2018/02/21

八重洲無線FTH-314L レビュー

2018年2月に発売された八重洲無線の特定小電力トランシーバーFTH-314Lを入手したので業務ユース目線主体で手持ちのFTH-308L、競合機種と思われるアルインコのDJ-P222Lなどと比べた印象を使用レポートします。
八重洲無線 FTH-314L


まずおさらいですがFTH-314、FTH-314Lはオプションの単3乾電池1本または専用ニッケル水素充電池1本で動作する、買ってすぐ誰でも使えるトランシーバーです。



■外観


FTH-314(L)を実際に持つとアンテナを除き本体がすっぽり手で覆えるくらいです。上の写真のように本体の角が丸いので持ちやすく、長く使うと手に馴染みそうです。

話すときに押す左側面のPTTボタンは少し下へ移動し幾分押しやすくなったと思います。
FTH-308L(左)とFTH-314L(右)、左側面

アンテナはFTH-307LFTH-308Lより約1センチ短いです。
FTH-308L(左)とFTH-314L(右)、正面

付属ベルトクリップはワンタッチで着脱しやすく、ワニグチタイプになっています。
FTH-308L(左)とFTH-314L(右)、右側面


オプションのストラップ穴が本体裏側の上中央付近に移動しました。ネックストラップ運用も軽快にできそうです。
FTH-308L(左)とFTH-314L(右)裏面

FTH-314(L)の充電端子はFTH-307(L)FTH-308(L)と異なるため、繰り返し使える専用充電池FNB-135使用時は、発売予定の急速充電器セットVAC-68が必須です。


液晶表示はFTH-307(L)FTH-308(L)よりもわずかに小さくなりました。「中継」「圏外」文字の外枠表示がなくなりました。
FTH-308L(左)とFTH-314L(右)正面

液晶表示の濃さは個体差なのか、下から見るとFTH-307(L)FTH-308(L)よりもわずかに薄めです。しかし上から見ると表示がはっきり見えます。

ブランドを表すスタンダードロゴマークは本体のSTANDARD文字のくぼみに白文字をプリントするという手の込みようです。


イヤホンマイクとスピーカーマイクオプションはFTH-307(L)FTH-308(L)と共通のはずですが、イヤホンマイク端子周辺の取付金具の形状が少し変わっています。
FTH-308L(左)とFTH-314L(右)端子

イヤホンマイク端子のネジ山は山の数が2つになり、真鍮製になったようです。イヤホンマイクを数回着脱しただけですがネジ山をなめてしまったように見え、耐久性が若干心配です。
FTH-308(L)のイヤホンマイク端子拡大
FTH-314(L)のイヤホンマイク端子拡大




■操作性


電源/音量つまみが軽く回しやすくなりました。

正面のボタンは直感的に使いやすく、押しやすくなりました。ボタンを押してからの無線機本体の持ち替えが少なくなりました。

電池蓋が本体一体型へ変更されました。加えてベルトクリップ取付時の電池交換がしやすくなりました。
FTH-314(L)電池蓋

FTH-314(L)電池取り出し時



■音質


内蔵マイクロホンの送信の音質は、わずかにFTH-307(L)FTH-308(L)より変調度が上がり高域が持ち上げられ、"さしすせそ"の明瞭度が少し向上しています。
FTH-314L イヤホンマイク接線

アルインコのDJ-P222Lと比べるとメリハリのある音質で、好みの問題ですがよしお個人的には業務用途に使いやすいと思います。

FTH-314(L)の秘話モードはFTH-307(L)FTH-308(L)と比べ若干音程のずれはありますが通話に支障の出るほどではありません。

内蔵スピーカーの受信音はこれまでの若干鼻の詰まったような音から無線機本体全体から音が鳴るようになり、聴き取りやすくなりました。アルインコDJ-P222(L)のボワッとした音に対してFTH-314(L)は声がストレートに通る音質です。



■音量


音量つまみはこれまで同様、経年変化によるガリ音を出さない工夫がされています。

操作ビープ音量が従来の半分ほどに小さくなりました。これでビープONでイヤホンマイク使用時のビープ爆音が軽減されます。

内蔵スピーカーはアルインコDJ-P222Lが最大音量でほぼ音が割れない状況に対して、FTH-314(L)は音量つまみ半分くらいから音が割れる状況です。



■送信出力


FTH-308LFTH-314Lから電波を送信し受信機で電波の到達距離を比べましたが違いはほとんど分かりませんでした。
FTH-308L(左)とFTH-314L(右)上面

FTH-314(L)の送信性能はFTH-307(L)FTH-308(L)DJ-P222Lと同等と言えます。



■受信感度


スケルチレベルを最小にすると一見、FTH-307(L)FTH-308(L)と変わらないように感じますが、ここぞというときはやはりFTH-314Lのほうが弱い電波を受信中でも粘る傾向です。

アルインコのDJ-P222Lと比べるとスケルチを最小時、DJ-P222Lのほうがどちらかといえばスケルチが開きやすいです。

しかしFTH-314Lだけスケルチが開く場合もあるので一概にどちらがいいとは言い切れません。


アルインコのDJ-P222Lはぎりぎり受信限界の状況で周期的な雑音が稀に出ますがFTH-314(L)FTH-307(L)FTH-308(L)に引き続き発生しません。

スケルチを解除したときのFTH-314LとアルインコのDJ-P222Lの受信感度を比べましたが甲乙付けがたい結果となりました。

FTH-314(L)の受信感度はFTH-307(L)FTH-308(L)よりも良いといえます。
FTH-314L



■スキャン


特定小電力トランシーバーとしては最速クラスと思われるスキャン速度は体感的に従来比1.2倍程度高速化しています。

安価な製品にありがちな、電波はあるのにスキャンが止まらない症状は確認できません。

競合機種となるアルインコDJ-P221(L)DJ-P222(L)、ケンウッドのUBZ-M51(L)やUBZ-M31には単信/レピーター(同時通話)チャンネルのスキャン機能がない(UBZ-M51(L)とUBZ-M31は3チャンネルまでのメモリースキャンあり)ため、この辺りはFTH-314(L)が有利です。

FTH-314(L)FTH-307(L)FTH-308(L)に引き続き、スキャン動作を開始後に電源を入切してもスキャン動作が保持されるため、オプションのイヤホン接続用アダプタCT-101と市販のモノラルイヤホンを併用すると小型の特小受信機としても使えると思います。



■機能など


中継器を使わない単信モードで使えるコールバック(通話圏内圏外お知らせ)機能の表示がFTH-307(L)FTH-308(L)では「圏内/圏外」表示でしたがFTH-314(L)では「OK/圏外」表示へ変わりました。

話し始めると自動的に送信開始するVOX運用で通常発生する頭切れ現象がわずかながら更に少なくなり、使いやすくなりました。



■まとめ

FTH-314LとイヤホンマイクMH-381

このようにFTH-314FTH-314LFTH-307(L)FTH-308(L)と比べると外観からは想像できないほどの細かい業務ユースに対する作りこみがなされています。

送受信の見えるLEDランプが省略されたのは残念ですが、手に持ったときのホールド感の改善と受信感度アップだけでなく、内蔵マイクと内蔵スピーカーの音質がわずかながら改良されているので、FTH-307(L)ユーザーやFTH-308(L)使いでも入手して損はないと思います。

アマゾンの現在の価格を貼っておきますので参考にされてください。

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