2016/11/21

防災ラジオの選び方(2016年版)

今回は2016年に流通している数多くのラジオの中からラジオに不慣れな方にも使いやすく、非常時に使うラジオ(防災ラジオ)としてふさわしいラジオをチョイスしてみます。


●非常時にラジオが必要な理由とは


「そもそもラジオなんて要らないのでは? ワンセグテレビがスマートフォンに入っているから、ラジコ(Radiko)アプリもあるし」という方も少なからずいるでしょう。
 実は非常時にラジオが必要な理由は大きく2つあります。


〈理由1〉 ワンセグテレビは電池の持ちが良くない


非常時は恐らく停電に見舞われますからコンセントの電源は使えません。

手持ちのスマートフォンや携帯電話のワンセグテレビを視聴すると電池は持って半日程度と思います。避難生活が2日以上続くと当然ながらテレビは見られなくなります。電池がなければ携帯電話網が死んでいなくても通話できません。

モバイルバッテリーをお持ちの方もいるでしょうがスマートフォンと一緒に避難に持っていくと荷物が大きく重くなりがちです。

対してラジオは小さな電池2本で2~3日使えるものが多く、中には100時間使えるものもあります。これが非常時にラジオが必要な理由の一つです。


〈理由2〉 ワンセグテレビ、Radikoは放送が遅れて届く


ワンセグテレビやRadikoはアナログテレビ放送の時代や、ラジオ放送では考えられなかった放送の時間差があります。

放送の時間差があるとは、スタジオでニュースや津波警報を読み上げてから手元に届くまでの時間が長いということです。状況によってはおおよそ5~10秒遅れが出ます。アナログテレビ放送にはあった時報が地デジやRadikoにないのはそのためです。

つまりワンセグテレビを非常時に観るということは5~10秒昔の情報を受け取っているということになります。

対してラジオはほぼ瞬時に情報が届くため、テレビ視聴時よりも5~10秒早く行動に移せ、より早く避難できる。これが非常時にラジオが必要なもう一つの理由です。



●防災ラジオの選び方(2016年版)


うんちくはここまでとし、本題に入ります。避難所は一般的に大勢の避難者で混雑するため、ラジオは小型で内蔵スピーカーの音がそこそこよく、イヤホンやヘッドホンでも聞けるものがいいでしょう。

ここでは東日本大震災で避難したよしおの経験をもとに、1日12時間使い最低3日は電池が持ち、とっさのときに使い勝手の良い、なるべく安価で確実な小型軽量なポータブルラジオと、使える両耳/ステレオイヤホンの組み合わせを実際に5パターン選んでみました。


【パターン1】 ポータブルラジオ ソニーICF-51両耳イヤホン


ソニーの2バンドラジオ ICF-51ソニーの両耳イヤホンME-L91DWの組み合わせです。他に単4アルカリ乾電池2本が必要です。100円ショップなどで購入するとよいでしょう。

ICF-51はスマホ程度の大きさで重さはたったの113グラム程度。新品の単4アルカリ乾電池2本でスピーカーから音を鳴らすと約44時間以上使えます。イヤホンをつけるとさらに長く使えます。

ICF-51のイヤホン端子はモノラルのため、お手持ちの音楽プレーヤーやスマートフォンのヘッドホンをつなぐとまったく聞こえないか、片耳からしか聞こえません。
今回選んだ両耳イヤホンを使うと両耳からラジオが楽しめ、耳の内側をあまり圧迫せず周囲の音も比較的聞こえます(音はモノラル)。

ICF-51は非常用持ち出し袋に入れてもかさばりにくく、カラーはホワイトとレッドが選べ見た目がおしゃれですから、無骨になりがちな避難所で使用すると気分が和らぐと思います。

