AOR AR-DV10 非SDRバージョン(ハムフェア2017) |
まずは一般的特性の比較から(表のクリックで拡大)。
AR-DV10の容積はAR-DV1の1/5。重さは電池を含んでも1/3以下です。
電源電圧は最大10.5Vのため、カーバッテリーの直結やAR-DV1のACアダプターを外部電源として使うと有償修理か修理対応不可(修理不能)となります。
AR-DV1にはなかった、内蔵スピーカー使用時だけ大雨で使える防滴性能IPX5が追加されました。イヤホンをつなぐと防滴性能はなくなります。
受信周波数や動作モード、復調モードの比較です(表のクリックで拡大)。
AR-DV10はAMラジオとFMラジオ専用のダイレクトコンバージョン受信回路がメイン回路とは独立して設けられています。AM用バーアンテナは本体に内蔵されません。
バージョンアップによっては無線受信待機中にラジオ聴取が可能な、八重洲無線のAFデュアルに相当する機能が追加されるかもしれません。
同期検波AMモードの搭載可否は不明です。
デジタル復調モードはAR-DV1と同じと考えてよさそうです。
AR-DV1の製品情報ページにMOTOTRBO対応の文字はないように見えましたが、MOTOTRBOはDMR技術と互換性があるので通常は復調可能と考えてよいでしょう。
受信感度と受信支援機能を比較します(クリックで拡大)。
"不明"を除く仕様はすべて両機種同じため、もしかするとAR-DV1に近い受信性能かもしれません。
IF帯域幅と受信方式の比較です(表のクリックで拡大)。
IF帯域幅はAR-DV1にあった500Hz以下と200kHzのフィルターがAR-DV10にはありません。
100kHzを使えるのがFMラジオのみのため、アナログワイヤレスマイクやアナログ放送中継波の受信が厳しくなる状況はあり得ます。
AR-DV10の受信方式はAMラジオとFMラジオ以外はシングルスーパーヘテロダインです。
周波数安定度はさすがに固定機AR-DV1には負けます。
スケルチやその他受信機能、オーディオ出力を比較します(表のクリックで拡大)。
アッテネーターは自動無段階切替から一般的なハンディ機に装備されている方式になりました。
検波出力端子が消えました。
内蔵スピーカー出力はAR-DV10の製品情報ページを見ると、当記事執筆時点で「音声出力250mWの大音量」とありますが、仕様表とカタログには最大700mWとあるので後者が正解でしょう。
最後はSDカードとタイマー機能の比較です(表のクリックで拡大)。
残念ながら現時点でAORの録音機能には期待できません。
必要に応じてDMRとTETRAの復調が不可能なアイコムのIC-R30を別途入手するか、市販の音声起動録音タイプのICレコーダーをAR-DV10と併用する必要があります。
タイマー機能有無の詳細は現時点で不明です。
以上、発売間近のAR-DV10とAR-DV1のスペック比較でした。
ハムフェア2017の会場では非SDRになると聞いていましたが、製品版ではまさかのSDRとなりました。発売が遅れた理由はおそらくこれでしょう。
AR-DV1発売前(2015年以前)は、AR-DV1相当の機能を持つSDRのハンディ機はつくれないとのことでしたが、今回AORはその常識を覆し、低消費電力という新技術をも引っ提げてAR-DV10を市場へ投入します。
たしかに録音機能は引き続き要改善ですが、よしお個人的には発売遅延発表後、たった数か月でAR-DV1に匹敵する内部構成と機能を持つであろうSDRのハンディ機化を達成したことこそがAOR開発陣の最も評価されるべきポイントと考えます。
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