2018/08/20

AR-DV10(ファーム1807A)とIC-R30(ファーム1.06)どちらが良い?

国内で使用されているごく一部のデジタル通信の復調に対応した受信機AOR AR-DV10アイコム IC-R30が発売され4~5か月経ちました。ここではAR-DV10IC-R30の使い勝手について簡単に触れ、2018年8月中旬時点でどちらの稼働率が多いかを説明します。レビュー対象のAR-DV10のファームウェアは1807A、IC-R30のファームウェアは1.06です。
IC-R30(手前)、AR-DV10(奥)



まずアイコム IC-R30について。
アイコム IC-R30デュアルワッチ中

一言でいえばほぼ合格の受信機です。

ユーザーインターフェースが日本語で見やすく、説明書はほぼ不要で操作しやすいです。

マイナーバグは残留するも、マニアックな使い方をしなければある程度は許せるレベルに抑えられています。

何より2波同時高速スキャン受信、位置情報も記録する2波同時録音の存在が大きいです。

外部アンテナにつながなければ短波以上の受信で困る状況は、2波同時受信中以外あまりありません。


よしおがファームウェア1.06で大きな問題と考えているIC-R30の動作は、
  • ディレイ1秒設定のプログラムスキャン+録音中にファイルが分割されない状況が多々発生する
  • 2波同時受信中に内部発振が複数発生する
  • 一時スキップのメモリー数と一時スキップ動作の分数が極端に少ないあるいは短い
  • デジタル通信により復調音量の差が極端
  • UHF航空無線のプログラムスキャン設定に謎の制限が存在する
といったところです。

またIC-R30のデメリットとして、(当然でしょうが)秘話の掛かったデジタル通信は秘話コードを設定しなければ内容の分かる音声として聴けない、つまりすべてのデジタル通信に秘話が掛かっているとほぼ受信機として機能しないこと、世界標準となりつつあるDMRやTETRAは復調できないことがあります。





次にAOR AR-DV10について。
AOR AR-DV10アナログ波受信中

操作性に癖があるため、とっつきにくい印象はあります。

ドットマトリックス液晶を採用したAR8000からの伝統ですが、ガラケーと比べると、設定項目があまり直感的に使えないので初心者は特に使いづらいと思うかもしれません。

受信感度はAR-DV1よりも高感度に仕上がっている反面、特に160MHz帯や460MHz帯に本来受信されるべきではない電波の出現が顕著のため、どうしてもAR-DV1より使い勝手が良くない印象を受けてしまいます。

また米国人の手の大きさに合わせたボディ形状は面白いのですが日本人にはやや大柄。

手持ち受信するとどうしても大きさと重さがネックになり、積極的に持ち出したい気がしません。


しかしそれを差し引いたとしても、最大の持ち出したくないと思わせる要因は録音機能の貧弱さです。これを印象付けるのは下記製品の出現が極めて大きいです。

よしおはこの受信機の登場後、受信スタイルが一変しました。

それまでイヤホンを付け現場受信していたスタイルから、外出中は受信機にほとんど触れず録音状態でスキャンし受信機をバッグに入れ放置するスタイルに変えました。

この受信スタイルの変更により、どうしても確認したい場合以外は受信機を半自動で放置し、受信機に使っていた時間や手間を無線以外のラジオの受信、写真撮影、SNSによる情報収集などへ充てるようにしました。

活動場所により他の電子機器が発する不正電波による受信機の一時スキップ操作は度々必要ですが、このスタイルならば受信機を動作させカバンに入れ、移動するだけで受信した電波がほぼ録音できるので現場受信の手軽さが増すだけでなく、警察屋さんからの職質も減っていると思います(笑)



