2017/07/01

ドコモ IP無線機 iVo-300(MPT-H1)のプチレビュー

ドコモがサービスを提供しているiVo-300というビジネストランシーバーに触れる機会があったのでいくつかチェックしました。
iVo-300, MPT-H1 IPトランシーバー

iVo-300は3G方式のFOMAパケット通信を使用した「ドコモ ビジネストランシーバ」サービスで使用可能な、免許資格不要でつかえるハンディタイプのボイスパケットトランシーバーです。

製造はモバイルクリエイト。iVo-300はドコモの型番ですが同社の型番はMPT-H1です。


大きさはアンテナなしで幅5.4×高さ12.3×3センチ、重さは電池込みで約240グラムです。

送信出力は最大250ミリワット、本体内蔵スピーカーの音声最大出力は1ワットと業務で使える性能を確保しています。

パケットの送受信速度は回線によりますがWCDMAで最大384kbps、HSDPA(下り)で14.4Mbps、HSUPA(上り)で5.7Mbpsと高品質な音声送受信が期待できます。


使い方は通常のアマチュア無線機や特定小電力トランシーバーなどと同じ、大人数へ同時に指示が出せる単信方式と携帯電話と同様の同時通話と言われる複信式に対応。説明書の文章は1対1だけでなく大人数の同時通話も可能と読めなくもありません。

これ以外にも指令局からの割り込みやGPSによる自局と他局との距離を限定した通話なども設定次第では可能なようです。



通話は必ずドコモのFOMA回線を使用します。携帯電話基地局が倒れた場合はiVo-300(MPT-H1)の通話ができません。沖合や山間部の谷などの圏外ではたとえ近距離同士でも交信不可能なので注意しましょう。


GPS、IP67の防水防塵性能、USB本体充電機能を内蔵します。オプションのスピーカーマイクの接続が可能です。
MPT-H1専用ハンドマイク


市販の高機能トランシーバーに搭載されている振動着信、録音再生に加え、携帯電話網の緊急地震速報の受信機能も装備しています。テキストメッセージ送受信は可能ですが通常の携帯電話やスマートフォンのSMSやEメールとは異なります。

通話に関してもiVo-300またはMPT-H1を含むIP無線機間のみ対応し、通常の固定電話や携帯電話、スマートフォンとの通信はできません。

また110番や119番通報も本機ではできません。これはサービスに通常の携帯電話回線を使用せずパケット回線を使用するためとのことです。

標準付属品はリチウムイオン充電池、急速充電クレイドル(充電スタンド)、ACアダプター、ベルトクリップ、アンテナなどです。スピーカーマイクやイヤホンマイク、ソフトケースなどはオプションです。



さて、上記以外のスペックの詳細はこちらの製品情報にあるのでここでは少しだけ触ったときの使用感をレポートしてみます。また下記は説明担当者へ確認した内容も含みます。
iVo-300(MPT-H1)バックライト点灯時


試用した製品は下記写真のとおりオプションのMPT-H1専用ソフトケースとMPT-H1専用ハンドマイク(スピーカーマイク)を追加していました。
iVo-300(MPT-H1) ハンドマイク&ソフトケースオプション装備


手に持った感じは女性でも普通に持てるほどの大きさ。大して重い感覚はありません。


アンテナは着脱式、コネクターはアマチュア無線機や受信機と同じ通常のSMAタイプです。メインダイヤルの傍に充電や送受信状態を表示するLEDがあります。下記状態はクレイドルで充電中の様子です。
iVo-300(MPT-H1)上面


充電は一般的なアマチュア無線機などと同じ充電クレイドルを使用したスタンド方式とマイクロUSB端子の2方式です。付属の充電クレイドルを使うと電源を切ると約3時間で急速充電が可能です。
iVo-300(MPT-H1)充電クレイドル

