2015/11/01

アルインコDJ-P222Lファーストインプレッション

アルインコから特定小電力トランシーバーDJ-P222シリーズが登場しました。

DJ-P222製品情報 - アルインコ電子事業部

(DJ-P222L)


早速ロングアンテナモデルDJ-P222Lを入手しました。今回はDJ-P221Lも交え、少々コアなレビューをしますのでやや長くなります。



◆アルインコDJ-P222シリーズとは

DJ-P222シリーズは単3アルカリ乾電池1本またはニッケル水素充電池1本で駆動する、免許資格不要の買ってすぐ使える無線機(トランシーバー)です。

通常の20チャンネルの他、通話距離を約2倍に拡張する中継器に対応しています。

このDJ-P222シリーズにはミドルアンテナを搭載したDJ-P222MとロングアンテナモデルのDJ-P222L、計2種類がラインナップされています。

アルインコ電子事業部の公式サイトによるとこのDJ-P222シリーズはDJ-P221シリーズの進化型とのこと。さっそくDJ-P221LとこのDJ-P222Lの違いを見ていきましょう。



◆外観

左がDJ-P221L、右が今回のレビュー対象DJ-P222Lです(以下、同じ並び)。


電源/音量つまみの幅が短くなりラバー塗装が廃止されました。目盛は1箇所表示から数字の連続表示に変更され、音の大きさが一目で分かるよう改善されています。

液晶の周囲がグレーからブラックに変更されました。


送受信が一目でわかるLEDインジケーターの出っ張りがなくなりました(左:DJ-P221L、右:DJ-P222L)。


その他リア側、電池室内部、電池蓋のなくしやすさ、アンテナ長などに見かけ上変更は見当たりません。本体表示文字のかすれやすさもDJ-P221から変更ありません。


柔らかい場所へDJ-P221L(写真左)とDJ-P222L(写真右)を置いたところ、DJ-P222Lが若干お辞儀することを確認しました。DJ-P222Lの重心がDJ-P221Lよりも上部へ移動したようです。恐らく振動モーターの新搭載が理由と思われます。



◆操作フィーリング

電源/音量つまみのラバー塗装による滑らかさがなくなったため操作時、指への食いつきは良好です。DJ-P221(写真左)から操作は硬くなったようですが音量ノブは回しやすくなっていると思います。


個体差かもしれませんが、DJ-P222L(写真右)はDJ-P221L(写真左)と比べPTTのクリック感とストローク(ボタンに手を掛けてから内部スイッチが動作するまで)が増しました。押し加減もわずかながら硬くなったと思います。DJ-P221Lよりもクリック時にカチッと小気味よい音がします。


その他のボタンの操作感に違いはないと思います。



◆機能 

下記DJ-P221シリーズとDJ-P222シリーズのセットモード比較表を作成しました(クリックで拡大)。

黄色はDJ-P221とDJ-P222の相違点です。この表から確かにDJ-P222シリーズはDJ-P221シリーズよりも機能が拡充されていることが分かります。



◆追加機能詳細

DJ-P222に搭載された追加機能のうちいくつかレビューします。


[バイブレーター]

アルインコのハイエンド機DJ-R100Dシリーズと比べるとキレが良くなっています。振動もDJ-R100Dシリーズと比べ体感で2倍以上は増えています。

振動着信時のモーター音はDJ-R100Dシリーズよりも低めです。

DJ-P222シリーズには1秒間に2~3回程度断続するモードが追加されていますのでガラケーやスマホと同様にポケットへ入れても任務遂行中の着信が分かりやすくなっていると思います。

満充電のニッケル水素充電池を使用しバイブレーション機能を使用すると減電池表示が頻繁に現れますが、急に電源が切れることはありませんでした。新品のアルカリ乾電池駆動時は問題ないはずです。


[バッテリーセーブ]

DJ-P222Lの"ON1"設定はDJ-P221Lの"ON"と同じ動作のようです。このバッテリーセーブ機能を"ON2"にするとLEDインジケーターと液晶バックライトが消え、電波到来後"ON1"よりも最長0.5秒程度遅れて音声を出力しました。

"Eco"設定は加えて液晶がほぼ非表示となり、数秒に1度"Eco"が点滅するようになります。"ON1"よりもさらに1秒程度遅れて音声を出力しました。

バッテリーセーブでEcoを選択する際は送信側がPTTを押してから3秒以上待って通話を開始すると会話の頭切れが防げると思います。


[グループ種類切り替え]

"Cd1"設定はDJ-P221シリーズの"Cd"と同じ83通りのDCS選択モードです。"Cd1"と"Cd2"の違いは液晶表示方法とDCSコードの多さ(83通りor108通り)だけのようです。"Cd1"ではDJ-P221シリーズと同じ01~83までの数字を、"Cd2"では017~754までのアマチュア無線機と同じ実コードを表示します。

