2011/07/31

アルインコ、PC拡張機能を備えたハイパワー無線機

登録局対応の新型トランシーバー、DJ-DP50シリーズがアルインコから発表されました。

DJ-DPS50(AMBE方式)
DJ-DP50H(RALCWI方式)

DJ-DPS50はアイコム、バーテックス・スタンダード、ケンウッドなど各社351MHz帯30チャンネル登録局対応トランシーバーと交信可能。
対するDJ-DP50Hはアルインコがこれまでに発売したDJ-DP10シリーズを始めとするRALCWIコーデックに対応した351MHz帯30ch登録局対応トランシーバーと交信可能となっています。

DJ-DPS50、DJ-DP50Hともに送信出力は最大5W。IPX7防水性能を有するタフな仕上がりとなっており、付属品が一式セットになっていることなどを含めてもカタログスペックではアルインコ製以外の登録局対応トランシーバーと互角に渡り合える感触です。正面から見たときのスタイルもこれまで以上にブラッシュアップされていると個人的に思いました。参考ですがDJ-DPS50とDJ-DP50Hは本体上にある通報ボタンの色が異なります。

DJ-DPS50とDJ-DP50Hの目玉は何と言っても今回登録局対応トランシーバーとしては公式に初めてパソコンで機能拡張が可能となったことでしょう。詳しいことは未知数ですがショートメッセージ内容の編集やトランシーバー内部の衝撃センサーを使った何らかの動作、バッテリーセーブ機能などが設定できそうなニュアンスが製品カタログから見て取れます。



交信開始時の音声頭切れを防ぐPTTビープ機能や送信中の音声がモニターできるコールバック機能など、トランシーバーの使い勝手を向上する機能も満載。パソコンとの親和性の深さも魅力のDJ-DPS50とDJ-DP50H。念願の5W機種がアルインコから発表されたことも衝撃的ですがこれで価格が他社の登録局ハンディ機と同等もしくはそれ以下となれば登録局対応トランシーバーの普及にいっそう弾みがつくことでしょう。



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2011/07/03

Motorola MS80トランシーバー購入&実使用

秋葉原駅近くの某有名無線ショップにて特売で購入しました。色はシルバーです。
Motorola  MS80(Silver)

MS80とはMotorola(モトローラ)ブランドの特定小電力(免許資格不要で使える)トランシーバーです。災害や停電など、インターネットや携帯電話が使えない状況でも活躍します。

兄弟機のMS50、FTH-50(記事末尾参照)と比べ中継機(電波の飛距離を伸ばす機械)の使える周波数(27チャンネル)が追加されています。STANDARDブランドのFTH-80(記事末尾参照)と機能と中身は同じですがFTH-80が乾電池ケース付属に対してこのモトローラのMS80には充電池・充電器が付属しています。

今回実際の業務ユースで使う機会がありましたのでさっそくレビューします。



最初はMS80本体から。よしおはこれまでカタログの写真からMS80はゴリラのような印象で取っ付きにくい感を受けていましたが実際に手に取ってみるとそれまでの印象はすぐに消え去りました。
MS80 vs "AA" battery


大きさは単3電池を3本使う一般的な特定小電力トランシーバーよりも奥行きが一回り薄型で手に持つとしっくり来ます。充電池を内蔵しパンツ(ズボン)のベルトに引っ掛けて激しく運動しても本体が落ちたり電池の重みでパンツがずり下がることもなく快適です。

付属のベルトクリップはかなり大型でパンツのベルトに固定してしゃがんでもトランシーバー本体を邪魔に感じることはありませんでした。ベルトクリップは90度回転して取り付け固定も可能です。
MS80 Side View  with Belt Clip


よく使うと思われる機能を実際に使ってみます。MS80(FTH-80)には音量ツマミの位置に応じてレベルを表示するバーグラフが液晶表示に備わっており暗い場所でも音量レベルがひと目で分かります。受信中このバーグラフは音量レベル表示ですが送信中はなんと、プロ納得のマイク入力レベルメーターとなります。

