◆いいところ
- 見やすいユーザーインターフェース
液晶表示は見た目、同社製アマチュア無線機IC-7300よりも洗練されている印象を受けました。実際、スコープの設定変更がよりしやすくなっています。
- 一部デジタル通信の復調機能
- 高速スキャン
- スコープ機能
- ファイル分割録音機能
- 1秒未満の音とならない受信電波を録音しない
- スクリーンキャプチャー機能がある
- デジタル通信の復調音声が比較的クリアである
IC-R8600で復調できる通信自体極めて少ないですが復調後の音質はAR-DV1よりも上です。
- 受信モード毎にステップとフィルターの設定を記憶する
- メインダイヤルの操作フィーリングが選べる
- アンテナ切替機能
- 液晶とLEDインジケーターの明るさが選べる
- 音質が選べる
- 同期検波のロックが外れても極端に音声が破綻しない
◆よくないところ
- プロトタイプよりも重い
- メインダイヤルにホコリや手垢が付きやすい
またメインダイヤルのヘアライン仕上げの溝に手垢と思われるものが目立つようになりました。AR-DV1ではこのようなことはありません。
- 動作中本体が熱くなる
※お酒は20歳になってから
- HFより上の受信感度が微妙
プリアンプを入にすると他の受信機とほぼ同程度となりますがノイズレベルも同時に上がります。
特に航空無線を受信しようとするとスケルチを50程度まで深くする必要があります。市販の外付けプリアンプを付けると恐らく雑音まみれになるでしょう。
- 録音データ容量が他の受信機よりもすぐ満杯になる
- 446.35MHzで353MHz帯のイメージが出現する
AR-DV1ではこのような症状は今のところ皆無です。この周波数のイメージは手持ちの他の受信機では確認できません。
- VFOで受信中にバンドエッジで音が一瞬途切れる
- スコープに電波ありと表示された周波数に合わせようとすると表示されていた電波が消える
- スケルチのキレがこれまでの非SDR(アナログ)受信機と比べ良くない
スケルチの開閉を繰り返すとき一般的によくあるポップ音はIC-R8600ではありません。
- スコープをめいっぱい表示するとステップを変えるのが煩雑
- プログラムスキャンのグループリンク機能がない
50組のプログラムスキャンを効率よく回すためにも、プログラムスキャンのグループリンク機能追加が待ち望まれます。
- 任意のグループを複数指定(セレクト)しメモリースキャンできない
一方で、あるグループのうちの、あるチャンネルだけ選りすぐりスキャンする機能(セレクトメモリースキャン)はあります。説明書9-8~9-9ページにあるように9パターンが指定可能です。
- 1グループのメモリーチャンネル数が最大100チャンネルまでしか設定できない
- 設定完了した直後のプログラムスキャンで指定したステップが反映されない
スキャンエッジ登録グループを変更し別のスキャンを走らせてからメモリー登録したプログラムスキャンを再度開始すると正常に動作します。
- 数時間ほど電源切で放置すると2~6MHz周辺がしばらく受信できないことがある
その後しばらくメインダイヤルをぐるぐる回し続けると、あるときいきなりふわっと信号レベルが正常に戻ることがありました。
短時間で電源を入切するとこの問題は発生しませんでした。ファームウェアのバグと思われます。
- 空き容量のあるSDカードに録音できないことがある
バージョン1.02で修正されたバグらしいのですが、1.10でも出現しました。電源を入れなおすとうまくいきます。
- メモリースキャン中にスクリーンセーバーが指定した時間で動作しないことがある
ファームウェアのバグと思われます。プログラムスキャンでは正常動作しているように見えます。
- スキャンで受信中の電波がなくなった後、再スキャン開始までのディレイが2秒固定
IC-R8600左側のダイヤルAのディレイ設定はプライオリティスキャン用のディレイ変更です。
CS-R8600にScan Delay設定は1秒からありますが、これは電波を受信し受信中からスキャンを再開するまでの時間で、交信終了を待たず再スキャンを開始するオプションです。
よしおが欲しいのは電波がなくなった後にスキャンを再開するまでのディレイ設定です。
- DMRとTETRA、重要通信が受信できない
- 同期検波の設定タイミングで音声の大きさが変わる
以上ファームウェア1.10のIC-R8600の使用感についてでした。
初期ロットでは純正の外部スピーカーSP-39ADをつなぐと雑音が発生し本来の電波が受信できなくなる不具合はありましたが、現在流通している海外向けを含む現行品は対策済みでしょう。
昨今の無線機や受信機は内部が10年前とは比べようもなくソフトウェアが複雑化しているためバグの一つや二つは致し方ないのですが、よしおはここ最近バグを含んだ製品をほぼ連続で引き当てており、面倒なバグ対応でいささか不満を覚える場合も少なからずある訳で...。
それにしても最近入手した製品は少なからず各社とも同じ傾向のバグを持っているので、結託してわざと仕込んでいるのではと勘ぐってしまいますね。
昔はソフトウェアなんてものはほぼ皆無で、現代ほど複雑ではなく目に見えて分かりやすい時代だったなぁと、かつての短波ラジオたちの一部をいくつか引っ張り出して短波放送を聴きながら
RF-2200(左), ICF-5900(中央), RF-1150(右) |
(関連記事はこの下です)
[関連記事]
・アイコム 外部スピーカー SP-39ADプチレビュー (2017/04/29)
・AR-DV1 ファームウェア1702Dの使用感 (2017/06/19)
・【追記】アイコムアマチュア無線フェスティバル2016でIC-R8600を触る (2016/12/10)
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