試しにDJ-P222Lの"tn"(グループモードの種類)を"Cd2"(DCS)に設定し、DJ-P221Lと同じDCSコード(DJ-P221を"Cd"の"01"に、DJ-P222を"Cd2"の"Cd_023")を設定すると当然ですが通話できました。


[通話圏内確認]

送信後、同一グループコードの電波が1秒以上受信できた場合は"圏内"、それ以外の場合は"圏外"と判断しアラーム音を鳴らすようです。

メーカーサポート外となりますが、同じ仕組みであれば他社製品互換も可能な気配です。


[テールノイズキャンセル]

グループモード非設定時の通話終了時の"ザッ"音を消去する機能です。

アイコム、八重洲無線(バーテックススタンダード)、モトローラのトーンバーストやPTTディレイ等はグループモード必須でしたが、こちらはグループモードなしで交信終了直後の"ザッ"音を消去します。

DJ-P222シリーズ発売直後のこの時点では公式に対応している製品は他にありません。つまりDJ-P221とDJ-P222の交信では「テールノイズキャンセル」は無効となります(グループモード設定時はこの限りではない)。

ところが手持ちの一部無名メーカー製格安特定小電力トランシーバーと通話するとこのテールノイズキャンセル効果が得られました。DJ-P222以外は無効と思っていたので意外です。一方、DJ-P222発売前に登場した手持ちのアイコム、ケンウッド、八重洲無線、アルインコ各機種はすべて「テールノイズキャンセル」に対応していませんでした。





◆音質


受信音はDJ-P221よりも高音がややクリアになりました。スケルチ解除時のブツブツ音も少しだけ少なくなっています。 

送信の音質は好みが現れると思います。大型スピーカーを有するユピテルの受信機MVT-7100にて受信音を比較したところ、DJ-P222はDJ-P221よりも低音を拾いにくくなっていることがわかりました。強風時の明瞭度は上がりそうです。



◆受信

受信感度はグループモードを使用しない場合、僅差ですがDJ-P221L < DJ-P222Lです。

DJ-R100DLとの受信感度対決では状況によってDJ-R100DL = DJ-P222LとDJ-R100DL > DJ-P222Lの両方があります。原因はDJ-P222のピーキーな受信特性にあります。


DJ-P221を含むアルインコの特小無線機の受信性能は私の知る限り、弱電界で電波の強さが変化すると受信状態がリニアに変化しているように聞こえます。対してDJ-P222Lは一定レベルの電波まではかなり粘りが効くものの、それ以下は急激に聞こえなくなるクセがありました。

原因は分かりませんが音質の改善と何か関係があるのかもしれません。

いずれにせよこのクセのある、よく言えば粘りのある受信性能はユーザーによって判断が割れそうですが、条件付きながらついに1万円前半の価格でDJ-R100DLクラスの性能に追いつくマシンが現れたと言えそうです。



◆送信

リファレンス機DJ-R100DLとDJ-P222Lを比較します。受信には八重洲無線のアマチュアハンディ機VX-8Dを使用しました。 

結果はDJ-P221Lと同様、僅差でDJ-R100DL > DJ-P222Lとなりました。



◆その他感想

DJ-P222Lは液晶のバックライトと送受信状態を示すLEDインジケーターの明るさが目測でDJ-P221シリーズ比1.5倍増しになっています。その分電池の消費は激しい(同じ電池を使うと減電池表示の出ないDJ-P221Lに対してDJ-P222Lは表示される)です。


DJ-P222は受信状態でわずかながら設定した1チャンネル下の隣接チャンネルで超微弱な内部発振があるようです。例えばDJ-P222LをL05チャンネルに設定するとL04チャンネルの内部発振を出力します。

下記はDJ-P222Lの左右にDJ-P221LとDJ-P24L、八重洲無線のFTH-308Lを配置し、チャンネルをL05に設定した様子です。DJ-P221LのSメーターはS2ではなくS1です(DJ-P22xシリーズはS1状態でバーが2本同時に表示される仕様)。

個体差はあるでしょうがDJ-P222Lの内部発振の影響はおおよそ半径5センチ以内です。DJ-P221Lも隣接チャンネル内部発振はありますが傾向が異なり、無線機を横に並べても殆ど気が付かない極小レベルです。

補足ですが同じチャンネルに設定した場合、受信時の相互干渉はありませんので実用上は問題ないと思います。

上記以外の内容は別途DJ-P221Lの使用リポート(下の関連記事参照)が参考になるでしょう。



◆まとめ◆

DJ-P222シリーズはDJ-P221シリーズの進化型ということでしたが、機能だけでなく受信や音質の変更など内部もかなり手を入れてあることが今回の実使用で明らかになりました。内部発振による他の無線機への影響が気になるものの、トランシーバーそのものの性能は向上している感触です。

今回取り上げた内容がいくつか気になった方はこのDJ-P222シリーズを手にされてはいかがでしょう。

(関連記事はこの下です)

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