欠点は電池が単4型ということ。避難先では最も普及しているといわれている単3型よりも入手がしづらいかもしれません。ラジオの感度は実用レベルです。


【パターン2】 ポータブルラジオ ソニーICF-P26/ICF-P36両耳イヤホン


ICF-P26(左)とICF-P36(中央)は大きさがスマホよりも大きく厚め、重さも180~210グラムと、スマホより重いですが置いた時の安定感は良好です。どちらも単3アルカリ乾電池2本でなんと100時間(スピーカー時)~250時間(イヤホン時)ラジオが聞けます。

ICF-P26とICF-P36の違いは見た目だけで性能は変わりません。手首からぶら下げられるストラップも付属しています。ラジオの感度は普通です。

イヤホンは付属してはいますが片耳のため、必要に応じて上のような両耳イヤホンを入手します。長時間使う場合は単3アルカリ乾電池2本を別途入手します。

【2016.12.06追記】ICF-P26、ICF-P36のイヤホン端子は両耳モノラルタイプのため市販のステレオイヤホン(スマートフォン用を除く)使用時に両耳から音が出ます


【パターン3】 ポータブルラジオ パナソニックRF-P50A/RF-P150A両耳イヤホン


RF-P50A(左)とRF-P150A(中央)は大きさがスマホと同程度、重さ168~180グラムとスマホより少し重いくらいです。どちらも単3アルカリ乾電池2本で95時間(スピーカー時)~220時間(イヤホン時)も使えます。

RF-P50AとRF-P150Aの違いは見た目だけで性能は変わりません。ストラップは本体に取り付け済みです。ラジオの感度は普通です。

こちらもイヤホンを付属してはいますが片耳のため、必要に応じて上にあるような両耳イヤホンを別途入手します。長時間使う場合は単3アルカリ乾電池2本を別途入手します。


【パターン4】 ステレオポータブルラジオ ソニーSRF-18JVCステレオヘッドホン



SRF-18は単3アルカリ乾電池2本で47時間以上使えるステレオスピーカー内蔵のFMステレオ/AMラジオです。大きさはスマートフォンより少し大きめ。重さは約200グラムです。

オーディオプレーヤーとつなぎスピーカーとして使えるコードが付属しています。長時間使う場合は単3アルカリ乾電池2本を別途入手します。ラジオの感度は普通です。

難点は90メガヘルツ以上のFM補完放送(AM放送がFMでも聞ける)を受信できないこと。ステレオヘッドホンは付属していないため、耳への負担が少なく周囲の音も聞こえる、上にあるJVCのカラバリヘッドホンHP-F140などで色をそろえるのもよいでしょう。



【パターン5】東芝 FM/AM充電ラジオTY-JKR5JVCステレオヘッドホン


東芝エルイーのTY-JKR5は大きさはスマートホンと同じくらいで重さは約190グラム。手回しハンドルとUSB電源出力端子、LEDライトを持つ、まさに防災用の機能全部盛りといえるラジオです。

手回しハンドルを1分間回すと電池交換不要で30分ラジオが聞けます。オプションの単4アルカリ乾電池2本があれば40~60時間程ハンドルを回すことなくラジオを聴くこともできます。急な雨でも安心な防滴機能、うっかり落下を防ぐハンドストラップもあります。

イヤホン端子はステレオ(音はモノラル)タイプで手持ちの音楽プレーヤーやICレコーダー等のステレオヘッドホンが使えます。ステレオヘッドホンがない場合は先に登場した、耳への負担が少なく周囲の音も聞こえるJVCのカラフルヘッドホンHP-F140などがあるとよいでしょう。






以上、防災ラジオが必要な理由と防災ラジオの選び方の具体例を考えてみました。

個人的には値が少し張るとはいえ電池切れの心配がほぼ不要な、パターン5の東芝エルイーのTY-JKR5を選びます。


非常時に持ち出すものは多いはずです。防災ラジオは値段と大事さを天秤にかけながら、『非常時にとりあえず情報収集できれば』で選ぶとよいと思います。

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