AOR AR5700D(ハムフェア2019会場) |
AR5700Dは今月(2020年4月)下旬発売、価格は税抜き36万3千円(10%税込で39万9300円)と、約40万円です。
現行モデルのAR5001Dが10%税込で36万5200円ですから、単純に考えると約3万4千円のアップに見えますが、実はそう単純な話ではありません。
AR5700DにはI/Q出力機能とデジタル復調機能が内蔵されていますが、AR5001Dではどちらもオプションとなっています。
つまり、AR5001DはIQ出力ボードIQ5001(10%税込62700円)とP25復調ボードAP5001(10%税込25300円)を追加して、初めてAR5700Dと対等に価格比較できるようになります。
すると、フルオプションを内蔵した現行モデルのAR5001Dは10%税込で453200円と、なんと新発売のAR5700Dよりも54900円高いのです。
しかもAR5001Dのデジタル復調機能はP25フェーズ1のみですから、デジタル復調機能だけ注目すれば、AR5700Dは驚きの破格といえます。
次にAR5001DとAR5700Dのスペック比較表を下記に示します。表の左がAR5001D、右がAR5700Dです(各表はクリックで拡大)。
受信周波数範囲はわずかに伸びています。
デジタル復調モードはAR-DV1、AR-DV10と同じようですが2020年4月現在、AR-DV1とAR-DV10に搭載されていないTETRAトラフィックチャンネルの追従機能が追加されたように見えます。
受信感度は一概に言えませんが、3GHz帯が改善しているようです。
大きさは変わりません。重さは200グラム重くなっています。
電源周りは最大消費電流が1.5アンペアから2アンペアになりました。専用のACアダプターを付属しているので、普通に使う分には安定化電源は基本不要です。
端子ACC1はオプションのGPSリファレンスレシーバーGP5001を接続可能ですが公式サイトのオプションには挙がっていないようです。
端子ACC2のアンテナ切替器の端子が8PIN DINからRJ-45へ変更されているため、AS5001をご使用中の場合はAS5700への交換が必要です。
AR5001DでオプションだったI/Qソフトウェアは標準添付となりました。
I/QソフトAR-IQ-IIIデモ中のAR5700D試作機(2019年) |
この他、カタログから判る範囲でAR5700Dの気づいた点をいくつか挙げていきます。
固定機ならではのRFフィルターは特に2.1~3.7GHzの性能が向上しているようです。
AR5700Dの簡易ブロック図(フィルターに注目) |
AR5700DはAR5001Dよりも大型ICが5つ増えました。
カタログによると、大型ICの増加でサーチ速度が毎秒100チャンネル達成をうたっているように見えますが大型ICの少ないアイコムIC-R30のサーチ(プログラムスキャン)速度は毎秒200チャンネル...。
新設計のデジタルデコード基板(下記写真赤丸部分)をよく観察すると、ICの載っていない部分が見えます。
単純にICを載せる前に写真を撮ったのか、民生用には載せられないICがあるのでしょうか。妄想が広がります。
AR5700D試作機(2019年) |
このように、AR5700Dはコストパフォーマンスの観点でも機能的に見ても、カタログスペック上は現行モデルAR5001Dよりも良くなっているようです。
値段が下がった主な理由は技術革新と部品価格の低下と思われます。
ハムフェア2017の初登場から3年経過し、ようやく発売の迫ったAR5700D。果たして"あの"機能はついてくるのか、AR-DV1やAR-DV10との復調差はどんなものか。楽しみは尽きません。
(関連記事はこの下です)
・AORの新型受信機AR5700DとAR7400@ハムフェア2019 (2019/09/03)
・ハムフェア2017ぶらり散策 (2017/09/06)
・デジタル復調ハンディ受信機3機種雑感2019 (2019/05/01)
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