2015/01/25

ソニー 防滴シャワーラジオICF-S80発表&プチレビュー

ソニーから防滴ラジオの新製品が発表されました。

ICF-S80 FM/AMシャワーラジオ - ソニー

(写真は公式サイトから引用)

ICF-S80は炊事場や風呂場でも使える、FMとAMの2バンドをカバーするポータブルラジオです。この型番にピンの来た方はなかなかのラジオ通です。

そう、今回発表されたICF-S80はまぎれもなく往年の名機ICR-S71の後継機とのこと。ICR-S71生産終了からはや半年。ソニーはラジオファンを見捨てはしませんでした。

何から語りましょう...そうですね、まずは名機ICR-S71を語ることにしましょう。



★名機ICR-S71とは★

ICR-S71は主にAMラジオ放送をカバーする屋外作業用ラジオです。通常のラジオ放送以外に全国各地の灯台放送も聴取できます。

肩掛けベルトを採用し樹や物干しざおなどに掛け使うなど、屋外作業中のラジオリスニングを主目的として開発されたようです。急な悪天候にも対応可能な防滴性能を有する優れものですが、最も目を見張るのがその電池持続時間です。なんとマンガン乾電池であっても1週間以上、アルカリ電池使用時に至ってはおよそ1ヶ月連続でラジオ放送を聴取できるモンスタースペックマシンなのです。

すごいのはこれだけではありません。AMラジオ放送の感度がホームラジオに比べ1段上であり、スピーカーが奏でる音質は長時間でも聴き疲れしないのです。


このようにICR-S71はモノバンドでありながらラジオを聴取する性能に長けていたのですが、FM放送が受信できないことがほぼ唯一のネックとなっていました。そこでこの問題を克服したのが今回発表されたICF-S80となります。



★スペック比較★

ではここでICR-S71とICF-S80の違いを見ていきましょう。両者のスペック比較表を以下に示します。

アナログチューニングのICR-S71に比べ、デジタルチューニングを採用したICF-S80は時間を掛けることなく一発選局が可能です。デジタル時計や最大60分のスリープタイマーや最大90分のキッチンタイマーも装備しています。

中でも一番目につくのが電池寿命の違いでしょう。アルカリ乾電池寿命比較ではICF-S80がICR-S71の半分にも及びません。恐らく単2電池の容量が単1電池の半分以下であることがその要因と思われます。

電池の本数が2本から3本へ増加した理由はスピーカー出力がアップしたためと推測します。

単1電池よりも径の小さい単2電池を採用したにもかかわらず、ICF-S80はICR-S71よりも厚みが5ミリほど増えています。
一般家庭の浴室壁面上に置ける幅が考慮されていると思いきや、よしおの生息する浴槽の厚みは実測で最薄部が55ミリで最厚部は60ミリ。ICR-S71はかろうじて浴槽の上に置いて使えますがICF-S80は浴槽へ水没か反対側へ落下するのいずれかとなりそうです。どうやら付属のベルトでシャワー掛けへ掛けて使うしかないようですね。

FMラジオ放送はICR-S71では受信できませんでしたがICF-S80には新たにFMチューナーと受信用のワイヤーアンテナが追加されました。これについて詳しくは下のプチレビューにあります。

スピーカー径はどちらも変わりません。実際の音質は後半のレビューに記載しました。



★実機プチインプレッション★

先行展示されているソニーのショールームへ早速足を運び、実機をチェックしました。

ICF-S80には時計機能が装備されています。ラジオの電源が切の状態では時計が表示されます。
液晶表示の大きさですが、7セグメントLCD 1文字あたりの表示サイズは目測で横幅が約9ミリ、縦幅が2センチ程度と比較的大型です。細かい機能表示は小さいためやや見辛いかもしれません。なおLCDにバックライト機能はありません。

音量調整は本体向かって右側面、ストラップベルトの付け根付近に直径5センチ程度のダイヤルで行います。適度に硬く大きいため、浴室で目を閉じた状態でも操作性は簡単そうです。

