・スノースポーツ専用コミュニケーションギア NYSNO-10 - Sony Japan
(特設Facebookから)
今回発表されたNYSNO(ニスノ)-10は大きさ14.3[W] x 5.2[H] x 3.08[D]センチメートル、重さ約150グラムのヘルメット装着式トランシーバーです。
電源は内蔵リチウムイオン充電池専用です。USB給電中の使用はサポートしていないようです。
通話距離はインターネットや携帯電話がつながらない圏外状態にて見通し最大1キロメートル。
3人までの同時通話を実現するトランシーバー機能のほか、スマートフォンなどと連携した音声通話や音楽再生機能をサポートしています。
本体はスノースポーツ専用というのがうたい文句ですがスペック的には-10度~40度までの使用が可能。
少雨ならば使用OKのIPX5の防滴性能と砂やほこりへの埋没にも対応するIP6Xに対応しています。米軍の耐衝撃性能規格MIL-STD810Fに合格し万一の1.2メートルからの落下にも本体が壊れにくい設計です。
使う前の準備はNYSNO-10本体を充電し、本体と付属の風防つきマイクロホンをヘルメットへ固定するだけ。電源を入れた後スマートフォンと連携する場合はNYSNO-10のNFC機能のワンタッチペアリングをしておきます。
使用中は付属の腕時計型リモコン(電源はボタン型乾電池)でトランシーバーの通話オンオフなどを手元でコントロールします。
ここまでNYSNO-10の概要と使い方を確認してみましたが、トランシーバーを使ったことのある方はいくつか疑問をお持ちのはずです。
まず疑問に思うのはスピーカーやイヤホンはどこにあるのか?ではないかと。
NYSNO-10はヘルメットをスピーカーとして使うというのがその答えです。どうやら骨伝導と同じ仕組みで、振動させるものはヒトの頭ではなくヘルメットになっているようです。
ヘルメットを振動させる出力は最大4ワットと、通常のスピーカーの枠で考えると桁違いのハイパワーで電池の持ちは大丈夫かと思いがちですが、グループトーク(トランシーバー)の使用は最大8時間使用可能とありますので考慮はされているのでしょう。
次にトランシーバーとして要となる無線通信についての疑問をチェックします。
NYSNO-10に搭載された無線規格はブルートゥース4.1、通信出力はBluetooth標準規格 Power Class 1つまり100ミリワットと、なんと特定小電力トランシーバーの10倍ものパワーが許可されています!
ウィキペディアによるとBluetoothの通信距離はClass1で100メートル。NYSNO-10には搭載されていませんが参考としてBluetooth5.xではパワークラス1のビットレート125kbpsで通信距離が400メートルとあります。
ブルートゥースPower Class1の1/10の出力で、スキー場では1キロメートルの交信距離を実現する場合もある400MHz帯の特定小電力トランシーバーと比べると、このBluetoothの100ミリワットはずいぶん強力な割に飛びがよくないように見えます。
しかしご存知の通り、電波の強さが10倍ならば交信距離も10倍となるはずはないことと、2.4GHzは電波の周波数が高く(波長が短く)電波の特性上飛距離が稼ぎにくい現象があり、通話距離が電波の強さほどではないという結果になります。
そんな状況で飛距離を伸ばす方法がポイントとなりますが、恐らく電波に乗せる音声の低ビットレート化が寄与していると予想します。
同じ2.4GHzを使う無線LANの特性もビットレートが下がるほど長距離通信が可能な傾向があります。ブルートゥースでも同様のことが言えるのではないでしょうか。
グループトーク(トランシーバー)として使用されるブルートゥースプロファイルは恐らくHFP(ハンズフリープロファイル)でしょう。HFPはA2DPと比べ音質は格段に落ちますが半面ビットレートが減少します。HFP v1.7.1仕様書によると音声通過帯域はナローバンドで3.4kHz、ワイドバンドで7kHzです。
遠距離通話ではブルートゥースの電波はナローバンド通信、言い換えると前述の125kbpsよりも低いビットレートで400メートルを超える会話が可能となるはずです。これにより距離1キロメートルの通話可能な状況では一般的な特定小電力トランシーバーや電話レベルの通話品質が期待できます。
以上NYSNO-10の使い方とトランシーバーとしての疑問をいくつか考察しました。
このワイヤレスヘッドセットNYSNO-10の価格は1台1セット税抜き3万円。予約開始は2016年11月18日金曜日。こちらのGIROサイトで予約受付し、発売は来年(2017年)1月を予定しています。
それにしても100ミリワットの高出力で連続8時間トランシーバーとして同時通話できるのは魅力的と思います。
個人的にはかつて422MHz帯の特定小電力トランシーバーを開発していたソニーが今回、通信規格にアナログ特定小電力ではなく、汎用性のあるブルートゥースを採用したことに時代を感じます。
NYSNO-10の同時通話は最大3人までですから4人以上は通話不可能です。そんなときは同時通話できないなど使い勝手がやや低下するものの、人数制限のない下記のような特定小電力トランシーバーとイヤホンマイクを複数台用意し使うことになるでしょう。
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