2014/08/22

アイコム IC-R6ミニレビュー

IC-R6はアイコムの広帯域受信機の入門機です。詳細は「受信機フル活用テクニックver.14」や「はじめての受信機操作ガイド」などの冊子に取り上げられていますのでここではIC-R6をこれまでに使った辛口の個人的な感想を簡単にお話します。
アイコム IC-R6



まずIC-R6を使い、特に気になった点を3つ紹介しましょう。


①ノイズがシャーシャーうるさい

ノイズとは電波が弱い時に音声に混ざり発生する「シャー」「サー」という音です。このノイズは航空無線やラジオ聴取時に特に気になる現象です。アルインコのDJ-X81など、これまで使用した受信機や無線機ではここまでの症状に遭遇したことがなく少々驚きました。

もちろんこれを少なくする機能、AFフィルターも装備されています。IC-R6は初期設定でAFフィルター機能が「OFF」となっており高音が強調された設定となっています。このためスケルチ解除時や航空無線受信で弱い電波を受信した場合、人によりますがこのノイズが耳障りな場合があります。

しかしメモリースキャン中やプログラムスキャン中にAFフィルター設定を変更しても変更は反映されません。最初故障と思いましたがどうやら仕様とのことです。

AFフィルター設定をIC-R6に記憶させる場合はスキャンを停止後、または各メモリーチャンネル毎に「ON」へ変更する必要があるようです。オプションのクローニングソフトCS-R6には「共通設定」の「拡張」項目に一括でAFフィルター設定を変更できそうな項目はありますが、現状IC-R6とよしおのPCが正しく接続できないため未確認です。



②よしおの生息地付近ではFMラジオだけが全く聴き取れない

アイコムの元祖広帯域受信機IC-R1を含む他メーカーのレシーバーや通常のラジオでは経験上この不可解な現象は発生していません。アイコムの技術の方へ相談するなどして理由を調べたところ、どうやら近隣のV-Highマルチメディア放送送信所からIC-R6がカブリを受けているらしいことが分かりました。

以上からIC-R6は200MHz帯のかぶりに弱そうです。入門機ならではのWFM(ワイドFM)のフィルター性能が必要最低限というのも原因の一つなのかもしれません。

幸いなことにこのような状況下でも200MHz帯のUHF航空無線は問題なく聞こえました。またこれ以外の周波数でカブリらしき現象は認められませんでした。IC-R6のフィルタ性能は放送以外の無線電波を受信する限りは優秀と思います。

補足ですが中波~短波帯の受信感度はアルインコのDJ-X81を含む他機種よりもホワイトノイズが大きく聞こえるためか、若干感度は低めに感じました。



③プログラムスキャン中、電波があるにもかかわらずスキャンが停止しない場合がある

具体的には繁華街で特小チャンネルをIC-R6と他機種(八重洲無線のVR-160など)で同時にスキャンしたところ他機種では難なくスキャンが停止し受信できたのですがIC-R6は一向にスキャンが止まらないことがありました。

スキャンが止まらない原因はおそらく受信電波が弱いためと思われます。冊子「はじめての受信機操作ガイド」2014年版の後半146ページで取り上げられた症状が再現したようです。
人里離れた山間部で受信中の様子



その他気になったことを強いて挙げるならば本体上部のダイヤルと上下キーに割り当てられている選局と音量が素早く切り替えられないこと、操作ボタンにバックライトがないこと、液晶のアルファベットをもう少し読みやすくして欲しいこと、WFMのフィルター性能向上、そして本体前面と厚みの比率が不釣り合いなデザインを何とかして欲しいことくらいでしょうか。
コメット SMA-W100RXアンテナ装着例


個人的な意見としてスマートフォンや携帯電話がリチウムイオン全盛の現在、市販のモバイル電源に繋ぎ充電できれば敢えて時代に逆行して単3電池駆動としなくてもよいと思います。

次機種ではID-31やID-51で採用された初心者にもわかりやすい操作性や液晶の大型化、より一層の携帯性重視といったバージョンアップを望みます。ただ鉄道や消防、ライフラインの無線や簡易業務などが順次デジタル化している状況から、次機種もアナログ専用機ですと恐らく需要は多くないだろうことが悩みの種でもあります。



まとめとして、アイコムのIC-R6は他機種と比べ基本性能が優秀なアナログ波専用受信機です。入門機でありながら受信性能はハンディ機の中でトップクラスを誇ります。
オプションLC-146A装着例


上記の不満3点はありますが、裏を返すとそれ以外は満足しているということです。操作に慣れは必要ですが他機種と比べると圧倒的に不正受信がなく、高感度で低価格なためエアバンドリスナーを含む初心者におすすめしたい受信機です。

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8 件のコメント:

  1. はじめまして、サトウといいます。

    この手の受信機を買おうと思っている初心者です。
    3万円以内で、お勧めの機種を教えて下さい。

    調べると、数多くの機種があり過ぎて、もう何が
    なんだか分からなくなってしまいました。(汗)

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  2. サトウさん初めまして。コメントありがとうございます。

    選び方のポイントは普段の使い方とメインで聞くもの、そして見た目と思います。2016年時点で、(1)使い方と(2)メインで聞くもので選ぶと下記となります:

