオが聞こえにくくなるということです。これは気楽なラジオリスニングを求める方には朗報ですが、遠距離受信職人には使いづらいでしょうね。



このAM 1バンドラジオR-P45とR-P145は2017年1月20日金曜日、FM/AM 2バンドラジオRF-P55、RF-P155は2016年11月25日金曜日の発売を予定しています。価格はAM 1バンドラジオR-P45とR-P145が2000円前後、FM/AM 2バンドラジオRF-P55、RF-P155が3000円前後と予想します。

快適さを取るか、はたまた電池の持ちか、広いAMの受信範囲 or 感度を取るかは使う方の判断となります。

※2016/11/11追記:R-P45とR-P145、RF-P55、RF-P155の発売日を訂正しました。

(関連記事はこの下です)


[関連記事]
パナソニック ダイヤル選局式ポータブルラジオRF-2450/R-2255発表(2016/11/04)

パナソニック AM1バンドラジオ2機種発表(2015/05/30)

パナソニック ワンセグ音声受信通勤ラジオを発売(2014/10/13)

2016/11/05

ソニー ヘルメット装着トランシーバー NYSNO-10発表

SONYから新コンセプトのヘルメット装着型高機能無線機が発表されました。

スノースポーツ専用コミュニケーションギア NYSNO-10 - Sony Japan



今回発表されたNYSNO(ニスノ)-10は大きさ14.3[W] x 5.2[H] x 3.08[D]センチメートル、重さ約150グラムのヘルメット装着式トランシーバーです。

電源は内蔵リチウムイオン充電池専用です。USB給電中の使用はサポートしていないようです。


通話距離はインターネットや携帯電話がつながらない圏外状態にて見通し最大1キロメートル。
3人までの同時通話を実現するトランシーバー機能のほか、スマートフォンなどと連携した音声通話や音楽再生機能をサポートしています。


本体はスノースポーツ専用というのがうたい文句ですがスペック的には-10度~40度までの使用が可能。

少雨ならば使用OKのIPX5の防滴性能と砂やほこりへの埋没にも対応するIP6Xに対応しています。米軍の耐衝撃性能規格MIL-STD810Fに合格し万一の1.2メートルからの落下にも本体が壊れにくい設計です。



使う前の準備はNYSNO-10本体を充電し、本体と付属の風防つきマイクロホンをヘルメットへ固定するだけ。電源を入れた後スマートフォンと連携する場合はNYSNO-10のNFC機能のワンタッチペアリングをしておきます。

使用中は付属の腕時計型リモコン(電源はボタン型乾電池)でトランシーバーの通話オンオフなどを手元でコントロールします。





ここまでNYSNO-10の概要と使い方を確認してみましたが、トランシーバーを使ったことのある方はいくつか疑問をお持ちのはずです。

まず疑問に思うのはスピーカーやイヤホンはどこにあるのか?ではないかと。

NYSNO-10はヘルメットをスピーカーとして使うというのがその答えです。どうやら骨伝導と同じ仕組みで、振動させるものはヒトの頭ではなくヘルメットになっているようです。

ヘルメットを振動させる出力は最大4ワットと、通常のスピーカーの枠で考えると桁違いのハイパワーで電池の持ちは大丈夫かと思いがちですが、グループトーク(トランシーバー)の使用は最大8時間使用可能とありますので考慮はされているのでしょう。



次にトランシーバーとして要となる無線通信についての疑問をチェックします。

NYSNO-10に搭載された無線規格はブルートゥース4.1、通信出力はBluetooth標準規格 Power Class 1つまり100ミリワットと、なんと特定小電力トランシーバーの10倍ものパワーが許可されています!

ウィキペディアによるとBluetoothの通信距離はClass1で100メートル。NYSNO-10には搭載されていませんが参考としてBluetooth5.xではパワークラス1のビットレート125kbpsで通信距離が400メートルとあります。

ブルートゥースPower Class1の1/10の出力で、スキー場では1キロメートルの交信距離を実現する場合もある400MHz帯の特定小電力トランシーバーと比べると、このBluetoothの100ミリワットはずいぶん強力な割に飛びがよくないように見えます。

しかしご存知の通り、電波の強さが10倍ならば交信距離も10倍となるはずはないことと、2.4GHzは電波の周波数が高く(波長が短く)電波の特性上飛距離が稼ぎにくい現象があり、通話距離が電波の強さほどではないという結果になります。


そんな状況で飛距離を伸ばす方法がポイントとなりますが、恐らく電波に乗せる音声の低ビットレート化が寄与していると予想します。

同じ2.4GHzを使う無線LANの特性もビットレートが下がるほど長距離通信が可能な傾向があります。ブルートゥースでも同様のことが言えるのではないでしょうか。

グループトーク(トランシーバー)として使用されるブルートゥースプロファイルは恐らくHFP(ハンズフリープロファイル)でしょう。HFPはA2DPと比べ音質は格段に落ちますが半面ビットレートが減少します。HFP v1.7.1仕様書によると音声通過帯域はナローバンドで3.4kHz、ワイドバンドで7kHzです。

遠距離通話ではブルートゥースの電波はナローバンド通信、言い換えると前述の125kbpsよりも低いビットレートで400メートルを超える会話が可能となるはずです。これにより距離1キロメートルの通話可能な状況では一般的な特定小電力トランシーバーや電話レベルの通話品質が期待できます。