USB本体充電は倍以上の時間がかかるようです。


本体底面に充電端子とマイクロUSB端子があります。

iVo-300(MPT-H1)底面


ステンレスの流し台など金属面にトランシーバー本体を直立させるのは避けたほうが良いでしょう。

アイコムのコミュニケーションレシーバーIC-R6も底面に充電端子がありますが、このiVo-300は本体底面から底面から充電端子までのくぼみが浅いです。オプションの専用ソフトケースを装着した使用を想定しているのでしょう。


左側面はPTTとショートカットボタン(プログラマブルキー)があります。
iVo-300(MPT-H1)左側面


右側面は多接点タイプのアクセサリー口(スピーカーマイク端子)があります。
iVo-300(MPT-H1)右側面


液晶は電池消費の少ないモノクロフルドット。操作ボタンを含むバックライトの色はなんとRGB完全に独立し連続可変できます。写真では青一色に設定されています。
iVo-300(MPT-H1)バックライト色調整設定画面


電源は音量を兼ねたメインダイヤルの長押しです。電池は3.8V 2420mAhのリチウムイオンバッテリーで着脱可能。通常使用で2〜3日間使えるとのことです。
iVo-300(MPT-H1)バッテリーカバー取り外し時


ベルトクリップは工事担当者のベルト幅に対応しそうな超大型タイプ。バネは少し硬めです。
iVo-300(MPT-H1)背面


使用前にあらかじめ通話したいトランシーバー同士の初期設定は必要です。初期設定で必ず通話相手先を事前に登録しないと相手と話せない点が通常のトランシーバーとの違いです。

上限はあるでしょうが基本的に登録した相手が何人いても問題ないようです。


音声遅延は状況によりますが試用した感じでは2〜3秒でした。

実際の音声の品質は一般的な3G携帯電話と同程度。351MHz登録局無線機のようにボワッとしたロボットボイスの印象はあまりありません。試用時ケロケロ音はそれほどありませんでしたが山間部など電波状況が良くない場合はまた変わってくるでしょう。

電話のように話せる同時通話モードは聴感上、単信方式と比べ音質に変わりありませんでした。一度に通話できる人数制限はあるかもしれません。
iVo-300(MPT-H1)オプション装備例




以上ボイスパケットトランシーバーiVo-300(MPT-H1)を簡単にインプレッションしてみました。

短時間使ってみた感じはデジタル方式ですが音質がわりと良く聞き苦しくなく、混信は事実上皆無なので通常のトランシーバーと同じような感覚で長時間使い続けてもストレスが少なさそうと思いました。



気になるのは2点。

1点目は通信料金です。こちらに詳細が記載されていますが基本料金が月々2200円~3000円と携帯電話並みの額。

8000円相当の無料パケット通信料が付属するとのことでお得な感じを受けますが1パケットが何秒の交信料金に相当するかは不明のため何とも言えません。

もう一つは山間部での電池消費量です。携帯電話は経験上、山など高い場所へ持っていくと通話しなくても電池を多く消費する傾向があります。

過去に入手して1年も経たない国産の3G携帯電話無線機を満充電して都内または埼玉県の山へ入ったことがありましたが、通話をしていないにもかかわらず登山開始からわずか40分ほどで700mAhの携帯電話の電池が空になる症状が発生しました。

その"魔の山"でiVo-300(MPT-H1)は果たして1日持つのか、それとも3時間程なのかは実際に山で使ってみないと分かりません。




このiVo-300(MPT-H1)はビジネストランシーバーと名前はありますがこちらのFAQにあるように個人法人問わず契約が可能です。

本体価格はスピーカーマイクやソフトケースなどのオプションを除き1台で約5万円とのこと。業務用無線機と考えれば破格でしょう。

iVo-300(MPT-H1)本体から見える"チャンネル"は契約者が独占できるので空きチャンネル探しの手間や周波数不足による混信トラブルはほぼ皆無です。

MCA無線機などのように山間部から都市部まで広範囲で使用する業務用途には最適と思います。

(関連記事はこの351MHz登録局トランシーバーの下です)

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