付属のストラップベルトはシリコーンゴム製とのことです。シリコーンゴム製であれば耐オゾン劣化は問題が少ないものの、使用後はなるべく乾かして保管するのがよいと思われます。


それではICF-S80の電源を入れてみます。

電源を入れてから音が出るまでの時間は未測定ですが、電源ボタンを押すとほぼ次の瞬間ラジオが鳴り始めると思っていただければ間違いないでしょう。

ICF-S80はデジタル選局方式を採用しており、ICR-S71のようなチューニングダイヤルの代わりに"+" "-"チューニングボタンが本体上にひっそりと装備されています。このボタンはやや小さいため、頻繁に使用するには使いづらいと思います。

本記事を作成している現在、公式の商品情報には未記載ですがICF-S80にはオートチューニング機能も装備されています。チューニングボタンを約3秒以上長押しするとスキャンが開始されます。スキャンスピードはAMバンドで毎秒約3~4ステップ(1ステップ=9kHz)、FMバンドで毎秒約10ステップ(1ステップ=100kHz)と高速です。

スピーカーの音質は低域から高域までほぼフラット。こもった感じもなく抜けの良いクリアな音質です。ICF-S80でFM放送を聴くとドラムやシンバル、パーカッションが良く聴こえました。
生産終了したICR-S71は人の声を強調する音質設定ですから、ICF-S80でAM放送を聴くと物足りない方がいらっしゃるかもしれません。しかし短時間ではありましたがICR-S71同様、聴感上の聞き苦しさは見当たりませんでした。


次にラジオの受信感度のチェックです。

AM放送は偶然ICF-S80の近くにあったICZ-R250TVに劣らず健闘しているようです。係員の説明によるとAMラジオはICR-S71よりも若干高感度かもしれない、ということでした。内蔵バーアンテナの指向性は一般的なAMラジオと比べ鋭くキレの良い傾向がありますのでICR-S71同様、夜間の混信に対応できそうな感触です。

FM放送はやや期待外れな感触です。ICF-S80のFM用ワイヤーアンテナ長は約30センチありますが、全部伸ばしても高感度とは言えない状況でした。ショールーム内はノイズに囲まれた状態のため確証はありませんが、2015年2月28日発売予定のクロックラジオICF-C1よりも劣る印象でした。もっとも、ICF-C1は電灯線がアンテナになっているかもしれないため一概には言えませんが...。

なお上記比較表からも分かることですが本機に外部アンテナ端子はありません。ICF-S80から伸びるワイヤーアンテナの先端は防滴加工されているため、簡単に被覆を剥く訳にもいきません(改造後はメーカー保証外)。ICF-S80はあくまでもシャワーラジオであってロッドアンテナ内蔵のポータブルラジオではないため、AM放送は問題ありませんがFM放送は移動しながらの遠距離受信には不向きと思われます。



★まとめ★

以上のようにICF-S80はFMラジオの感度に心配が残るものの、AMラジオの性能は期待できそうです。電源が単2電池3本という変則的な駆動方式ですが、個人的にはどうせならメーカー保証外でも電池スペーサーを使用しランニングコストの少ない単3型充電池で使い倒す方向で検討もありかなあと思います。

ICF-S80の想定価格は確か6400円前後、発売は2015年2月21日の予定です...が、ソニーのショールームではなんと、すでに先行販売が開始されているそうです!! 想定価格がかなり手ごろながら量販店での発売よりも早く安く新製品が購入できるとのことですから、これは少々迷いますね。


名機ICR-S71が昨年2014年5月に生産終了となり早半年以上が経ちましたが、まさか後継機を投入してくるとは誰が想像できたでしょうか。

ラジオNIKKEIも聴けるICF-M780Nといい昨年2014年発売されたラジオレコーダーICZ-R250TVといい、最近のソニーはラジオにも力が入っていますね。

(関連記事はこの下です)


[関連記事]
【追記】ソニー、ラジオNIKKEIが聴けるホームラジオICF-M780N(2014/01/22)