以上NYSNO-10の使い方とトランシーバーとしての疑問をいくつか考察しました。

このワイヤレスヘッドセットNYSNO-10の価格は1台1セット税抜き3万円。予約開始は2016年11月18日金曜日。こちらのGIROサイトで予約受付し、発売は来年(2017年)1月を予定しています。


それにしても100ミリワットの高出力で連続8時間トランシーバーとして同時通話できるのは魅力的と思います。

個人的にはかつて422MHz帯の特定小電力トランシーバーを開発していたソニーが今回、通信規格にアナログ特定小電力ではなく、汎用性のあるブルートゥースを採用したことに時代を感じます。

NYSNO-10の同時通話は最大3人までですから4人以上は通話不可能です。そんなときは同時通話できないなど使い勝手がやや低下するものの、人数制限のない下記のような特定小電力トランシーバーとイヤホンマイクを複数台用意し使うことになるでしょう。

(関連記事はこの下です)

[関連記事]
トランシーバー内蔵ワイヤレスマイク3製品比較(2014/05/18)

ニコン ワイヤレスマイクロホン ME-W1発売(2015/09/24)

2016/11/04

パナソニック ダイヤル選局式ポータブルラジオRF-2450/R-2255発表

パナソニックからダイヤルチューニングが簡単なラジオ2機種が発表されています。

AM 1バンドラジオ R-2255 - Panasonic

FM/AM 2バンドレシーバー RF-2450 - Panasonic


それでは順にチェックしていきましょう。

●R-2255

(R-2255、公式サイトから)

R-2255は単3アルカリ乾電池4本で約64時間動作するAM専用ラジオでR-2200の後継機です。大きさはCDのジャケットを2枚横並びしたときよりも少し小さい程度の幅で、厚み(奥行)はおおよそCDジャケット6~8枚分です。

現行機種R-2200との見た目の違いはダイヤルパネル(表示窓)の配色(背景が白地から黒地)と夜間に見やすい蛍光選局ポインター(針)、蓄光表示窓です。
(R-2200、公式サイトから)

一見バリコンという部品を使ったアナログ選局ラジオに見えますが内部はデジタルチューニング方式を採用し、合わせにくいラジオ放送局の電波をより簡単に合わせられるとのことです。

重さは電池なしの場合R-2200の650gよりも20gアップの670g。これは内部がアナログ選局からデジタル選局へ変更した、つまり中身がこれまでとほとんど違うことが理由でしょう。

細かい部分ですが電池動作時のスピーカー最大出力が640ミリワットから600ミリワットへスペックダウンしています。とは言え、通常静かな室内で使用する場合は300ミリワットでも比較的大音量の部類に入るので大した問題にはならないはずです。

受信周波数は1629キロヘルツから1665キロヘルツへ拡大され、通常の放送以外の電波も受信可能となりました。

R-2200の電池持続時間は約47時間とありますがこれはマンガン乾電池使用時。アルカリ乾電池の場合は使い方にもよりますが、おおよそ倍は持続するはずですからもしかするとR-2255はR-2200よりも電池の持ちが悪くなっている可能性があります。ただし消費電力はどちらも3.0ワットですから、大した変化はないのかもしれません。


●RF-2450

(RF-2450、公式サイトから)

RF-2450は単3アルカリ乾電池4本で約61時間以上動作するAM/FM 2バンドラジオでRF-2400Aの後継機です。

現行機種RF-2400Aとの見た目の違いは前述のR-2200とR-2255との違いと同様にダイヤルパネルの配色の反転と暗所での見易さの改善です。
(RF-2400A、公式サイトから)

重さは電池なしでRF-2400Aの670gから16g増加し686g。これもR-2200とR-2255との違いと同じ理由と考えられます。

FMラジオは引き続き補完放送に対応。AMラジオの受信範囲はR-2200からR-2255へのアップデートと同様に1665キロヘルツまで拡張されています。

電池動作時のスピーカー最大出力はR-2255と同じように、RF-2400Aの640ミリワットから40ミリワットスペックダウンした600ミリワット。電池の持ちも恐らくRF-2400Aの方が若干よいかもしれません。





さて今回パナソニックがアナログチューニングのようなデジタルチューニングラジオ(らくらくチューニング)を新搭載することによるメリットとデメリットを考えてみます。

  • メリット:近隣のラジオの放送局合わせが簡単
  • デメリット:夜間近隣のラジオの周波数に近い遠距離の放送を受信すると遠方の弱い電波が受信しにくくなる

R-2200で謳っている「大型フェライトアンテナ搭載の高感度設計」の宣伝がR-2255にはないため、AMに限った話ではもしかするとアンテナを小さくし、なるべく近隣のAM放送電波だけ受信するようになっているのではないでしょうか。

以上の推測が正しい場合、遠距離受信には現行のR-2200かRF-2400Aが良いということになりそうです。





今回発表されたR-2255とRF-2450はラジオ入門者や、どこを押せばよいか分かりづらいボタン式は敬遠したいがもっと簡単にラジオのチャンネル(放送)を合わせたい場合にはおすすめです。

発売は2016年11月25日金曜日。価格はAM1バンドラジオR-2255が3000円前後、AM/FM2バンドラジオRF-2450が6000円前後と予想します。

個人的には、両者はアナログチューニングのようなデジタルチューニングラジオのため、ダイヤルの操作レスポンスや周波数ずれの出にくさがどの程度か気になります。

(関連記事はこの下です)

[関連記事]
パナソニック AM1バンドラジオ2機種発表(2015/05/30)

パナソニック ワンセグ音声受信通勤ラジオを発売(2014/10/13)