・FCC Pushes Public Safety Broadband Network Firehouse | Firehouse.com
この記事にはなんと「FCC(連邦通信委員会)はパブリック・セーフティの)通信インフラの規格としてLTEを利用することを決定した」という理解しがたい内容が記載されています。LTEは周知のとおり日本で2010年11月からドコモが商用サービスを開始した下り100Mbpsの"Xi(クロッシィ)"という無線ブロードバンドサービスが該当します。700MHzのパブリック・セーフティがブロードバンド化・・・これはいったいどういうことなのでしょうか。日本でも認知されつつあるAPCO P25方式のデジタル通信規格はどうなるのでしょうか? そしてアメリカの受信家はもう無線通信を受信機で音声として聴けなくなるということなのでしょうか?
記事にはFCCの公式文章へのリンクがないため真偽を確かめるべくFCCの公式サイトを調べました。
すると700MHzに割り当てられたパブリック・セーフティの内訳はこちらのとおりブロードバンド用途とナローバンド用途に区分されていることが分かりました。つまり上の記事はこのうちのブロードバンド用途に割り当てられた通信方式について述べられているものと解釈できます。言い換えるとナローバンド用途については従来どおりトランシーバーによる音声通信が継続する解釈が可能という意味です。
そしてついに最初に取り上げた記事の真相を証明する資料を発見しました(こちら)。
この資料によるとそもそも700MHz帯に割り当てられたブロードバンド用途の目的は4ぺージA.7.から始まる段落で「ブロードバンド技術基盤は音声や映像、データなどを政府機関や司法、地域という範囲を超えてシームレスに相互利用性をもたらす」という理由だそうです。通信方式は当初WiMAXかLTEとするかで決まっていなかったようですがここにきて資料6ページ初段のとおりLTE採用が決まったとあります。
これでやっと記事の内容が理解できました。あらためて最初の記事の背景と内容をまとめますと
[背景]
アメリカの700MHz帯に割り当てられたパブリック・セーフティ無線はこれまでのような受信機で聴ける音声通信に加え、通報者が容易に現場の状況を伝えられるようブロードバンド通信も可能である
[今回の記事の内容]
そのブロードバンドの通信方式がLTEに決まった
・・・というのが大枠です。
海外の情報は現地のバックグラウンドを知っていないと苦労するものです。ですがこれでAPCO P25方式のデジタル通信は健在である確信がだいたい持てました。今回取り上げた記事は事実確認とその裏に隠された背景確認に手間取りましたが、これによりアメリカのパブリック・セーフティネットワークがいかに重要であるかをあらためて知った次第です。
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