2011/01/21

“受信機の時代は終わる”~オンタリオ州の事例

アメリカやカナダではパブリック・セーフティという警察無線や消防無線を傍受できる受信ジャンルがあるようです。現在の日本では警察無線の聴取が一般に開放されることなどまず考えられないですが海外では市民が警察に協力する目的でこの機会が与えられていることもあるようです。そんな警察無線や消防無線を傍受する機会がカナダ オンタリオ州のある地域で幕を閉じるというニュースが飛び込んできました。

Timmins Police now installing new high-tech data-radio system in all patrol cars(英文)

この記事はカナダの都市ティミンズの保安官Tom Buczkowski氏が発言した「警察無線を傍受する時代は終わる」との見出しで書かれており、内容は古くなったアナログ方式のパトカーの車載無線機と携帯無線機を暗号化した音声とデータで通信する新型システムに切り替えるというものです。

Buczkowski氏は「新しい無線データネットワークは警ら中の保安と警察官の身の安全をより強固にすると同時に警察のより迅速な対応が可能となる」 「我々は(無線を)デジタルシステムに移行中だ。デジタル暗号化システムに移行することで受信機の時代は終焉を迎える。もはや市民が我々の通信を傍受することはない」と話したようです。
この背景には警察に協力するために警察無線を傍受している人がいる一方で強盗や侵入盗といった"悪党"も警察無線を傍受している問題が隠れています。
同時にBuczkowski氏は「我々は市民の援助を十分認識しており我々も地域で犯罪の解決や治安維持に市民の助けを必要としている」とも話しています。無線を傍受不可能にすることを明らかにしておきながら協力を仰ぐ発言にはいささか疑問を感じますが前述のような課題があるのも事実です。とは言え、今までの習慣をいきなり変える行為に対し市民が安易に納得するとも思えません。

このティミンズの新型無線システム移行は間違いなく現地の受信フリークを発狂させるニュースです。万一、新型無線システムがカナダ・アメリカ全土に広がってしまった場合 せっかくデジタル方式に移行したパブリック・セーフティの設備は無駄となってしまい、APCO P25が復調可能となった受信機も意味を成さなくなってしまいます。
もしもティミンズのやり方が成功すればカナダ・アメリカでは恐らく“受信機の時代は終わる”ことになるでしょう。このカナダの一部の都市から始まった警察無線が傍受できなくなるかもしれないという流れは先進国アメリカにおける社会のあり方を大きく変えるかもしれません。

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