・ICF-S80 FM/AMシャワーラジオ - ソニー
(写真は公式サイトから引用)
ICF-S80は炊事場や風呂場でも使える、FMとAMの2バンドをカバーするポータブルラジオです。この型番にピンの来た方はなかなかのラジオ通です。
そう、今回発表されたICF-S80はまぎれもなく往年の名機ICR-S71の後継機とのこと。ICR-S71生産終了からはや半年。ソニーはラジオファンを見捨てはしませんでした。
何から語りましょう...そうですね、まずは名機ICR-S71を語ることにしましょう。
★名機ICR-S71とは★
肩掛けベルトを採用し樹や物干しざおなどに掛け使うなど、屋外作業中のラジオリスニングを主目的として開発されたようです。急な悪天候にも対応可能な防滴性能を有する優れものですが、最も目を見張るのがその電池持続時間です。なんとマンガン乾電池であっても1週間以上、アルカリ電池使用時に至ってはおよそ1ヶ月連続でラジオ放送を聴取できるモンスタースペックマシンなのです。
すごいのはこれだけではありません。AMラジオ放送の感度がホームラジオに比べ1段上であり、スピーカーが奏でる音質は長時間でも聴き疲れしないのです。
このようにICR-S71はモノバンドでありながらラジオを聴取する性能に長けていたのですが、FM放送が受信できないことがほぼ唯一のネックとなっていました。そこでこの問題を克服したのが今回発表されたICF-S80となります。
★スペック比較★
アナログチューニングのICR-S71に比べ、デジタルチューニングを採用したICF-S80は時間を掛けることなく一発選局が可能です。デジタル時計や最大60分のスリープタイマーや最大90分のキッチンタイマーも装備しています。
中でも一番目につくのが電池寿命の違いでしょう。アルカリ乾電池寿命比較ではICF-S80がICR-S71の半分にも及びません。恐らく単2電池の容量が単1電池の半分以下であることがその要因と思われます。
電池の本数が2本から3本へ増加した理由はスピーカー出力がアップしたためと推測します。
単1電池よりも径の小さい単2電池を採用したにもかかわらず、ICF-S80はICR-S71よりも厚みが5ミリほど増えています。
一般家庭の浴室壁面上に置ける幅が考慮されていると思いきや、よしおの生息する浴槽の厚みは実測で最薄部が55ミリで最厚部は60ミリ。ICR-S71はかろうじて浴槽の上に置いて使えますがICF-S80は浴槽へ水没か反対側へ落下するのいずれかとなりそうです。どうやら付属のベルトでシャワー掛けへ掛けて使うしかないようですね。
FMラジオ放送はICR-S71では受信できませんでしたがICF-S80には新たにFMチューナーと受信用のワイヤーアンテナが追加されました。これについて詳しくは下のプチレビューにあります。
スピーカー径はどちらも変わりません。実際の音質は後半のレビューに記載しました。
★実機プチインプレッション★
ICF-S80には時計機能が装備されています。ラジオの電源が切の状態では時計が表示されます。
液晶表示の大きさですが、7セグメントLCD 1文字あたりの表示サイズは目測で横幅が約9ミリ、縦幅が2センチ程度と比較的大型です。細かい機能表示は小さいためやや見辛いかもしれません。なおLCDにバックライト機能はありません。
音量調整は本体向かって右側面、ストラップベルトの付け根付近に直径5センチ程度のダイヤルで行います。適度に硬く大きいため、浴室で目を閉じた状態でも操作性は簡単そうです。
付属のストラップベルトはシリコーンゴム製とのことです。シリコーンゴム製であれば耐オゾン劣化は問題が少ないものの、使用後はなるべく乾かして保管するのがよいと思われます。
それではICF-S80の電源を入れてみます。
電源を入れてから音が出るまでの時間は未測定ですが、電源ボタンを押すとほぼ次の瞬間ラジオが鳴り始めると思っていただければ間違いないでしょう。
ICF-S80はデジタル選局方式を採用しており、ICR-S71のようなチューニングダイヤルの代わりに"+" "-"チューニングボタンが本体上にひっそりと装備されています。このボタンはやや小さいため、頻繁に使用するには使いづらいと思います。
本記事を作成している現在、公式の商品情報には未記載ですがICF-S80にはオートチューニング機能も装備されています。チューニングボタンを約3秒以上長押しするとスキャンが開始されます。スキャンスピードはAMバンドで毎秒約3~4ステップ(1ステップ=9kHz)、FMバンドで毎秒約10ステップ(1ステップ=100kHz)と高速です。
スピーカーの音質は低域から高域までほぼフラット。こもった感じもなく抜けの良いクリアな音質です。ICF-S80でFM放送を聴くとドラムやシンバル、パーカッションが良く聴こえました。
生産終了したICR-S71は人の声を強調する音質設定ですから、ICF-S80でAM放送を聴くと物足りない方がいらっしゃるかもしれません。しかし短時間ではありましたがICR-S71同様、聴感上の聞き苦しさは見当たりませんでした。
次にラジオの受信感度のチェックです。
AM放送は偶然ICF-S80の近くにあったICZ-R250TVに劣らず健闘しているようです。係員の説明によるとAMラジオはICR-S71よりも若干高感度かもしれない、ということでした。内蔵バーアンテナの指向性は一般的なAMラジオと比べ鋭くキレの良い傾向がありますのでICR-S71同様、夜間の混信に対応できそうな感触です。
FM放送はやや期待外れな感触です。ICF-S80のFM用ワイヤーアンテナ長は約30センチありますが、全部伸ばしても高感度とは言えない状況でした。ショールーム内はノイズに囲まれた状態のため確証はありませんが、2015年2月28日発売予定のクロックラジオICF-C1よりも劣る印象でした。もっとも、ICF-C1は電灯線がアンテナになっているかもしれないため一概には言えませんが...。
なお上記比較表からも分かることですが本機に外部アンテナ端子はありません。ICF-S80から伸びるワイヤーアンテナの先端は防滴加工されているため、簡単に被覆を剥く訳にもいきません(改造後はメーカー保証外)。ICF-S80はあくまでもシャワーラジオであってロッドアンテナ内蔵のポータブルラジオではないため、AM放送は問題ありませんがFM放送は移動しながらの遠距離受信には不向きと思われます。
★まとめ★
ICF-S80の想定価格は確か6400円前後、発売は2015年2月21日の予定です...が、ソニーのショールームではなんと、すでに先行販売が開始されているそうです!! 想定価格がかなり手ごろながら量販店での発売よりも早く安く新製品が購入できるとのことですから、これは少々迷いますね。
名機ICR-S71が昨年2014年5月に生産終了となり早半年以上が経ちましたが、まさか後継機を投入してくるとは誰が想像できたでしょうか。
ラジオNIKKEIも聴けるICF-M780Nといい昨年2014年発売されたラジオレコーダーICZ-R250TVといい、最近のソニーはラジオにも力が入っていますね。
(関連記事はこの下です)
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