2017/12/17

発売前のIC-R30機能を再チェック

間もなくアイコムから海外のデジタル復調モードに対応した広帯域受信機IC-R30が発売されるはずです。そこでハムフェア2017の展示情報を元に、発売前のIC-R30の見た目と機能をあらためてチェックします。
アイコム IC-R30(ハムフェア2017にて)



IC-R30はアイコムから発売される予定の、デジタル受信対応の広帯域受信機です。

電源は付属の新型3280mAh大容量リチウムイオンバッテリーBP-287で動作するほか、単3乾電池3本または6本ケースのオプション発売も考えられます。



●外観

IC-R30の大きさはアンテナを除き推定で幅6×高さ15×厚み3.2センチ程度、重さは付属アンテナと付属リチウムイオン充電池込みで推定約400グラムです。

液晶表示は国内から発売されるハンディ型広帯域受信機としては最大級の2.3インチフルドットタイプ。タッチパネルはありません。
IC-R30 デジタル+デジタル同時受信表示中
液晶バックライトは白色です。

本体正面のキーボードは従来のラバータイプではなくプラスチック製と思われるハードタイプです。試作機を触った限り、ふにゃっとした感じはありませんでした。


本体左側面にはマイクロSDカードスロット、右側面にはCI-V接続に対応した片耳モノラルイヤホン端子と充電兼PCとのデータ通信用マイクロUSBコネクターがあります。
IC-R30 左側面
IC-R30 右側面(上からイヤホン、マイクロUSBコネクタ)


上面にはSMAアンテナコネクターと内蔵GPSアンテナ、メインダイヤルがあります。
IC-R30 アンテナコネクター、GPS、メインダイヤル
 
メインダイヤルは上下分離しているように見えますが、上下ツマミ一体のシングルタイプです。



●周波数範囲とモード

受信周波数はメインが0.1-3304.99999MHz、サブバンドが108-520MHz。2波同時受信(デュアルワッチ)対応です。

デュアルワッチ時はメインとサブの周波数範囲にこだわらず、組み合わせによってはメインが100kHz、サブが954kHzなどのデュアルワッチが可能となるかもしれません。

デジタル+アナログとアナログ同士のデュアルワッチは可能ですがデジタル同士は2波同時表示しても片側しか復調されません。

受信モードはFM, FM-N, WFM, AM, AM-N, LSB, USB, CW. CW-R, D-STAR, P25, dPMR, NXDN-VN, NXDN-N, D-CRです。デュアルワッチ時のサブ側は恐らくFMとAM、メイン側と排他の各種デジタルモードのみとなりそうです。

DMRやTETRA、八重洲方式とアルインコ方式のデジタル、国内の主要なデジタル波はほぼすべて復調できません。秘話コードの設定可否は不明です。

最小ステップ設定は10ヘルツです。



●外部接続

マイクロUSB端子は本体内充電に対応しますが、PCとの接続はマスストレージクラスとシリアル通信どちらに対応するか不明です。

Bluetoothを搭載し、一部を除く市販のヘッドセットをペアリングするとワイヤレスモニタリングが可能です。デュアルワッチ時、左右ステレオ独立音声になるか、オーディオプロファイルを装備するかは不明です。

またBluetooth機能はスマートフォンアプリで位置情報やメモリーデータ、録音データ、D-STARの受信データがスマートフォンと連携できるようになるかもしれません。

内蔵GPSはエフ・アール・シーの広帯域受信機FC-S789のようなロケーションベーススキャンや位置情報ロガーとして使用できると予想されます。簡易ナビゲーション機能も追加されるかもしれません。


オプションのイヤホンをイヤホン端子へつなぐとセットメニューでイヤホンアンテナを使うことができます。ただしFMラジオ受信専用かは不明です。

AM用バーアンテナも内蔵します。AMラジオ以外に長波帯の誘導無線受信に使えるかは不明です。アンテナ切り替え機能はセットメニューにあります。



●録音

発売予定のIC-R30には2波同時録音機能が装備されます。

同社アマチュアハンディ機ID-51シリーズやデスクトップコミュニケーションレシーバーIC-R8600同等の、スケルチに連動する自動ファイル分割機能やD-STARのコールサインなどの記録、受信日時、信号強度が記録されるはずです。

2波同時受信時の録音音声はモノラルミックスされるのか独立音声ファイルとなるかステレオフォーマットで録音されるか、詳細は不明です。



●便利機能

バンドスコープ表示中に受信音声を出すスコープAF出力、CI-V接続に対応します。

ユニデンアメリカBCD436HPアルインコDJ-X11のような、付近の強い電波を素早く判明させる瞬間同調機能はIC-R30にはありません。



●操作性

発売予定のIC-R30は国内で流通している広帯域受信機にはあまりない操作系を持っています。

IC-R30が、IC-R20を含むこれまでの国内向け広帯域受信機と異なる点は、受信周波数の直接入力にひと手間かかるようになったことです。

具体的に言うとIC-R30のオペレーションは、数字キーがメモリースキャン範囲を割り当てるショートカットキーとなっているため、周波数の直接入力は入力前に右下のF-INPボタンを押す必要があります。

このVFOモードへの変更操作は長押し切り替えではないので操作は同社製IC-RX7よりも幾分簡単になっています。



●まとめ
以上からIC-R30は本体から直接メモリーバンクへアクセスする従来機と異なり、予めPCで編集済みメモリーデータベースのスキャンに重点をおいたマシンとなります。

生産終了したIC-R20など従来の操作方法に慣れた受信ユーザーには使いづらさを感じるかもしれません。

しかしユニデンアメリカのハンディスキャナーBCD436HP 3台使いの一人であるよしおの意見として、この手間は直接入力する周波数やプログラムスキャンエッジ周波数を事前にパソコンで思いつくジャンルすべてを入力しておけばほぼ解決することです。



●余談
新製品登場予定で浮足立っているところへ水を差すようですが、2波同時録音が出来るのに国内デジタル通信がほぼ復調不可能というこの受信機の有意義な活用方法は航空無線受信か351MHz登録局を含む簡易デジタル、アナログ業務無線を移動録音するくらいでしょうか。

確かにGPSとBluetoothの機能は未知数。SSB受信と日本語表示もあるので魅力的ですが...。

そう考えるとクロースコール(瞬間同調機能)のあるBCD436HPを2台持ち歩くか、2018年に登場予定の、録音機能はかなり貧弱ながらDMRとTETRAの一部が復調可能となるはずのAOR AR-DV10を選ぶほうが有意義とよしおは思ってしまいます。

IC-R30の勝算はスマートフォンアプリを含む機能拡張性に懸かっているのでは、とよしおは考えます。

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