少し興奮してしまいました。話をファームウェア1807AのAR-DV10の録音機能に戻しましょう。

AR-DV10の録音機能の貧弱さとは具体的に、ファイルが分割して記録されず、金太郎飴方式で最後まで連続してなるべく1ファイルに保存されることです。

またAR-DV10には受信周波数や受信日時はおろか、DMRカラーコードやデジタル簡易無線のUC、NXDN(IDAS)のRAN、アナログ用のトーン周波数やDCSコードを記録する機能もありません。

録音ファイルの保存日時は録音停止操作時刻となります。要するに市販のICレコーダーよりも使い勝手が良くないということです。

これらの仕様がよしおの現在の受信スタイルと合わず使い勝手を悪く感じさせ、結局使用頻度を極端に低くしています。


電池の持ちについては良くない印象を受けますが、IC-R30との電池の持ちの差は2時間程度のため、ほぼ気のせいと考えています。

また、よしおは欧州で購入した予備バッテリーも所有している(下記関連記事参照)ため、電池の持ちを大きな問題とは考えていません。
巷で報告されるAR-DV10のバッテリーの持ちの悪さを印象付ける原因は、1990年代のポータブル機器に見られた、表示される電池残量マークのレベルがコロコロ変わるアバウトさにあると思います。



ここまで辛口コメントが続きましたがAR-DV10にもメリットはあります。

ファーム1807Aを搭載したAR-DV10の良いところですが、やはりDMRをはじめとするデジタル通信の復調可能範囲が広いこと、デジタル自動判別モードを備えているところが挙げられます。

あと何度も繰り返しますがスピーカー使用時、デジタル特有のモガモガ音が軽減され復調音が聞き取りやすいこと、通信による音量の大小が比較的均一になっていることもメリットです。





で、結局ファームウェア1807AのAR-DV10とファームウェア1.06のIC-R30、どちらが良いかですが、現時点の稼働率を比べるとIC-R30に軍配が上がります。

よしおは現在、受信スタイルを大きく変えた上記受信機とIC-R30を併用し、IC-R30はデジタルのシングル受信とし、外出先の受信活動時に音声を聞かず、受信活動は受信機にほぼお任せする状況です。
IC-R30(左)とAR-DV10(右)

もっともこれで受信活動ができるのは、秘話の掛かっていない通話がよしおの生息地周辺で多いことが一つの理由です。

今後、DMRや秘話の掛かった通信のみとなった場合はAR-DV10の稼働率がより高くなるかもしれません。

本当は1台ですべて済ませられると良いのですが、なかなか理想的にはならないので、どうしても外出先では2台あるいは3台持ちとなってしまいます。


まもなくハムフェア2018の会場でAORが新機能を装備したAR-DV10の新ファームウェアを先行公開するとのことですから、もしかするとこれによりよしおの受信スタイルは再び一変するかもしれません。

録音機能の強化のみならず、ユーザーコードスケルチ機能やFPGAならではの受信性能の大幅改善(ダブルスーパーヘテロダイン化?)、スペシャル機能の向上、無線の受信待ち受け中にラジオを聴取できるAFデュアル追加、受信機本体の発熱減少など、AR-DV10の新ファームに対する妄想と期待は膨らみます。

(関連記事はこの下です)

[関連記事]
IC-R30録音ファイルのタグ情報を解析しBCD436HPと比較 (2018/07/08)

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1 件のコメント:

  1. AR-DV10は、はっきり言って100満点で10点です。
    ①操作が難しい(めんどくさい)
    ②テレビの地デジ音声が聞けない
    ③中波用のバーアンテナが内蔵されていない
    ④バッテリーの「もち」が悪い(頻繁に充電しなければならない)
    ⑤漢字・ひらがな・カタカナの文字入力ができない。
    ⑥表示も漢字・ひらがな・カタカナではない
    ⓻50バンクで各バンクで50Chあるが、実際0~19Chまでしか登録できない。20Ch~49Chまでは固定(変更できない)

    アマ無線と簡易無線のデジタル波が受信できるというのは10点です。こんな受信機を買うならアナログ受信機を買った方がいいクソ受信機です。

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