またMS80(FTH-80)にはMS50(FTH-50)と同様に大型の送信・受信表示ランプも備わっています。試したところ光量にムラは見当たらず屋外でも視認できる明るいものでした。液晶バックライトはオレンジ色で暗い場所で必要十分な明るさがあります。操作キーは光りませんが十分大きく押しやすいです。
MS80 Back  with Belt Clip


音量つまみもそこそこの固さがあります。誤操作防止用キーロック機能も何かの拍子に解除されることは確認できていません。



MS80の付属品を確かめましょう。MS80には充電用クレードル、ACアダプター、リチウムイオン充電池と充電池カバーが標準付属しヘビーユーザーや業務ユースにはぴったりの内容となっています。
その付属品をチェックしましょう。下の写真、左下のACアダプターを見てください。
MS80 Power Supply


なんとMotorolaロゴ入りの豪華仕様です。ACアダプタのDCプラグにまでMotorolaロゴがあしらわれています。
MS80 DC Supply Plug (See "M" logo)


ここでお気づきの方もいらっしゃると思いますがこのMS80に付属のACアダプターのプラグ形状はなんとUSB(MINI-Bタイプ)です。充電器側もUSBジャックとなっています。ということは・・・
MS80 charger - bottom


パソコンのUSB端子から電源が供給できてしまうのです! これなら停電でもノートパソコンから電源供給できます。MS80は付属品にも力が入っていますね。
MS80 Charging via PC 



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さてMS80の外観と付属品レビューはここで一区切りしてさっそく動作試験結果をレポートします。動作試験は少し暗めの室内、放課後の学校教室程度の雑音環境で行いました。MS80の初期設定項目は多岐に渡っていますが今回音質を高音を持ち上げる設定に変更しました。テストは中継用周波数にて行いました。MS80の下りは421MHz帯、上りは440MHz帯です。


はじめに受信感度を確認します。AlincoのDJ-P23と比較したところ何と差はほとんどなく、まれにMS80が健闘する予想外の展開となりました。アンテナの長さ、カタログスペック共にDJ-P23のほうが圧倒的に高感度のはずですがもしかすると中継器使用時は感度がスペックと異なるのかもしれません。


次に内蔵スピーカーの音声明りょう度を比べました。比較機種はKENWOODのUBZ-BG20R、DJ-P23そしてMS80です。

結果MS80が総合的に見てBestと判断しました。UBZ-BG20Rは高音が強く、小音量でも何か話しているなという状況が把握できるものの聞き取りづらさがありました。DJ-P23はUBZ-BG20Rと正反対で非常に落ち着いた音質です。しかしそれがデメリットとなってしまい騒音下では最大音量にしてようやく受信内容が聞き取れるレベルでした。

対するMS80は音量ツマミを50%にしたところ受信内容の最初から最後まで騒音下で難なく聞き取れるという、驚きの結果となりました。無線機のメーカーによって音質へのアプローチが異なるため使用環境や使用者による違いはあるでしょうが今回はMS80(FTH-80)がベストでした。




以上から機能、付属品そして使用感を総合的に判断した結果、MS80はカタログスペック以上に優秀なトランシーバーであることが分かりました。

実売価格が1万円弱という超安価にもかかわらず中継チャンネル内蔵、充電キット一式付属、しかも至る所にモトローラのロゴ入りでなおかつトランシーバーの性能は予想をはるかに上回るレベルのMS80、使って初めて分かりましたがこれはまさに「超お買い得」としか言えません。
懐中電灯同様、常備用にトランシーバーを検討されている方やMotorolaブランドの製品を安価に入手したいと思われている方にとってもこのMS80のレビューはよい知らせとなることでしょう。

今までトランシーバーを見た目で選んできたよしおとしてはある意味よいカルチャーショックを受けました。カタログスペックでは分からない、実際に製品を入手して初めて分かる発見もあるのですね。


(左から本記事で取り上げた モトローラ MS80の黒、シルバーです)




(左から中継器モードを省いたモトローラ MS50レッド、イエロー、シルバーです)




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