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4 件のコメント:

  1. ICF-S80は、ICR-S71の後継機ではなく、ICF-S79Vの後継機だと思います。
    ちなみにICF-S79Vは、キッチンラジオを標榜して登場したAM・FM・TV(アナログ音声)3バンドの防滴ラジオで、使用電池が単2×3本であるのに加え、外観上もICF-S80と類似しています。

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    1. 匿名さん コメントありがとうございます。
      本記事の執筆前、ショールームの係の方にICR-S71の後継機なのかと尋ねたところYesとの回答を得ました。ただ、確かにコンセプトやデザイン、音質や機能、操作性はICF-S79Vとよく似ています(私もそう思いました)から、ICF-S79Vの後継機でもあるのかもしれません。一方でICF-S80にはICF-S79Vにはなかったストラップベルトがあります…。
      機会があれば念のためもう一度ショールームの方に聞いてみるつもりですが、匿名さんがもしお急ぎでしたらショールームの係の方に直接確認されるのが確実かもしれません。

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  2. 本記事の執筆前、ショールームの係の方にICR-S71の後継機なのかと尋ねたところYesとの回答を得たということですが、私に言わせると、その係の人はあまり商品知識はないと思いました。とはいえ、ICF-S79Vの発売開始日は1997年10月21日であり、補修用性能部品保有期間が2016年3月までであることから推定すると2010年3月で生産が終了しており、最近生産が終了したICR-S71と異なりベテラン以外は認識がないのはやむを得ないでしょう。

    ICR-S71はSONY史上唯一無二の野外作業用ラジオであり、現場での使用を想定した結果、アンテナを伸ばすことなく受信できるAMのみのシンプルな構成で、単1×2本使用である点からも前身機も後継機も存在しないと認識しています。
    一方、ICF-S79VやICF-S80は同じ防滴機であるものの、ICR-S71とは異なり家庭の水回り用という認識です。また、家庭での使用を考慮したためFMの受信に対応しており、FM受信回路の安定化&時計実装のためか、単2*3本使用となっています。
    なお、ICF-S79Vはキッチンラジオを標榜して登場した経緯から、ストラップベルトは装備はおろか付属もされていませんが、背面上部の左右にストラップを取り付ける穴が用意されています。ただし、その取り付け穴はICF-S80にも付いています。

    以上のことから考察するとICR-S71は独立した存在であり、ICF-S79VやICF-S80とは同系ではないと考えるのが妥当だと思われます。またICF-S80は、型番の流れからもICF-S79Vの後継だと考えるのが自然ではないでしょうか?
    近所にショールームがないので行く機会はまずないと思いますが、機会があればICF-S79V持参で出向き、店員を説得したいです。

    ちなみに自分は、ICR-S71もICF-S79Vも持っており、最近ICF-S80も入手しました。

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    1. 匿名さん 非常に熱意のこもったご意見ありがとうございます。かなりのラジオ通とお見受けいたします。
      実は私も匿名さんとほぼ同意見で、シャワー用のICF-S80が屋外作業用のICR-S71の後継機とはあまり思いたくはありません。単2x3で電池が連続1週間程度しか持たないファンシーな外観のICF-S80が単1アルカリ2本でほぼ1か月連続で鳴り続ける無骨なICR-S71の後継機というのは説得力に欠けると思います。恐らくICR-S71の魅力に触れた方やラジオの魅力を理解されていらっしゃる皆さんも匿名さんと同意見ではないでしょうか。
      ICR-S71が現状2~3万円であっても売れているらしい状況から、メーカーも例えば前金預かりもしくは1000台限定受注生産でICR-S71の真の後継機?を出してもらえれると非常にありがたいと個人的には思いますがいかがでしょう。
      近々ショールームへ出向く用事が出来そうです。立ち寄れそうで忘れていなければ(出来なかったらその時はごめんなさい)後継機の件を尋ねてみようと思います。
      もし匿名さんがお急ぎでしたら電話や封書等でお客様相談センターへ問い合わせされる手段もあると思われます。

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