2011/04/16

2015年、4GネットワークがGPSを妨害する!?

カゼでしばらく更新をお休みしていましたが本日から再開します。

さてアメリカからYahoo!ニュースの記事です。

Planned wireless Internet network threatens GPS - Yahoo! News(英文)

この記事は次世代ワイヤレス高速インターネット回線の電波がGPSの周波数帯と極めて近く、その電波がGPS受信機に影響をおよぼしかねないという見出しで始まっており、カーナビやスマートフォンのGPS機能、GPSハンディ受信機などが影響を受けるとGPS受信機メーカーが警告しているといった内容です。

記事によりますと今回ワイヤレス高速インターネットサービスを開始するのはバージニア州にあるライトスクウェアード社(アメリカの主要携帯電話会社の基地局を整備している会社)の無線通信網で、アメリカ連邦通信委員会FCCのお墨付きを得てのサービス開始だそうです。この高速ワイヤレスインターネットサービスが開始された場合"GPSへの潜在的なリスクは非常に大きく予想できない。1箇所あたり何百万平方キロメートルのGPS使用不能地域がアメリカ全土で4万箇所発生するだろう"とあるGPS機器を製造するメーカーの副社長が話しています。

FCCは今年2011年1月にライトスクェアード社に対してGoサインを出していいます。FCCのスポークスマンRob Kenny氏が"我々は既存のGPSシステムが確実に機能するため問題のあらゆる解決策を有している"と話したことからFCC側としては2015年完成予定の4GネットワークがGPSに影響を及ぼす可能性が低いと判断したとみて間違いないでしょう。ただこのまま状況が進んだ場合、2015年にはアメリカ全土の92%がこの高速ワイヤレスインターネットサービスの電波で埋め尽くされるのは事実のようです。

GPSは1.5GHz帯(1575MHz)を使用していますがこの記事にはライトスクェアード社が敷設する4G網の周波数や電波の送信出力など、定量的な情報がまったくといっていいほどありません。そこで最低限、現状を把握するべくGPSの周波数に隣接するアメリカの現在のバンドプランをFCCのサイトで調べてみたところ以下の結果が得られました。


・1535-1559MHz
 - GMDSS(10年ほど前にSOSの代わりとなった全世界共通の遭難・救難信号送出システム)

・1559-1610MHz
 - 飛行機の無線航行用(飛行機-衛星間)、地上DGPS(GPS誤差補正信号を出す地上局)
・1559-1626.5MHz
 - 飛行機の無線航行に必要不可欠な移動通信用
・1559-1626.5MHz
 - 次世代技術開発用(やむを得ない場合のみ)
・1400-1727MHz
 - 宇宙からの電波天文用
・1610-1626.5MHz
 - 飛行機の無線航行用(飛行機-衛星間)、宇宙飛行士通信用
・1626.5-1660MHz
 - 飛行機の無線航行用(飛行機-衛星間)

これを見る限りですと今回のアメリカでの4G網敷設による影響はアメリカ上空を飛行する飛行機や周辺を航行する船舶、宇宙人を探す電波探査などといった分野へも影響を与えそうでアメリカ周辺に限らず地球上の広い範囲に及びそうです。
アメリカがこれほど4G網の整備を急ぐ理由はFCCの公式ブログをちらっと見た限りですとここ十年でスマートフォン需要が急速に拡大し電波が足りなくなるとの予想を見越したバンドプラン変更と私よしおは解釈しています。

残念ながら今回新設される4G網が実際にどの程度の周波数を使いどの程度分野ごとに影響があるのかまでは調べられなかったため影響範囲は何とも言えないですが、少なくともこれはアメリカだけの問題ではなさそうな気配がします。また通信機器が使う周波数は近年グローバル化が進んでいるためアメリカ以外でもこの問題が発生する可能性があるかもしれません。

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