    (1)使い方で選ぶ
    ・未知の電波探し、メモリーサーチ&スキャン;IC-R6
    ・ラジオを聴きながら無線を同時待ち受け:VR-160
    ・周波数を手で入力したいことが多い:DJ-X8/X81
    ・多機能、スペアナを使いたい:VR-160
    ・アナログ盗聴器や室内外の微弱電波場所探し:VR-150
    ・単3電池駆動にこだわる:VR-160, DJ-X7以外
    ・音が良い:DJ-X81
    ・地震災害速報とワンセグ:DJ-X81
    ・スケルチが閉じるときのボツ音が小さい/ない:IC-R6, VR-160
    ・小型軽量:DJ-X7、VR-160

    (2)メインで聞くもので選ぶ
    ・民間エアーバンド:どれでも
    ・軍用エアーバンド:IC-R6
    ・アナログ業務無線、アナログ特定小電力無線:どれでも
    ・微弱電波:VR-150
    ・アナログワイヤレスマイク:3万円以下ではどれも微妙

    DJ-X8, DJ-X81は操作は比較的楽ですがない電波があるように聞こえる不正受信が少なくなく中級者向きです。

    ご存じと思いますが受信機は必ず聞けるものではなく、聞こえたらラッキー程度と思われるのがよいかと。

    IC-R6のコメに書くのも何ですが、よしおが2016年現在持ち歩いているのはVR-160です。ラジオを聴きながらスキャンできスペアナが使え軽量コンパクト、何よりデザインが良いので。

    また、これから始められるのでしたら、なるべくお近くのお店で買われると入手後に質問しやすいのでお勧めです。

    以上、ご参考になりましたでしょうか。また何かあれば(返信は遅いかもしれませんが)お気軽にコメントください。

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  3. よしお様
    こんばんは。

    私も初めて受信機を購入しようとしております。田中と申します。

    現在IC-R6とVR-160でどちらを購入するか迷っております。
    私の使用目的は空港でもエアバンドと航空祭での受信をメインとし、
    後は町中で特小や業務無線、東京消防庁の署外活動波を聞ければと
    考えております。

    双方の機種の売り文句を調べますと
    IC-R6:スキャン速度が速い。
    VR-160:液晶のドットが小さく見やすい、カタカナ表示可能
    と認識しています。

    よしおならどちらを購入するのがおすすめでしょうか。
    お店の人からは好みですからね~っと言われており、
    なかなか購入に踏み切れない状態です。

    ご教示いただけますと幸いです。

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    1. 田中様 初めまして。丁寧なごあいさつとコメントありがとうございます。

      エアバンドと航空祭メインですと断然IC-R6がおすすめです。理由は田中様が挙げておられる高速スキャンに加え、軍用エアバンドの感度が他の3万円未満クラスの受信機よりもダントツに良いからです。
      また、IC-R6を選んだからと言ってアナログ業務無線など他のアナログ波がまったく聞けない性能ではありませんのでご安心ください。冊子受信機フル活用テクニックVer.14のIC-R6紹介ページも参考になるでしょう。

      航空無線メインでしたら事前の周波数登録があまり要らないIC-R6エアバンドスペシャルがいくつかの販売店から出ているようですから、そちらを選ぶのもありと思います。

      以上、回答になりましたでしょうか。気になることがあれば返事は遅いですがお気軽にコメされてください。

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    2. よしお様
      こんばんは。ご返信ありがとうございます。
      大変分かりやすく教えていただけまして助かります。
      IC-R6が目的に合致しているようですのでこちらを購入しようと思います。

      購入に際して質問がございます。
      この受信機につきましては、量販店に「改造版」として売っておりました。
      歯抜けがあり、その部分を補っているとのことですが、この改造は
      メーカーと販売店どちらが行っているものになりますでしょうか?
      また、改造版を購入して不都合はございませでしょうか。

      もう一つ質問がございます。
      PC接続用のソフトとケーブルが別売りであり、同時購入ですと少し値引いていただけます。私の用途ですとPC接続は必要性はありますでしょうか。

      質問ばかりで恐縮ですが、アドバイスいただけますと幸いです。

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    3. 田中様こんにちは。ご相談ありがとうございます。

      改造はメーカー側が実施することが多い噂があるのでメーカー保証書は大抵有効です。詳しくは販売店へご確認ください。

      改造版は無改造版では受信できないごく一部のアナログ業務無線等が受信できむしろ好都合と思います。エアバンド受信には関係ありません。

      ソフトとケーブルですが、航空祭での使用とアナログ業務無線受信目的とのことから必要と判断します。

      普通のIC-R6には主要空港の民間エアバンド周波数、2016年現在聞ける一部アナログ業務無線等の周波数が最初から少々入っていますが立川・横田・調布等の航空祭や消防等はご自身で周波数データ入れ替えが必要です。

      以上、参考になりましたでしょうか。

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  4. コメント失礼いたします。イケダと申します。
    自営業のため事務所や家の引越の際の防犯の一環として、盗聴器を発見できるレシーバーを探しております。
    VR-150は廃盤のようなので、人気のIC-R6、専用モードがあるDJ-X8、DJX81を辺りを中心に調べているのですが、現行機種でおすすめはありますでしょうか。
    使う人の技術と知識が必要なことは承知しておりますが、初めて触るためアドバイスを頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。

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    1. イケダさん、ご挨拶ありがとうございます。返信遅くなりすみません。
      説明書を読みお使いいただく前提ですがおすすめは、やはり発見専用機能のあるDJ-X8かDJ-X81が比較的扱いやすいと思います。
      但し広帯域受信機で発見できる対象は市販の一部製品のみとなり、100%発見できるとは限りませんので予めご承知おきください。
      また、市販のFMワイヤレスマイク電子工作キットを製作したものを使い、発見練習されるのも良いかと思われます。ご参考になれば幸いです。

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