(TCP-D551,TPZ-D553シリーズ、公式サイトから引用)
・デジタル簡易無線機「TPZ-D553」(登録局対応)を新発売(ニュースリリース) - JVCケンウッド
・TCP-D551|業務用無線機|商品情報|ケンウッド
・TPZ-D553SCH_D553MCH|業務用無線機|商品情報|ケンウッド
今回発表されたTCP-D551とTPZ-D553シリーズは登録局と呼ばれる351MHz帯を使用した、簡単な手続きをすれば使用可能なトランシーバーです。
免許資格不要の買ってすぐ使える特定小電力トランシーバーの500倍電波が強く、条件が整えば市街地でも数キロメートル程度の通信も可能です。
どちらもカードサイズ相当の幅5.6センチ×高さ9.2センチ。薄型バッテリー装着状態で厚みが2.46センチ、重さ222グラムと、現行機TPZ-D503の基本性能をそのままに一回り小さく、50グラム軽くなっているようです。小型軽量ながら最大5ワットのハイパワー送信に対応しています。
現行機種TPZ-D503の発表が2010年末でしたので実にほぼ5年ぶりのモデルチェンジと言えます。
TCP-D551とTPZ-D553シリーズの違いは付属品が一式揃っているか否かだけのようです。トランシーバー本体の見た目や機能にそん色は見当たりませんでした。
TCP-D551はアンテナのみ付属(説明書も非付属)。そのままでは使えないためバッテリーなどオプションの入手が別途必要です。
対するTPZ-D553シリーズは個人や小~中規模店舗を含む一般ユーザー向けでリチウムイオン充電池、充電器、ベルトフック(クリップ)、アンテナ、説明書と申請書類が付属し、購入後簡単な手続きを済ませるだけで使い始められます。
どちらの機種も万一の水没や砂没などに対応するIP67と米国国防総省軍用規格も満たすほどのタフボディ。オプションは現行機種TPZ-D503と互換性がないようです。
TPZ-D553シリーズは2種類あり、薄型軽量リチウム充電池付属のTPZ-D553SCHと、最大約15時間使用可能な1800mAh標準容量リチウムイオン充電池付属のTPZ-D553MCHです。バッテリーはTCP-D551とTPZ-D553シリーズ間で共用可能です。
軽さと薄さを優先するならばTPZ-D553SCH、電池の持ちを優先するならばTPZ-D553MCHを選びます。バッテリー装着時の両者の厚みの差は約5ミリ、重さの差は約30グラムです。
それではTCP-D551とTPZ-D553シリーズの特徴をチェックしましょう。
●外観
(TCP-D551/TPZ-D553公式サイトから引用)
本体上部を見ると左からスピーカー/マイク端子、電源共用らしき音量つまみ、アンテナが見えます。
スピーカー/マイク端子は「独立回転ナットによるねじ込み式」とのこと。恐らくプラグ付近が回転する仕組みと思われます。
中央の電源共用らしき音量つまみは本体周辺に電源ボタンが見当たらないため"電源共用らしき"と記載しました。即ちつまみをひねるとカチッという音とともに電源が入切できるツマミと予想します。
アンテナはもちろん着脱可能。TPZ-D553シリーズの主な定格にあるようにアンテナ接栓はTPZ-D503と異なり、国内の他メーカー製登録局ハンディトランシーバーやアマチュアハンディ無線機と同じSMA方式となりました。これによりサードパーティー製のアンテナが変換アダプターなしで装着できます。
電源共用らしき音量つまみとアンテナの間に送受信LEDランプらしきものが見えます。
(TCP-D551/TPZ-D553公式サイトから引用)
本体正面の液晶表示は漢字対応のフルドット液晶。恐らく液晶画面の大きさは長さ約4センチ、幅1センチ程度と思われます。TPZ-D503の約半分、アイコムの登録局ハンディIC-DPR6と比べ一回り小さいでしょうか。
文字の表示は八重洲無線のアマチュアハンディ機VX-8Dなどに装備されている縦倍角表示切替に対応しています。
ボタンは「戻る」、「▲」、「▼」、MENU兼「決定」の4種類と、非常にシンプルな構成です。現行機TPZ-D503は6ボタンでした。
(TCP-D551/TPZ-D553公式サイトから引用)
本体向かって左側面にはPTTを含む3つのボタンが装備されています。TPZ-D503の3ボタンは「PTT」、「モニター」、「バックライト」でしたので恐らくTCP-D551とTPZ-D553シリーズも同様でしょう。ただし今回、橙色のボタンには「セカンドPTT(後述)」も割り当てられています。
●機能
最初に目につく機能としては、あたかも2台のトランシーバーを持っているように使用が可能な「セカンドPTT」でしょう。
これはアルインコのハイクラス特定小電力トランシーバーDJ-R100DやDJ-P24シリーズに装備されたデュアルオペレーションモードと同じ機能のようです。
オプションのメモリーコントロールプログラムMCP-8BとプログラミングケーブルKPG-186UによるPC上での設定変更が可能な点も見逃せません。業務用途で各無線機の設定時間短縮が図れます。
個人的に注目しているのは「チャンネルスキャン機能」です。
TCP-D551の説明によると "グループのチャンネル探し、またチャンネルの使用状況を確認できるチャンネルスキャン機能を搭載しています。" とあり、まさかの全チャンネルスキャン機能を搭載しているように見えます。これは期待が持てそうです。
(2016/3/7追記:全チャンネルスキャンの搭載を確認しました)
空きチャンネルを自動で探す「オートチャンネルセレクト機能」も搭載。これは昨今の登録局を使用する方が多くなってきたことへの配慮でしょう。恐らく2016年1月現在、TCP-D551とTPZ-D553シリーズのみ「オートチャンネルセレクト機能」に対応すると思われます。
「送受信音質調整機能」も搭載。TPZ-D503同様、オーディオを手掛けているだけにこだわりが見えます。
内蔵スピーカー出力の仕様は現時点で非公表です。TPZ-D503に引き続き最大1ワットの大音量が確保されると良いですね。
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以上、当記事を作成中時点で公表されているスペックをもとにTCP-D551とTPZ-D553SCH、TPZ-D553MCHをチェックしました。
TCP-D551とTPZ-D553シリーズはこれまでのレジャー向けケンウッド無線機色の少ないデザインです。機種間のケース共用化のためレジャー機の派手さと業務機の地味さの間を取った結果でしょうか。
性能面では恐らく現行機の性能を維持し本格業務用途に対応したタフなボディを備えながら小型化、軽量化を達成したといったところでしょう。
個人的に、本体の小型軽量化が達成できたのはリチウムイオンバッテリーの性能向上によるところが大きいと予想します。
デジタル機ならではの周囲雑音の減衰性能は恐らくTPZ-D503と同等と考えられ、工事現場など騒音下でのクリアな通話は引き続き確保可能と思います。
発売日は2016年2月下旬。価格はオープンとのことですが、実勢価格は3万円前半~後半になるだろうと個人的には予想します。
(関連記事はこの下です)
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